「・・・綾波が人間じゃないって、嘘でしょ兄さん?」
「・・・シンジ君。ごめんなさい。私・・・、私の出生は、自分自身もあまりよく知らないんだけど、遺伝子的には第2使徒リリスと碇ユイさんの遺伝子が混ざってるの。」
「レイ、ダミーシステムの実験参加どうする?」
「もちろんやめるわ・・・。シンジ君を傷つけるものに、これ以上協力したくない。」
「ちょっと待ちなさいよ、アンタ達、こいつの話しなんて私は信じられないわ!」
「アスカ、別に今は、嘘だと思ってもかまわん。・・・次の使徒が来れば信じるしかないからな。」
「それと、もうひとつ、初号機には碇ユイの魂、弐号機には惣流・キョウコ・ツェンベリンの魂が眠っている。初号機は十年前のシンクロ実験中、シンクロ率が400%に達してしまいEVA解けてしまったらしい。」
「この時、俺もその光景を見ていたよ。この世界に来てから母さんの消えるシーンを少しだけ思い出したよ・・・。シンジは覚えてないだろ?」
「う、うん。」
「ちょっと、弐号機にママの魂が眠ってるってのはどういうことよ?」
「どういう経緯でキョウコさんが弐号機の中にいることになってしまったのか・・・、俺は知らない。だが、これは間違いなく事実だよ。」
「アスカ、俺もスパイやってて、EVAのことも調べたんだが、どうもこれは間違いないようなんだ。」
「そんな、そんな・・・。」
「加持、あんたほんとにスパイやってんの?」
「ああ、NERV・日本政府・ゼーレの三重スパイをやっている。いろいろ真実を知りたかったからな・・・。」
「さて、今日はここまでだ。みんなお疲れだったな。ゆっくり寝てくれ。もちろん今日の話しは絶対に秘密だからな。」
(綾波が使徒・・・、綾波が・・・、綾波が・・・)
綾波レイの正体を知ってしまいすっかり顔が青ざめているシンジ。まったく寝ることができない。ガラガラ、シンジの部屋にシンスケが入ってくる。
「兄さん・・・」
「レイのことでショックを受けていたんだろ?」
首を縦に振るシンジ。
「もし、お前がレイのこと受け入れられなかったら、レイは俺がもらうからな。もらって彼女にするからな。・・・それが嫌だったらあいつを受け入れてやるんだな。じゃあな、お休み。」
(兄さんが、綾波の彼女に・・・、なんか嫌だな。でも綾波は人間じゃないし・・・、でも兄さんは僕のはずだ。兄さんは使徒でもある綾波を受け入れてるみたいだった・・・、と言うことは僕も受け入れられるようになるんだろうか・・・。)
この日の夜はシンジだけでなく、レイもミサトもアスカも一睡もすることができなかった。
8日後、ハーモニクス実験中、第11使徒イロウル使徒が正体をあらわにした。
(もう、100%間違いない・・・。兄さんは未来の僕なんだ・・・。)
(ばかシンスケの言ってたことは本当だったのね。)
無事、第11使徒はリツコの活躍で殲滅されるのであった。特にアスカのショックは大きなものだった。
「初号機(シンジ) シンクロ率28%」 「弐号機 シンクロ率30%」 「零号機 シンクロ率28%」
イロウル戦3日後のこと。明らかに、いつもより大幅に低い3人のシンクロ率。慌てるNERV職員。
「ちょっと3人ともどうしたの?」
「すみません。(シンジ)」
「・・・・・・。(綾波)」
「・・・・・・。(アスカ)」
シンスケの未来での悲惨な話しがショックで、精神的にまいっていることを、リツコ達は知らなかった。
シンジ達に、「渇」を入れても何も効果はなかった。続いてシンスケのシンクロテスト。
「初号機 シンクロ率25%」
シンスケまでもが、低いシンクロ率なため、さらに慌てるNERV。
「シンスケ君までどうしちゃったの?」
「・・・・・・・。」
「もう、今日はなんで、みんな黙まりなのよ!」
・・・シンスケのこの低いシンクロ率の原因は、わざと狙って出しているからである。
しかし、このことには、シンスケの正体を知る者以外、誰も気づかなかった。そして、NERVは大きな不安の種を抱えたことに変わりはない。
帰り道、なぜかレイと二人で帰ることになってしまったシンジ。レイがクローンだという事を知ってしまったシンジはなかなか口を開けない。
「綾波、その・・・。」
「ん、シンジ君。」
「あ、いやぁ、その、何でもない。」
(シンジ君と私のこと嫌いになっちゃったのかしら・・・。とうぜんよね、私の正体ばれてしまったんだから・・・。・・・・私だって、私だって、普通の人間に生まれたかったのに・・・。)
そんな、二人を、のぞき見していた、シンスケが二人に姿を見せ、こう切り出した。
「レイ、一緒に帰って、一緒に寝ようか。」
慌てるシンジ。
「兄さん・・・、一緒に寝るって・・・。」
「シンジはレイが、僕達と同じじゃないから、戸惑ってるんだろ。前にも言ったとおり、シンジがレイを彼女として扱えないなら、俺がもらってくよ。」
(そんな・・・、このままじゃ、兄さんに綾波を取られてしまう。綾波と普通に接してあげれれば・・・、ダメだね。できないよ、今の僕にはそんなこと。)
(シンスケ君にとって私が人間じゃないことは、なんの関係もないのね。)
結局3人で帰るシンスケ達であった。しかし会話をするのはシンスケとレイだけ。シンジは口を開くことはなかった。
同日、ミサトの自宅、シンスケとミサトがキッチンで話しをしていた。
「シンスケ君、今日の低〜いシンクロ率はどういうことなの?90%以上出せるんじゃないの?」
「わざと、低くしてるんですよ。やっぱりエヴァパイロットはシンジなんですから。・・・。まあ、指令が僕を乗せてくれないでしょうけどね。」
(シンクロ率をコントロールですって・・・。やっぱり未来から来たのは伊達じゃないわね。)
「そう。で、エヴァ乗っ取り使徒のことなんだけど、トウジ君をエヴァに乗せるしかないみたいなのよ。」
「やはりそうですか。うまくエントリープラグをひきちぎるほかありませんね。」
第13使徒は、四号機を乗っ取ることはわかっているのだが・・・、シンスケの正体を明かせない以上、そのことを説明して未然に使徒を発見できる方法はなく、この策を取る他なかった。
「じゃあ、俺、レイの家言ってきますよ。色々心配ですからね。」
レイの家に入るシンスケ。レイは少しだけ嬉しそうな顔を見せるが・・・。
「シンジ君、私のこと嫌いになっちゃたのかな・・・。」
「・・・今は気持ちの整理がつかんのだろ。俺もそうだったからな。」
無言になる二人。シンジはその晩、レイの家に泊まるのであった。
(綾波、む、胸が、そうだ、今襲ってもレイは拒否しないだろうし、このまま・・・何を考えてるんだ俺は、ああ静まれ〜。)
後書き
うーん、シンスケが、正体バラすのちょっとはや過ぎるような・・・。まあ気にしないとこう。おいおい、先週の後書きはどこ行った?・・・俺ってやっぱダメ人間!ふっ、何せダメ作家同盟に入ってるからな!(←実話です。) ・・・本当のダメ作家は俺だけかもしれんが。
次回予告
「綾波と1晩同じ部屋で過ごし、シンジはあることを決意した。果たして、シンジが決意したこととは?次回エヴァ2回目<同居>今度は、私と加持の話しもあるわよ!」