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その頃・・・。
「はずれの確立・・・3分の1になりましたね・・・」
伊藤智人が苦笑いした。
「嫌な感じだなあ・・・」
坂本修一も、困惑した表情で太陽の日差しで銀色に輝くボックスを見つめている。
「よし・・・わたしが行こう・・・」
スーツ姿の荒川達也がボックスに向かって歩いて行く。
「気をつけてくださいよ!」
坂本が言うと、
「荒川さん、足元は革靴なんだから、引いたら捕まりますよ?!」
伊藤が心配そうに言った。
「大丈夫だよ・・・」
荒川は笑った。
チェーンのついたボックスの前に立つ。
ボックスから3本の鎖が伸びている。
その前には、4人の美女が入ったボックス・・・・ごくりと唾を飲む荒川。
それはもちろん、美女に見惚れてではない・・・彼女たちに捕まれば、自分は・・・?
荒川は、一本の鎖を手にした。
「引くぞ!」
坂本と伊藤が後ろで身構える。
荒川が鎖を引く、金属的な音がして鎖が地面に落ちるが、
『プシュ〜〜〜〜〜ッ・・・』
トラックのエアブレーキのような音が辺りに響く。
銀色のボックスの下から白い煙が出ると同時に、透明なカバーが開く。
「荒川さん、逃げろ!!」
伊藤が叫ぶと同時に走り出す。坂本も走る。
スーツ姿の荒川が走る。
その後ろのボックスの中で4人の美女は目覚めると同時に、ボックスの中から駆け出し、目の前の荒川を追う。
荒川が走る。
その後ろから、黒いスカートスーツ姿の4人の美女が迫る。
荒川もすでに全力で走っているのだが、履いているのが革靴では、本来のスピードは出ない。
後ろを振り返ると、
「?!」
ロングヘアの黒髪を靡かせながら、“鬼”が美しい微笑みを浮かべながら、すぐ後ろに来ている?
“鬼”がポケットからカードをとりだした。
彼女が右手を伸ばす。
「やめろ〜〜!」
荒川が叫ぶが、彼女は背中にカードを貼った。
「荒川さん?!」
坂本と伊藤が、振り返りながら叫ぶ。
赤い光が辺りを包む。
光が収まった時、そこには荒川の姿がなかった。
伊藤も坂本も、“鬼”がいるのに荒川を探しに戻るわけにはいかない。
二人は唇を噛みしめながら走り続けた。
4人の美女は、しばらくあたりを見回していたが、やがて“獲物”を求めて遊園地の中を歩き始めた。