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「行きましょう!」
内籐が力強く言った。
あなたも肯くと辺りを注意深く見回し、ゆっくりと歩き出した。
無人のジェットコースターが轟音をたてながら走っていく。
そう・・・だからあなた達は気が付かなかったのだ・・・あなた達に迫る“黒い影”に・・・。
ボブカットの美女が微笑みを浮かべると、あなた達に向かって走っていく。
ジェットコースターが走る音の中に、別の音が聞こえる。
『足音・・・?』
あなたは後ろを振り返った。
ボブカットの美女が、あなたの肩に何かを貼った。
次の瞬間、カードから放たれる赤い閃光があなたを包み、あなたの辺りの景色が光の中に消えて行った。
「なんだ?!」
あなたは思わず叫んだ。
辺りは赤い光から、白い靄のかかったような景色に変わっていく。
あなたの体から力が抜けて行く。
その場に倒れてしまいそうなものだが、フワフワとしたこの空間では、なぜかその場に倒れるような事はないようだ。
「・・・?」
あなたの着ている服が、まるで溶けるように消えて行く。
「ちょっと待てよ!」
あなたは両手で股間を隠した。しかし・・・。
その腕から筋肉が溶けるように消え、指がまるで少女のもののように細くなり、色が白くなっていく。
あなたの頭がムズムズする。
スルスルと髪が伸びて行き、やがて肩にかかるほどになった。
「そんな?!」
戸惑うあなたに構わず、あなたの体の変化は続いて行く。
あなたの身長は小さくなり、ウエストには成長途中の少女のようなゆるやかな曲線が描かれる。
あなたの日焼けをした肌は、白く滑らかな少女の肌になり、足や腕に生えていた“男らしい無駄毛”は抜け落ちてしまった。
胸がくすぐったい・・・そう思ったあなたは自分の胸を見下ろした。
そこには、思春期前の少女のような膨らみ始めたばかりの少女の胸が出来ていた・・・そして、
「ちょっと待てよ!!」
あなたは可愛らしい女の子の声で叫んだ。
小さな“女の子の手”で抑えていたあなたの股間から、“男の象徴”がどんどん小さくなっていく。
あっという間に、股間にささやかな名残を残して消えうせてしまった・・・あなたは突き付けられた現実の前に呆然としてしまった。
そして・・・。
「?!」
白い光が象徴の消えた下半身と、あなたの胸元を包んだ。
あなたの膨らみ始めたばかりの胸は白いスポーツブラで包まれ、股間とヒップは白いショーツにやさしく包まれた。
そして上半身全体を白い光が包む。
あなたの上半身は、クリーム色のセーターに包まれ、下半身と足に青い光が光るとデニムのミニスカートが現れ、膝の上までニーソックスに包まれていた。
次の瞬間、白い靄が眩い閃光を放っていた・・・。
「ここは・・・?」
あなたは見慣れない部屋にいた。
窓にかかった黄色のカーテン。
ベッドの上に置かれたぬいぐるみ。
木目調の優しいデザインの家具や机。
そして何よりも、机の上に置かれた今のあなたと同じ顔の写真が貼られた生徒手帳。
「そんな・・・」
あなたは中学2年生・・・13歳の女の子になってしまったのだ。
あなたはドレッサーの前に立った。
目元や鼻など顔のパーツに何処かあなたの面影のある少女がこちらを見つめている。
「これが・・・俺・・・」
可愛らしい声で呟いた・・・この美少女に、男の言葉を言わせてはいけないかな・・・そんな事を思った途端、
「アアッ?!」
あなたの中で、何かが変わる・・・空間がゆらりと揺れた気がした。
それが収まった時、あなたは可愛らしい微笑みを浮かべながら鏡を見つめていた。
あなたは、普段着姿の女子中学生になってしまった。
GAME OVER