第10話「思わぬ敵」

アスカとシンジの新婚初夜(?)が始まった頃、シンスケはとても、眠たい目をこすりながら、シンクロ実験をしていた。実は結構、シンスケは、早寝早起きなため、夜は11時30分頃でも結構つらいのである。

「シンクロ率45%、ハーモニクス、その他以上ありません。(マヤ)」

「シンスケ君、なんか違和感ない?(リツコ)」

「なんにもありませんよ、眠たいけど。」

「悪いけど、今日は明日の4時半30ごろまで、テストだらけだわよん。(ミサト)」

「そんな、労働法はどうなってるんだ!だいたい18歳未満だぞ、俺は。」

「給料が私よりあんなに高いんだから、我慢しなさい!大体4:30くらいなによ!それも今日だけなんだから、たいしたことないわ。さっ、次は実際にEVAが正常に動くかテストするわよ(ミサト)。」

シンスケはもう死んでいた。すべてのテストが終わると同時に深い眠りの世界へと入っていった。


エヴァ出撃日当日の2:00まで、約8時間30分も寝たシンスケはNERVの食堂で食事をとることにした。食堂に行くと、綾波レイがカレーを食べていた。

「おう、レイ。お前も、昼メシ食うの結構遅いな。」

「シンジ君は?」

「ずっと家でユニゾン訓練してるけど?」

「そう、そうだったわね。」

「お前がそんなこと聞くな・・・。ん、レイ、もしかしてシンジに、ほれたか?」

「ほれる・・・その言葉、辞書の意味でしか、私よくわからないわ。」

「シンジのことが気になるのか?」

「ええ。」

「シンジに会いたいのか?」

「ええ。」

「じゃ、お前はシンジにほれてるんだな。」

「・・・そう、私、シンジ君にほれてるのね。」

「まあ、だったら、いろいろシンジに話し掛けてみるんだな。自分から行動しないと何も始まらんぞ。」

「話し掛けてみる・・・。」

「へー、レイちゃん、シンジ君のことが好きたったんだ。(マヤ)」

「わっ、マヤさん、いつの間にそこに?」

「さっきからずっといたけど、気づかなかった? 応援するわ、がんばってねレイちゃん。

「はい。」

「そういえば、マヤさんは彼氏いるんですか?」

「はー、いないわよ。こんなところでずーっと、缶詰じゃ、いい出会いもないし。シンスケ君こそ、どうなの?」

「う〜ん、いないな。でも、レイは、結構かわいいと思うな。シンジじゃなくて、俺に気持ちが傾いて欲しいな。」

ぽっと、赤くなるレイ。しかし、自分では赤くなったことに、気づいていないのが、何ともこの少女らしいところであった。

「結構、言うのね、シンスケ君。・・・それも、本人の目の前で。」

「自分の気持ちを、中途半端になるのは、いやですからね。そう、もう2度と中途半端は嫌です。何事にもね。」

「シンスケ君・・・。」

とぼとぼ、シンジ食堂の前を、目を熊にして通過しようとしていた。

「どうしたの?シンジ君、元気ないみたいけど?(マヤ)

「あ、マヤさん実は・・・。<以下、シンジ告白>」


時間を巻き戻そう。決戦前夜の夜、ミサトの家ではシンジとアスカが新婚初夜(?)を過ごしていた。別に違う部屋で寝ればいいと思うのだが、ミサトによると、シンクロをより完璧にするためには、同じ部屋で寝なければダメなそうな。

「いい、ここから先は絶対入ってこないでね、わかったわね、バカシンジ。」

「はいはい、おやすみなさい。」

シンスケに影響されたのか?本編ほど動揺しないように見えるシンジ君。なんだが、自分に女の魅力がないようで、悔しいアスカ。

それから十数分後、アスカはどうやら寝たようだ。しかし、シンジはなかなか眠れない。そう、隣のアスカのパジャマの開いた胸についつい目が行きっぱなしなのである。

襲って欲しくないなら、アスカも、あんな胸が見えるパジャマを着なければいいと思うのだが。

(アスカ・・・ホント寝顔はかわいいよな。普段はあんなに怖いのに。)

あどけない笑顔と、それに反して大きなアスカの胸。この、アンバランスさに魅力を感じない男はそうはいない。なんとか明日の決戦に備え早く寝ようとするシンジだったが、夜の三時になってもまだ眠られずにいた。

(もうダメだ、ごめんアスカ。) 

シンジがアスカにそーっと近寄り、キスをする寸前の体勢になる。

例え、こっそりとキスしても、実行してしまったら、すぐアスカは当然起きてしまうわけだが、もう理性がなくなるシンジ君はわかっていても、やめられない、止まらない・・・いや、なんとか止まったようだ。

この部屋にいてはダメだと思い、マンションの廊下に出て外を見つめるシンジ。結局その日、シンジは一睡もできなかったそうだ。使徒との決戦に寝不足の影響がでないか非常に心配である。


「ちょっと碇君、そんなこと不潔よ、まだ、中学生なのに。」

マヤさんは、お得意な「不潔よ」と言う、言葉を口にし、レイはシンジの告白にちょっとショックを受けていた。

シンスケは、昔そんなこともあったのう〜と、なぜかじいさん口調でなつかしく思っていた。

「潔癖症過ぎますよ、マヤさん。もう20代なんでしょ。結婚しても、おかしくない歳なんですから、少しは、男の生理を理解して下さいよ。」

<男の生理>ど〜ん、伊吹マヤにとって強烈な一言となってしまったようだ。いまごろの女の人にしては、あまりにも、珍しく貴重で、純粋な女性のようである。

「マヤさん、どうして、NERVなんか入ったんですか?、性格的に優しすぎて、絶対あってないと思いますよ。NERVに入って、若いのにこんな高い地位になれる実力あるんですから、割のいい、就職先ぐらい他にいくらでもあったでしょうに」

「そうね、でも先輩にあこがれて。」

「え、NERVに入る前から、リツコさんのこと知ってたんですか?」

「ええ、大学のプロミラング講座のときに講師としてお世話になって。三週間の短い期間だったんだけどね。それで先輩みたいになりたいと思って、先輩と同じここ、NERVに来たの。」

「なるほどそうだったんですか。 さてと、シンジお前は仮眠室で寝ておけ。マヤさん、お急がしいところ、すみませんが、こいつに部屋を準備して・・・」

「ピッー、ピッー、ピッー、非常事態宣言、非常事態宣言、職員は、すみやかに指定の位置に移動して下さい。繰り返します・・・。」

「シンジ、眠いだろうが、ちょっと我慢して頑張れよ!」

「うん。」


「初号機シンクロ率52、3%、弐号機シンクロ率61.2%、両機ともシンクロ率その他以上ありません。ただ、初号機パイロットの疲労数値が若干高くなっています。(マヤ)」

「えっ、どうしたの?シンちゃん(ミサト)」

「ミサトさんが、若い男女を二人っきりで、同じ部屋に寝かせたからですよ。(シンスケ)」

「ははは、シンジ君、アスカ行くわよ。 ミュージックスタート。」

笑って、ごまかすミサト。幸いシンジの寝不足はあまり影響がなかったようだ。作戦は見事成功し、ラストの着地もうまく行った。ちなみに昔のシンスケは着地に見事失敗していたりする。

「シンジ、よくやったぜ。やっと寝れるな。」

「うん、お休み兄さん。」

シンジは、NERVのベンチで、すぐ眠りこけてしまった。


後書き

前回から、本編一話をニ話分で掲載しております。これからも、しばらくこの形式で行こうかなとも思っていますが、真っ赤な嘘になるかも知れません。今回は、マヤさんに出場してもらいました。本編見ても彼女の潔癖症って、度がすぎてるんですが、二次創作だと、これをうまくギャグにしている方が多いですよね。(もちろん違う場合もあるけど)

次回予告

「シンスケは何者なのか?加持は、さらに調べに、調べたが、やはり何も出てこない。彼は、危険を省みず、直接シンスケに訪ねてみることにした。はたして、シンスケは加持に本当のことを話すのであろうか?エヴァ2回目、第11話<シンスケの秘密>ぜひ、見てね。」


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