邂逅-月- 2

エドウィン=ハートランドは、いい拾い物だった。
「ハルスフォード隊長、物資の手配完了しました」
剣が新米離れしているだけではなく、裏方の作業もそつがない。
お陰で俺の仕事はいつになく捗っている。
「ありがとう。到着は予定通りか?」
「予定通りには間違いなく。運がよければ1便早くに乗せられるだろうと」
「それなら助かるな」
本来、部隊の補給物資の心配は俺の仕事じゃないんだが…
放っておくと仕事が止まることになるのが嫌で結局やってしまっているが…
後は、何が足りないんだったか。
全く…ディアス隊長はやる気を出せば半日でカタをつけるくせに
「それと、騎士団長から予定表をお預かりしてきました」
「ああ、じゃあそれは大隊長達へ連絡・・・」
「判りました」
騎士団長からと言ったか?
「待て、エドウィン。誰からそれを受け取ったと?」
「シェフィールド第二騎士団長からですが?」
(あいつか…)
「渡されただけか?」
「?はい。…あ」
「どうした?」
やはり、何かされたか。あの人はディアス隊長以上だからな…
「いえ、なんでも…ないです」
言いにくそうにしているということは、何かしら言われたかあるいは…
ディアス隊長はしないがあの人はスキンシップ過多だからな
…スキンシップと言えているうちは良いんだが
「今のうちは、極力近づかないことを薦めておこう」
「はい」
俺の言葉に、エドウィンは苦笑しながら頷いた。やはり何かされたか…
そのうち、釘を刺しておこう。
「それと、連絡はディアス隊長にしてもらおう」
「判りました」
思い出したが…お前が俺の小隊だと知って、各所から色々言われたことを考えると、 どれだけの隊がお前に目をつけていたのかが判った。
勿論、剣の腕の方が主だが何処の隊にも危険な奴はいるからな…
「では、ディアス隊長を探してきます」
「ああ。今の時分なら…」
ふと、窓と、その側にある時計を見て今の時間に気づく
「待て、エドウィン。もう遅い。それは明日の朝渡そう」
明らかに、勤務時間を超えている。
隊長はこの時間なら既に酒場だろうし、こいつは未成年だ。
しかも、俺はいつものことだが付き合わされるのはたまったものではないだろう。
「今日はもういいぞ、助かった」
「はい。お役に立てたなら、良かったです。隊長はまだ、仕事ですか?」
「ああ、いや。俺もたまには帰るか。一緒に飯でもどうだ?」
「え、あ…」
「約束でもあるか?ああ、上司とでは疲れるよな。すまん」
「いえ、ご一緒させてください!」
嫌なのかと思ったが、嬉しそうな顔をしている所を見ると大丈夫そうだ。
…なんだ、普通の笑顔が出来るんじゃないか。
となると、アレが出るのはいつもではないんだな。
「この束だけ処理をするので、10分ほど待ってくれるか?」
「はい!」
こくんと、音が出そうに頷いている姿は、子供だなと思ってしまった。
そういえば、幾つだと言っていたか。
「エドウィン、年齢は?」
「え?あ、15です」
「…え?」
「年齢制限は、ないですよね?」
「あ、ああ」
15、か。いや確かに相応と言えば相応か。
剣の方は形が出来ているという点では、早熟なのか。


「待たせたな」
「いいえ。でも、私がご一緒でよかったのですか」
「何故だ?誘ったのは俺の方だが」
「私が未成年だから、多分お飲みにならないでしょう?」
「ああ、そんなことを気にしていたのか。出るぞ」
背中を押して外へ促す。
戸締りは確認してくれていたようだから、後は電気と扉だけだ。
「はい。だって、1日の憂さ晴らしには有効でしょう?」
癖なのか、必ず俺から半歩以上後ろを歩く。
確かに俺は上官だが、今は気にしなくてもいいんだが…
「そうだな。だが別になくても出来なくはない」
「…」
俺の答えに半信半疑、の顔だな。
「お前と話しているのは、楽しいからな」
「え?」
弟達にするように、頭を撫でると驚いたように見上げた。
「ん?」
「あ、いえ。あんまり…されたことなかったから」
視線を外して、照れくさそうに俯いた。
年相応で、可愛いな。意外に
可愛い…。まあ、子供と言う意味でだ。照れが伝染した感じがする。
酒場ではなく、遅くまでやっている食堂へ連れて来た。
「適当に頼んでいいぞ?」
「はい、ありがとうございます」

2010/10/31

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