白萩鐶 Original Novel WebSite "猫がいってしまったので 1.1"
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WhiteFantasista 1めぐる季節の

親父が死んで、4人の兄貴達と3人の姉貴達と財産分けをしたら、末っ子の俺ンとこにまわってきたのは親父が昔使っていた古い長剣と、倉にしまってあったボロい鞍だけだった。
仕方ないので村を出て、王国軍に志願したものの、2年の訓練の後まわされたのは辺境警備隊で……。
小競り合いをくり返す警備隊の仕事に飽きた俺は、渡り戦士となって放浪するようになった。とある街のとある飲み屋でおなじ渡り戦士のラズィと意気投合し、行動を共にするようになってから、3ヶ月が過ぎていた。

「アムカ〜っ!」
 しなやかな肢体を革の胴鎧と粗織りの上着、細身のズボンにつつんだ女が、陽気な声を上げて入って来た。きつい顔だちの美少女だが、見た目どおりの年齢でない事は疑いない。が、顔面に3本線の傷口を作りたいのでなければ、歳の話題は厳禁だ。
「おかえりラズィ。首尾はどうだった?」
 入口からテーブルまでの間にウェイトレスにコインを放り、麦酒のジョッキを受け取って歩いてきたラズィは、音も立てずにするりと椅子におさまった。皿の上に余っていた鶏肉をひょいと口に放り込むのも、野性味溢れる彼女の雰囲気に似合っている。行儀悪いけど。
「だ〜めだめ。どこも不景気でさ。仕事なんかありゃしない。違う街にでもいった方がいいかもね」
 俺の問いにラズィは肩をすくめて応えた。商隊の護衛の仕事が終わったばかりで懐があったかいとはいえ、宿屋暮しは金がかかる。
「そうだな、さっさと次の仕事見つけてぇしな」
「ま、いーじゃん。懐もあったかいし、しばらくはのんびりしようよぅ。季節だしさっ!」
「は?」
「うふふ」
 ジョッキに顔半分つっこんでにんまりと笑ったその意味を俺はさっぱり解ってなかった。

 その夜、いつもどおり宿屋一階の居酒屋で情報収集がてら適当に飲んだあと、俺たちはおやすみ〜と別れて別々の個室に入った。
 あんな年頃の若い娘(しかも美女)と3ヶ月も一緒にいて、何をやってるんだと馬鹿にされそうなのは解っている。が、ラズィは実は人族ではない。北の山岳地帯に棲む獣人一族の出で、赤の月の周期に従って獣に化けたりする。もっとも本人談によると「月の影響が少ない時程人に化けていやすい」んだそうだが。
 それに普段の彼女は陽気な美少女だが、色めいたこととなるとどこか手を出し難いオーラをまとって、人を寄せつけない雰囲気がある。そんな訳でなんとなく、手を出しかねたまま3ヶ月が過ぎてしまった。
 親父譲りの長剣を立て掛け、つけっぱなしだった臑あてや、剣帯を外し、備えつけの桶でタオルを絞って身体を拭く。砂漠地帯を渡ってきたお陰であちこち砂だらけだ。
 さっぱりした気分で下履きだけを身につけ、うすい布団に潜り込んだ。どんなに固い寝台でも、うすっぺらい布団でも、野宿よりはありがたい。
 燭台の火を消し忘れた--と。起き上がった時、廊下に人の気配がした。足音をほとんど立てずに歩いて来たのが、どうやらこの部屋の前で立ち止まったようだ。
 コンコンコン。
 いぶかしむ間もなく、扉がノックされる。俺は長剣をひっつかんで扉の脇に立った。傭兵稼業で敵をつくっていない訳はない。用心にこしたことはないからだ。
「誰だ?」
「わたし……ラエズニーニャ」
 俺は驚きに目を見開いた。いったん部屋に引き取ってからまた顔を出すなんて、トラブルか、身体の調子でも悪いのか。しかも普段の彼女らしくない小さな声だ。
 慌ててドアを開けて、俺はさらに仰天した。
「ラ、ラズィ!ど、どどどどうしたんだその格好は」
 それは普段のラズィからは思いもよらない格好だった。ラズィの来ていたのは薄い紗のドレスだった。一枚布を二つに折り畳んでところどころをリボンで結んだような風変わりな衣装は、脇がばっちり開いていて、すけすけで、暗い蝋燭の灯りでもそのピンクの乳首が透けているのが、見える程だ。
 俺が度胆を抜かれている間に、過度にセクシーなラズィはドアの隙間からするりと部屋に入り込み、狭い部屋を横切って寝台に腰掛けていた。
「はやくドアを閉めて、こっちへ来てよアムカ」
 ぼけっと突っ立ったまま、思考は何かに化かされているんじゃないかと疑うところへいっていたが、普段どおりのラズィの喋りに、俺は我に還った。
「ラ、ラズィ。耳でてるよ」
 動揺して、なんだか的外れな事を口走ってしまった。白い柔らかそうな髪から、ぴょこんと丸っこい猫耳が突き出していたのは、事実なんだが。
「あれ? あやや、ホントだいつのまに」
 ラズィが両手を頭にやり、耳に触れて確かめると、どういう仕組みになっているのか、耳は溶け込むように消える。が、一呼吸もしないうちに、またもぴょこんと突き出した。
「だめだぁ、うまく引っ込まないよ。アムカはこんな耳のある女はイヤ?」
「いや、別に解ってたからかまわないけど……」
「そっか。よかった♪」
 そうじゃなく。
「いやあの、そうじゃなくってラズィ……一体、どうしたんだ?」
 後々考えれば俺も相当馬鹿な質問をしたもんだと思ったさ。夜、女が色っぽい格好で男の部屋に来たとあっちゃ目的は一つに決まってる。
「だって、季節なんだよアムカ。わたしじゃ、イヤなの?」
 ラズィがすいっと立ち上がった。まだドアの側に突っ立ってた俺に、近付いてくる。蝋燭の灯りひとつの暗い部屋で、ラズィの目がキラリと光った。艶やかで引き締まった肌は滑らかで、豊かな胸が紗布を押し上げて、つんと立っている。
「ラズ……」
 いきなり、ラズィが抱き着いて来て、俺は背中をドアにぶつけた。ラズィの全身から匂い立つ甘い香りに、頭がくらくらする。
 そして押し付けられた唇に、俺の理性はふっとんでしまった。


 ちょっとひっぱっただけであっさりと脱げてしまったドレスの下に、ラズィは何も着けていなかった。
 普段はあまり色気を感じさせない細身の身体なのに、鎧の下の素肌は白く滑らかで、ひどく欲情をそそる。
 狭い寝台に組みしかれて、ラズィは再び唇をよせてきた。こんどはゆっくりとお互いを貪りあう。俺はキスを存分に味わった。ラズィは積極的に舌を絡めてくる。唾液が混ざりあい、音をたてる。
 唇をあわせたまま俺は白く柔らかな茂みの奥へと手を伸ばした。そこは既に熱いぬめりに溢れている。
「すげぇ濡れてるよ」
 自分でも興奮に声が上ずってるのが解る。ああ、カッコ悪い。だが、ラズィは気にした様子もなく、うっとりと見上げてくる。
「うん。アムカお願い……」
 俺はいきなり、ラズィの両足首を掴んで、高々と割り開いた。蝋燭と窓から射し込む細い月明かりに、透明な蜜をたたえた複雑な襞が浮かび上がる。丸い尻の後ろからはしなやかな白い毛に覆われた尻尾が伸び、寝台の上でぱたぱたとくねっていた。
「はぁっ……」
 ラズィが期待に満ちた息を吐いた。瞳がとろりと潤んで俺を見上げている。俺はその泉に口をつけた。
「あっ……ふあぁ……」
 むせ返るような甘い匂いに包み込まれる。
 舌先で、包皮に包まれたままの粒をころころと転がす。あふれる蜜をすすり、複雑な襞をかきまわし、唇ではさむ。ひくひくと痙攣する膣口に舌先をこじ入れ、ねっとりと押し付けながらすりあげる。
「あふっ……あふっ……あああっ……んあっ……ああン……くぅン……」
 舌の動きに、ラズィの身体がぴくぴくと反応する。すごい感度だ。
 俺だって金がある時なら娼館くらいには行くし、かつて恋人はいたが、それほど女に自信があるわけじゃない。だが、俺のあんまし上手くない愛撫にも、ラズィは過敏に反応した。これは演技じゃない……と、思う。多分。
 くちゅくちゅぴちゃぴちゃと淫猥な音を立て、俺は夢中でそれを貪った。
「ひあああっ……」
 ラズィの喘ぎがひときわ高くなったのをきっかけに、愛撫はクリトリスへ集中する。指をそえ舌先で包皮を剥き、零れでた小さな粒を容赦なく舐めまわす。
「ひあああっ……ああああっ……んっああああっ!」
 ラズィはシーツを握りしめる。尻尾がはたはたと寝台をたたく。
「ラズィ?」
「だめっ……イッちゃ……」
 俺は割れ目を広げていた手に力を込め、舌を蠢かせてラズィを追いつめる。
 びくん、と、ラズィの身体が波打った。
「あっ……アムカぁっっ! ああああああっ!」
 昇りつめたラズィの絶叫を聞きながら俺は、大量に溢れ出る蜜をすすりあげ、喉を鳴らして飲み干した。
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