第4章:判定システム
用語
- RPG
- 「Role-Playing Game」の略。自分と異なるキャラクターを演じて行うゲーム。なりチャはRPGの一種。
- TRPG
- 「テーブルトークRPG」の略。なりチャに似ているが、こちらはテーブルを囲み肉声で行う。地図・駒・サイコロを用いるなど、なりチャに比べゲーム性が高く、演技性は低い。しかし演技を重視するTRPGもあり、数値判定システムを備えたなりチャもあり、なりチャとTRPGの境界は明確ではない。
- CRPG
- 「Computer RPG」の略。パソコンやゲーム機を使って遊ぶRPG。
- PBM
- 「Play By Mail」の略。複数の人々の間で、郵便やFAXを介して行動宣言及びその結果をやり取りし、ゲームを進行させること。またそのような遊びの総称。
- PBeM
- 「Play By e-Mail」の略。複数の人々の間で、電子メールを介して行動宣言及びその結果をやり取りし、ゲームを進行させること。またそのような遊びの総称。
- PBB
- 「Play By Bbs」の略。複数の人々の間で、電子掲示板を介して行動宣言及びその結果をやり取りし、ゲームを進行させること。またそのような遊びの総称。「PBBBS」や「PB3」とも。
- PBC
- 「Play By Chat」の略。複数の人々の間で、チャットを介して行動宣言及びその結果をやり取りし、ゲームを進行させること。またそのような遊びの総称。GMの裁量によって結果が決定されるものと、参加者同士が会話し進行させるものがある。なりチャは通常時は後者で、GMの不在を補うルールやマナーが発達した。
- PBW
- 「Play By Web」の略。複数の人々の間で、インターネット通信を介して行動宣言及びその結果をやり取りし、ゲームを進行させること。またそのような遊びの総称。PBeM・PBB・PBC等の総称として用いられている。
- ダイス
- サイコロ。「3D6」と書くと、「6面ダイスを3回振って出た目の合計」を意味する。
- ダイス付チャット
- 乱数を表示する機能のある、ゲーム性の高いチャット。
- 能力値
- 賢さや素早さなど、キャラクターの能力を数値的に表したもの。
- 数値判定
- 能力値や乱数を使って、キャラクターの行動結果を決めること。
- 確定ロール
- 他のPCの行動や状態など、他のPCに関わる事柄を一方的に決めつけるロール。決定ロール。決め付けロール。
- 無効ロール
- 相手のロールを打ち消すロール。
- 無敵ロール
- 法外な力を行使するロール。また相手より上に立とうと固執するロール。
確定ロール
確定ロール
一般的ななりチャには、コンピュータゲームやTRPGのような数値判定システムがありません。しかしそれは、PCの行動結果を好きなように決めて良いということではありません。
悪い例:(水晶を覗き込んで正体を見破り)おまえさん、本当は魔族だね?
上は相手が雑誌を守れないこと、正体を隠せないことを一方的に決め付けています。
不確定ロール
相手に関わる行動で、相手が嫌がる恐れのある場合、成否は相手に任せると良いでしょう。
例:よっ、それ今週号?(素早く雑誌を奪い取ろうとし、成功ならページをパラパラとめくる)
例:おまえさん……。(違和感に眉を顰め、魔族かどうか見破ろうと水晶を覗く)
「~しようとする」は、相手の意向を確かめる代表的な表現です。成否を任された側は、返すロールで自分の意思を伝えます。
例2:こら、まだオレが読んでねーんだよっ。(ひょいっと雑誌を遠ざける)
例3:バカ、違うって!(慌てて雑誌を守ろうとするが、一歩手が遅れて)
例3の「~しようとするが」は、PCの意図通りにならないことを許容、或いは期待する代表的な表現です。
不確定ロールの省略
「~しようとする」は礼儀正しいものの、多用し過ぎると冗長な感もあり、サイトと場面によっては省略できます。ただし相手が決め付けを拒否し易いようにすることが大切です。例えば、相手の反応次第で成立しなくなる展開はまだ書かないで置きます。
ここでレスを切れば、相手が拒否する時、巻き戻しの幅が最小限で済みます。
確定ロールが必ず不適切であるとは限りません。確定を避けるあまり、どうでも良いことや選択の余地がないことまで不確定にすると会話のテンポが悪くなります。確定ロールに対しては、厳しい人も居れば、気にしない人も居ます。厳しいサイトも、甘いサイトもあります。相手やサイトの基準を尊重し、度を越さないようにして下さい。
無効ロール
相手が人間である以上、不適切なロールをされることもあるでしょう。確定ロールから身を守る方法もまた重要です。極端な確定ロールに対しては、無効ロールが使用されることがあります。
無効ロール:え~、早く返してよ。(雑誌を気前よくは差し出さない。しぶしぶと)
確定ロールの仲間
ROMすることで得た情報を一方的なロールで知っていることにする、いわゆる「ROM情報の利用」は、確定ロールの仲間と言えるでしょう。
相手が嫌がる恐れのある場合は、勝手に知っていることにする前に、きちんとその情報を得るロールを行って下さい。そうすれば相手はそこで拒否できます。
例:ん……?(僅かな物音に、話を止めてドアの方を見る)
酔い潰れたPCをその場に残して退室すると、他のPCが額に悪戯書きをしたりすることがあります。これも一種の確定ロールなので、やりすぎには注意して下さい。
無敵ロール
元々なりチャには、戦闘などPC間の競争を公平に処理するシステムがありません。競争的なロールをする時は、自分のPCを贔屓せず他のPCを尊重することが必要です。誰かが利己的な無敵ロールをすれば、合意形成のプロセスは破綻します。PCの勝利をPLの勝利と勘違いせず、臨場感・緊迫感・展開などを楽しむ共同作業と捉えるべきでしょう。
と言っても無敵ロールはなくならず、また真剣勝負をしたいというニーズもあります。そこでサイトによっては数値判定を導入しています。コンピュータゲームやTRPGと同様に、能力値と乱数を用いて与えたダメージなどを算出する方式です。ルールは複雑になり、ロールの幅や表現力が制限されますが、公平でゲーム性の高い戦闘が可能です。
数値判定システムはなくても、能力値はあるというサイトも見られます。その場合は相手と能力値を見比べ、相応しいロールを心懸けて下さい。
もし無敵ロールをされた場合、興奮しないよう努めて下さい。早々に退散して関わりを避ければ済むことです。否定された、下に扱われた、或いは自分が正しいという思いが強い程、悪意をぶつけてやりたい衝動に駆られるかも知れません。しかし過剰反応は過剰反応を招きかねません。
人間である以上は、優越感漁りから完全に卒業することはできないでしょう。無敵ロールはその手段の一つに過ぎません。常に相手より精神的に上に立とうとする見下しロールは別の手段でしょうし、他人の無敵ロールを嘲笑うならそれも同様ではないかと思います。経験者ほど、自分の性質を忘れ油断することのないよう注意すべきかも知れません。
戦闘ロールのコツ
ここではロールプレイだけで勝敗を決める戦闘を円滑かつ円満に行うためのコツを紹介します。
- 敗北を前提にPCを作成すること。手間暇かけたPCの死を受け入れ、また無敵ロールをされても熱くならないためには、執着心を抑えることが大切です。慣れないうちは、PCを好みのタイプにしない方が良いでしょう。
- PCに欠点を設けること。強過ぎるPCだけでなく、どんな状況にも対応できるPCも無敵になりがちです。欠点はPCに個性と魅力を与えます。また影響の少ない欠点を選んでいる自分に気付いた時、執着心を自覚することができます。
- 後出しを避けること。「実は防弾チョッキを着ていた」「実は刀に毒が塗られていた」のように、相手の行動を見てから「実は~だった」と言い出すと切りがありません。プロフィールに能力や装備品を明記したり、ロールプレイの中で伏線を張ると良いでしょう。先程の例なら「上着がやや不自然に膨らんでいる」「力を込めず、小さな動作で浅く斬りつけようとする」などと事前に描写します。
- 交互に行動すること。立て続けに発言したり、一ロールに多数の行動を詰め込んで、反応する機会を与えないのなら、相手が人間である必要はありません。
- 行動を明確にすること。PCの動作、体勢、位置関係が想像できるよう、具体的に描写します。例えば剣で攻撃するなら、正面打ちか袈裟切りか横薙ぎか、またどこを狙うのかといった情報を付加します。
- ダメージを受けること。攻撃の結果は防御側が決めますが、状況を客観的また合理的に判断して妥当なダメージは受けるべきです。無理のある強引なロールプレイで回避すべきではありません。
- 相手に勝つチャンスを与えること。理に叶ったロールプレイをすることは重要ですが、パワープレイに終始して配慮を欠くのは問題です。例えば、味方を呼び複数人で一方的に相手を攻撃するロールプレイをして、相手は楽しめるでしょうか。戦績が良いことは、人に楽しませて貰った分ほど人を楽しませていないことかも知れません。