2003.02.03 update
 FanFiction Novel 「Partner」: FINAL FANTASY XI


ずぅん……。地響きを立ててフォレストタイガーが巨大な黒い体を横たえ、俺はクソ重たい大剣を背中へ戻した。
が、彼女はロングソードをおさめる事なく、切迫した声で魔法の詠唱に入った。収束した魔力の光が背後に迫っていたオークの身体を縛り上げる。パライズだ。
「ディーナ!」
振り上げられた斧から彼女を守るべく、その長身を押しのけて前に出る。派手な音をたて、罵声を浴びせて挑発する。
オークの一撃を肩に受けた。チェーンメイルの鎖を破って刃が食い込み、鮮血がしぶく。
「がああぁっ!!」
俺はどちらが獣人か解らないような怒りの咆哮を上げる。バーサクだ。痛みを無視して、強烈な力が全身を満たし敵の攻撃など些末な問題に思えて来る。そして剣を抜き様、俺は体内に練り込まれた魔力を剣の力にのせて放出した。
ズッガァァァン!!
WSハードスラッシュ。単純だが強烈な一撃が、オークの巨体にざっくりと食い込んだ。すかざずディーナの手から放たれた炎が、爆炎と化して敵の姿を包み込む。
オークの怒りが、炎を放った魔道士に向けられる。俺の剣がとどめをさすほんの一瞬の間に、ディーナはオークの攻撃を腹に受け、うめき声をあげた。
肉の焦げる嫌な臭いが、湿った空気に漂った。がくりと膝をついた俺の身体を回復魔法の暖かい光が包み込み、俺はなんとか立ち上がった。彼女の魔力はこれで尽きたはずだ。
「移動しよう」
脂汗を浮べて座り込む彼女を無理矢理立たせる。肩をかそうにもエルヴァーンの肩の位置は俺の頭の上だ。仕方ないので腰に手をまわして、ふらつく身体を押してやる。
二人して身体を支えあい、岩影に転がり込んだ。
自分も瀕死の傷を負っていながら、最後の回復魔法は戦士に捧げる。赤魔道士のその姿勢に、俺はなんだか無性に腹が立った。
「あんな時に精霊魔法撃ちこむなんて何考えてやがる。死ぬ気か?」
「あの状況で防御捨てて攻撃に専念する戦士になんか、言われたくないわ」
荒く息をつきながら、お互いを睨みつけ、そして同時に視線をそらせた。
やがて青い顔をしたまま、ディーナは立ち上がり、回復魔法を唱えた。ふらつく足を踏ん張っている様子に、俺も思わず立ち上がってその身体を支える。
しかし、詠唱と共に放たれた光は俺の身体を包み、全身の傷を癒していく。
「この馬鹿! なんで自分を回復しないんだよ」
「いいから座ってなさいよ。いざって時は……貴方が戦ってる間に逃げるんだから」
俺は思わず溜息をついた。そんなことが、ディーナにできるはずがないのだ。この誇り高いエルヴァーンに。
「頼むから、自分を癒せ。お前を守れなかったら、意味ねぇんだよ」
俺はディーナの顔をじっと見上げて言った。しばしの沈黙の後、ケアルの光が彼女を包む。
少しだけ顔色が戻った彼女に、俺はほっと息を吐いた。
「ディーナ、早く休め」
「シグルドも……」
「いいから!」
俺もまだ、座って身体を休ませ回復しなければならない。だが、俺は強引に彼女を座らせた。これでようやく、彼女を見上げる事なく話しができる。男のしょうもないプライドだって笑われるかもしれないが、女性を見上げているんでは、どーにもやりにくいって事は、ある。
この旅で、ディーナが始めてジュノを目指すこの旅で、俺は伝えると決めたのだ。ジャグナー森林を抜ければバタリア丘陵。たとえ俺がディーナより幾許か強い戦士だとしても、あそこで敵に襲われたら、勝ち目はない。もしもの時は自らを盾に、命に替えても彼女を逃がすつもりだった。だからこそ。
「ディーナ」
俺は目を閉じて蹲り、回復の姿勢をとるディーナの前に立った。顔を保護するアイアンマスクを外し、その褐色の頬にそっと手を伸ばす。
「シグルド、なにやってるの? 早く座ってかいふ……」
彼女の言葉を遮って、俺はその唇をキスで塞いだ。
驚きからか怒りからか、真っ赤になって硬直する彼女を、俺は見つめた。長い耳の先まで赤くなっているのが妙に可愛い。
「お前が好きなんだよディーナ」
「うそ」
あっさりとしたその言葉に思わず頭に血が登った。
「うそって! うそってなんだよ! マジに決まってンだろでなきゃンなこっ恥ずかしい事言えるかよ!」
「だって、ミッションで涸れ谷行ってから一緒に戦ってくれなくなって、どんどん……私を置いて先にいっちゃって」
「ディ……」
怒鳴り声に怒鳴り返す気の強いディーナの目に涙が浮かんでいるのを見つけ、俺は狼狽えた。まて、何故泣く? なんで泣く? 俺、そんなにマズイ事言ったか? したか?
「そりゃ、お前を守りたかったから……」
涸れ谷でのミッション。駆け出しだった俺達はゴブリンの集団と遭遇し、二人の犠牲者を出した。応戦で手一杯の俺達前衛の代わりに白魔道士護ろうと、最初に地に倒れ伏したのが、赤魔道士のディーナだった。
ゴブリンの長刀に貫かれ、血まみれになって倒れるディーナを見た俺は、強くなりたいと心底願った。二度と、彼女のそんな姿を見たくなかった。何があっても守り抜くだけの力が欲しかったのだ。
「私、嫌われたんだと思った。もう一緒にパーティ組みたくないんだって……この旅だって、無理に頼んだから……シグルド独りなら安全に、チョコボで走り抜けられるのに。私のために、危険な道を……歩かなきゃならなくて……だからっ……」
エルヴァーンらしい端正で高貴な顔の、その頬をポロポロと涙が落ちる。
「すまん……俺はただ、ディーナを守りたかったんだ。強くなって、お前が傷つかないように」
「嫌われたんじゃ、なかった……」
俺は膝をついたディーナを抱きしめた。銀の頭を抱えよせ、きつく、強く。
しばらく、俺達は抱き合ったまま、じっとお互いの鼓動を確かめていた。
「痛いわ、顔に編み目がついちゃう」
「す、すまん」
身体を離すとチェーンメイルの鉄鎖帷子に、ほんのりと温もりが残っていた。
「私も強くなるわ」
「ディーナ?」
「魔法の腕も剣の腕ももっと磨いて、足手まといにならないように。貴方が存分に戦えるように。それが魔道士の役目。だから……」
涙に濡れた顔を微かにかしげ、彼女は笑った。この世で一番美しいと俺の心に刻み込まれる笑みを。
「一緒に戦って、シグルド。もう……離れないで」
俺はようやく、彼女の意図を悟った。彼女が求めているのは保護者ではなく、共に戦うパートナーだということを。
俺は再びディーナに口づけた。照れたように、彼女は笑う。
「まずはジュノか」
「ええ。行きましょう」
ジャグナーの木々の間から、明るい朝の光が射し始めた。


end


とんだ駄作ですな。ううぅメンボクナイ。
最初エロにしようと思って書き始めたんですが...なんか途中で萎えました(ぉぃ
ヒュム♂×エル♀ はただいまリベンジ中ですので、もちょっとマトモなのができたらUpしますです。スンマセン(へこへこ)


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