<この話のTOPへ>
「もっと良い隠れ場所を探した方がいいかな?」
あなたは周りに“鬼”がいない事を確かめると、チケット売り場の陰から通路に出て歩き始めた。
頭の上からジェットコースターの走る音が聞こえてくる。
「誰も乗っていないのに・・・」
気味が悪いよな・・・そう思いながら歩いて行く。
その時、あなたの視界の隅で黒い影が動いた。
「“鬼”だ!!」
あなたは歯を食いしばりながら走る。
“鬼”が差を詰めてくる。
右へ・・・左へ・・・。
植木やゴミ箱・・・ベンチを巧みに縫いながら走るが、セミロングの髪の“美女”は、ピッタリついてくる。
「なぜ、スカートでそんなに走れるんだよ!!」
あなたは叫ぶ。
前に売店が見えてきた。
あなたは売店をクルッと回るように走ると、自動販売機の陰に隠れた。
セミロングの髪の美女は、あなたの姿を見失ったらしい。
あなたの姿を探していたが、やがて諦めて歩いて行った。
あなたはホッとしたが・・・。
「?!」
ロングヘアの美女が、こちらに向かってまっしぐらに走ってくる?
「クソッ?!」
もう一人いたのか?!・・・あなたは歯軋りをしながら走り始めた。
しかし、さっきの鬼を振り切るために全力で走った直後だけに、思うようにスピードに乗れない。
あっという間にロングヘアの美女がカードを持ってあなたに迫る。
背中に何かが当たった?・・・そう思った直後、あなたの体を閃光が包み、あなたの意識は消えて行った。
あなたは車に乗っていた。
あなたの前で、高校生らしい制服姿の男の子が携帯電話を片手に自転車に乗っている。
彼の視線は携帯電話に・・・そして指は忙しく動いている。
『メールを打っているな・・・』
そう思ったあなたは、運転席でハンドルを握る相棒に、
「ちょっと停めて!」
と声をかけた。
相棒も肯くと同時にウインカーを出して、車を路肩に停めた。
あなたはドアを開けて車から降りると同時に持っていた笛を吹いた。
自転車の高校生が、驚いて急ブレーキをかける。
「こら! 携帯電話でメールを打ちながら自転車に乗ると、危ないでしょう!」
あなたは高校生を睨みつける。
高校生は頭を掻きながら、
「・・・すいません・・・」
小さな声で謝る。
あなたはゆっくり歩いて自転車の前に立つと、
「これからは気をつけるのよ・・・」
「はい・・・」
高校生は、一礼すると自転車を押しながら歩いて行く。
高校生が、あなたに視線を走らせる。
制服の胸の膨らみ、引き締まったウエスト、タイトスカートを膨らませるヒップと、そこから伸びる白く美しい足。
美少女と言っても過言ではないあなたの顔を見つめながら、高校生は感嘆のため息を漏らすと、顔を赤くしながら慌てて一礼すると、自転車に乗って走って行く。
あなたは肩をすくめながら、ミニパトに戻る。
運転席に座る相棒は、ニコニコ笑いながら肯くと同時に車をスタートさせた。
あなたは可愛らしい婦人警官になってしまった。
GAME OVER