迷走天使 SIDE05
前のお話。
奇声の発生源である猫を捕らえたテトラ。そこにメリースが現われ
「ガラクタ事件の証拠がそろった」と言った…。
エイサー国 人民生活領。
メリース達は、フェナの家の前まで来ていた。メリースが
「事件の真相を暴く」と言って、連れて来たのだ。
メリース『……まだか。…まぁこの広い街から証人を、たった一人の
人間を探し出すのだからな………無理もない』
メリースは納得しながら、だが少し怪訝【けげん】そうに
呟いている。
打って変わって。
ナンナは猫と戯れている。…テトラはその猫から逃げるように
フェナの背の後ろにいる。フェナはそんな光景を見て微笑んでいる。
…………………1時間ほど、だろうか。
空より‘黒き翼’を携えて降下してくる人影……もとい
第二天使シンセが一人の老婆を連れ、降り立った。
シンセ『メリース司令。…少々遅れましたけれど、この方が
‘証人’のグィナさんですわ。<にこにこ>』
メリース『……よし。これで‘証拠’と‘証人’は揃ったな…
後は‘奴ら’にこれらを突き出すだけか………』
ふと、ナンナに抱かれていた猫が老婆の姿を確認する……と否や、
急にナンナから離れてグィナと言う老婆の足元でのどを鳴らした。
フェナ『あら。……そう言うことですか。メリースさん』
フェナが微笑みメリースに言う、それを「????」と言った
顔で眺めるテトラとナンナ。
……その二人の疑問を無視するように、またフェナの言葉に
返すことのように、メリースが口を開く。
『……そういうことだ』と。
エイサー国 教会の裏通り。
一行はエイサー国の教会の裏通りに来ていた。ここには昔、
地下基地として利用されていた場所がある。そうメリースが言い、
案内したのである。
一行は、今は下水の流れる場所となった、元地下基地を
下っていった。
……時間にして、35分あまり。一行はとにもかくにも
下りつづける。
メイヤー『…ふえぇ〜ん。おねぇさまぁ、臭いよう〜』
グチをこぼすメイヤー。…まあ、当然メリースにどつかれる
のだが。【笑】
……その10分くらい後だろうか、ふとテトラが何か
違和感を覚えた。
テトラ《なによぉぉ〜〜。(泣)さっきから、何かお尻を
触られてる気が…でも、後ろはフェナさんだし…まさか前の
おばあさんが…?ぅう〜ん。そんなわけ…ないよね……?》
テトラが考えをまとめあげた、その直後。
――ピタッ。
テトラのお尻に何か…というか、率直に言うと「お尻を触られた」
ような感覚が体中を走りぬけた。
テトラ『!!??〇ゞ〆‖≠§∞∂Åε☆!!??@@@』
もはや、声にもならないらしい。…テトラに合掌<笑>
だが、メリース達はまったく気づかない。
そして、さらに気をよくした‘なにか’がテトラのお尻を
触ろうと近づいた瞬間。今まで声にならない叫びをあげていた
テトラが‘それ’に気づいた。
テトラ『……なめないでください!私も……天使、なんですよ!!』
ふと、翼を広げたテトラ。…を見やるメリースたち…をよそに
何かの詠唱をはじめるテトラ。
テトラ『…闇の世界に住まう力よ。今、汝の力を貸しうけ、彼の者を
滅ぼす力と為す。……………』
厳粛な顔つきで辺りを見回すテトラ。
――ふと。
彼女の目の先にひとつの相違点が止まった。
―――ただ暗い階段の中に、ひとつ。周りと同調しているかの如く。
だが、周りの景色よりも少し暗みを帯びている、もの。
それは、凡人ならば気がつかないものであったが、天使である
テトラにはそれをとらえることができた。
テトラ『…あたしを、なめないでください!!……我が呼び声の下、
その力を開放したまえ!!……光の鋭刃(えいば)!!』
↑【第二部・1話参照】
――ひゅん。
一つの風が通り過ぎたような音。――その直後。
どおぉぉぉんんん!!!
地響きがするような、轟音。の後に
『……うわぁあぁぁっ!!……ぅっ、うわあ〜〜〜ん!!!』
泣き声。 それを聞いて、テトラが我に返る。
テトラ『…あ。………やっちゃいましたぁ…メリース司令(汗)』
後ろめたさ 100%でテトラはメリースに報告する。
メリース『…はぁ。まぁいい。それよりもさっきの泣き声が
気になる。テトラ、シンセ。先に行って確かめてくれ。我々も
すぐに行く。』
シンセ『…はい、了解ですわ。<にこにこ>』
その言葉と共に、飛び立つシンセ。…少し遅れ、テトラも後を
ついていく。
数秒後、彼女らが見た者は……
少年だった。
ただ、ひどくぼろい衣服をまとってはいたが。
シンセとテトラが近づいてくるのに気づき、少年は狼狽に近い
叫び声をあげる。
少年『…ひぃっ!!……ごめんなさい!!もう、何もしません
から…こ、ここ、殺さないで!!』
懇願するような口調の、少年。……に、シンセは一つの考えを
めぐらせた。
シンセ『…何を言っているんですか?……あなたのした事は
許せる行為ではないですわ。 女性のお尻を触るなんて…
<にこにこ>』
――凍りつくような、微笑。
それは、少年を震え、おののかせるには十分だった。
少年『…ななな、…なら、どうすれば、許して…もらえるん
ですか……?』
その言葉を待っていた、と言うようにシンセは口を開く。
シンセ『…なら、ここに‘ネグリェス’と言うクソガキ…いえ、
少年がいますわね? その少年の所まで案内しなさい。
もし、しないなら…どうなるんでしょうね?<にこにこ>』
その話を聞いた刹那、少年は
『は、はい!わかりました!!! 今すぐ案内するから…
…殺さないで……』
そう言い、二人を先導する形で駆け出した。
その少年の後ろをテトラがついて行く。
そして、その後ろでシンセは……
女神のような、優しさと慈悲にあふれた笑顔を少年に
向けていた……。
次回。
ついに、最終回。
SIDE 04で「次が最後」みたいなこと書いたけど、無理でした。
まとめられません。(汗)
では、今回はここまで。 と、言うことで〜。