■ 融合までの距離 ■


 

- 3 -

 

「んぅ…ッ…!」

ちゅぅっと音を立てて乳首を吸うと、サンジの白い背がのけぞった。

開かれた唇からちらりと紅い舌が覗いたとたん、慌てたように、サンジが両手で口を塞ぐ。

感じてるくせに、サンジはこんな風に声を押し殺そうとする。

それが恥らっているように見えて、どうしようもなく可愛くて、ゾロはつい笑った。

「声殺してんじゃねぇよ…。」

耳元で囁くと、それだけでサンジは、びくっと肩をすくめる。

緩慢に抗うような仕草で、首を振る。

ぱさりと金の髪が顔を覆い、サンジの表情を隠した。

けれど本気で抵抗はしない。

進んで受け入れているようにも見えないけれど。

それがほんの少しだけ痛みとなってゾロの胸の中を走る。

きっと、ゾロの気持ちはまだ信じてもらえていないのだろう。

 

仕方がない。

誰かに触れられるのも初めてだった体を、強引に開かせて、貫いたのはゾロだ。

 

本当ならその場で蹴り殺されても文句は言えないのだ。

なのにサンジは、こうしてゾロが触れるのを許してくれる。

 

それがこんなにも嬉しい。いとおしい。

 

「ふ…ッ……………、ぅ…。」

微かに漏れるサンジの声は、たやすくゾロの欲望の火を煽る。

平坦な胸元についた小さな乳首は、舌で転がしただけで、すぐに可愛らしく立ち上がってくる。

まるで甘い果実を啄ばんでいるような気がして、ゾロは夢中になって舐めた。

サンジの息が荒くなってきているのがわかる。

それを必死で押さえようとしていることも。

 

こんなに感じやすい体をしているのに、なんと意固地な事か。

そう思うのだが、同時にそんなところがたまらなく可愛いと思う。

 

「サンジ……。」

名を呼ぶと、サンジの体が跳ねた。

あどけないといえるほど、幼いまん丸の目をしてゾロを見ている。

すぐにその目は、大人びたせつなそうな色を宿して、固く閉じられる。

ゾロの手の中で、さまざまに変化する、サンジの顔。

無垢な子供の目をしたかと思えば、恐ろしく淫らな目をすることもある。

サンジの見せる表情の一つ一つに、ゾロは振り回される。

 

もうどうしようもない。

だってこんなにもこの生き物に心を奪われている。

 

「うぁ…っ…、んっ…、ァ…。」

耐え切れないように漏れる声に、どこまでも煽られる。

 

「サンジ…。」

好きだ。と、思わず囁きそうになる。

けれどまた、信じない、と言われるかもしれない、と思うと、さすがのゾロも押し黙る。

この口から、己を否定する言葉を吐かれるのは、存外にこたえる、と思い知ったばかりだ。

耳たぶに口付けると、サンジの体が小さく震える。

「…ア…っ…。」

素直に感じているような声に、ゾロは苦笑する。

こんなに感じやすいくせに、こんなにゾロの愛撫に応えてくれるくせに、サンジはゾロの想いだけは否定するのだ。

「お前、ほんとにエロいな。」

こんな体をしているから、抵抗したくてもしきれないのだろうか。

「何、がだ…っ!」

口調は憎々しいのに、ぞくりとするほど艶を含んだ目で見上げてくる。

「その目とか…やべぇよ、お前。」

誘っているとしか、思えない。

もう勘違いしてはならない、と何度も思うのに。

小さいくせに、固くとがって愛撫を待ちわびているサンジの乳首を、指先で強く摘まんでみる。

喉を鳴らしながら、サンジが喘ぐ。

「このエロい体とか…。」

ほんとにやばい。

爪を立てても、サンジは気持ちよさそうに身をくねらせるだけだ。

「こんなんでも感じんのかよ。痛かねぇのか? …淫乱。」

こんなに小さいところですら、サンジはよがる。

サンジの白い体はもう、足の爪の先までピンク色に染まっていて、その中心はすっかり頭をもたげている。

「う、るせ…、い、痛いに、決まって…。」

抗議めいた事を口にするくせに、抵抗は一切ない。

「痛いのがイイんだろう? …勃ってんぜ。」

囁いて、サンジの乳首をつまんで、指の腹でもみ潰すようにひねってみた。

「ぅンっ…!」

逃げを打つように、サンジが身を捩った。

「逃げんな、くら。乳首、イイくせに。」

 

逃げるなんて、許さない。

てめぇのイイトコロ、全部見せろ、俺に。

 

潤んだ瞳が、ゾロを睨みあげてくる。

「クソっ…てめ、そこばっか、いじってんじゃねっ…! さっさと、てめ、の、突っ込めば、いいだろうが…!」

あの時みたいに、と言外に感じ取り、ゾロの心臓が冷える。

 

あの時、俺の意思なんか無視して突っ込みやがったように、姦りたいように姦りゃあいいだろう。

そう言っているのだ。

 

試されている、と思った。

挑発するような瞳で、言葉で、サンジはゾロを試している。

 

あの時、どれだけゾロが、「好きだ」とその耳に囁いても、サンジは信じてはくれなかった。

今また同じように気持ちを言葉で伝えたとしても、サンジはやっぱり信じてはくれないだろう。

ゾロは言葉でなく態度で、どれだけサンジを好きかサンジに伝えなければならないのだ。

そう、約束した。

だからどんなに挑発されても、ゾロは耐えるしかない。

例え、ゾロのペニスが、もうズボンの中で破裂しそうになっていたとしても。

どれだけサンジの体がエロかったとしても。

 

「突っ込むよか、てめェイカせる方が楽しい。」

必死の思いでそう言った。

ほんの少しサンジが憎くなって、小さな乳首をちぎれそうなほど強く引っ張り上げた。

「あァッ!」

サンジの目から挑発的な色が消えて、その目は瞬く間に快楽に混濁する。

溺れそうになるほどいやらしい体。

いやたぶんもう、溺れてしまっている。

ゾロは自嘲しながら小さな乳首を執拗に責めた。

「アアアっ…」

痛いのではないかと思うほどに強くひねりあげても、サンジのペニスは萎えない。

指で揉みつぶすように乳首を強く摘まむ。

「ひ」

サンジの体が痙攣した。

ピンク色でつるんとしたペニスの先から、ぷくりと透明の雫があふれ出る。

「乳首だけでイケそうだな。イッてみろ。うら。」

わざと意地悪くそう言いながら、ゾロは、サンジがその可愛らしいペニスから精液を噴き上げるまで、何度も何度もサンジの乳首をねじった。

 

 

*     *     *

 

 

あまり気持ちの良くない眠りから目覚めると、ゾロは薄暗い格納庫の中で一人で転がっていた。

傍らにコックの姿はない。

あれから何度かサンジに触れる機会があるが、サンジはいつも、朝まで一緒にいてくれたことがない。

朝まで一緒にいてくれないのならせめて、サンジが眠るまでは起きていたいと思うのに、サンジをイかせた後のゾロは、もう疲弊しきっていて引きずり込まれるように眠ってしまう。

だってイク瞬間のサンジのエロい事といったら、そこらへんの娼婦など足元にも及ばないほどなのだ。

真っ白な喉を惜しげもなく晒して、あの気の強い瞳はすっかり潤んでいて、せつなげに寄せられた眉根すら色っぽくて。

とろんと蕩けたような、無防備な顔で、ぞくりとするほど甘ったれた声で啼く。

「ゾ、ロォ…っ!」と、その声で紡がれる自分の名の極上な響きと言ったらない。

ぱんぱんに勃ちあがったピンク色のペニスから、とぷっとぷっと精液が溢れるたび、同じピンク色の後孔が、ひくんひくんと開いたり窄まったりする。

頭がぐらぐらするほど扇情的な眺めなのに、ゾロはこの後孔に挿入する事を許されていない。

ここで欲望に負けてしまったら、サンジは今度こそゾロに愛想を尽かしてしまうだろう。

けれど、体中の血液は、凄まじいスピードで一斉にゾロのペニスに集まってくる。

当然脳は貧血を起こす。

そうしてゾロは、毎度毎度気を失うような感覚を味わいながら、眠りにつくのだ。

というより、まず間違いなく毎度、貧血で気を失っているのだろう。

そうして訪れた眠りの安らかであろうはずがない。

いつもいつも、目覚めるたびに酷い頭痛に悩まされた。

そのくせ股間は痛いほどぎんぎんに勃起している。

そのたびにゾロはその場で、或いはトイレに駆け込んで、たまりまくった精液を搾り出すのだ。

サンジがイク時のとんでもなくエロい顔をおかずにしながら。

 

搾り出しても搾り出しても、サンジの顔がちらりと頭を掠めただけで、ゾロのペニスはたやすく勃ち上がってくる。

自分のこんな、剣ダコの浮いたごつごつした手なんかじゃなく、一度だけ味わったあの狭くてきつくて熱い、柔らかいサンジの中に挿れたい、と訴えている。

 

いつになったらまたあのとんでもなく気持ちいいところを許してもらえるのだろう。

 

あれから、ゾロは何度もサンジの肌に触れている。

いつ誘ってもサンジは拒まない。

ゾロがちんこを咥えても、後孔に舌を捻じ込んでも、サンジは恥ずかしそうに嫌がりはするが、本気で抵抗はしない。

ゾロのする事を全て許してくれている。

これはもう、後孔に挿入しても構わないってことじゃないだろうか、と思うのだが、ゾロは一度自分の思い込みで突っ走ってしまった前科があるので、慎重にならずにはいられない。

 

「俺が挿れてくれって頼むくらい、よくしてみせろ。」と、サンジは言った。

だからゾロは、サンジをイかせる事にだけ必死になる。

自分は服も脱がない。

服を脱いでしまうとうっかり挿入してしまいたくなるからだ。

そうやって毎回必ずサンジを気持ちよくさせているのに、サンジはなかなか「挿れてくれ」とは言ってこない。

いや、吐き捨てるように「突っ込めばいいだろう!」とは言う。言うが、それは多分、挑発の類で、サンジの本心ではないと思う。

 

サンジはまだゾロの気持ちを疑ったままなのだろう。

あの翌日だって、ゾロが目覚めると、もう傍らにサンジの姿はなかった。

まるで犯り捨てたようにゾロだけ格納庫に転がされていて…、ゾロが慌ててラウンジに行くと、サンジはもう朝食の支度をしていた。

なんと声をかけようか逡巡したゾロを振り向いて、サンジはまるで仕事を終えた娼婦のような笑みを浮かべて見せた。

そしてこう言い放ったのだ。

「俺はヨカッタか?」

と。

それこそ、娼婦そのもののように。

ゾロは愕然として、笑みを作るのが精一杯だった。

声も出なかった。

昨夜あれほど好きだと告げたのに、それは何も伝わっていなかった。

それだけの事を、多分、ゾロはしてしまったと言うことなのだろう。

当然だ。

あれはまぎれもなく強姦だった。

しかもサンジは、それまで誰とも体を交わしたことがなかった。

女とも、男とも。

サンジが信じないのも無理はない。

 

サンジは、ゾロからの愛撫を何一つ拒まない。

ただひとつ、ゾロの告白だけは拒み続ける。

だからゾロも、らしくなく臆病になってしまった。

「淫乱」とか「エロい」とか「イイくせに」とか、そんな言葉はたやすく口をつくのに、「好きだ」、はもう言えない。

言ってはっきり拒まれるのが怖い。

 

そんな風に考えて、ゾロは苦笑して頭を振った。

 

「怖い」だなんて、ロロノア・ゾロとも思えない。

けれど、仕方がない。

もうサンジを失うわけにはいかないのだ。

二度と同じ失敗をしてはならないのだ。

 

どんなに心を信じてもらえなくても、体だけの関係と思われようと、サンジに触れられることが、こんなにも嬉しい。

どうしようもなく。

 

らしくもなく弱気な自分がやけに情けなく感じられて、ゾロは深い深いため息をついた。

 

いいさ。アレを手に入れるためなら、この情けなさも甘んじて受け入れよう。

 

そう自分に、言い訳しながら。

 

*     *     *

 

 

「や、いや…、や────、やめ、や…だっ…、ゾロっ…!」

逃れようと足をばたつかせるサンジの体を、ゾロは力任せに組み伏せた。

毎日バカみたいな重量のダンベルを振り回しているゾロの握力は、サンジの抵抗などものともしない。

いつもの格納庫は、けれどいつものように薄暗くはない。

煌々と明かりが灯されている。

このバカみたいに明るい光の下で、ゾロは、仰向けのサンジの両足を抱え上げ、膝が胸につくくらいまで腰を上げさせている。

おかげで、サンジの後孔は隠すものもなく、ゾロの眼前に晒されている。

「や、だっ…! い、や、だっ…!」

恥ずかしそうに身を捩るサンジは、もう凶暴なほどに可愛らしい。

もっともっと可愛くしてやる、と思いながら、ゾロは、

「やだやだ言う割には、ちんぽ、ガチガチんなってるぜ。」

と、意地悪く囁く。

途端に、かあっとサンジの頬に朱が走った。

同時に、ゾロの眼前に晒された後孔が、ひくひくっと不規則に収縮した。

 

────うわぁ…。

 

その可愛らしさに、ゾロは、

「お、ケツがひくついた。」

と、嬉しさを隠し切れずに呟いて、その後孔をぺろりと舐めた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!」

サンジが声にならない声で呻いて、また後孔がひくひくと蠢く。

 

────ちくしょう、挿れてぇ…。

 

夢中で、ゾロはその可愛らしい孔に舌を捻じ込んだ。

最初にゾロが強姦した時、この後孔はひたすらに硬く閉ざされていた。

あれから、ゾロが根気よく舌と指で愛撫してきたせいで、この頃は、ちょっとつつくだけでこの孔はすぐに柔らかく蠢き始めるようになった。

まるで慎ましやかな唇のように、吸い付いてくるような動きを見せる。

ソコはそんなふうに、エロ極まりないのに、サンジはいつまでたっても初々しく恥ずかしがる。

そのギャップがもうたまらない。

可愛くて可愛くてたまらない。

可愛いと思うのと同時に、爆発的に突き上げてくる独占欲。

サンジのここをこんな風に舐めた男は俺だけだ。

この体は俺だけのものだ。

 

本当ならここに己のペニスを捻じ込んで、本当の意味で自分のものにしてしまいたいのに、それが許されていないから、ゾロは代わりに舌と指を捻じ込む。

指三本を根元まで突き入れても、サンジは苦痛の声を漏らさなくなった。

恥ずかしそうに、けれど気持ちよさそうに、身をくねらせる。

きっとここはもう、ゾロを迎えられる。

ゾロのペニスを挿れても、きっとサンジはこんな風に気持ちのいい顔をしてくれる。

そう思うだけで、ゾロのペニスはズボンの中で暴発しそうになる。

 

抱きたい。

挿れたい。

日ごとにエロく可愛らしさを増してくるこの体を、思うさま貪りたい。

けれどそう思ってるのは多分、ゾロだけだ。

 

ゾロだけが。

ゾロだけがこんなにも切羽詰っている。

 

サンジが欲しくて。

 

ゾロは、足を開いて座りなおし、その中に抱え込むように、両腕をサンジの腹に回して、サンジの体を強く引き寄せた。

サンジの背中に、ゾロの股間が密着する。

この背に猛ったペニスを擦り付けることくらいは許して欲しい。

 

ゾロはもう限界なほどに勃起している。

 

────ちくしょう…挿れてぇなぁ…。

 

ここはこんなにはっきりと欲望を表しているのに、今日もサンジはゾロに挿入する事を許してくれないのだろうか。

 

────耐えるぜ、俺は…。愛の為に。

 

愛のために耐える、というのはなんかちょっとかっこいいような気がした。

 

不意にサンジの手がもぞもぞと動いた。

もう暴発寸前だったゾロのペニスが、いきなり強く握られる。

「おわっ!」

うろたえて、ゾロは慌てて身を引いた。

 

────何すんだ、こいつ! 出ちまうだろうが!!

 

ゾロの隙を突いて、サンジが体を反転させて、ゾロの腕の中から逃げる。

ゾロの股間を掴んだまま。

サンジの意図がわからず、サンジの体を離そうとしたゾロの手が、乱暴に払いのけられる。

そのまま、サンジは、ゾロのズボンの前を開け、既に怒張しているものを引っ張り出した。

その赤黒くごつごつしたものを、サンジが、口の中に迎え入れる。

「サンジ…っ…。」

ゾロが息を呑んだ。

 

サンジが、フェラ…!?

 

サンジの口の中で、ゾロの剛直がさらに質量を増す。

じわりと先端から滲み出てくるものすら、サンジに柔らかく吸い取られた。

 

それが信じられなくて、ゾロは呆然と、自分の股間に顔をうずめるサンジを見下ろした。

 

初めて。

初めてサンジから触れてくれた。

 

もしかしたら自分の想いはやっと通じたのだろうか。

もしかしたら挿れちゃってもいいのだろうか。

 

今度こそサンジは自分の心を信じてくれたのだろうか。

 

性器を包む、温かくぬめった感触に、ゾロは必死で今にも失いそうになる理性を繋ぎとめていた。

今度は暴走したりしない。

今度こそ。

 

もう二度と間違えない。

 

サンジが泣きながら言った、「俺が挿れていいって言うまで挿れんのなし」は、想像以上にゾロにダメージを与えていたらしい。

ほんとに懲りた。

ほとほと懲りた。

 

この体に挿れられないのも、この想いが信じてもらえないのも。

 

こんなに辛いとは思わなかった。

 

サンジがゾロを咥えたまま体を横に倒した。

その股間はせつなそうに勃ちあがったままだ。

そりゃそうだ。

サンジは今日はまだイッてない。

 

けれど、ゾロのを咥えてもサンジが萎えていないというのが、こんなに嬉しいなんて。

 

ゾロは、サンジの腰を抱え上げて、引き寄せた。

サンジに咥えさせたまま、仰臥した自分の上に跨らせる。

 

夢のシックスナインだ。

 

「バ…、てめ、ふざけんなっ…!」

サンジが恥ずかしそうに身を捩った。

その仕草が可愛くて可愛くて、ゾロはサンジを逆さにしたままぎゅうっと抱きしめる。

目の前にサンジのペニスが来たので、夢中でそれを口に入れた。

「ひんっ…!」

途端にサンジの腰が跳ねて、可愛い声が上がる。

辛抱できずにゾロが空腰を使うと、いきり立ったペニスが、ぬるん、とまた咥えられた。

 

サンジが自分の性器を舐めている。

 

サンジに性器を舐められながら、自分もサンジの性器を舐めている。

互いが互いを愛撫していることが、愛し合ってる証拠のように思えて、ゾロはサンジの舌の動きに自分の動きを合わせた。

サンジの舌がゾロの亀頭を舐めると、同じように、ゾロはサンジの亀頭を舐める。

深く咥え込まれると、サンジのペニスも根元まで咥えてやった。

「ん、んん…っ…、んくっ…。」

口の中いっぱいにゾロをほおばりながら、サンジが呻く。

 

可愛い。可愛い可愛い可愛い。

 

サンジが呻きながらゾロの太ももに爪を立ててくるのすら、ゾロには痛みよりも甘さをもたらした。

ゾロは、サンジのペニスから舌を離すと、今度はつるんとした陰嚢を口に含んだ。

「んんんんっ…!」

サンジの腰に震えが走るのがわかった。

嬉しくなって、ゾロは、袋の中の玉を、こりゅんこりゅんと口の中で転がす。

「んーっ…、んーっ!」

「…んだ。こんなとこまで感じんのかよ。」

淫乱でエロくて可愛い体。

いっそ体全部を口の中に入れて舐めしゃぶってしまいたい。

ゾロの目の前にある、ピンク色の蕾が、ひくんひくんと蠢いてるのが見えた。

つん、とそこを指先でつついてみた。

「んうっ…!」

サンジが呻く。

きゅんっと反射的に、サンジの後孔が窄まり、ゾロの指を食い絞める。

 

────うわ…

 

あまりのエロさに、ゾロは思わず親父のような笑いを漏らして、ぐり、とその指に力を入れた。

「んんーッ!!」

くぷ、くぷぷ…と、サンジのそこはゾロの指を飲み込んでいく。

 

可愛い。

どうしようもなく可愛い。

 

ちくしょう、俺のもんだ。

俺のもんだ。

なんで俺のもんだけにならねぇ。

こんなにも従順にゾロの指を受け入れるのに。

どうしてサンジそのものがゾロのものにならない。

 

「っふ…ッ…。」

 

後孔に指を入れられているのに、口いっぱいにゾロを頬張っているのに、サンジは可愛らしい声で啼く。

まるで猫が甘えるような。

 

ゾロのペニスに、びきっと芯が入った。

もう限界に近かった。

このままこんなに可愛いサンジを見続けていたら、ゾロはまたこの体を力づくで犯してしまう。

なのに、サンジは、子供が母親の乳房に吸い付くように、ちゅうちゅうとゾロの先端を吸っている。

その甘えるような仕草が、どうしようもなくゾロを煽る。

 

「…っ…そんなにしゃぶったら出ちまうぞ。」

激しいめまいに襲われながら、何とか声を出したゾロの耳に、次の瞬間、信じられない言葉が飛び込んできた。

「だったら…っ…、だったら、突っ込めよ! いつまでケツの孔、いじくってんだよっ…!」

いつもの蔑んだような、捨て台詞のような言い方ではない。

涙声ですっかり潤んだ、切羽詰った声。

 

────いい、のか…?

 

ゾロの頭が、瞬時に、かあっと熱くなった。

勢い込んでがばっと身を起こすと、上に乗っていたサンジの体が、ころんと転げる。

それを追いかけるようにサンジの両肩を掴んで、ゾロは無我夢中で引き寄せた。

 

「突っ込んで、いいのか。」

 

目も眩むような欲情と緊張で、声が震えた。

 

「え。」

 

「挿れて、いいんだな?」

 

サンジは、まん丸く目を見開いて、ゾロを見ている。

その蒼い瞳は、いっぱいの涙を湛えて潤んでいる。

不意にゾロの脳裏に、最初にサンジを強姦した時のことが蘇る。

凶暴な欲望に駆られて、この唇に噛み付いたときも、サンジはこんな風な、やたらと幼く見えるまん丸な目でゾロを見上げてきた。

ゾロの内心を、ひやりと焦りが撫ぜる。

まだ早かったか。

また失敗したか。

我ながら上ずった声で、もう一度、「挿れていいのか」と聞く。

ダメだと言われる事を覚悟して。

けれどサンジは、糸が切れたマリオネット人形のように、かっくんと頷いた。

勢いよく頷いた弾みに、ぱたぱたと涙が零れ落ちた。

 

頷いた。

────頷きやがった。

 

サンジの両肩を掴んだゾロの手に、力がこもる。

「何、泣いてやがる。」

ぺろり、とゾロは、舌でサンジの涙をぬぐった。

そのままゆっくりと、その痩身を押し倒す。

「抱くぞ。」

今ひとつ自信がもてなくて、もう一度宣言してみた。

するとサンジは、俄かに慌てたように、「え? え?」と何度も聞き返してくる。

 

────ふざけんな、馬鹿野郎。これ以上じらすつもりか。

 

頷いたじゃねぇか、と、その事に縋るように、ゾロは、サンジの膝裏を抱えて、両足を持ち上げた。

どうしてサンジの事になるとこんなにも余裕が頭から消し飛んでしまうのだろう。

痛いほどに勃起したものを、サンジのそこに押し当てる。

「あ、待っ…、───────アアアッ!!!」

待て、という言葉を聞きたくなくて、性急に押し込んだ。

待ち望んでいた熱く狭い孔が、柔らかくゾロを迎え入れて、強く締め付けてくる。

 

すげぇ…。全然違ぇ…。

 

むりやり体を繋げたあの時と。

 

何日も何日も、執拗にゾロが舌と指であやし続けたそこは、まるで懐いてくるようにゾロのペニスを奥へ奥へと引き込んでくる。

 

すごくイイ。

信じられないほどに気持ちがいい。

 

たまらずにサンジの体を強く抱きしめた。

反動で、ずずっとゾロのモノが奥まで入って、サンジが小さく悲鳴を上げた。

けれどゾロは体を離さない。

「すげぇ長かった…。」

大きな大きなため息とともに、ゾロが呟いた。

 

「てめぇ、もう、あんなのはナシだ。」

「ちんこ破裂するかと思った。」

「離さねぇからな。もう。」

「俺のモンだ。」

 

囁きながら、ゾロは何度も何度もキスをした。

 

もう我慢しなくていいのだ。

これはゾロのものになったのだ。

愛しくて愛しくてたまらなかった。

 

「挿れさせてくれたって事は、俺の事信じてくれるって事だよな?」

我ながらいい加減しつこいと思うが、ここのところは確認しておかないといけない。

サンジの顔を覗き込むと、サンジは慌てたように何度も頷いた。

こくこくと頷くサンジを見て、ゾロはようやくホッとした。

おもわず笑みがこぼれる。

 

じんわりとゾロの心に温かいものが広がっていく。

ゾロはサンジを抱きしめたまま腰を使い出した。

「あ、あっ…、あ…ン、ァ…。」

サンジに拒む様子はない。

その声に苦痛の色もない。

ただ与えられる快感に、素直に身をゆだねている。

その手が緩やかにゾロの背に回される。

 

「サンジ…。」

 

激しく抽迭を繰り返しながら、ゾロは囁いた。

 

「俺、あの時言った事、本気だから…。」

 

そう言って、ますます強く、サンジを抱きしめた。

 

とてつもない幸福感と眩暈で窒息しそうになりながら。

END.

2005/07/20

 

ゾロサイドのおまけでした。
ちょっと情けないゾロでしたか。


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