そんなことになっていたなんて、想像もしなかった。
閣下が男に興味があるなんてことは、この1ヶ月まったくなかったし。
ライはお姉さんと間違って…と言っていたから、そういう訳じゃないのか…
でも。ライにキス、したんだ…それも「かなり」って言ってたから…ディープだったんだよな。
「人の気も知らないで、そんなこと言うんだからライは」
カーテンが開けっ放しの窓からの明かりで、ライの綺麗な顔が私の目の前にある。
「しかも…こんなとこに、痕…つけられちゃうんだ」
つ、とさっき見た痕の辺りに指を走らせる。
「んっ…」
くすぐったいのか、ライが少し避ける様にして動く。
士官学校のとき…ライの寝顔なんて誰も見れなかったって言っていた。
研修のときも、実習の時も、シーツ被って寝てたって聞いた。
ちょっとでも明るいと寝れない、そう言ってたけど…
「嘘、だよね?こんなに明るい月の光を受けてるのに」
誰にも見せない寝顔。私には見せてくれてる…って思っていい?ライ
(でも…いくら間違いだって言っても、嫌だな…私が)
「起きないでね?ライ」
そっと
うっすらと付いていたはずのそこに口付ける。
初めて触れた肌。もっと、触れたい。キスしたい。ライは、触れたら…どんな風に感じるんだろう?
我慢できずに、浮き上がる鎖骨に舌を這わせる。
「んっ」
びくり、とライの体が跳ねる。
起きる風はなくて、少しほっとする。
少し開いた唇…。
「流石に…キスしたら目、覚めちゃうよな」
額にかかる髪を梳いて、そっとキスをする。
そのままそっと、上半身だけ覆い被さるように抱きしめる。
「いつか、私の気持ちを伝えても…いいかな?ライ」
それとも、それはライを失うことになるのかな…?
だから、そうならないように…少しづつライの気持ち…確かめていくけど
「無防備すぎると…襲いたくなっちゃうよ?ライ」
「ん…?」
夢を見ているのか、私の方に頭を寄せて…少し笑った。
(そんな風にされると、期待してしまうのに…)
寄せられたライの頭にそっとキスをした。
驚かせるかもしれないけど…このまま眠らせて?ライ
きっと、何でとか聞かずに許してくれるんだよね、君は。
判ってて、こうしてしまう私の方がずっとずるいのは判ってるけど…
「おやすみ」