DIANAxALBERT 3
「う・・・・・・・あ、ああ・・・・・っ・・・・!」
アルベルトは、後ろ手に縛られ、全裸で椅子に座らされていた。
その肛腔は、椅子に固定されたおぞましく蠢く性具に犯されている。
自重で深く貫かれ、アルベルトは苦痛の喘ぎを漏らしていた。
硬く屹立した牡芯は、根元を朱房のついた飾り紐できつく結わえられ、尿道に、真紅の薔薇が活けられていた。
「いやらしい子・・・。こんな事されて、感じているのね・・・。痛いのが気持ちいいの?」
「気持ち・・・よくなんか・・・ないっ・・・!」
必死で答えるアルベルトの額には、脂汗が浮いていた。
「嘘をおっしゃい。それならどうしてここをこんなに勃たせているの?」
姉の指が、優雅な仕草で弟の尿道を犯している薔薇を摘まみ、ゆっくりと上下させる。
「うあっ…────ひィッ!」
おぞましい掻痒感に身をのけぞらせた瞬間、肛腔を犯した性具が、更に腸内に深くもぐりこみ、アルベルトが悲鳴を上げた。
「暴れてはだめよ、アルベルト。薔薇の花が散ってしまうわ。」
「あ… が…っ…!」
達してしまいたくとも、根元をきつく縛られているため、それもかなわず、弟の若樹は、ひくん、ひくん、と、せつなそうに震えている。
歳のわりに、幼い顔、幼い肢体。
しかし、鼠蹊部で息づく若樹は、幼い頃から姉に弄ばれ続けたせいで、大きさこそさほどでもなかったが、グロテスクなほどに成熟し、完全に男を露出させている。
「ど・・・して・・・? 姉さん・・・・っ! 姉さんは、殿下のお嫁さん・・・に、なる、のにっ・・・?」
こんな事も、もう終わるのだと思っていたのに。
先刻まで、自分の美しい姉がローザリアの貴婦人達の頂点に立つという誇らしさで、アルベルトの胸はいっぱいだったのに。
「私が嫁いだら、私から逃げられるとでも思ったの?」
ディアナが、薔薇をアルベルトの牡芯深く、突き立てた。
「ひあぁぁぁぁっ!」
「お前は私のもの…。アルベルト。私から逃げようなんて、許さない。」
「あ… あ… ね、え、さ…」
後ろを犯され、前を嬲られて、弟は苦悶と快感の入り混じった声を上げる。
若樹の先端からは、透明の液が、まるで涙のように滴り落ちている。
「ここをこんな風に犯されて、こんなに濡らすなんて、お前は本当に淫売女のようね。」
姉の指が、零れた雫を掬い上げる。
そして、その指を、わななく弟の口に乱暴に突っ込んだ。
「──── ぐっ!」
「お前のもので汚れてしまったわ。清めなさい。アルベルト。」
姉の指が、弟の口腔をめちゃくちゃにかき混ぜる。
アルベルトは、苦痛と嘔吐感と屈辱感にまみれながら、姉の指に舌を絡めた。
涙が零れる。
不意に、アルベルトの頬に、柔らかいものが触れた。
「──── !」
それが何か気づき、アルベルトが目を見張る。
ディアナの唇が、アルベルトの頬に触れ、その涙を吸い取っていた。
アルベルトの口から姉の指が引き抜かれ、優しく、顎に添えられる。
そして、唇が重なる。
姉さん………………………!
キスされてる、と思った瞬間、アルベルトの心は弾け飛んでいた。
夢中で、その甘い唇を貪る。
後ろ手に縛られているのがもどかしかった。
姉の体を力いっぱい抱きしめたかった。
姉さん…姉さん姉さん姉さん姉さん……………!
唇が離れた。
恍惚の表情で目を開けたアルベルトは、驚愕した。
姉が、ナイトウェアの前を寛げ、その豊満な乳房を露にしていた。
「ね────ねえさ──── …」
長じてから、姉の裸など見た事もなかったアルベルトは、すっかりうろたえていた。
姉との房事でも、アルベルトは一方的に姉に弄ばれるだけで、姉は服を脱ぎもしなかった。
これだけ濃密に夜を重ねてきたにもかかわらず、アルベルトとディアナが体を繋いだ事は一度として無かったのだ。
その姉が、目の前でその裸身を弟の前で晒していた。
驚くアルベルトの鼻先に、姉がふくよかな乳房を抱え上げて突き出した。
「お舐めなさい。」
おずおずと、アルベルトはそれを口に含んだ。
ふくよかで柔らかい乳房の感触と、その頂の尖った果実。
アルベルトは、赤子がやるように、乳首を強く吸った。
「あっ…あ…!」
姉が喘いだ。
その、思いもよらぬ甘い声に、アルベルトの牡芯は、暴発しそうなほど反応する。
けれど、根元をきつく戒められている股間の牡芯は、萎える事も達する事も出来ない。
「姉さん…! 姉さん…、イかせてよぉっ…!」
ちゅうちゅうと姉の乳首を吸いながら、弟が哀願する。
姉の手が、弟の尿道を犯していた薔薇を、そっと抜く。
「ああ………!」
てっきり姉が、いつものように手で絶頂に導いてくれる、と思ったアルベルトは、次の瞬間、思わず叫んでいた。
「ね、姉さんッ!?」
姉が、下着を脱ぎ、弟の下半身に跨ろうとしていた。
「やめ・・・やめて! 姉さんッ! やめてッ! いけないよ!」
実の姉と最後の一線を越えるわけにはいかない。
アルベルトは恐怖でいっぱいになった。
「姉さんやめて! こんなの…こんなの、
神様 がお許しにならないよ!!」後門の性具がより深く自身を貫く事も構わずに、アルベルトは、必死に、めちゃくちゃに暴れる。
「姉さんッッッッ!!!!」
ありったけの声でわめく。
「ナイトハルト様のお嫁さんになれなくなっちゃうよぉ!!!!」
姉の動きが止まった。
姉がゆっくりと、弟から体を離す。
「アルベルト・・・・・・・・」
弟は、しゃくりあげながら泣いていた。
「こんなこと…ダメだよ…。ね、姉さんは、ナイトハルト様の、お、お嫁さんに…なるんだから…。」
アルベルトの喉が、ひゅーひゅーと鳴る。
極度の緊張感から、アルベルトは酸欠を起こしていた。
「ねえ・・・さ・・・は、そんなに、ぼくが・・・き、きらい・・・なの?」
それだけを言うと、アルベルトの意識は混濁し、その頭が、がくりと垂れた。
姉が無表情で弟を見下ろす。
姉の指が弟の顔を掴み、上に向かせる。
アルベルトは、完全に失神していた。
「アルベルト・・・・・・・・・・・・・」
失神した弟を、姉は、能面のような無表情で見つめる。
縛っていた弟の後ろ手をほどく。
弟の体がぐらりとかしいで、そのまま床に倒れこんだ。
弟の若樹の戒めを解くと、堰き止められていた白濁液がどろりと流れ出した。
弟の後門を犯していた性具も引き抜く。
「きらいなのか・・・ですって?」
ディアナは、表情を変えず、低くつぶやいた。
「大嫌いよ。お前なんて。」
意識を失った弟の耳に届くはずもないとわかっていながら、ディアナは弟をまっすぐに見下ろしてそう吐き捨てていた。
お前にはわからないでしょうよ、アルベルト。
お前には一生わからないわ。
お前が生まれてくるまで、イスマスの後継ぎは私だった。
お母様はお体があまりお丈夫ではいらっしゃらなかったから、子供は私だけと諦めていらした。
だから、私は、幼い頃から後継ぎとして育てられてきた。
同じ年頃の女の子達が、お茶のお作法やダンスを習っている頃、私は剣の振り方と馬の乗り方を教えられていたわ。
それでも私はそれを辛いと思った事はなかった。
尊敬するお父様のようになれるのなら、何も辛くはなかった。
後継ぎとしての自分に、誇りを持っていたわ。
なのに、お前が生まれた。
お前が生まれた日の事を、私は今でも忘れない。
お父様は、生まれたばかりのお前を抱き上げてこう仰られたのよ。
「男の子だ! 待望の後継ぎだ! おお!エロールよニーサよ感謝します!」
後継ぎ? 後継ぎ??
後継ぎは私ではなかったの?
その赤ちゃんが後継ぎだと言うの?
では私は何? 今まで後継ぎとして育てられてきたこの私はいったい何なの?
それから私の生活は全てが変わってしまった。
他の女の子達と同じように、お作法とダンスを習わされるようになったの。
この屈辱がお前にわかると言うの?
私のそれまでの人生は、お前の誕生と共に無かった事になったのよ。
いきなり鎧の代わりにドレスを着せられ、いきなり社交界に連れて行かれ、いきなりダンスを踊らさせられたのよ。
それまでダンスなど踊った事の無かった私が。
ローザリア中の同い年の女の子達が優雅にステップを踏む中、私は、ドレスの裾を踏んづけてみっともなく転んだわ。
惨めな思いで帰ってきた私に、お父様は
「ダンスくらいまともに踊れなくてどうする。貴婦人のたしなみだろう。やれやれ。少しお前を甘やかしすぎたようだな。」
って、そう仰ったわ。
社交界で転んだ事よりも何よりも、お父様のその言葉が一番、私を傷つけた。
お父様は、ご自分が私に剣と鎧をお与えになり、後継ぎだからと、婿をとるのだから社交界にでる事など必要ないと仰った事を、全てお忘れになってしまっているようだった・・・。
私が薔薇騎士隊に任命された時も、さほど嬉しそうなご様子ではなかった。
むしろ、年頃の娘が鎧なぞ着て、と眉根を顰められた。
それが、薔薇騎士隊はナイトハルト殿下の直轄、とお聞きになったとたん、手のひらを返すように上機嫌になられた・・・。
まるで薔薇騎士隊が、殿下の花嫁候補を集めているとでも言いたげに・・・。
・・・ああ、ナイトハルト殿下・・・・・・・・・・!
この国に住んでいて、あの方に焦がれない女などいるだろうか・・・。
だけど・・・
だけど、私は・・・。
私は、殿下の妻ではなく、殿下の臣下になりたかった。
鎧を身につけ、剣を繰り、ローザリア王国イスマス城主ルドルフの後継ぎとして・・・。
アルベルト、お前さえ生まれてこなければ…、或いは、私が男でさえあったなら…!
「お前は贖うのよ。私に。」
いつしか、ディアナの両の瞳からは滂沱の涙があふれ出ていた。
「お前は生まれてきただけで私から何もかもを奪った。後継ぎも、お父様の愛も、私の誇りも、何もかもを。」
意識を失っている弟の傍らへ、力なく跪く。
今しがた、嫌いだといったばかりの弟の体を、そっと、優しく、かき抱く。
その体を強く強く抱きしめる。
「・・・・・・・・・・・・・・・アルベルト・・・・・・・・・・・・・」
姉の瞳から零れ落ちた涙が、いくつもいくつも、弟の頬に滴り落ちていた。
* * *
アルベルトは、ぼんやりと目を覚ました。
見慣れた天井を認めて、そこが自分の部屋の自分のベッドである事に気づく。
姉さんが…ここに運んでくれたのか…。
夢の中で、姉の泣き顔を見たような気がした。
すぐに、それは夢だろう、と思う。
何故なら、アルベルトは姉の涙など、生まれてこのかた一度も見た事が無かったから。
僕は…この先も一生、姉さんからは逃れられないのか…
その時だった。
部屋の外が何か騒がしい、と思った瞬間、武装した姉が部屋に飛び込んできた。
「アルベルト! 敵よ!」
敵!?
一瞬アルベルトの脳裏に浮かんだのは、ついにバファル帝国がローザリアに攻め込んできたか、という事だった。
けれどそうではなかった。
モンスターの大群が、イスマス城を襲っていたのだ。
姉に伴われ、謁見の間に急ぐと、父母が兵士達に守られて戦いの準備をしていた。
「アルベルト、ディアナ、城から脱出し、クリスタルシティへ行き、ナイトハルト殿下に救援を求めるのだ。」
父の言葉に、アルベルトは思わず叫ぶ。
「父上、私はここで戦います!」
「馬鹿者! お前は殿下に誓いを立てたではないか! ディアナと共に行け!」
父の叱咤が飛ぶ。
そこには、せめて子供達だけでも生き延びさせねば、という、親の悲壮な決意があった。
「行くわよ、アルベルト!」
ディアナが弟の手を取り、踵を返す。
「姉さん!」
抗議を口にしようとして、アルベルトはハッとした。
姉の瞳に、涙が光っていた。
それでも唇を噛み締め、泣くまいと毅然と前を向いている。
「アルベルト様! ディアナ様! さあこちらから!」
兵士の一人が、城の外への抜け道を開けた。
アルベルトは、己も唇をきゅっと噛むと、姉の手を取って走りだした。
「行こう、姉さん!」
長い抜け道を抜け、城の外に抜け出した姉弟は、その瞬間、呆然とした。
「ここにもモンスターが…!」
洞窟のモンスター達なんかとは比べ物にならないほど強いドラゴン系のモンスターが、そこにいた。
城の外は、もはやモンスターに埋め尽くされていたのだ。
瞬く間に二人はドラゴンに囲まれ、崖っぷちまで追い詰められる。
「くっ・・・!」
咄嗟に二人は剣を抜き、構えたが、それ以上、どうする事もできない。
二人で切りかかれば、1匹くらいは倒せるかもしれなかった。
だが、それでどうなるというのだ。
ドラゴン達は、じりじりと間合いを詰めてくる。
どうする?どうしたらいい?
アルベルトは横目で姉を見た。
姉もまた蒼白ではあったが、その瞳は、強い光を秘めて敵を見据えている。
その美しい、凛とした横顔。
こんな時だというのに、アルベルトは一瞬、姉を心底美しい、と思った。
姉さん・・・
僕の姉さん・・・
ローザリアの誰よりも美しくて誰よりも気高い、僕の姉さん・・・
ナイトハルト殿下の・・・お后様になる人・・・
アルベルトは、決意した。
「姉さんだけは逃げて! 」
姉さんだけは、僕が守ってみせる。
僕は、ローザリア王国イスマス城主ルドルフの息子だ。
「アルベルト・・・」
姉が一瞬、驚いた目で弟を見た。
その顔が、にっこりと微笑む。
花のように美しく。
「いいえ、アルベルト。逃げるのはあなたよ。」
「姉さん!?」
「必ずナイトハルト様の元へ辿り着くのよ。あなた、泳げるわね?」
言うが早いか、ディアナは、アルベルトを力いっぱい突き飛ばした。
「ねえさっ───── !」
──── 愛しているわ、アルベルト。
驚愕に目を見開いたまま、崖を転落していくアルベルトの体。
「うわあああああああああああ」
それを見送り、ディアナは、くるりとドラゴン達を振り向いた。
その顔は、もう貴婦人の顔ではなく、一人の騎士の顔だった。
「我こそはローザリアの薔薇騎士にして、イスマス城主ルドルフが娘ディアナ! いざ参る!」
高らかに名乗りを上げ、ドラゴン達の間へ躍り込むディアナ。
「流星剣!」
圧倒的に不利な状況だというのに、心は澄み切っていた。
生き延びるのよ、アルベルト・・・・・・・
・・・愛しているわ・・・・・・・
弟への、憎しみ、嫉妬。それと同じくらい強い、愛。
それらが綯い交ぜとなって、弟への歪んだ執着となっていた。
それでもアルベルトは・・・こんな私に逃げろと言ってくれた・・・
不意に、殺気。
はっとして振り返るディアナ。
その視界に、ドラゴンの鋭い爪が銀色の軌跡となって己に振り下ろされるのが見えた。
・・・・お父さま お母さま アルベルト・・・・
ディアナは、そっと、瞳を閉じた。
・・・・さようなら・・・・ナイトハルト・・さ・・・・
* * *
バファル帝国領ローバーンでは、ここ数日、少し前に起こった異変が、人々の間で噂になっていた。
「この間、北の空が真っ赤だったのよ! あちらはイスマス城のある辺り…」
バファルの人々が、その日イスマス城がモンスターの襲来により陥落した事を知るのは、もう少し後の事になる。
END.
◆◆ あとがき ◆◆
アルベルトファンの皆様ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
ディアナファンの皆様もごめんなさい。
何でカップリングが姉ちゃんやねん、と思った方もごめんなさい。
あと、友人にこれを見せたら、「何故姉は性交しないか!」と怒られてしまいました、ごめんなさい。
姉は処女の設定です。
こんな事されて、アルベルトの尿道と肛門はがばがばだと思いますが、
それでも日常生活には支障をきたさない丈夫な尿道と肛門の持ち主なんだなーと思って読んでください。
本当にごめんなさいです。
私のアルベルトの扱いってこんなもんです。
でも、ずっとアルベルトが嫌いだったんですが、これを書いたらなんかだんだん好きになってきました。
ほんとです。