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夏が終わり、秋が過ぎ、冬の知らせを聞いた。
けれど、彼の知らせは何一つ届かない。
彼からは、何も聞こえてこない。
電話もメールも途絶え、直接会う事も無い。接触は一切無かった。
彼に会うまではそれが日常だったのだと、新一は改めて思い出す。
初めて平次と出会ってからこれまでの時間の方が明らかに短い筈なのに、そんな事すら忘れていた。
繋がりを持たないでいようと思えば、それは可能だったのだ。
何故か不可能だと信じ込んでいた自分に、時間は嘲笑って過ぎ去った。
そうして表面だけ普段通りの日常が通り過ぎる。
事情を知らない幼馴染みの彼女からは、喧嘩したのかと思われているようだ。訊かれるその度に、あいまいな答えを返す。
頬に手を遣りながら。
冬の直中。
「探偵同士は引き合う」いつかの彼の言葉を思い出した。
降る雪に今にも覆われそうな館で。
彼に出会った。
それが「探偵同士」だから、なのかは分からないけれど。
Four Seasons Story III ”風花雪籠”
幕間 「砂漠の滴」 -From summer to winter-