響く

 

真っ白な部屋の中で聞こえるのは吐息だけ。

外では雪が降っている。

「好きだった・・・・。」

声が震えて息をするのも苦しくなってきた。

聞こえる。

闇の魔王の小さな足音。

目を閉じて。

一筋の涙が流れるのがわかった。

嬉しいのか苦しいからなのか・・・。

もうそんなことどうだっていいの。

「好きだったの。」

もう一度言う。

さっきのは聞こえていなかったかもしれないから。

ちゃんと声にでるように。

はっきりと。

そっと伸ばした手をあなたの頬にあてがって。

しんしんと降る雪はまだやまない。

地上に舞い降りて。

そしてすぐに消えてなくなる。

窓にはりついた水滴が仲間を寄せ集めては流れる。

雫がぽちゃり。

「ずるい人・・・。」

何も言わないのね。

でもあなたは知らないでしょう?

その沈黙じたいがすでに答えになっていること。

わかっているの。

わかっていたわ。

涙はつきない。

止めたいなんて思わなかった。

機械音がするのよ。

さっきから。

ピーピーピーピー。

うるさいの。

とても高くて。

頭に響くわ。

でもあなたの声は心地いい。

胸に響くの。

奥まで。

「なぜ、泣く。」

 

 


作者より

今回のお話はちょっと雰囲気を変えて・・・
殺羅視点だとどうしてもドロドロになるんで(汗

 

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