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あなたは、後ろを見ながら右へ曲った。

あなたの右手では音楽を流しながら、無人のメリーゴーランドが回っている。

まさか、この音楽があなたの運命を左右することになるとは、この時、あなたは思わなかった。

あなたは、何かの気配を感じた。

振り向くと、すぐ後ろにポニーテールを揺らしながら美女・・・“鬼”が迫ってくる。

「しまった!」

音楽で気がつくのが遅れた・・・あなたは、必死に走る。

しかし・・・。

「?!!」

メリーゴーランドの方からも、ロングヘアの美女が走ってくる。

「挟み打ちか?!」

あなたが叫んだ瞬間、あなたの体は赤い光に包まれていた。







「ここは・・・?」
あなたはあたりを見渡した。
さっきまで、“ドコカノランド”のメリーゴーランドの脇にいたはずなのに、今いるのはどこかのマンションの一室のようだ。
大きな窓から、春の日差しが部屋に差し込んで、部屋を明るく照らしている。
あなたは室内を見渡した、明るい色合いの家具やベッド、パステルカラーのカーテンが窓にかかっている。
そして、ハンガーにかかっている女性のリクルートスーツ?
あなたは部屋にあった机に目がとまった。
机の上には女性のファッション誌と一緒に財布や運転免許証が置かれていた。
澄まし顔だが、美人というよりは可愛らしい女の子の写真が貼られている。

「島本・・・ちひろ・・・?」

あなたが呟いたその時、
「そう、島本ちひろちゃん・・・」
部屋のドアのところに、あのロングヘアの美女が立っていた。
「おまえ?!」
あなたは思わず声を荒げた。
「なぜ、ぼくをこんなところに連れてきた!!」

「あら・・・?」
彼女が笑う・・・笑われたことで、あなたはさらにムッとした。
しかし彼女の答えは、あなたの全く予想していなかったものだった。

「自分の部屋にいるのは、あたりまえじゃないの?」



「ハッ?!(^^;」




あなたは、呆気にとられてしまった。 こいつは、何を言っているんだ・・・?

「だって・・・あなたはこれから、島本ちひろちゃんになるのよ・・・」

だから、ここにいて当たり前でしょう・・・。
そう言うと、彼女が右手を上に向ける。
そこに、赤い光が集まってきた。

「やばい!」

あなたはそう思ったが、あまりにも遅すぎた。

「それっ!!」

彼女が右手を振った瞬間、あなたに向かって赤い光が飛んできて、体全体を包んでいた。


光に包まれた瞬間、あなたの着ていた服は光の粒になって消えてしまった。
あなたは全身に痛みを感じた・・・まるで体全体を、巨人に抑えつけられたような感覚とでも言うのだろうか?

あなたは、ロングヘアの美女を睨みつけた・・・額から、汗が流れる・・・それにしても・・・あなたは思った・・・彼女が大きくなっている?
いや・・・違う・・・・あなたの身長が縮んでいるのだ。

「ウウッ・・・」

あなたは呻きながら座りこんだ。
あなたの頭がむずむずする・・・そう思った瞬間、あなたの頭から細くしなやかな黒髪が、腰のあたりまで伸びていく。
その頭に光が集まると、それはカチューシャになっていた。
あなたの胸と股間に白い光が集まると、それはスポーツブラとおそろいのショーツに変わっていた。
あなたの腕や足から筋肉が溶けるように消え失せ、細く・・・まるでまだ成長途中の少女の手足のようになってしまった。
それなりに日焼けをした肌は、白く滑らかな肌に変わり、指や手も小さく・・・まるで力仕事をしたことのないような手だ。

そして・・・。

股間を膨らませていたあなたの“男性の象徴”が小さくなっていく。
「やめろ!!」
叫んだその声は、まるで小学生の少女のようだ。
小さな手で股間を抑えるが、その手の中であなたの象徴は、どんどん小さくなり、股間に吸い込まれるように消えていった、そして・・・。

「?!」

股間から、何かを感じた。

あなたの中に、新たな何かができつつある。

「アアッ・・・? いったい・・・何が・・・?!」

思わず声を上げる。
あなたの股間から下腹部に、新しい“道”ができ、二つに分かれるとそこに女性しかない器官を作っていく。

「まさか・・・」

あなたの顔が、赤くなる。

「?!」
白と紺色の光があなたを包んだ瞬間、あなたはセーラー服を着せられていた、細い足には白い清潔そうなハイソックスが・・・そう、あなたはセーラー服姿の女子中学生になってしまったのだ。

「これは・・・?」
戸惑うあなたに、
「ちひろは、公立中学に行っていたのよね・・・成績は優秀でスポーツ万能。でも、男の子にスカートをめくられたり、悪口を言われたり・・・」
ロングヘアの美女が優しく言った。
「でも、結局それは“好きだ”ということの裏返しだけどね・・・」

「馬鹿なことを言うなよ・・・僕は“ちひろ”じゃないぞ!」
早く元に戻せ・・・そういうあなたは、体に違和感を感じていた・・・胸が苦しい?
思わず手で胸を抑える、ブラジャーが窮屈になっている?

「あら・・・ちひろちゃん、どうしたの?」
美女がクスクスと笑った。
悪戯っぽい視線をあなたに向ける。

「ブラジャーがきつくても当然よ・・・あのスポーツブラは、女の子が最初につけるもの・・・今のあなたはAカップにはなっているんじゃないかしら?」
「エッ?!」
戸惑うあなたに、
「この部屋の中では、時間を速めてあるの・・・変身をしたときには、あなたは中学校1年生・・・でも、今は3年生くらいのはずよ・・・」
彼女が手を動かすと、あなたは勝手に立ち上がった・・・そう、ついさっき変身をしたはずなのに身長が伸びたのか、今はセーラー服のスカートがまるでミニスカートのようになっていて上着もきつい。

「じゃあ、高校生になる?」

彼女がほほ笑む。

「やめろ・・・元にもど・・・?!」
あなたは、最後まで言えなかった。
また、赤い光があなたを包むと、セーラー服は光の粒になって消えてしまった。
光の中で見下ろしたあなたの体は、確かに成長をしていた。
胸にはなだらかな膨らみができて、腰にも少し括れができている・・・・そしてヒップも膨らんでいる・・・?
そう、あなたの体は“女性として”成長をしていた。
その膨らみつつある胸を白いブラジャーが包み、ヒップをおそろいのショーツが包む。
上半身を白いブラウスが包み、ブルーのプリーツスカートが腰から下を隠していく。
紺色のハイソックスがひざから下を包み、胸には赤いリボンタイが結ばれ、クリーム色のベストが着せられると女性らしい体のラインがさらにあらわになった。

「可愛いわね!」

美女が腕を振ると、部屋に身長とさほど変わらない大きさの姿見が現れた。
「どう・・・“ちひろ”ちゃん?」
あなたは目を見張った・・・・アイドルにしてもおかしくないような美少女が、姿見の向こうから驚いたような視線で、あなたを見つめている。
胸のふくらみとウエストに続くライン・・・太ももの中ほどまでしか隠していないスカートから伸びる健康的な太もも。
紺色のハイソックスが、白い足とコントラストをなしている。

「これが・・・ボク・・・?」

「そう、これが“ちひろ”ちゃんよ・・・」
美女が言うと、あなたの心の中に歓喜が渦巻いてくる・・・しかし、あなたの“男の心”が抵抗する。

違う・・・これは僕ではない・・・と・・・。

「ちひろちゃんは、成績が良かったから純愛女子学園に進学したのよね・・・そこで、聖母さまと一緒に過ごして“女の子らしく”なって・・・生徒会では3年生の時に会長をやったものね・・・」
『そう・・・いつも登校と下校のときには、礼拝堂で聖母さまにお祈りをしていたのよね・・・先生が厳しいから、女の子らしくないことをすると、いつも怒られて・・・そう言えば、近所のおばさんたちも、あの学校はどんな女の子でも卒業をするときには“お嬢様”になっているなんて噂をしていたなあ・・・って、なぜ僕が?! この感覚は何だ?!』

あなたは戸惑った・・・いったい僕はどうしてしまったんだ?!
「違うよ・・・元に・・・」
そう言ったとき、あなたはまた違和感を感じた。
まだ、体が成長している?

美女が笑った。

彼女が笑った。
「そう・・・ちひろちゃんは育ち盛りだもんね・・・」
彼女が右手を振ると、そこから放たれた赤い光が、またあなたの体を包んだ。
あなたが着ていたブレザーの制服が、光の粒になって消えて行く。
そして、制服に隠されていたあなたの“女性らしい体”が露わになる。
「これは・・・?」
あなたは思わず呟いた。
露わになったあなたの胸は、まるでボタンのようなピンク色の乳首とそれを囲む乳輪を頂点にして大きく膨らみ、まるでグラビアアイドルのような胸に成長をしていた。
ウエストはキュッと引き締まり、強く抱きしめると折れてしまいそうだ。
そこから大きく膨らんだ形の良いヒップに、女性らしい・・・美しいラインを描いている。
そして健康的な太股と、そこからキュッと引き締まった脹脛に美しい脚線美を描いている。

あなたは戸惑った。
姿見に映っている美しい裸体の少女・・・それを見て“自分の美しさ”に歓喜の声を上げる自分と、それを否定する男性の自分・・・あなたの心の中に二人のあなたがいる。

「そうね・・・」
ロングヘアの美女は、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
彼女が右手を振ると、箪笥の引き出しが開いた。
そこからピンク色の何かが飛んでくる、それは・・・?

「ちょっと?!」

あなたは万歳をする形になった。
あなたの胸を、そしてヒップを“ピンク色の布”が美しく包みこむ。
それは、ビキニの水着だった。

あなたは、無意識のうちに姿見の前でまるでグラビアアイドルのようにポーズをとっていた。
可愛らしい顔に、自然に微笑みが浮かんでいく。

「ちひろちゃんは、純愛女子学園の高校から大学へ進学したのよね・・・そこでも、成績は良いし、友達とも仲良しだから、親友の優子ちゃんと海に出かけたりしたわよね。 スタイルが良いから、男の人の視線が痛いほどだったわよね・・・・」
ロングヘアの美女の言葉、一つ一つがあなたの記憶に刷り込まれる・・・あなたは気が付いていなかったが、彼女の言葉は現実世界の因果律まで変えていたのだ・・・。
「そうだったわね・・・大学一年の時に海へ行くと、男の人たちに声をかけられたり・・・みんなの視線が気になったなあ・・・って、この考えは女のものだぞ?」

「やめろ!!」
あなたは可愛らしい声で叫んだ。
思わず、両手で耳をふさいだ。

このまま彼女の声を聞いていると、僕は本当に女に・・・?

ロングヘアの美女の右手の中に、また赤い光が現れた。

『あれは・・・?!』

あなたの心に、恐怖心が沸き起こった。
ここまでの自分自身と心の変化・・・この状態で、あの光を受ければいったいどうなるのか・・・?
あなたの体が、恐怖で震えだした。 その時・・・。

彼女が右手を大きく振ると、赤い光があなたを包み込んだ。
あなたの着ていたビキニは、光の粒になって消え去りあなたの美しい裸体が露わになった。

「やめて?!」

『恥ずかしい・・・』
そう思ったあなたは、女の子のように悲鳴を上げていた。
あなたのヒップをにピンク色の光が集まると、可愛らしいフリルのついたピンク色のショーツが優しく包みこみ、胸にも光が集まると、あなたの豊かなバストをお揃いのブラジャーが形良く包みこんでいた。
「アッ・・・?」
大きく膨らんだ胸を包まれた安心感からか、あなたは思わず声を上げていた。
あなたの上半身が、フリルのついた可愛らしい白いブラウスに包まれた。
細くくびれたウエストにピンク色の光が集まると、そこにはピンク色のベルトが現れた。
ベルトからは布が伸びて行く・・・それはいつの間にかフレアスカートになっていた。

姿見に映る女の子・・・そう、それはまるで女子大学生のような・・・?

ロングヘアの美女があなたの横に立って、あなたに囁いた。
「ちひろちゃんは、大学でも成績が良かったから、就職も決まって良かったわね・・・・明日からは、新社会人、OLデビューね・・・」
彼女が指差した先には、ハンガーに掛かったリクルートスーツがあった。

「やめて・・・わたしは男だから、OLじゃないわ?!」
あなたは自分の口から出た言葉に驚いて、思わず両手で口を押さえた・・・そう、これではまるで女の子の言葉じゃないか・・・?
彼女がクスクス笑った。
「どうしたの・・・ちひろちゃん? 女の子は、それでいいのよ・・・そんなに可愛いのに、男だなんて、おかしい娘ね?」
「やめ・・ろ・・・ぼ・くは・・・おとこなんだから・・・はやくもど・・・せよ・・・」
あなたは、必死に頭の中で言葉を男言葉に“翻訳”をしながら、彼女を睨みつけた。
彼女は小さくため息をつくと、右腕を上に掲げた・・・そこに赤い光が集まってくる。

「あなたの心を、その美しい体に合わせてあげるわ・・・!」

彼女は美しい(恐ろしい?)微笑みを浮かべると、右腕をあなたに向かって振った。
彼女の右腕から赤い光が放たれ、あなたの下腹部に光が命中した。

「ウッ・・・? アアッ?! な・・・何が?!」

あなたが体を震わせながら、思わず呻いた・・・つもりだったのだが、それは女性の甘い声になっていた。
下腹部に出来た“生まれたての女性の器官”から、形良く膨らんだヒップから、背中から、そして大きく膨らんだ胸とその先端から・・・あなたにとっては新鮮な・・・しかし、いつも慣れ親しんだような感覚があなたの脳細胞に刺激を与える・・・・それは、この“ちひろの体の記憶”なのだろうか?
今まで感じた事のない刺激が、どんどん強まってくる。
あなたの中に、白い光が生まれ、それが次第に大きくなってくる。
やがて、あなたが豊かなバストを突き出すように、体を突っ張らせた瞬間、その光があなたの中で爆発した。
あなたは甘い声を上げながら、崩れるようにその場に崩れ落ちた。

その瞬間あなたの中で、何かが・・・・消えて行った・・・。

あなたは潤んだ瞳で、傍らに立つロングヘアの美女を見上げた。
荒い息をしながら、あなたの豊かな胸が上下している。
ロングヘアの美女は満足そうに微笑むと、光の粒になって姿を消していった。

そして、あなたの意識も遠のいて行った・・・。



カーテンの隙間から朝日の差し込む部屋に、目覚まし時計のアラーム音が響いている。
あなたは布団の中から手を伸ばしてスイッチを切ると、布団を跳ね除けて大きく伸びをした。
黄色のストライプの入ったパジャマを脱ぎ、引出しの中から下着と純白のブラウスを取り出した。
下着を代えてブラウスを着ると、ハンガーに掛かったリクルートスーツのスカートに足を通し、上着を着た。
髪を整え身支度を終えると、朝食を食べてバッグを手に玄関に向かった。
玄関の鏡で身だしなみをチェックすると、

「よし!」

可愛らしい微笑みを浮かべ、満足そうに肯くと、真新しいパンプスを履いて玄関を出た。

綺麗な桜の咲いているオフィス街を、リクルートスーツ姿のあなたが歩いて行く。
ある壮年の男性は、自分の娘を見るように慈しむような視線を向け、また、ある若い青年は羨望の眼差しを向けている。
あなたは胸を張って歩いて行く・・・その時、
「ちひろ、おはよう!」
あなたの背中を、誰かがポンと叩いた。
大学の同級生、親友の優子だ。
彼女も今日から、同じ東西商事の社員になる。
「いよいよ・・・だね・・・」
「うん!」
あなたが肯く・・・そう、今日からいよいよ、新しい生活が始まる。

あなたの中に、微かな緊張と、大きな冒険心が生まれていた。




あなたはリクルートスーツ姿の、新人OLになってしまった。



GAME OVER







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