第21話「シンジVS第13使徒」

フォースチルドレンは、鈴原トウジになった。この情報は、ミサトによってシンスケ達にすぐ伝えられた。松城での起動実験は後、3日後との事だった。その日の学校帰り、シンスケとシンジはトウジに、話しがあるとのことで、家に誘われた。

「どうや、わいが作った、オリジナルカレーは。」

「・・・話しってのは、フォースチルドレンの件だろ。」

「なんや、もう知ってたんか。・・・パイロットになれば妹を、今よりもっと施設の良い病院に無料でしてくれるって言われて、勢いで承諾したんやが、どうも心配でな。」

「まあ、お前の場合は、まだいいよ。シンジなんて、始めてEVAを見た日に、いきなり使徒との実戦だぜ。」

「まさか、それは、妹・・・いや、シンジが転校する直前に来たあの使徒のことなんか。」

無言でうなづくシンスケ。シンジを殴ったことを、ますます後悔するトウジ。

「その、シンジあのとき殴ったのは、本当に・・・。」

「もうそれはいいよ、トウジ。」

しばらく、考え込んでから、いつもより、ずいぶんゆっくりした口調で話しだす、トウジ。

「EVAの起動実験とかいうのが、松城で3日後にあるんや。なんでもEVAって言うのは、ロボットのように、操縦するんじゃなくって、心で動かすって言われたんやが、どういうことなんや。」

「歩けっと思えば、EVAが勝手に歩いてくれるし、走れっと思えば、EVAが勝手に走ってくれるんだよ。」

トウジは、驚きで、目を丸くしながら、

「ホンマにそんなことで動くんか。・・・ワイにそんなことできるんやろか。・・・心配やな。」

「まあ、そう心配してたら、きりないぜ。こんな情けないシンジでも、できたんだから、大丈夫だろ。」

「そやな。」

(・・・大丈夫なんかじゃない。トウジがEVAに乗った瞬間、使徒に乗っ取られちゃうんだろ兄さん。兄さんの正体がばれると、色々ヤバイのはわかるけど・・・。やっぱり、僕にはトウジに危険な事をさせたくはないよ。)

「トウジ、実はトウジが乗ると、EVAが使徒に・・・。」

「シンジ。」

珍しく、人に怒鳴りつけるシンスケ。シンジは思わず沈黙してしまった。この二人のやり取りに、トウジは自分がEVAに乗ることに危険要素があることを、シンジ達が隠していると判断し、すっかりおびえてしまった。

(そやけど、いまさら、やめるわけには、いかんわな。)

「まあ、俺も、おまえらに話し聞いてもらえと、ちょっと気が楽になったわ。これからは、同じパイロットとしてよろしくな。」

「ああ、起動実験がんばれよ。」


レイの家で、シンジ・シンスケ・レイが紅茶を飲みながら、恒例になりつつある、使徒戦の作戦会議を開いていた。

「兄さん、トウジはEVAに乗って片足失ったんでしょ。やっぱり話した方が良いんじゃ。」

前回の第13使徒戦を思い出すシンスケ。自分が第13使徒戦に攻撃しなかった為、父がダミープラグを発動させ、トウジの片足は永遠に失われることとなった。

なぜ、あの時、エントリープラグを引きぬくと言う作戦を思いつかなかったか悔やまれる。

最後の使徒戦はゼーレにとって、自分の心を傷つけ、サードインパクトのよりしろにする為の策だったのかもしれない。

「兄さん、どうしたの。」

話し掛けても、無言の兄に心配をするシンジ。

「俺の正体をバラすわけにはいかん。なぁに、エントリ-プラグさえ、引き抜ければ、トウジは前の世界のようにはならん。頼んだぞ、シンジ。」

シンジは無言のままであった。


「もしもし、あっシンジ君。すぐNERVに来て、大変なことが起こったの。」

かなりあせっているマヤの声。

「わかりました。すぐ向かいます。」

(ついに、三号機が使徒に乗っ取られたか。)

急いで、NERVに行き、EVAに乗るシンジ。アスカ、レイもすでにEVAに乗っている。

モニターから見える、使徒に乗っ取られた四号機。これは、すでに知っている事実なので、パイロットに驚きはない。

「エヴァ三号機を現時刻をもって廃棄。目標を第13使徒と認定する。」

驚き、抗議の声を上げるオペレータ達。しかし、指令のゲンドウが一喝して、沈黙さぜるを得ない。

レイが、バレットガンで使徒の体制を崩し、アスカがプログナイフでその隙を攻撃しようとする。

しかし、使徒はバレットガンをよけようともせず、プログナイフで攻撃する隙がまったくない。

(打つ手がないわね。って、キャー-。)

使徒の攻撃で、地に倒れる弐号機。そのまま戦闘不能状態に陥る。

「レイ、近接戦闘は避け、バレットガンで耐えろ。今、初号機を回す。」

命令通り、バレットガンで攻撃するレイ。しかし、攻撃に集中するあまり、守備の隙をつかれた。

(しまった、やられたわ。)

使徒が獣のように零号機に飛びつき、零号機を地に伏せる。そのまま、使徒は強烈なパンチを数回、零号機にくらわせる。

使徒の腕の隙間から、触手が伸びてきて、零号機の右腕に侵食していく。

(使徒に零号機まで、乗っ取られるわ!)

「零号機の神経接続を切断しろ。」

「りょ、了解。」

「キャーーー-ーー。」

かなりのシンクロ率だったレイは、右腕に激痛が走る。普段クールなレイの顔すら、非常にゆがむ。

「零号機、弐号機とも戦闘不能状態になりました。」

(ここまでは、兄さんの世界と一緒になってしまったか。・・・僕が本当に歴史を変えられるのか。)

「シンジ、近接戦闘でエントリープラグを引き抜け。」

(そうだ、兄さんの言うとおりだ。こいつにバレットガンは効かない。近接戦闘しかない。いくぞー。)

猛烈な勢いで使徒に突っ込む、シンジ。しかし、敵の体当たりに吹っ飛ばされる。だが、シンジは起きあがると、再び使徒に突進する。初号機が使徒を地面に押し倒す。

(しまったエントリープラグが壊れる。)

しかし、EVAのパイロットを守る為、エントリープラグは非常に強固にできている。この程度で壊れるはずがなかった。

エントリープラグを見てほっとするシンジ。だが、そのほっとした瞬間を使徒につかれた。

バアッコーン、使徒が起きあがり、その勢いで初号機をふっとばす。

「初号機、ダメージは大きいですが、まだ戦闘可能です。パイロットの意識もはっきりしてます。」

(・・・こうなったら、第4使徒戦と同じ作戦で行くぞ。)

「ウオ-ーーー-ー。」

プログナイフを、剣道の中段の構えのままの状態で、使徒に突進するシンジ。その突進のスピートはすざまじく、使徒はよけきれず、プログナイフが腹に突き刺さった。動けない使徒。

(よし今だ。)

エントリープラグを強引に左腕の力で引きぬくシンジ。それをひきちぎることに成功すると、右手で、使徒に強烈なストレートをおみまいする。

今度は、使徒が吹っ飛ばされ、地面に仰向けになる。起きあがることもできない。

シンジは、エントリープラグをその場におき、先ほど同様、体当たりで、使徒の上にのっかかる。

(よし、首ごと、ひきちぎってやる。)

初号機は、首を腕に巻きつけ、使徒の首を折ろうとする。必死にじたばた抵抗する使徒、パイロットのシンジは激痛を感じたが、ついに使徒の首は切断された。

「第13使徒、活動を停止しました。」

「救急隊より連絡が。EVA四号機パイロットが無事生還したとのことです。けがも、軽傷とのこと。」

「ワア-ーーー-ー。」

発令所全体が、歓喜の声に包まれた。

(歴史が変わったな。よくやった、シンジ。まさか、使徒の首を切断させるとはな。)


後書き

なんとか、第13使徒戦終わりました。うむ、今回は少しだけ戦闘シーン長くできたかな。でも、まだまだ短い。僕の場合、短くまとめているのではなく、短くしか書けないのが悲しいです。「新たなる道」はまだマシだけど。

次回予告

「第14使徒戦、ついにシンスケが出撃する。今まで、常に力をセーブしていた彼だが、ついにそのベールが開かれる時が来た。次回、エヴァ2回目<シンスケ出陣>お楽しみにね。」


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