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あなたは左へ曲った。
誰もいない遊園地、その広い道・・・通路を一人で歩いていく。
時々紙コップが、風に吹かれて転がっていく音を聞いてもドキッとしてしまう。
「気味が悪いな・・・」
あなたは苦笑いをしてしまった。
あなたの右横には、急流滑りのレーンがある。
無人の乗り物が上から滑り降りてくると、下に滑り落ちて水しぶきを上げる。
いつもは子供やカップルの歓声や悲鳴が聞こえるのだろうが、今は水の跳ねる音しか聞こえない。
「?!」
あなたは目を凝らして急流滑りの向こう側を見つめた。
水飛沫の向こうに“何か”を見た気がしたのだ。
今、この場で“何か”を見たということは・・・?
「来やがった!」
叫ぶと同時に元来た道を走り出すあなた。
そう、急流滑りの向こうにはロングヘアの美女・・・“鬼”がいたのだ。
必死に走るあなた、振り返るとスピードを落とす・・・“鬼”は追ってはこなかったようだ。
結局、元のT字路に戻ってしまった。
左へ行くと、また奴がいる。
あなたは小さくため息をつくと、右へ曲った。