2003.05.03 update
 FanFiction Novel 「背中をみつめて」: FINAL FANTASY XI


透明な水は、すくって口に含めば、わずかに塩を含んでいる。
存分に喉をうるおし、空になった水筒を満たしてから、汚れた体を洗っていると、ぱしゃぱしゃと音を立てて、背後から彼女が近づいて来る。
「どうして一人で来たりした?」
振り返らずに問いかける。
「ガウェンが一人で行ってしまったから。貴方がバスをたってまだそれ程経ってなかったから、すぐに追いつけると思ったの。砂漠には手こずったけど」
「二度とするな」
「嫌」
「パーシヴァル……」
「嫌よ!」
振り返れば、強烈な陽射しの中に白い肢体をさらして、彼女が立っていた。胸あたりまで水に浸かっているが、その裸身を隠すのには役に立たない。
俺は再び背を向ける。
「頼む、お前を危険にさらしたくない」
「あたしもよ、ガウェン」
水の中でも熱を失わない手が、背中に触れる。
「貴方一人を危険にさらすのは嫌。一緒にいさせて。貴方を助けたいの。それにあたしは冒険者だわ、箱入りのお嬢様じゃない」
「しかし……」
「さっき死にかけてたのはどこの誰?」
「ぬ……」
それを言われると痛い。
「あたしの知らない所で死んだりしたら、許さないから」
細い腕をめいいっぱい伸ばして、腰にはりついてくる。
傲慢に他者を束縛するその言葉に、俺は苦く笑う。恋愛感情というのは不思議なものだ。これでまったく腹も立たないばかりか、嬉しくさえ、あるのだから。

「怒ってるの?」
軽く息を吐けば、打って変わった不安気な声で、問いかける。
「いや」
「こっち向いて」
「見られたくないのではなかったのか?」
「……ばか」
女心は複雑怪奇だ。
振り返れば、潤んだ目でじっと見上げる相棒の顔が、愛おしい。頬を撫でればうっとりと目を閉じる。
ヒュームや他の種族のように、繁殖のための性行為があるわけでもなく。当然それによって彼等が得る快楽や興奮も理解はし難い。しかし、その時に見せる彼女の表情、快楽に陶酔した甘い声は目を耳を愉しませる。
「あ、ん……ガウェン……」
水の中にあっても、そこは熱い滑りに包まれていた。すべらかに指が滑る。
眉根をよせ、少し苦しそうにしながら、小さな手ですがりついてくる。頬を朱に染め、快感に耐えるその顔が、なんとも可愛らしい。
「……ああ……あっく……んぅ……」
小さな突起をいらう。指先のわずかな動きにすら、ぴくぴくと身体を震わせ、彼女は喘いだ。
「ここが、気持ちいいのだな?」
聞かなくても解るのだが、言葉に出すことで彼女がさらに興奮する事を知った。
唇を噛みしめながらこくこくと頷くその身体は、熱の塊を抱いているかのように熱く火照っている。
「ああああっ!ガウェン!ガウェン!」
喘ぎの色が変わる。切迫した声で快感を訴える。
その頬を唇で触れ、唇同士を重ねあわせる。すぐに、彼女の暖かい舌が侵入する。未だに慣れない行為だが、悪くはない。歯を立てないよう軽く吸ってやれば、彼女はくぐもった声を漏らす。
そのまま、滾るような秘裂に指を挿し入れれば、堪え難い感覚なのだろう、細い腰を仰け反らせて悲鳴を上げる。最初はその反応の激しさに驚いたが、途中で止めるのは余計に辛いらしい。
俺は指先でその柔らかい胎内を擦り続けた。

「ひぁっ!ああっ!ああっ!あんっ!あああっ!」
頬を朱に染め、瞳にはとろりと酔ったような情慾の色を浮かべて。目尻に涙を滲ませ、我を忘れ、口を半開きにしてかくかくと腰を振る。その姿は気丈に振る舞う普段の彼女からは、想像もつかない。
なるほど、許した者だけにこのような痴態を見せるのならば、多種族の男達が女に夢中になり、その身体を独占したがるのも解る気がする。
「も、だめっ、イっ……イっちゃうっ!」
びくん、彼女の身体が大きく跳ねた。長く尾を引く悲鳴をあげながら痙攣するのを抱きとめる。
荒く息をつき、改めて羞恥を自覚した彼女が耳まで赤くなってすがりつく。くたりと脱力するその身体を俺は水の中から抱き上げた。

たっぷりと休憩を取り、食事を採って体力を取り戻した俺達は、未だ知れぬ街を探して、出発した。
元気よく砂を踏んで、彼女が前を歩く。
「たぶんこっちよ。ついてきて」
「場所、解るのか?」 
「ううん。勘」
俺はあっけにとられて口を開け、そして思い出した。そうだった。出逢った頃、彼女はパルブロ鉱山やダングルフの枯れ谷を、地図なしで走り回っていた。天性の勘のよさと地理感覚。方向音痴気味の俺と違い、それは彼女の優れた資質だった。でなければこの広い砂漠で、どうして俺を見つけだせただろう。
多くの時を旅と戦いに費やし、探索し尽くした既知の世界で、俺はそのことを忘れていたのだ。
俺は小さく頼もしいその背中を追って、砂に踏み出した。





end


ガウェン&パーシヴァル3弾です。ガウェンサイドから書いてみますた。
野郎側に性欲がないのでエッチになだれ込むのが大変なコイツら。(作者が)
まぁシヤワセそうだからいいかw



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