Angel Sweeter 〜天使の吐息〜
SCREEN003 【ミルフィーユ】
前のお話。
遺跡の最深部で探索をしていた、セリスとフィーが
発見した魔法陣。
セリスが乗ってみると光を放ち、その後に一人の
見知らぬ女性が立っていた。
ディンバリー遺跡 最深部。
棒立ちするセリスとフィーの前で笑顔で立ち尽くす、羽を
生やした女性。
…ふと、セリスは我に返り。
セリス『…あ、はじめまして。・・僕はセリス、
セリス=ジャント。こっちは幼馴染のフィー=グランディ。
…君は?』
自分とフィーの自己紹介をした。それを聞き女性・・もとい
少女の顔がいっそう笑顔であふれた。…そして。
『……セリスさんと・・フィーさんですかぁ……。
………あ、すいませぇん。私は、“ミルフィーユ”と
いいますぅ〜。 よろしくですぅ♪』
‘…………どっか、ぬけてる’ と、二人は感じた。しかし、
フィーはかねてよりの疑問をミルフィーユと名乗る少女に
問い掛けた。
フィー『ミルフィーユ…さん?』
ミルフィーユ『??なんでしょうかぁ〜〜?』
フィーは彼女の背中を指差しながら。
『これって……翼?…………本物?』
間髪入れずにミルフィーユ。
『はい〜〜♪♪』
それを聞き、セリスは彼女の背中の‘翼’を引っ張ってみた
すると・・。
ミルフィーユ『…いたいですぅ〜〜。やめてくださぁあい…(泣)』
そして今度は、くすぐってみる。
ミルフィーユ『…はふぅ〜〜〜〜。く、くすぐったいですぅぅ〜〜
(笑)』
手を止め、フィーと顔を合わせ。
『………………本物だ……………』と。
とにもかくにも、彼らは“天使”に出会ったのである。自分たちの
運命を変えることになる天使に……。そして、セリスが問う。
セリス『…じゃ、じゃあ君は“天使”なんだね? あの、
伝承にある“天使”なんだね?』
ミルフィーユ『はい〜♪♪ そうなんですよぉ〜、天使なん
ですぅ〜〜♪』
証拠、といわんばかりに翼をはばたかせ宙に舞う…が、地下だと
いうことを考慮していなかったらしく天井に頭をぶつけ、たんこぶ
を作ってしまった。
フィー『…その様子じゃあ、相当おっちょこちょいなんでしょう
ね…(呆れ)』
ため息をつきつつ、フィー。 セリスもうなずいていたが。
たんこぶを押さえ、涙眼のミルフィーユ。
ミルフィーユ『そうなんですぅ〜〜〜。私って、何やっても駄目
なんですよぉ〜〜。……痛い〜〜〜〜(泣)』
――――ふと。
3人の上空に現れた、影。 その影は、女性のシルエット、
そして…翼を浮き上がらせていた。そして、影は口を開く。
『……そこの男。』
頭から聞こえた声に反応し、3人は宙を見る。 そこには、
天使がいた。
『…一応、‘ありがとう’とでも言っておこうか。なにせ
“天翼法陣”の結界を解いてくれたのだからな。』
セリス『天翼法陣?…なんだそりゃあ??』
ミルフィーユ『私が触媒になって、「ディアの天使」たちを封じ
込めていた結界のことですよぉ。…セリスさんが乗った魔法陣の
ことですよぉ。』
ミルフィーユを見て、天使が言う。
『「ディア」の名を知っているとは…お前「フォースの天使」か。』
フィー『…“ディア”?“フォース”?…一体、何を……?』
フィーの疑問をきき、天使が言う。
『…そんなことはどうでもいい。…お前たちはここで死ぬの
だからな…。』
―――閃光が天使の上空に集積し始める。
セリス・フィー『?????????????』
それに対し、ミルフィーユは考えていた。
ミルフィーユ【あんな魔法をうけたらセリスさんたちが…。方法が
ないわけじゃないけれど…、セリスさんが耐えられるの…?】
――その間にも集積する閃光。
ミルフィーユ【………でも、可能性としてはこれしかないの…。
…………仕方ないの…セリスさん、ごめんなさい……。】
―閃光は、最高点に達した。
天使『………………死ね。』
光を3人に向かって放つ。よけられる大きさではなく、
フィーは。
フィー『!!!!?????きゃぁあ〜〜〜〜!!!!!』
セリス『…どうなってるんだ!?…一体!?』
その二人をいなすかのごとく。
ミルフィーユ『…セリスさん!!』 叫ぶ。
セリス『????』 振り返る。
ミルフィーユ『この状況を越せる可能性は、ただ一つです!
……それは…』
セリス『それは……?』
ミルフィーユ『…私の力を、あなたにあげることです!!』
――――――――――――――光の渦――――――――――
天使はその情景を見、笑みを浮かべ…ることはしなかった。
『……そうか…“天使”の力を“人間”に貸し与えたか…
自らの意思と共に……おもしろい…』
煙のなかがあらわとなる。 そのなかに。
―翼。 天を仰ぐように開かれた、翼。
だがその翼の持ち主は“少女”ではなく……
“少年”だった。
次回。
天使の力を、期せずして手に入れたセリス。
「ディアの天使」に勝てるのか? 続きは次回。