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あなたは咄嗟に左へ曲った。

あなたの右手では、無人の観覧車がのんびりと回っている。
あなたは走りながら、チラッと後ろを見た。

“鬼”は微笑みを浮かべながら、あなたを追っている。

普段の街中なら、あれほどの美女に追われて喜ばない男などいないだろう。

しかし、この“ゲーム”であの美女に捕まるということになれば・・・あなたは考えながら身震いをした。

後ろを振り返ると、“鬼”が確実に迫ってきていた。

「チッ!」

思わず舌打ちをする。

“鬼”に追われ続けて、思うようにスピードが上がらない。

“鬼”はポケットからカードを取り出した。
その手を伸ばす。
あなたの背中に何かが触れた、そう思った瞬間、走り続けるあなたは、眩い光に包まれた。




「エリ?!」
「エッ?!」
あなたは並んで歩いていた女の子に声をかけられた。
「ぼんやりしていたけど・・・大丈夫?」
「エッ・・・?」
彼女は・・・誰だ・・・?
あなたは思った。
そして、“エリ”って一体・・・?
そう思いながらあなたは、自分の体を見下ろした。
「?!」
あなたは白いセーターを着ていた。
そのセーターは胸のあたりがふんわりと膨らみ、ウエストが括れている・・・女性らしいラインを描いている。
そしてズボンではなく、ブルーのミニ丈のフレアースカートとそこから伸びる白くムッチリとした太股、そこからニーソックスまでの絶対領域って?
そして、なぜ僕がブーツなんて履いているんだ?!
あなたは叫び出したい心境だった。
「エリ? 大丈夫なの?」
隣に立つ女の子が心配そうにあなたの目をのぞきこんだ。
「今日の一限目は、絶対に出ておかないと単位を落としちゃうよ・・・?」
あなたは成績は良いから試験は心配ないでしょうけど、出席日数で落とすとつまらないよ・・・彼女が笑った。
あなたはポケットの中に手を入れた。
ポケットの中から大学の学生証が出てきた。

「僕が・・・女子大学生・・・?」

そう言った途端、あなたの中で“何か”が変わっていく。
そう、あなたの記憶が、エリのものに置き換わっていくのだ。

セーターに浮き出ている体のラインやスカートに対する違和感も消えていく。
それどころか、・・・。
「わたし・・・僕なんて言っていたわね・・・」
思わず顔を赤くして俯く“エリ”になったあなた。
「もう・・・心配したわよ・・・」
隣に立つ女の子が頬を膨らませている。
さあ、行きましょう・・・そう言うと、あなたも一緒に歩き出す・・・桜の花の咲いている女子大学の校門を、二人はくぐっていった。


あなたは女子大学生になってしまった。


GAME OVER






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