いつか見た君に         

                      〜picture of heart〜

 あのことがあってからも、特に何が変わったということはなかった。早いものでもう10月。何事もなかったかのようにという表現がぴったりだ。陽一郎は、少しバイトを休んだけど、すぐに復帰した。一つだけ変わったことがある。早香が白根家へ毎日通っているということだ……

  第21話・いろいろあった金曜日

「あんた、無理しすぎなのよ……」
 桜ちゃんが演じる早香は、よく似ている。
「……そんなこと、わかってる」
 一方、梢ちゃんが演じる陽一郎は、あまり似ていない。
「桜ちゃんたちのこと、気にしすぎなのよ」
「……おれが気にしないで、誰が気にするんだよ」
 ここは僕の家。
 三姉妹が遊びに来て、早香が毎日白根家へ通っているという話題になって、どうしてそうなったのか聞いてみたところ、
「ばか。あたし達だって気にしてるのよ」
「……そうか」
 この演劇大会(?)が始まってしまったのだ。
「はぁ……」
 早香を演じる桜ちゃんが、大きなため息をつく。
「どうせあんた、働いてる時もそんなこと考えてるんでしょ。余計なこと考えるから、余計に体力が減るのよ」
「……否定しない」
 梢ちゃん、ほとんどいつもの梢ちゃんじゃないか……
 思ってみても、口にはしない。
「まあ、言っても無駄よね……よしっ! 明日から私、毎日あんたの家にいてあげるわ」
「……はあ?」
「あんたの代わりに、この子達を守ってあげるから」
 無茶苦茶だな、早香……
「何でもかんでも椿ちゃんに任せるのもまずいでしょ。あの子、結構無理しちゃうタイプだから……あんたと同じくね」
 なんだ……早香、ちゃんと見てるんだ。
「だから、私が行って椿ちゃんを助けて、あんたを安心させる。一石二鳥じゃない」
 はあ、なるほど。それでこういうことになったのか……
「それからねー、うふふ……早香お姉ちゃんがねー……」
 演劇を中断して、怪しげに笑う桜ちゃん。
 早香がどうしたんだ?
「なになに?」
 興味津々の若葉。
「?」
 何も知らない様子の椿ちゃん。
「…………」
 いつも通りの梢ちゃん。
「おっほん……」
 なんともわざとらしい咳払いをする桜ちゃん。
 息を飲むギャラリー。
「なんと……愛の告白をしたのよ!」
 ……!!
「「ええっ!?」」
「こ、告白……」
「…………」
 驚いた声が若葉とかぶった。いや、兄妹なんだなあと、つくづく……
 はっ、思考が現実逃避しかけた。
 なんだって? 告白? 早香が? 陽一郎に?
 なぜだか知らないけど得意満面の桜ちゃん。
 もう一度整理してみよう。
 早香が、告白した。陽一郎に。
 ……整理も何もないじゃないか。主語、動詞、目的語。何の変哲もない第3文型だ。
 ……そうじゃなくて。
 だめだ。まともにものを考えられない。
「桜ちゃん、何かの間違いじゃあ……」
「そ、そ、そうだよ……」
 見れば、若葉も同じように狼狽している。
「ううん。絶対そうだよ。ね、梢?」
「…………」
 梢ちゃんはノーコメント……と思いきや。
「……多分」
 弱いながらも肯定!
 梢ちゃんまでそう言うのなら、多分間違いじゃないんだろうけど……
 落ち着いて話を聞いてみると、早香が陽一郎を支えながら病院から帰っていたそうだ。で、バスで草神駅までたどり着き、桜ちゃんと梢ちゃんが4人分の切符を買って陽一郎と早香のいるベンチに戻ってみると……
「なんだかいい雰囲気で『……俺でいいのか?』『あんただからよ』って言ってたの!」
 うわっ、そのまんま!
 しかし駅のベンチで告白するか、普通……
「あそこまではっきり言われると、逆にこっちが恥ずかしくなるわよ。でも……良かった。早香お姉ちゃんで」
 ほっと息をついた桜ちゃんの目は、とでも穏やかに見えた。
 まあ、驚いてはみたものの、これといって大きく変わることもないだろう。今までだってお互いに一番だったわけだし、早香が陽一郎の家に行くことだって、さほど珍しいことじゃない。改めてはっきりさせたってところかな。
 ……それが驚きなんだけども。
 会話が途切れ、みんなで紅茶をすすっていると、
  ピンポーン
 来客を告げる音が聞こえてきた。
「誰だろ?」
 首をかしげる若葉。来客の予定は白根三姉妹以外にない。
「宅急便か何かじゃないの?」
 席を立って玄関に向かう若葉。すると、
 ピピピンポーン、ピンポピンポーン!
 いきなり連打しだした。
 ……こんなことする人の心当たりは、ないこともないんだけど……その可能性はかなり低いわけで、とか思っていると。
「「ただいまーっ!」」
 その声を聞いたとき、きわめて低い可能性に命中してしまった事を知ってしまった。
「圭ちゃんただいまっ」
「長いこと留守にして済まんかったなあ、圭!」
 何を隠そう実の両親のご帰宅だった。
 父さんも母さんもスーツ姿。はたから見れば普通に会社帰りといった様子だ。でもそうじゃなくて、どこかの外国から帰ってきた……はず。
 父さんは僕よりちょっと背が高いぐらいで、髪はいつも短めに切っている。母さんの肩で切りそろえた髪はくせ毛で、雨の日はいつも悪戦苦闘していた。つい2年前、僕に身長を追い越された。
 二人ともなかなかテンションが高い。そんな両親に対して、子供二人は一歩引き気味だ。
「おかえり……ちょっとは落ち着いたら?」
 いくらなんでもはしゃぎすぎだ。
「冷たい息子だなあ……おっ、さつこじゃないか。お久し振り」
 さつことは、白根三姉妹のこと。桜ちゃん、椿ちゃん、梢ちゃんのそれぞれの頭文字を取って、まとめて『さつこ』と呼んでいるのだ。今のところこの呼び方をするのはうちの両親以外に確認したことがない。
「電話……なかったよね」
 玄関から髪をくしゃくしゃにした若葉が戻ってきた。多分頭を鷲づかみにされて前後に振られたんだろう……
「緊急帰国だったのよ。で、会社でもごたごたしちゃって」
 『ごめんねー』と両手を合わせる母さん。
「やっぱり日本はいいわね。内戦がなくて」
 内戦……?
「お母さん、内戦って……」
「あら、ニュースでやってない? 私達がいた国のこと」
 私達がいた国って……ああ、あの封筒の謎の国か。
「いやあ、もう大変だったぞ。目の前で車が爆発したりして」
 改めて国名を聞いてみると、聞いたことのないような国だった。お母さんは若葉に地図帳を持ってこさせると、いわゆる中東のあたりを指差し、『このへん』と言った。
 このへんって……
「まあ、私達は今から寝るから。夜ご飯前になったら起こしてね」
 帰ってきていきなり寝るか……
「じゃあさつこ。久しぶりなのに何のもてなしもできなくて悪いが……ゆっくりしていきなさい」
 『さつこ』に向かって笑顔を向ける父さん。
「はい。おやすみなさーい」
「えっと……また後日ゆっくりと」
「…………」
 頭を下げた梢ちゃんが再び顔をあげてみると、もうそこに両親の姿はなかった。出たときのままにしてある自分達の寝室に向かったんだろう。
「なんだったんだ……」
 我が両親ながら、いきなりのあのテンションにはついていけない。
「……びっくりした……」
 若葉も呆然としている。
「目の前で車爆発ってすごいねー」
「本当に……」
 白根三姉妹だけが平然と話を続けていた。
 ……普通逆じゃないのか? 身内が呆然としててどうするんだ。
「えっと……なんだっけ。早香さんのことだっけ」
 若葉が仕切りなおす。
「ああ、そうそう。それで最近ますます仲が良くなったように見えたのか」
 とりあえず、会話で両親の事を一旦忘れることにする。
「あ、やっぱりわかった?」
 とは桜ちゃん。
「ただ、デートなんかはしてないみたいなんだけどね」
 デートねえ……一緒に遊びに行くことなんて、今更だしなあ。
「いいんじゃないの……?」
「ダメ。やっぱり恋人同士はデートしなきゃ」
 力説する桜ちゃん。そんなもんなのかなあ……
「そうなの?」
「そうなのっ」
 力強い肯定。
「二人っきりの甘い時間を過ごして、ロマンチックな雰囲気が頂点に達して、二人は愛の口づけを……」
 桜ちゃんが遠い世界に行ってしまった。
「姉さん、最近少女漫画にはまってて……」
 と、椿ちゃん。
 なるほど。そういうことか。でも今時そんな王道な展開のものがうけるのかなあ……こそっと若葉に聞いてみると、
「うん、いいものはやっぱりいいよ」
 だそうで。これが男には分からない乙女心というものなのか。
「そうだっ!」
 突然声を上げる桜ちゃん。
「私達がセッティングしてあげよ!」
 セッティング……? 二人のデートの?
 それは何か違う気がするんだけど……
「私『達』って……?」
 おい若葉、突っ込むところはそこなのか?
「もちろん、ここにいる全員よ」
 見回した中に、しっかり僕も入っていた。
「姉さん……それはちょっと」
「どうしてよ椿。あの二人には幸せになってもらいたいでしょ?」
 いや、そりゃそうだけど……
「でもほら、そういうのって、私達がどうこうする問題じゃないんじゃ……」
 若葉もフォロー。
 梢ちゃんはただ静かに状況を見守っているし、孤立無援の桜ちゃんであった。
「お兄ちゃんは、どう思うの?」
「うーん……なんというか」
 どうしよう……
「早香、毎日家に行ってるんでしょ? それってデート以上じゃないの……?」
 我ながら意味不明。でも桜ちゃんは、はっとした表情になる。
「そ、そうかもしれない……!」
 一人で顔を赤らめる桜ちゃん。
「そうよそうよ……押しかけ女房!」
 あー、なんだか一人でまた走り出してしまったぞ。
「お兄ちゃん……」
「姉さんのことは、気にしないでください」
 苦笑する仲良し二人組。
 椿ちゃんの話によると、桜ちゃんの少女漫画への入れ込み具合は半端ではなく、クラス中の友達から毎日借りまくっているそうだ。その数、すでに数百冊……もちろん、借りっぱなしではなく、ちゃんと返している。それでも常時10冊ぐらいは三姉妹の部屋の中にあるそうだ。
「そのうち私達の友達のも借りてきてって言われそうなんです……」
 ……珍しくため息をつく椿ちゃん。その姿から、苦労の大きさがうかがえる。
 しかし、桜ちゃんは大丈夫なのか……? 若葉と同じ学年だから、受験じゃあ……
「勉強、大丈夫なの?」
「さあ……」
 困った顔で笑う椿ちゃん。
「そういえば、若葉ってどこ受けるんだ?」
「えっ……えっと、瀬良南か御崎原のつもり」
 ほう。志乃上よりちょっと上のレベルじゃないか。
 ちなみに、御崎原駅は志乃上駅の1つむこう。瀬良南の最寄りは瀬良駅だからその2つ向こうになる。瀬良なら梓川さんの家……だよな。そして陽一郎が駅前でたこ焼き屋のバイトをしている駅でもある。
「私学は?」
 ちなみに先に言った二つは両方とも公立。
「私学は……今のとこ考えてない」
 なるほど。ちなみに、私立の学校のことは良く知らない。
「そうか……神芦なんてどうだ?」
「あははっ、無理だよー」
 笑って否定する若葉。神芦はわりと近くにある一番頭のいい名門私立だ。
「神芦受けるぐらいなら、この辺で一番の公立に楽々通っちゃうよ」
 それもそうだ。
 第一、私立は学費が高いって聞くし。さらに神芦は家柄とかも考慮されるらしいし。両親共に商社勤めのうちじゃあなあ……
 立地は近いけど、ある意味一番遠い学校だな……
「……で、そちらの夢見るお姉さんはどちらの高校へ?」
「えっ、姉さんですか?」
 まだ惚けている桜ちゃんの代わりに、椿ちゃんが答える。
「姉さんは、兄さんと同じ高校って言ってましたけど……」
 志乃上かー。まあ、さほど難しいわけもないし、そこそこにいい高校生活を楽しめるんじゃないかな……
 って、入ってくるのは来年? 僕らは3年?
「また桜ちゃんと一緒に通うことになるのか……」
 まあ、中学の時も1年間はそうだったんだけど。中学と高校じゃあ、やっぱり違う。何より、朝の満員電車。
「どっちにしたって、私も途中までは同じだよ」
 と、若葉。
「でも家を出る時間は違うんじゃないのか?」
「あ、そっか……」
 駅2つ3つならそんなに変わらないような気もするけど。
「いいなぁ。私もお兄さんと一緒に学校行きたいです」
 なんだか残念そうに笑う椿ちゃん。
「そう? なんでまた?」
「えっと……なんとなく。です」
 なんとなくですか。
「ほら、姉さんとは一緒になる期間があるじゃないですか。でも私や梢はお兄さんと一緒になることなんてないですから」
 ああ、なるほど。中学校の時もそうだったなあ。2つ下と3つ下の間には大きな違いがあったわけだ。
「そういえばそうだね。小学校のときはどうだったっけ?」
 あまり良く覚えていない。
「小学校のときは確か……」
「ほら、お兄ちゃん達はいつも3人で帰ってたじゃない」
 そうだ。陽一郎、早香と一緒に下校してたんだ。妹達はほったらかしだった……
「帰る時間は学年で違ってたから仕方ないですけど」
 そういえばそうだ。もう何年も前のことだから良く覚えていないけど、小学1年生って午前中で終わってなかったっけ……?
「行くときはばらばらだったしなあ」
「うん。小学校への道ってあまり一緒じゃないもんね」
 若葉の言うとおり、3人それぞれの家から小学校までの道のりで、一緒になる区間はそれほど長くはない。けれどいつも一緒に帰っていたのは、放課後になると大体3人で遊んでいたからだ。
「桜姉さんだけずるい……」
 梢ちゃん、それはずるいっていうのか?
「あ、私は大学なら一緒に行けるのかな?」
 手を合わせて嬉しそうに話す椿ちゃん。大学って、またなんとも気が早い。確かに、順調に行けば僕が大学4年のとき椿ちゃんは大学1年だけど……
「気が早いって」
「そうですけど……」
 僕と学校に行ったって面白くも何ともないぞ……
「お兄さんが浪人すれば……」
 とんでもないことを言い出す梢ちゃん。
「こらこら、梢ちゃん」
「…………冗談です」
 椿ちゃんと大学に通うのより、なぜか現実味を帯びてて嫌だ。しかも梢ちゃんだから、本気とも冗談ともつかない。
「冗談です」と言う割には残念そうな顔の梢ちゃん。
 それを見て、若葉が笑う。
「お兄ちゃん、大人気だね」
「えらく局所的な人気だな……」
 僕のつぶやきに、あははと笑う若葉。
「でも、やっぱり一人で通うよりは良いですよ……痴漢とか怖いですし」
 椿ちゃんが真面目な表情で言った。
 ああ、そっか。女の子にはそういう問題があったのか。
「うん。そうだよね」
 当然といった様子うなずく若葉。
 痴漢か……
 早香や梓川さんはどうなんだろうか。ちょっと心配になってきたぞ。
「お兄ちゃん?」
「えっ?」
 顔をあげると、桜ちゃん以外のみんながこっちを見ていた。
「ああ、いや。女の子って大変だなって思ってさ」
 男としては逆に、痴漢に間違われたらどうしようと考えることもあるけれど。
「ふーん……お兄ちゃん、早香さんと梓川さんのこと考えてたでしょ」
 なにやら楽しそうな若葉。
「よくわかったな」
 悔しいけど、図星。
「お兄ちゃんの身近にいる女の人ってその二人ぐらいだもん」
「大きなお世話だ」
 若葉の奴、何が嬉しいのかニコニコしている。
「でも心配だよねー。梓川さんかわいいし、スタイルいいし」
「……何が言いたいんだ?」
「べっつにー」
 引っかかる物言いだな……
 確かに梓川さんのことは心配だけど、でも学校はさんで反対方向だからなあ……一緒に登校するわけにもいかないし。
 しかし……言われるまでは全然気にしてなかったけど、いざそういうことを言われると心配になってくるじゃないか。
「お兄ちゃん」
 考え込む僕を若葉が呼ぶ。
「ん?」
「早めに家を出て、梓川さんと一緒に登校したら?」
 とんでもないことを言ってくる若葉。
「そんな無茶な……」
「無茶じゃないよ。30分ぐらい早く出ればすむでしょ。梓川さん、守ってあげなきゃ」
 いや、ただ30分早く出るのはいいんだけど、通勤ラッシュがひどくて……それ以前に、定期の効かない範囲を乗ってさらにUターンじゃあ、不正乗車じゃないか……
「そうですよ」
 椿ちゃんが若葉の言葉にうなずく。
「きっと心細いはずですよ……お兄さんが行ってあげれば、きっと安心しますよ」
 と、強力な賛成演説。
 その言葉に調子付いたのか、ばっと立ち上がる若葉。
「じゃあ私、明日からお兄ちゃんが迎えに行くって梓川さんに電話してくるねっ」
「おいっ、若葉!」
 止める間もなく電話に走る若葉……いつの間に梓川さんの電話番号を……
 呆然と見送る僕に、椿ちゃんが話し掛けてくる。
「お兄さん、梓川さんのこと心配なんですよね?」
「そりゃあ、まあ……」
 心配であることは確かだけど……だからって、ラッシュにもまれながら不正乗車するってのもなぁ。梓川さんもそこまでしてもらいたくないんじゃ……?
 ……そうだ。そうに決まってる。きっと梓川さんは、自分のために不正なことをして欲しくないと思うはずだ!
「心配なんでしたら……」
 椿ちゃんがそこまで言ったところで、
「お兄ちゃーん」
 若葉が走って帰ってきた。
 きっと梓川さんは遠慮して……
「梓川さん『お願いします』だって!」
「ほら……えっ?」
 あ、梓川さん……?
「とっても喜んでたよ」
 喜んでたって……そりゃあ、迷惑だって言われたらショックだけどさ。
 違うだろ。そういう問題じゃないだろ。
「若葉……お前……」
「あ、そうだ。明日から30分早くお弁当作らなきゃ」
 妙に張り切っている若葉。
「ちょっと待て。まだ決めたわけじゃ……」
「お兄ちゃん!」
 僕の言葉を遮る鋭い声。
 夢の世界から帰還した桜ちゃんだった。
 勢いつきまくりの白根家長女は、僕に向かってびしっと指をさす。
「男らしくないっ!」
 いきなり責められた。
「うちのお兄ちゃんと早香お姉ちゃんがくっついたんだから、次はお兄ちゃんと梓川さんの番っ!」
 な、何を言ってるんだ……
「さ、桜ちゃ……」
「30分ぐらい全然大したことないっ! だから、明日からお兄ちゃんは梓川さんを迎えに行くのっ! 決定!」
 あっという間に決められてしまった。若葉は当然ながら、椿ちゃんも梢ちゃんも止めようとしない。それどころか……
「お姉さん、いいなぁ……」
「……羨ましい」
 またさっきの話題……助け舟はない。
「ねっ?」
 燃える乙女、桜ちゃん。もう何を言っても無駄だろう。
「……はい。わかりました」
 気おされてなぜか敬語になってしまった。対して、満足そうな桜ちゃんであった。
 なんとなく、梓川さんの姿が頭に浮かんだ。若葉の話が本当なら、梓川さん喜んでたんだよな……
「……まあ、いいか」
 ふっと息をついて、小さくつぶやいた。


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