ちゅん、ちゅん、日曜日の朝、寝相があまりよくなく、ベットから落ちてしまったレイ。床下で寝ていたシンスケに抱きつく格好になってしまった。
(綾波の胸、けっこう大きいな・・・。ああ理性が危ない・・・。)
思わず、朝から下半身が元気になってしまうシンスケだった。
「・・・うん、シンスケ君。」
「おはよう、レイ。」
レイは、自分たちの格好を見て思わず赤くなってしまうのであった。その後、軽く、トーストで食事を済ませる。ぼんやりレイの部屋を見渡すシンスケ。相変わらず殺風景だった。
「シンスケ君、もう帰っちゃうの。・・・さみしいわ。一人でいると、とてもさみしいの・・・。」
男心を誘惑するレイの一言。まして、レイにほれてるシンスケには、なおさらである。
「一緒にいて欲しいの・・・。もうシンジ君には振られちゃったみたいだし。」
「・・・昨日も言ったけど、シンジは気持ちの整理がつかないだけだよ。俺は未来のシンジだぜ。」
「・・・・・・。」
それでもレイは落ち込んだままだった。その彼女のせつない顔を見ていると・・・シンスケは言ってしまった。
「・・・一緒に、ここで住もうか、レイ。」
顔色が急に明るくなり、うなずくレイ。この瞬間、シンスケとレイの同居が決まった。その場で、携帯電話のボタンを<ピ、ポ、パ>と押すシンジ。
「もしもし、ミサトさんですか?ええ、おはようございます。僕、このままレイと一緒に住む事にしましたから。・・・指令の許可ぁ、そんなもん要りませんよ。じゃ、そう言うことで。」
「シンスケ君、もしもし。<ツーツー>・・・もう〜、いったいなんなのよ。どうしてそんなことになっちゃうわけ。」
切った後すぐに、携帯電話のアラーム音がなって、ボタンを押すシンスケ。
「もしもし、兄さん、どういうことなの!綾波と同居するなんだなんて。」
顔を紅葉にしながら話すシンジ。
「ああ、なんならシンジも一緒に住むか。」
「そんなことできるわけないよ!兄さんも冗談はやめて!」
「冗談じゃないよ。じゃあ昼頃、荷物まとめるためにいったん戻るよ。」
「ちょっと兄・・・<ツーツー>」
またもや適当なところで電話を切ってしまうシンスケだった。
午前一時、シンジがレイと一緒に、いったん葛城家に戻ってきた。帰ってくるなりいきなり・・・
「シンスケ君、今朝の話し本気なの?」
「兄さん、なんで、いきなり同居なんだよ。」
と言われてしまうシンスケ。どうせ、こんなことになると予想していたシンスケ。返答も考えてあった。
「シンジも知ってるだろ。レイの部屋のひどさは。あんなとこ、一人でいたら人間腐ってしまうぜ。だから、俺はレイを狙う意味も含めて同居するってわけさ。」
「あの、兄さん、僕と綾波は恋・・・」
「恋人ならそれらしい行動しろよ。俺が秘密を話してから、お前レイとまったく話してないじゃないか。このありさまじゃ、レイは、いい女なんだから他人に奪われても仕方ないぜ。」
・・・沈黙してしまうシンジ。レイの前で、人間じゃないなんて思わなかったから、とは言えるわけがなかった。
「おう、シンスケ君。レイと同居するんだってな。仲睦まじいねぇ。」
加持がまた、ミサトの家にやってきた。スパイ活動を自粛しているとはいえ、今はアスカも葛城家にいるわけではないし、お仕事はどうなっているのだろうか?
「ええ、まあそうですね。さすが、恋愛方面にはお耳の早いことで。」
毎度、用がないのに、葛城家に来る加持に呆れながらシンジが言う。ちなみに現在ミサトは休日出勤中である。
「まあ、職業柄いろいろ情報を仕入れるもんでね。」
「人のことをからかうのもいいですが、ご自分の妻のことも考えてくださいよ。・・・これは、未来から来た人間の忠告です。くれぐれも8年前の約束、なんたらこうたら、と言う遺言は残さないで下さい。」
「君が中学生とはいえ、そう言われてしまうと説得力があるな。・・・わかったよ、ご忠告ありがたく肝に命じておくよ。」
真剣にミサトのことを考えたりしてしまう加持であった。そしてミサトをデートに誘うことにした。
「なによ、私とあんたはもうなんでもないのよ!」
「まあ、そう堅いこと言わずにフランス料理でもどうだ。高級ワインもおごるよ。」
(高級ワイン・・・、フランス料理・・・、いいわねぇ。)
結局、主にアルコール類につられて、デートの誘いに乗ってしまうミサトであった。
3日後のミサトの休みの日、ビシッとお化粧をして、加持の車に乗るミサトの姿があった。
「どうしたの、突然、誘っちゃったりして。」
「シンスケ君からの忠告だよ。自分の妻のことも考えろとさ。まあ、未来から来た人間の忠告とあっちゃ聞かないわけには行かないだろう。」
「そうね。アンタとやり直すことになるなんて信じられないけど。」
「シンスケ君によると、俺達が朝帰りしたこともあったらしい。未来の俺達が何をやっていたか、今になってやっとわかったそうだ。」
「そう。やっぱり、あの子昔は、今にもまして鈍かったようね。」
フランス料理店「ポワージュ」に到着した二人。この辺では有名な店である。
「ふふふ、私達どうやって復縁したのかしらね。」
「さあな・・・。でも、俺達が未来を知ってしまった以上、復縁の仕方も変わるかもしれんな。」
「そうね。シンスケ君も未来の私達がどうやって復縁したのかなんて知るわけないし。もう永遠の謎ってわけね。」
「ところで、1週間後の大学時代の同級生の笹島と萩原が結婚するけど、お前も式は行くのか?」
「ええ、NERVを休むいい口実だからね。まあ、アンタみたいに毎日休んでるわけじゃないわよ。息抜きよ、息抜き!」
「・・・日向君に仕事を大量に押し付けてることは知ってるんだぞ。」
「あはは、なんの事かな。」
笑ってごまかすミサト。同時刻、日向はミサトに押し付けられた仕事をけなげにこなしてたりする。
(これも、ミサトさんのポイントを稼ぐためだ!頑張るぞ。)
しかし、ポイントを稼げていない、むしろミサトに便利屋と思われ、さらにコキ使われようとする、かわいそうな日向であった。
高級ワインを堪能し、満足して加持に連れられて帰っていくミサト。
すっかり酔ってしまったミサトは本性をさらしているようである。ミサトに答えながら加持は決意した。
・・・戦いはすでに始まっているのかもしれない。
(にしても、重かったな葛城。)
すっかり熟睡してしまって、加持がおんぶしてミサトの家までかついだ。ピンポンとチャイムを押すとシンジが出てくる。
「ははは、大変でしたね、加持さん。」
「ああ、じゃ、俺はもう帰るから早く寝かしてやれ。」
「うん、シンジ君〜」
もう、ミサトさん寝てください。と言いながら、いつも引きっぱなしの布団まで、なんとか一人で移動させたシンジ。ミサトの寝顔はとても幸せそうであった。
後書き
今回は加持とミサトの復縁シーン描いてみました。いかがでしたでしょうか。えっ、つまらなかった。ごもっともです。私に大人の恋なんて書けるはずが無い!
次回予告
レイのことで、落ち込むシンジを立ち直らせるため、シンスケはある作戦を実行する。その作戦は、シンジをあたふたと、動揺させる。次回エヴァ2回目<恋の勝負>うーん、兄弟そろって熱いわね。」