○ 幸せ剣豪 ○
【2】
薄暗い格納庫の中で、ゾロはサンジを抱きしめていた。
なんなんだなんなんだ、てめェは! と怒鳴るサンジは、それでもよく見ると、こころなしか耳が赤い。
ああ、やっぱり可愛いぜ、ちくしょう、と思いながら、ゾロは、目の前でとんがってピヨピヨ言う唇に、かぷっと喰らいついてみた。
びびくん!と、腕の中の体が硬直するのがわかった。
昨日は、ぷに、だけだった唇を、今日はべろべろ舐めてみる。
ししし舌とか入れていいのかな、いいんだよな、娼婦じゃねぇもんな、ここここここ恋人だもんな。
恋人、と思った瞬間に、また鼻血が出そうになり、ゾロは慌てて鼻に気合を入れた。
だって昨日はゾロが鼻血噴いたから、キスしかしてないのだ。
今日こそ本懐を遂げなくては!
そう思った時、サンジの唇が薄く開いて、ひらんとした舌がゾロの舌を迎え入れた。
ちゅ、と音がした。
うおああああああああああああああああ
その辺でゾロの理性は完全に切れた。
脳が完全に茹だって、さっきパラソルが貫通した左右のこめかみから、ばふーっと蒸気が上がった。
たぶん、そこに孔が開いてなかったら、昨日孔を開けた脳天からピーっというケトルの沸騰しましたよ音が鳴ってうるさかったと思うから、結果オーライだ。
ばふーっばふーっと蒸気を噴き上げながら、ゾロはサンジの体を押し倒した。
サンジが着てるのは、このところの陽気のおかげで、長袖ではあるが薄手のシャツ一枚だ。
なんちゅうエロか服を着てるか!
こんな、乳首が透けそうなのを着ていたのか。
けしからん。まことにけしからん。
さっさと剥いてしまわなくては。
ボタンをぶっちぎるような勢いで外すと、まばゆいばかりの白が現れて、ゾロは思わず、外人さんのように、OH! とオーバーアクションしてしまった。
肌、白っ!
白い肌は触るとすべすべしている。
つんと立った乳首は、ピンク色で小さくて可愛らしい。
触りたくなったが、触っていいもんかどうか、ちょっと躊躇った。
女の乳はよく揉んだが、何せサンジは男だから揉む乳がない。
ゾロは自分が乳首なんか触られたら擽ったくて萎えるだろうなあと思うから、とりあえず、サンジの乳首も鑑賞するだけにした。
鑑賞に値するだけでも逸品の乳首だ、とかうんうん頷きながら。
ズボンとパンツをぺろんと剥くと、これはもうおなじみのものがお目見えする。
これはもうゾロにもついてるもんだから、ゾロは安心して勝手知ったるなんとやらで弄りまくった。
「う、あ…っ…、あ、んんッ…!」
たちまちサンジが可愛い声を上げる。
うおお、なんだそのやべェ声は。
可愛い。可愛い。すげぇ可愛い。
服を着てても可愛いが、脱がしても可愛くて、さらに喘ぎ声も可愛いだなんて、お前はなんだ、男心を惑わす可愛い小悪魔ちゃんか。
夢中になってサンジのちんこを弄りまわしてると、
「あ、あ、あ、ッてめ、も、やめ、ああっ…!」
と、突然サンジの体がしなって、ぴゅくん、とゾロの手の中で、ちんこが射精した。
ぴゅ、ぴゅ、と精液が迸るたび、サンジの白い腹が、ひく、ひく、と動く。
「う、ん、ぅぅ…、ぁ…。」
その恍惚とした表情に、ぐわっとキた。
ゾロは大急ぎでシャツを腹巻ごと脱ぎ、ズボンをパンツごと脱いでサンジの体に覆い被さった。
がばっと景気良くサンジの股をおっぴろげると、さすがにサンジが慌てだした。
「おい、お前ちょっと待て、そんな、いきなり…!」
いきなりもクソもあるか。
気紛れなサンジの事だ。
自分だけ射精して、やっぱやーめたと言い出すかもしれない。
ゾロは焦って、サンジの股に、いきり勃ったちんこを押し付けた。
「ゾロ…ッ!」
つぷっとサンジのそこにゾロのナニがジャストフィットすると、サンジの体が、またびくんっと硬直した。
構わずにゾロは腰を進めたが、女とやるようにはなかなかうまくいかない。
何度もサンジの尻の孔に亀頭を擦り付けているうちに、その刺激だけでゾロは暴発してしまった。
けれどゾロの気がそれで治まるはずが到底なく。
それでなくともサンジの尻の孔は、ひっきりなしにひくひくとひくついていて、もうそれが視覚的にエロいなんてもんじゃない。
おまけにそこにゾロが精液をぶちまけたものだから、そのビジュアルといったらもう、恐ろしく壮絶に圧倒的に眩暈がするほどに、エロかった。
射精後即座に充填作業に入ったゾロちんが、自分で放った精液のぬめりを借りて、ぐり、とサンジの中に潜り込んだ。
「ひッ」
サンジの体がのけぞるのを、逃げないように押さえ込んで、ゾロは一気に自身を埋め込んだ。
「うああっ…! ああああ…あぁ…ッッッッ!!!!」
サンジが悲鳴を上げたが、もうゾロは止まらなかった。
だってサンジの中は最高に良かった。
シャレにならないほど良かった。
狭くて熱くてきゅうきゅう締め付けて、ちんこがとろけそうだ。
おまけにサンジの体は抱きしめると、ふわんとなんだか甘い匂いがする。
こんなにこんなに可愛くていい匂いがしてエロいのが俺のもんになってくれた。
ゾロは有頂天だった。
で、ゾロが有頂天で腰振って励んでる間、サンジはと言えば、─────実は必死に耐えていた。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛ェっての!
痛くて痛くてもう泣きたい。つかサンジは既に涙目だ。
なのに、アホ剣豪ときたら、その涙を感極まった涙だと勘違いしてるらしく、「エロい顔しやがって」とか何とか言いながら、ますますがつんがつんと腰を打ち付けてくる。
人間としてそれってどーよ、な体勢を取らされて、サンジの体の奥深くにゾロの性器が突き刺さっている。
アホみたいに馬鹿げてデカい、固さも太さもハンパじゃない奴が。
それで体の奥を穿たれるのは、もうシャレにならないほど痛い。
「ひあッ! あああッ、あ、あー…ッ! は…ッ!」
サンジがあまりの痛みにのけぞると、ゾロは、にやーっとそれはもう目も当てられないほどの親父のエロ笑いを浮かべて、「イイのかよ、淫乱」等と言う。
イイわけねえだろうが。
痛ェだけなんだよ。
早く終われ、クソが。
とはいえ、さすがのサンジもそれをゾロに伝えるのは憚られた。
だって言えない。
お前のSEXはヘタクソです。痛いばっかで気持ちよくないです。
言えねぇ言えねぇ。絶対言えねぇ。
だってもしサンジがレディからそんな事を言われたら、ショックのあまりED決定だ。
「早い」と「小さい」と「ヘタクソ」は、男には決して言ってはいけないNGワードだ。
たぶんゾロは素人童貞だ。
迷う様子がないから童貞ではないだろうが、娼婦しか相手にしてこなかったに違いない。
娼婦は客に手間をかけさせたりしない。
ちゃんと自分の方は準備万端にして、客は余計な愛撫なんかしなくても、ただ突っ込むだけでいい。
ゾロがそういうセックスしか知らないのは、もう明白だった。
だってまさか、キスをして、脱がして、体のあちこちをちょこっと触って、ちんこ擦っただけで、ケツ孔を慣らしもせずに挿れてくるとは思わなかった。
入るわけねぇだろ、バカ。と思ったが、さすがのサンジも「僕のおケツを広げて慣らしてから挿れて下さい」なんて恥ずかしい事はとてもじゃないが言えなくて、だからサンジは、持ち前の根性で、拷問ともいえる苦痛に耐えていた。
痛いよー、痛いよー、おケツが痛いよー。
けれど剣豪は嬉しそうにサンジの上でへこへこと腰を振っている。
それはもうほんとに…嬉しそうに。
その顔を見てたら、サンジは、しかたねぇなあ…と力抜け抜けになった。
だって剣豪はほんとに嬉しそうだ。
それはもう、子供のように、無邪気にあけすけに、嬉しさを隠そうともしない。
そんなに俺が好きだったの、お前。
なんだ。なら必死こいて隠してる事なかったなあ。
サンジはもうずうっと以前から、たぶん出会った時から、ゾロが好きで、好きで好きでどうしようもなくて、だからゾロから好きだと言われた時は天にも昇る心地だった。
ゾロのようにエクトプラズム出したり、脳天刀で突付いてみたり、鼻血出したりはしなかったけれど、なんならメリーさんの上でベリーダンス踊ってもいいかな、くらいにはサンジだって浮かれていた。
それ以前の、ゾロに嫌われてるんじゃないかと思ってた時期の、あの辛い辛い日々を思えば、こんなちょっとケツにスリコギ突っ込まれて痛いのなんか、どうってことない。
実際のゾロちんはスリコギよりもだいぶデカくて凶暴だったけど。
俺も男だ。耐えてみせるぜ、愛の為に!
サンジは激痛をこらえながら決意を固めちゃったりしていた。
2005/02/19