いつか見た君に         

                      ~picture of heart~



 大忙しのまま1日目は終わった。2日目は同等、または前日以上のの混雑が予想されるらしい。天気もよさそうで、絶好の文化祭日和であることは間違いない。うちのクラスは、多分今日も大忙しなんだろう。そして去年の文化祭以来、1年ぶりの若葉を連れての登校となる。

 第18話・そんな日曜日

 朝から若葉はご機嫌だ。
「行ってきますっと……さ、行こっか、お兄ちゃん」
「なに張り切ってるんだよ、お前は」
 恒例の家への挨拶もほどほどに、急かす若葉。
「だって楽しみにしてたんだもん、今日」
「なんで?」
「変な先生いるし」
 それかっ。
 文化祭期間中は、変さもパワーアップしている。
 今年はさらに女装というオプション付きだ。
「面白い先生だよね。授業も面白いの?」
「うん、なかなか」
 面白いことは否定しない。でも、あれは自分が面白がってるだけなんだよなあ。
「へえ、いいなあ……」
 これで志乃上高校に進学するって言い出さなきゃいいけど。
 今日の電車はいつもに比べてはるかにすいていた。さすがは日曜日。
 車内には、どう見ても同じ学校の人がいてなかなか面白い。
「桜ちゃんたちも来るんだろ?」
「うん、そう言ってたよ。私と同じくらい楽しみにしてたもん」
 そうか。僕の仕事は昨日で終わったから、あの姿を見られることはなさそうでよかった。
 まあ、暇があったら学校を案内してあげるとしよう。
 しかし妹を連れて学校というのも、変な気分だ。去年も同じようにしたけど。
 そんな変な気分のまま、電車を降りて徒歩10分。志乃上高校へと歩いてゆく。周りには同じ目的地へと向かう人がそこそこいる。いつもと違うのは、どう見ても生徒じゃない人も混じっているということ。まだ一般の人が来るには少し早い時間だけど、まあそんなことは気にしない。
「あっ、あれ……えっと、梓川さんじゃない?」
 そういって若葉が指差す先には、長身長髪の女の子。梓川さんの姿が。
「ほんとだ」
 ちょっと早足で梓川さんへと近づく僕ら。
「おはよう、梓川さん」
「あ、水瀬さん……と、若葉ちゃんも。おはようございます」
 軽く頭を下げる梓川さん。つられて若葉も頭を下げる。
「この前はお兄ちゃんの買い物につき合ってもらって、どうもありがとうございました」
 この前の買い物って言うと、梓川さんと一緒に草神へティーポットを買いに行ったときのか。
「ううんこっちこそ、その後買い物に付き合わせちゃったから」
「そうですか? それならいいんですけど」
 む。なんだか親しげだ。ちょっと悔しい。
 そういえば前に若葉が、「あのお姉さん(梓川さん)とは波長が合う」なんて意味不明なこと言ってたけど……こういうことなのか。
「どうしたんですか、水瀬さん?」
「ああ、いや、仲良しだなって思ってさ」
 それを聞いて、顔を見合わせる二人。
「梓川さん、人見知りするって早香も言ってたし」
 なんだかそれももう、かなり昔のことのように思える。
「あ……えと、男の人がちょっとだめなんですよ……」
 やや困った顔をする梓川さん。
「年下女の子なら、割と仲良くなっちゃいますよ」
 そう言ってふふっと笑う。
 なるほどね、そうだったのか。早香がいかにもみんな駄目みたいな言い方するから、勘違いしたじゃないか。
 とまあ、そんなことをぼちぼち話しているうちに、志乃上高校が見えてきた。
「結構長い坂だったね。毎日大変そう」
 ちょっと後ろを振り返りながら、若葉がそんな感想を述べる
「もう慣れた」
 この坂のおかげで、ちょっと足腰が鍛えられてるんじゃないだろうか。
 坂の上にある高校の校門を抜けると、昇降口のところで上履きに履き替える。外来がたくさん来る今日は、どこから調達してきたのか山のようなスリッパ。それと、靴を入れるための大量のビニール袋が用意されている。
「若葉、そっから適当に取ればいいよ」
「うん」
 昨日働きまくった僕ら。今日、仕事はなさそうだけど……とりあえずは教室に行くか。
 廊下を行き交う人々。生徒の他に、親兄弟の姿もある。
 まあ、この高校は私服なので、それほど目立たないようだけど。若葉も中学3年だから、ここの生徒といっても通じそうだ。
「今日って梓川さんもずっと空いてるの?」
 昨日一緒に忙殺された梓川さん。多分空いているんだろうと思ったけど……
「えっと、午後に美術部のほうで番をするんです」
 とのこと。
 そうか。部活もちだった。
「へえ、梓川さんって、美術部なんですね」
 感心する若葉。そういえば言ってなかったっけ。
「うん、若葉ちゃんも見に来てね」
「はいっ」
 そんなこんなで教室に到着。
「どうしよう、若葉入れてもわからないかな?」
 外にほったらかしにしておくのはまずい気がする。
「大丈夫でしょう」
 とまあ、梓川さんもこう言ってることだし。
  ガラガラ……
 A組教室の中に入ってみると、来ていたのはまだ数人。
 朝の挨拶を済ませ、荷物を置く。
「おはよう、水瀬」
 高階だ。
「おはよう……ああ、今日午前の班なのか」
 その姿はいつぞやのワンピースにエプロン装備。
「まあ、そういうこと。午後から部活の招待試合があるからな……いや、そんなことはどうでもいいんだ。基本的に今日はずっと自由だから。今からどっか行ってもいいぞ。夕方に戻って来さえすれば」
「あ、そうなんだ」
 時計を見ると、文化祭スタート20分前。
 梓川さんと若葉の2人と、どこかでのんびりしようかな。
「わかった、ありがとう。頑張れよ」
「ああ、さんきゅ」
 そういうと高階は、お店のある方……B組の教室へ向かっていった。
「どうするの、お兄ちゃん」
「とりあえず梓川さんと一緒にのんびりしようか。始まるまでまだ時間あるし」
「そうだね」
 というわけで、クラスメイトとの会話が一区切りついたときを見計らって、梓川さんを誘う。
「あ、いいですよ」
 あっさり承諾。
 ちょっとづつ人が増え始めたので、邪魔にならないよう3人で外に出る。
「あれ、陽一郎だ……」
 階段の方を見ると、白根兄妹ご一行様が到着したところだ。あ、桜ちゃんが手を振ってる。むこうもこっちに気付いたらしい。
「あ、白根さんですね」
 梓川さんも気付いたもよう。
「えっと……元気がいいのが桜ちゃんで、ちょっと目がたれてるのが椿ちゃんで、髪がはねてるのが梢ちゃん……でしたっけ?」
 お。ちゃんと覚えてる。
「うん、ばっちり正解」
 白根三姉妹は見た目にほとんど違いがないので、初対面はなかなか区別しづらいけど、一度話してみたら三者三様の雰囲気なので、すぐ覚えられる。
「おはよっ、お兄ちゃん、若葉ちゃん、お姉ちゃん」
「おはようございます。えっと……梓川さんでしたよね」
「……おはようございます」
 それぞれに僕らも挨拶で返す。
「覚えにくいよね、私の名前」
 椿ちゃんに名前を確認された梓川さん。
「そ、そんなことないですよ」
 慌てて否定する椿ちゃん。
「俺、漢字は読めなかったけどな……おはよう」
「おはよう、陽一郎。あー、僕も最初ちょっと考えた、漢字」
 梓川さんの「あずさ」って普段使わないからなあ。
「え、そうですか?」
「私は読めたけどなあ……」
 と、若葉。
「あれ、若葉ちゃん私の漢字知ってたっけ?」
「はい、私のベッドに生徒手帳落ちてましたから」
 ああ、そういえばそんなこともあったな。
 ……とういうことは、水瀬兄妹はどっちも落としもので梓川さんの名前を知ったわけだ。変な縁だなあ……
「どんな字? 見せて見せてっ」
「あ、私も見たいです」
「私も……」
 あっという間に三姉妹と若葉に囲まれる梓川さん。
「えらく仲いいな、こいつら」
「そうだね……」
 疎外感を味わう兄二人であった。
「あ、俺荷物置いてくるわ」
「じゃあ僕も行く」
 このままだと本格的に一人になってしまうし。
 陽一郎に続いて、教室に入りなおす。
「あ、おはよう白根」
「よっ、高階……今日は午前中か」
「……そういうことだ。って水瀬と同じこと言うんだな」
 ははっ、と笑う高階。
「ああ、それよりちょっとまずいことがあるんだ」
 と思えばいきなり真面目な顔になる。
「まずいこと?」
「バスが遅れてる」
 バス?
「それってどういう……」
「もしかして、時間通りに来れないってことか?」
 陽一郎の問いに、うなずいて答える高階。
「30分でいい。水瀬、白根、手伝ってくれないか? 部活なんかがあるなら構わないんだが……」
 幸い、僕も陽一郎も特に部活なんかはない。
 ……でも、梓川さんと妹たちが……
 まあ、30分ぐらいならいいか。幸か不幸か、昨日の服は教室に置いてある。
 陽一郎と顔を見合わせると、互いにうなずき合う。
「ああ、構わんが」
「大丈夫だよ」
「そうか、すまん」
 手を合わせて僕らに感謝する高階は、他の暇そうなクラスメイトに声をかけにいってしまった。
 日曜日ってバスの本数少ないんだろうな。それにしても日曜日に道路が渋滞するなんて意外だな。
「とりあえず、あいつらには勝手にぶらぶらしててもらうか」
「そうだね、仕方ないよ」
 そう言ってドアを開けた時……
「あれっ?」
「おっ」
 そこには誰もいなかった。
「えっと……」
「俺たちは置いていかれた……と考えるのが普通だろうな」
 なんとも冷たい妹たちである。
 梓川さんも……一言ぐらいくれればよかったのに。
「おーい、水瀬、白根! 早く用意してくれ!」
 高階の急かす声。教室へ戻り準備する僕ら。
 気が付けば始まる5分前。
 そういえば氷川先生が来てないぞ?
 ってことは、すっぴんで接客するのか……?
 それはやだなあ……
「ねえ陽一郎、化粧はしないの?」
「お、そういえば氷川先生もいないな」
 ちなみに染草先生は忙しそうにうろちょろしている。
「接客するなら化粧はしたいな……」
「……圭、お前ちょっと毒されてるぞ、氷川先生に」
 ええっ!?
 とんでもない話だ……
「そ、そうかな……?」
「……まあ、文化祭期間だけならいいが」
 陽一郎のつぶやきはどういう意味なのか。
 ともかく、準備を終えた僕らは、昨日と同じように忙しく仕事をすることに。
 ……と思ったんだけど。
「なんか、人が少ないなぁ……」
 昨日は大入り満員だったのに、今日はそうでもないみたいだ。
「なんでだろ?」
 僕の独り言に気がついて、長髪ワンピースの高階が答える。
「そりゃあ……まだ午前中だからな。始まったばっかりだし」
「それもそうか。バスも遅れてるんだしね」
 考えてみれば当然か。
「そういえば高階、そのワンピースはお姉さんの?」
 雑談する余裕もたっぷりある。
「ん? ああ、これな。姉貴の……そういえば、水瀬のはC組の子から借りたのらしいじゃん」
 何やら嫌な笑みを浮かべる高階。
「え、まあ、そうだけど……」
 ばっちり梓川さんからの借り物だ。梓川さんは女の子としてはちょっと身長が高めなので、僕が着るのにサイズがちょうどいい。
「あの仲いい子? 名前忘れたけど」
「そうだよ。それが?」
「お前ら、付き合ってんの?」
 これはまたいきなりだな……
「話が飛躍しすぎだと思うんだけど」
 それを聞いた高階、大袈裟に肩をすくませる。
「そうでもないと思うぜ。事実、そう思ってる奴はこっちにもあっちにも沢山いるって話だ……って、もしかして付き合ってないのか?」
 こっちにもあっちにもっていうのはA組C組ってことなんだろうな。
「誰が付き合ってるなんて言ったんだよ……」
「そうだったのか。なんだ、早とちりだったわけか」
 一人で完結へと向かっている高階。
 ……まあ、いいけどさ。
「でもま、そういう目で見られてるってことは覚えとけよ」
 そういう目って……ああ、さっきの高階の目みたいなのか。
「なんで?」
「それくらい自分で考えろ。はははっ」
 何が楽しいのか高階は、笑いながら注文取りに行ってしまった。
 釈然としないままに、メニューを運んだり注文をとったりと仕事をしていると、遅れていた連中が到着した。
 とりあえず僕の仕事はこれで終わり。白根三姉妹と若葉にこの姿を見られなかったというのは、結構幸運だった。
 そういえばどこに行ったんだろう。多分梓川さんと一緒だとは思うけど……
「水瀬お疲れ。助かったよ」
 引き続きお仕事の高階。これからお客さんが増えてきて大変だろうな……
「どういたしまして……って、化粧したんだ」
「……ああ、氷川先生来たからな」
 高階も薄化粧だ。口紅の色もぴったり合っている。流石は氷川先生だ。
 ……はっ、確かに毒されてるかも。
「今日はなんか適当らしい。夕方もう一回顔出してくれたら、それで帰っていいってさ。明日は10時から片付けだから遅れないように」
「了解。あと頑張ってね」
「おう、サンキュ」
 月曜日は代休だけど、午前中は撤収のため学校に入れるらしい。今回は結構大変そうだな……
 さっさと着替えを済ませると、足早に教室を出る。
 昨日と変わりない喧騒だけど、昨日と違っていろんな人がいる。在校生の兄弟と思われるお兄さんとか、小学生ぐらいの女の子とか、おばあさん、うちの妹……
 あ、若葉だ。僕の姿を見つけると、駆け寄ってくる。
「お兄ちゃん、桜ちゃんたちと梓川さん、どこかに行っちゃった」
 開口一番、若葉は疲れた様子で僕に言ってきた。
「どこかって……はぐれたのか?」
「うん……」
 まあ、梓川さんがいるなら大丈夫と思うけど……
「何か食べてくか?」
「うん、そうだね」
 そうと決まれば話は早い。
 というわけでまた自分のクラスに舞い戻ってきた。
「よう水瀬、どうした。忘れ物か?」
 見た目は何とか女性に見えなくもないのに、この口調。
 高階はやる気あるのかないのか……
「いや、お客」
 後ろにくっついてる若葉を確認すると、
「ん、2名だな。こっち空いてるぜ」
 またもや男くさい口調で案内された。
「高階、もっとこう……らしい言葉づかいしろよ」
「だって身内だろ」
 一言で終わってしまった。
 若葉はというと、物珍しそうに教室内を見ている。
「あっ、陽一郎さん」
 若葉の目線の先を追っていくと、任務終了したばかりの陽一郎。
 当の陽一郎は、僕らに気付かず外へ出ていってしまった。
「いっちゃった……」
 残念そうな若葉。
 しかし陽一郎のやつ、かなり疲れた顔してたな……大丈夫かな。
 まあ、予想外な仕事だけならまだしも、しっかりと女装までさせられて、人目につくところでずっと調理だもんなあ……そりゃあ疲れもするだろう。
「お兄ちゃんもあれやってたの?」
 突然若葉が聞いてきた。
「あれ?」
「うん、あれ」
 そう言って若葉が指差す先には、入り口で接客する高階の姿。
 あれというのは接客のことか、それともあの姿か……
 まあ、後者なんだろうけど……両方ともやったし。
「やったよ」
「へぇ……やったんだ。写真とかないの?」
 写真! 思い出したくもない昨日の出来事たち。
「……一応」
「じゃあ見せてね」
 期待しまくりといった様子の若葉。
「見たいのか?」
「少しはね。あと、桜ちゃんたちにも見せる」
 やめてくれ……
 でもどうせ駄目って言ったって、別ルートで見ることになるんだろうな……早香とか、陽一郎とか。
「そういえば、女物の服ってどうしたの?」
 私のじゃないよね? と言う若葉。当たり前だ。
「借りた」
「誰に?……あっ、もしかして梓川さん?」
 あっさりばれた。
 とぼけても仕方ないので、隠さずに答える。
「よくわかったな……」
「梓川さん、背高いもんね。お兄ちゃんと同じくらいでしょ? だから」
 うーん、我が妹ながら、なかなかの洞察力。
「水瀬君、焼きそばお待ちどうさま」
 男装したクラスメイトがもってきたソースたっぷり焼きそば。ほかほか湯気が上がってて、できたてほやほやであることが一目瞭然。しかし……
「焼きそばなんて頼んだっけ?」
「あ、ううん。作りすぎちゃったから水瀬君に食べてもらえって。高階君が」
 あいつめ……お客の自主性も尊重しないのか。
「まあ、いいけどさ」
 量もちょっと多いし。
「ごめんね。でも私たちが食べるころには冷めちゃってるし。おいしいうちに食べてもらったほうが焼きそばも幸せでしょ」
 どうやら僕の幸せより焼きそばの幸せの方が優先されたらしい。
「えっと、妹さんかな? ご注文はどうします?」
「あ、お兄ちゃんと同じで」
「はい、焼きそばですね。かしこまりました」
 というわけで兄妹揃って焼きそばを食べることになった。
「で、どこに行くとか聞いてなかったのか?」
「うん、演劇部のポスター見てたら見失っちゃった」
 まあ、人も多いしなあ……
「どのへん?」
「うーん……ここ、かなあ」
 パンフレットの校内地図を出すと、理科棟周辺を指差した。
 ということは、行き先は芸術棟の美術室かなあ……茶道部がお茶会をやっている書道教室とも考えられるし、うーん……
「まあ、そのうち会えるだろ、きっと」
 結構人が来てるみたいだから、探すのも大変だろう。
 それに梓川さん、午後から美術部の番だって言ってたし。その時間になれば必ず会える。
「そうだね……わっ!」
 いきなり声を上げる若葉。
「どうした?」
 その指差すほうを向いてみると……
「うわ……」
 お姫様ドレスを着た染草先生が踊っていた。燕尾服の氷川先生と。
「な、なにやってるんだ……?」
 もしかして染草先生、本格的に目覚めちゃったとか……? 祭りの空気にあてられただけだと思いたい。というか、あんな衣装、どっから持ってきたんだ……
 他のクラスの生徒が、面白がって写真を撮っている。それを見て、ますます調子に乗る先生。
「す、すごい先生たちだね……」
「……そうだな」
 しばらくそのダンスを見ていると、若葉の焼きそばが運ばれてきた。
 その焼きそばをつつきながら、若葉が話し掛けてきた。
「……ねえお兄ちゃん、演劇見に行かない?」
 えらく唐突だった。
「演劇?」
「うん、あと30分ぐらい後に体育館で始まるんだけど」
 演劇かあ……いかにも文化祭って感じだな。
 梓川さんたちを探すのも大変だし、若葉を引き連れて校内動き回るのも疲れるし。そうだ、朝から仕事でずっと立ちっぱなしだったんだ。足全体に疲れがたまっているのがわかる。ゆっくり座って演劇鑑賞もいいかも。
 少なくとも、ここでダンスを観賞しているよりは落ち着ける。
 う、染草先生と目が合った。
「……じゃあ食べたら行こうか」
「うんっ」
 嬉しそうな若葉。演劇に興味があるとは思わなかった。
 喜んでもらえて何よりだけど……
 梓川さんたち、大丈夫かなあ。
 やっぱりちょっと心配なのであった。

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