復讐の神子

                        壱の章

 一神の青年と一人の女性が立っている。
 場所はどうやら京都である。
 「遂に来たな・・・・・」
 青年が言う。
 女性は優しげな瞳で青年を見つめるのみ。
 「五年・・・・言葉にすれば僅か三文字にすぎないのに・・・・・・
  俺には悠久の時にも思えた」
 青年の言葉に風が舞い始めた。
 彼の前には世界最大とも言える『碇財閥』の現当主碇セイジの家がある。
 「碇の名を持つ一族を治める男の住まう館・・・・・・。
  我等の新たなる戦いへの階段にしては少々役不足かな・・・・・。
  そうは思わないか?パンドラ・・・・・・・いや、レナ」
 女性は『パンドラ』と『レナ』の二つの名を持っているようだ。
 「ルシファー・・・・私達の戦いは復讐という行為。
  この様な舞台こそふさわしいのでは?」
 レナの言葉にルシファーと呼ばれた青年は笑いながら答える。
 「・・・・そうかもしれないな。・・・・だがレナよ。
  今この場での俺の名はシンだぞ。・・・・・さて、そろそろ行くか。
  『ミカエル』と『メタトロン』は俺と共に来い。
  『ハミエル』はそこらの『ゼーレ』の手先を始末しておけ。
  他の者はこの場で待機だ」
 そう言うと青年・・・シンはレナを連れて碇家の門をくぐった。
 他の者は見えないというのに・・・・・。

      碇家の客間
 「まずは貴方の名と目的を教えていただきたい」
 碇家当主である碇セイジが尋ねる。
 「俺の名はシン。此奴はレナ。
  目的は碇家の力となりに来た」
 その言葉に首を傾げるセイジ。
 「また奇妙なことを言う。貴方達二人で我等の力となろうとは・・・・」
 セイジの言葉に笑うシン。
 「俺達は組織の代表だ。貴方が承知くだされば、
  俺の組織『Hell=And=Heaven』は貴方の力となろう。
  ・・・申し遅れたが、俺の裏の名は『ルシファー』だ」
 それを聞くとセイジは一瞬、顔に驚愕の色が走った。
  だが何喰わぬ顔で言うセイジ。
 「それでは其方が『パンドラ』殿ですな。
  ですが何故我等に協力をしようなどと言われるか?」
 セイジの言葉に苦笑を浮かべるシン。
 「それは俺の記憶を見ていただければ分かることだ。
  それからどうするかは貴方次第。軽く目を瞑っていただこう。
  さすれば俺の記憶が貴方に真実を見せるだろう」
 目をつむるセイジに右手を向け、軽く目を瞑り呪を唱えるシン。
 セイジの目からは涙が溢れ始めた。
 シンの過去が・・・・生まれてから此処に至るまでの苦痛の日々が
 彼の中に入ってきたのだろう。
  ゆっくりと目を開けるセイジ。
 「・・・・・辛かったのだな、シンジよ・・・・。・・・・済まない。
  儂が気付いていればお前にその様な道を歩ませる事はなかったろうに。
  それでもお前は儂に協力をしようと言うのか?この老いぼれに・・・・」
 セイジの言葉に首を振るシン。
 「・・貴方のせいじゃない。全てはあの腐りきったゼーレの責だ。
  それにあの赫い世界で此奴に会えた事で他の者達への怒りは大分安らぎましたよ」
 シンは微かに微笑むと言葉を続けた。
 「今の俺はシン。碇家とは何ら関係もない男。
  セイジさん。貴方の力と俺達の力でゼーレの屑共を倒しましょう」
 シンの言葉に涙を拭き、答えるセイジ。
 「うむ。じゃがしかし、表の世界で動くには姓がなければ不便じゃろ。
  そこでじゃ、儂の子にならんか?勿論ユイの生き別れの兄と言うことにしてじゃ」
 セイジの言葉にレナが言う。
 「・・・シン。そうなれば私達の計画も円滑に進みますわ」
 レナの言葉に頷くシン。
 「分かった。セイジさん・・・・いや、父さん。
  今この時より俺達は碇の姓を名乗ることにしよう。
  だが、碇家のことは全てユイに任せてくれ。
  それと、俺とレナの結婚式を挙げてもらえないか?
  この世界での思い出を一つでも多く得たいんだ」
 その言葉にレナは頬を紅く染め、セイジは豪快に笑った。
 「わははははは。そんなことなら任せるが良い。
  あまり派手にせん方が良いじゃろうが、我が一族全てで祝おう」
 それを聞き安心したかの様に立ち上がるシン。
 「その話はまた後日・・・・・では失礼させていただきます」
 「儂等は親子なんじゃ。そうかしこまらんでも良いじゃないか」
 シンの言葉に顔を曇らせるセイジ。
 その言葉に笑みを浮かべて答えるシンジ。
 「分かりま・・・・分かったよ。それじゃあまたね、父さん」
 シンが退出しようとしたその時、少女と青年が部屋へと入ってきた。

  この時より始まったのだ。
 『神』となった青年の復讐と彼を慕う者等の戦いが。


    後書き

 どもレンです。
 今回出てきた用語の説明を一応させて頂きます。
 『Hell=And=Heaven』これはヘル=アンド=ヘヴンと読みます。
 シンの創った組織です。構成員は下級隊員が数万人。将が数千人。
 そしてそれらを纏めるのが九大熾天使と呼ばれる九人の男女です。
 その上には今のところシンを含む三人しか居ません。
 『ルシファー』はシンの裏社会での名前。『パンドラ』はシンの妻レナの裏での名前。 『ミカエル』『メタトロン』『ハミエル』はそれぞれ九大熾天使の名前です。
 一応簡単な説明は終わらせて頂きましたが、まだ疑問がある方はどうぞ御連絡を。
 それでは次の章でまたお会い致しましょう。

_______________________________________________________

  トマトのコメント

 シンってシンジと同一人物?・・・間違ってないよな?
 いきなりパンドラと結婚式ですか。 
 名前が2つあるのは正直ややこしい気がするが。
 ・・・私、嘘は書けないので。まあ、ど素人目なので気にしないで下さい。
 「Hell=And=Heaven」
 いきなり、巨大組織になってますがこれからこの組織がどうストーリーに絡んでいくのか見物ですね。

 _______________________________________________________


     

  BACK INDEX NEXT

       HOME

 _______________________________________________________  

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!