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Present by Ouka.Shimotuki



*** beast of a lover ***
〜vol.1〜








こちらをじっと見つめる大きな瞳に浮かぶ色が、微妙に違う気がした。だから、
「‥‥何だよ?」
 気付いたら、そう尋ねていた。
「オレも‥そうだから。バトルの後って、そんな感じになるから」
 主語の抜けた言葉は、多分に周囲のメンバーを憚っての事だ。いつも通り遠征で勝利して、群馬までの帰路途中で立ち寄ったP.A。何となしに無言が多くなるドライバー二人が、遠巻きにされる感のある場面であっても、内容を探ってみれば当然の考慮だ。
 啓介は、いつの間にか同じテーブルに着いていた拓海を、一瞬だけ無表情で見遣った。だがすぐに、理解出来てしまった時点で、白を切るのも無意味だと思い直す。
「よく分ったな」
 肯定と言える返事に、拓海の表情が僅かに和らぐ。―――けれど。
 真っ直ぐに合わされた視線は決して揺らぐ事もなく。違和を感じた色はどんどん濃度を深めていた。
 その様子を至近距離で見せられた啓介は、やはり視線を外せないまま思う。
 プロジェクトDの双璧として互いを意識しつつも、純粋に速さを求める為だけの対象であった相手が、まるで別人のように目前に現れたような―――不思議な感覚。
「お前‥‥も?」
 ではこの感覚を、この男も自分に感じているのだろうか。



 あれは、プロジェクトDのドライバーとして初めてバトルした夜だった。
 前日から現地入り、プラクティス。そしてバトル。身体も頭もボロボロに疲れていた筈なのに、群馬の自宅で床に就いても眠気は襲って来なかった。
 それどころか―――高まった興奮は、そのまま安直に下半身へ結び付く。
 啓介は派手な外見に反して、案外モラリストな所があった。きちんとした恋愛感情があり、それが疎通していなければセックスなんて意味がないと思っていた。
 けれどその夜―――愕然とした。
 この熱を鎮めてくれるなら誰でもいいと。そう考えている自分に。



「何か意外、つーか。お前ってそーいうの‥‥無いワケねーか。オレよりガツガツしてる年だもんな」
 野郎ばかりが集まれば、当然話題は下世話な方向へ傾く。プロジェクトのメンバーとも例外ではなかったけれど、相手が拓海となれば話は別だ。今までこんな砕けた会話などした事はない。
「そりゃオレだってありますよ。性欲くらい」
「‥‥ハッキリ言うな、ボケッとしたツラして」
「カオは関係ねーでしょ」
 とは言っても。茶化されて口を尖らせている表情からは、変わらず陰媚な劣情を推し量る事は難しい。―――只、それと反比例する瞳の色だけが、啓介に微妙な違和感を伝えて来るだけだ。
「いや‥‥関係ある、かな」
 何故にこんな会話を、同じチームであっても「ライバル」と目する相手―――しかもまともに喋った回数だって怪しいような―――と交わしているのかと自問し始めた啓介の前で、拓海の口元が微かに釣り上がる。 「押し殺してる啓介さんのカオって、すげー色っぽいね」
 一段低いトーンに抑えられた声と、細まった目に。ようやく啓介は「誘われている」のだと自覚した。





 しかしこれは只事では無い。
「‥‥‥‥」
 群馬へと辿り着いた一団は、大仕事を成し遂げた後でもちろん憔悴し切っている。簡単なミーティングを終えれば、あと目指すのは誰も彼も自宅のベットだ。
 啓介とて、それぞれ引き上げて行くメンバーのように、このまま帰ってしまいたかった。拓海の意志を知って呆然となり、返事も口に乗せられないままここまで来てしまったが、事が事だし相手が相手だ。状況を考えれば、車から降りてこっちずっと視線を投げて来る拓海にしても、無視を決め込むのが一番の得策だろう。
 なのに、それが出来ない。
 すでにメンバーは去り、残るは啓介と拓海だけになっていた。今までの喧噪が嘘のように、静まり返る駐車場。
 拓海は何ら変わらず眠そうな表情のまま、自分の車に寄り添うようにして立っている。何を考えているのかさっぱり掴めないまでも、最後まで残ってしまった時点で、啓介からしてみればイエスの返事をしたのと同じだ。躊躇する理由はいくらでもあって、それが居心地を悪くする。
 ―――と、それまで微動だにしなかった拓海が、啓介に向かって足を進めた。
 今度はどう出て来るのか咄嗟に身構えた啓介の身体を、勢いでもって愛車に押し付ける。
 ここでもし拓海から何らかの言葉を掛けられていたら―――再確認でも促すものでも何でもいい―――そうであったなら、啓介はきっと拒絶の言葉を吐けただろう。
「―――――ッ!」
 しかし無言のまま。強引に口唇を塞がれた啓介の喉からは、声にならない呻きしか上がらない。そしてそれすらも封じるように深く―――容赦なく。奪われ続ける。
 帰ったって眠れない。格下の相手では燃焼し切れないほどのテンションを抱え込む身体は、燻り続ける熱を発散出来ずに舌なめずりを始めている。
 啓介にとって致命的だったのは、相手が「藤原拓海」であった事だ。いま自らが一番燃え立つもの、その象徴。
「オレじゃなきゃダメだろ。‥‥たぶんコレ、オレら二人にしか分かんない事だから」
 長いキスの後、見知らぬ顔をしたライバルは、やはり見慣れぬ笑顔でそう告げる。
 こんな誘惑に、抗える術などありはしない。





 男相手に猛ってるとか、相手は微妙な関係にあるドライバーなんだとか、一切の禁忌は頭の隅へと追い払う。―――いや、一度踏ん切りを付けた時点で、啓介にとってそれらは快楽を深くする道具にさえ変わった。
 適当に入った、いわゆる「ラブホテル」というやつの一室へ、雪崩れ込むなり再度口唇を合わせて来た拓海に対し、啓介ももはや怯んではいなかった。
「う、わ!」
 仕掛けられたキスに反撃しながら、体格の差を生かし、拓海をベットへ押し倒す。
 ・・・が。羽織っていたパーカーを拓海の身体の下から引き摺り出して、次はハイネック―――と手を進めたところで、どうして良いか分らなくなった。自慢じゃないが、男とホテルに入った事なんか無い。
「‥‥面倒なモン着やがって‥」
 舌打ちし、女相手の時から思っていたが口には出さなかったセリフを吐く。
 そんな啓介に、下敷きになっていた拓海が盛大に吹き出した。
「ホント、アンタってば男前。吹っ切ったら迷いナシ! だしさ」
「ンなの、いつまでも悩んでられっか。オレはやりたい事はやる主義なの。‥‥んーでも、こっからどーすっか考え中」
 とりあえず脱がせようかと、ハイネックのセーターに手を掛けながら言う。
 露出する拓海の肌に、少しは興奮が高まるけれど。当の本人は笑っているし。
「てめー‥。少しはムードってモン考えろよ。ゲラゲラ笑ってんじゃねぇ」
「そんなの啓介さんもでしょ。―――大体、オレ脱がせて楽しい?」
「‥‥‥‥」





―――To be Continue‥.








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