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あなた達は美女を見つけて走り出した。
内籐は売店に向かって走っていく。
『どちらを追ってくる?!』
あなたは後ろを振り返り、舌打ちをした。
美女・・・“鬼”は、あなたを追ってくる。
あなたはすでに全速力で走っているのだが、美女はその差を見る見るうちに詰めてくる。
彼女は微笑みながら、ポケットの中からカードを取り出した。
『あれを貼られると?!』
あなたの背中に冷たいものが流れる。
「だめだ!!」
叫んだ瞬間、あなたの体は眩い光に包まれた。
『お客様に申し上げます。 当機は間もなく東京・羽田空港に着陸いたします。 座席の背もたれ、テーブルは元の位置に戻して、シートベルトを今一度・・・』
あなたは旅客機の通路を歩きながら、乗客の座る座席やベルトのチェックをしていた。
あなたはチェックを終えると一緒に搭乗をしている同僚と一緒に、入り口の横にある“ジャンプシート”と呼ばれる乗員用の座席を引き出して座り、シートベルトをセットした。
あなたは前の座席に座る小学一年生くらいの男の子と通路を挟んで向かい合わせに座る形になった。
あなたが微笑みかけると、少年は羨望の眼差しをあなたに向けている。
あなたは自分の体を見下ろし、ふと我に返った。
『これが・・・僕? なぜ・・・?』
しかし、その思いとは裏腹に、あなたは自分の体を動かす事が出来なかった。
それどころか、その顔には微笑みが浮かんでいる。
アップにまとめられた黒髪。
首に巻かれたカラフルなスカーフと、紺色の制服を押し上げる胸の膨らみ。
服の上からでもわかる細く引き締まったウエスト。
タイトスカートを膨らませるヒップと、黒いストッキングに包まれた美しい足。
『そう、わたしはずっとこの仕事に憧れていた・・・』
あなたの心は、いつの間にかこの“女性の体”に同化していた・・・・もう男だった時のこだわりは無い・・・これからはこの仕事を楽しもう・・・・そう思っていた。
あなたは美しいキャビン・アテンダントになってしまった。
GAME OVER