俺が一目惚れを初めて経験したのは小学校の入学式。
とっても可愛いコがいたんだ。
黒髪のサラサラストレートヘアーには天使の輪っか。
きめの細かい白い肌はきっと触ったらスベスベでとっても気持ち良さそう。
ふっくらしたほっぺは薔薇色で小さなクチビルはさくらんぼみたい。
クリクリした瞳はおっきくてキラキラしてる。
切れ長なまなじりが凛とした印象を与えてちょっと気が強そうな感じ。
そんなトコも俺にはハート直撃ジャストミートで思わず構いたくなるコだった。
だから、そのコが着てる服が俺とおんなじ半ズボンのスーツだったのが分かったとき、俺はがっくりきたね。
だって初恋が一瞬で終わってしまったと思ったんだもの。
そう、フツーは勘違いに気付いたら終わるもんなんだよな〜。
そのコは俺とおんなじ組だった。
しかも席はなんと俺のお隣さん。
自己紹介のときに真っ赤になって俯きながら、か細い声でつっかえつっかえ「たなか けいです。」って自分の名前を言う『けいくん』は凄〜く可愛かった。
その姿を見て俺の構いたいパラメーターは男のコだと分かっていながらもグングン上昇!
俺から隣の『けいくん』に話しかけたのだった。
「オレ、あおき けいいちろーってゆーんだ。オレ達おんなじ『けいくん』だね!お友達になろーね!」
ってね。
『けいくん』はもじもじしながら俺のコト子猫みたいなつぶらな瞳で見て
「・・・・・・・・・よろしくね。」
ってちっちゃな声で言ったあと、やはり真っ赤になってニコって微笑んだ。
もう俺は『けいくん』の犯罪的とも言えるその凶悪に可愛い笑顔に、一目惚れしてる上にさらに二目惚れ。
その瞬間俺は神様の存在を信じたね。
これは運命の出会いで、俺達二人には赤い糸が繋がっているに違いない!神様ありがとー!ってね。
俺ビジョンではその時の二人の頭上には羽の生えた可愛いエンジェルちゃん達がラッパを吹きながら楽しげに飛び交い、祝福の鐘がリンゴーンと鳴り響いていた。
俺は小学1年生初日にして運命の相手に出会ってしまったのだ。
そして、もうすぐあれから7年経とうかとゆう今日。
俺はまたしても神様の存在と俺達ふたりの間にしっかりと赤い糸が繋がっていることを確信した。
コンビニだ。
なんと俺の家のすぐ傍にコンビニが出来たのだ!
こんな辺鄙な場所にコンビニが出来るなんてこれはもはや神様のおぼしめしとやらに違いない。
そう、俺の大切な人、俺の運命の相手をヤツの魔の手から守るために神様がココにコンビニを作ってくだすったに違いないのだ!
俺の家はヤツとケイちゃんの家のちょうど中間。
(『けいくん』のことを今では呼び捨てかちゃん付けで呼んでいる。ちなみにちゃん付けが許されてるのはオ・レ・だ・け・v 機嫌悪いときには殴られるけど・・・。)
ソコにコンビニが出来ればヤツは・・・
あの悪魔はケイちゃんチの下にあるコンビニまでは来なくなるはずなのだ!
神様ありがと〜〜!!
俺はケイちゃんにゾッコンだ。
ケイちゃんが気位の高い気紛れな猫さんでも、歩く人間凶器とひっそり呼ばれるくらい手の早い武闘派さんでも、中学に入った途端ニョキニョキ伸び出した身長が将来俺を追い抜いて大男さんになったとしても、俺は今も昔も未来もずーっとケイちゃんにゾッコンLOVEなのだ。
初恋を自覚したその時から、俺はケイちゃんにヨコシマに近づこうとする輩を視線で追い払いそれでも近づこうとする不届き者には鉄拳制裁を加え、女どもにはクギを差し、ケイちゃんの周りを俺の息がかかったヤツラで固めた。
もしもの時にそなえ変態オジサンの餌食にならぬようにとケイちゃんに護身術も教え込んだ。(これはしなくて良かったかもと今になってかなり後悔している。なぜなら俺が教えたのにもかかわらず、その護身術は数倍パワーアップして俺に襲いかかってくることがしばしばあるからだ・・・)
もちろん俺自身もケイちゃんに相応しい男になるべく、勉強、運動、遊びにおしゃれ、様々なことにたゆまぬ努力を続け、今や俺のイイ男レベルはLV90以上は確実にいっている。
別の中学に通っていても毎日ケイちゃんの元へ通い、日々「好きだ」「愛してる」と愛の言葉を囁くことも忘れない。
それなのに!
思春期真っ只中の中学生になった今でも、俺とケイちゃんは恋人同士ではないのだ!
その理由の99%はケイちゃんが無自覚の天然さんだからなのだが・・・・
残りの1%
そう、その残りの1%がヤツ。
俺のケイちゃんを惑わせる悪魔「宮地 貴則」。
ゆいいつ俺が追い抜けない男。
イイ男LV100の宮地。
俺にだけ向けられていたケイちゃんの瞳がヤツを見るのが許せない。
そして、ケイちゃんがヤツを意識しだしたのは、ヤツのせいであるにほかならないのだ。
そう、最初にヤツがケイちゃんをあんな目で見なければ。
きっと・・・・
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