いつからこんな風に君のことを想うようになったんだろう。
いつも僕のあとを追いかけて来る君を確かめたくて、僕はわざと速く走った。
息を切らしながら必死になって「待って!」って君が言うのを聞くのが僕は好きだった。
あのままずっと傍にいれば、こんな気持ちにはならなかったんだろうか。
僕があの住みなれた団地から引っ越す日に君は泣いたね。
君の涙を見ながら僕は
「そんな遠くに行くわけじゃないからいつでも会えるよ」
って無理して笑った。
でもあの時、僕は本当は泣き出してしまいそうだったんだ。
いつも君のこと「泣き虫」ってからかってたのにカッコ悪くてさ。
君の前で必死になって虚勢を張っていた。
ほんとは一瞬でも離れていたくなかったのに。
ずっと一緒にいれば違ったのかな。
君に会いたくて会いたくて。
僕は日曜日が来るのを指折り数えたよ。
待ちどおしくって。
なんで日曜日は週に一回しかないんだろうってカレンダーを見ながら思った。
僕は君の前を走るのをやめて、君の隣を歩くようになった。
ようやく会えた君と、少しでも離れいたくなかったんだ。
夕暮れ時のバス停で、君と二人。
並んでバスを待ちながら僕は何度思っただろう。
このままバスが来なければいいのに。
このまま時間が止まってしまえばいいのに。
ずっと・・・君と二人だけで居れたら・・・・。
どんなに願っても、やっぱりバスはやって来て。
僕はバスに乗る。
君にさよならを言って。
とても綺麗な夕日だった。
走り出すバスの窓から身を乗り出して「バイバイ」って君に手を振りながら無理して笑った。
バスに乗り込む僕の手を、引き留めるように掴んだ君。
「待って」って、幼い頃と同じ瞳をして。
でも君はもう、あの頃のようにその言葉を言ってはくれないんだね。
僕達はゆっくりと、でも確実に大人へと変わっていく。
今でも君といるのが一番楽しくて嬉しい。
でも・・・
君に言えない気持ちがどんどん大きくなって凄く苦しいんだ。
君といたい。君と二人だけで。
僕といない時の君を・・・
君といない時の僕を・・・
消してしまえたらいいのに。
君の全てを僕だけのものにしたい。
ずっと一緒だったら、こんな気持ちにならなかったんだろうか。
―――――好き
幼い頃とは違う激しい感情にどんどん支配されていく。
夕日に染まった君の姿が瞼から離れない。
僕を真っ直ぐに見つめてくれる君を失うのが怖い。
自分の気持ちを隠し通して、僕はいつまで幼馴染のままでいれるだろう。
君に抱く僕のこの欲望を知ったら、君はなんて思うだろう。
僕達は・・・・
いつまで一緒にいられる?
バスの窓越しに、赤く染まった空を見ながら・・・・
消えて無くなってしまいたいと思った。
時間が止まってしまえばいいのに。
ずっと・・・君と二人だけでいられたら・・・・。
なにもいらない
|