LOVE is the sin..
chapter 2


 指が、とりあえず露になっている部分の全てを把握すると、今度は唇がそれの後を追った。
 首筋は、軽く啄むだけ。跡を残しては、あとでシオンが困るだろう。
 ゆっくりと下っていく。鎖骨へとたどり着くと、俺が触れた証が残るように、強く吸い上げる。
 シオンの素肌に、薄紅色を散らして進んでいく俺が目指しているものに、 シオンも気付いたらしい。僅かに躰が強張った。
 そんなシオンの予感とほとんど時間を違えずに、俺の唇は、胸の尖りへと辿り着く。 シオンの躰が、ぴくりと震えた。
 はじめは触れるだけ。その後ゆっくりと力を加える。
 力のなだらかな推移は、シオンにも激しい刺激はもたらさなかったようだ。 ただ、徐々にその細い躰が、熱さを増していくのが、唇を通して分かる。
 その熱さが逆に俺を刺激して、思わず強く吸い上げる。

「・・・・・・あ・・!」

 吐息に埋もれて、シオンは声を漏らした。
 明らかなまでに露骨な喘ぎ声・・・。
 俺は、その声に自分を抑えられなくなり、更に強く貪る。

「・・・ん・・・ぁ・・! ・・あっ! ・・・や・・・っ!」

 俺の行為に合わせて、シオンが切ない声を漏らす。
 通常のシオンでは、決して聞けない甘い声。
 おそらく過去にこの声を聞いたものは、一人としていないだろう。 シオン自身、発するのはこれが初めてに違いない。
 そんな自分の声が恥ずかしいのが、震える手のひらで口元を覆おうとしているようだが、 俺が与える波のせいで、うまく行かないらしい。

 そんなふうにシオンが、必死に自らと格闘している間に、胸元を離した唇は、 鳩尾を滑り、ゆっくりと下へ降りていく。
 何も知らない、純白の躰に、俺という刻印を一つ一つ刻んでいく。
 シオンが、胸の尖りへの刺激で我を忘れている間に、俺の手によって、 その細い腰は外気に晒されていた。そして痛々しいくらいに細い脚も・・・・・。

 シオンはまだ、先ほどの余韻で朦朧としているようだった。
 だが、俺はシオンの意識がはっきりするのを待ちきれず、先へ進んでしまった。
 シオンにしてみれば、自分の置かれた状況も確かめられないまま、俺に含まれてしまったことになる。

「・・や・・・やめ・・・・っ!」

 途端にシオンの躰が跳ね起きた。確認するよりも先に、躰が反応したらしい。 今まで動けなかったのがウソのように、必死で俺の口から逃れようとする。
 が、それは俺にとっては予想された事態だった。
 細い腰をしっかりと腕の中に収め、口の中に捕らえたそれを逃さない。

「・・っあ・・! ・・だ・・・や・・だ・・・っ!  サイ・・・ゾ・・ぉっ! ・・サイゾウ・・っ! ・・も・・・許し・・・・いや・・だ・・ぁっ!」

 確かに、この刺激はシオンには強すぎたかも知れない。 恐らく、感じるばかりで耐え方さえ知らないのだろう。 泣きながら、放されることを乞い、拒絶を漏らすばかりだった。
 だが、その躰は意に反して、俺が与える悦びに応え始めている。
 熱が、今俺が捕らえている場所へ殺到していくのが分かった。 舌で嬲る度に、熱は増していく。

「・・・・・っ・・サイゾ・・や・・・・っ・・・怖・・あぁっ・・・」

 途切れ途切れの喘ぎ声が、急速にうわずっていくのを聞いて、限界が近いのを悟った。
 あまり焦らしてはシオンが辛いばかりだ。
 シオンに辛い思いをさせないために、それまで遠慮がちだった刺激を、突然強くした。

「・・・・・うぁ・・・・っ・・あぁ・・・!」

 シオンの口から、これ以上のものがあろうかと思われるくらいに乱れた声が漏れる。 同時に、俺が意図したとおり、シオンは己を解放していた。
 それを僅かも漏らすことなく喉の奥に収めた後で、ゆっくりと離れる。
 途端に、シオンの躰が崩れた。
 その顔にあるのは、今までとは比べものにならないくらいの脱力感。
 それは疲労によるものなのか、それとも悦びのせいなのか、 初めてのシオンにはまったく見当も付かなかったに違いない。
 訳も分からないまま、泣き続けている。

「シオン・・・・」

 両腕で顔を覆って、しゃくり上げるような幼い泣き方で涙をこぼし続けるシオンの髪を、 優しく撫でた。

「シオン・・・ごめん・・。いきなりすごいこと、しちまったかも・・・。大丈夫か?」

 優しく声をかけても、シオンはなかなか泣きやまない。 だが、焦ることも苛立つこともなかった。 ただその初(うぶ)さが妙に愛おしいばかりで、いたわるように髪や頬を撫で続けた。

 長い間、髪を撫でられ続けていたシオンが、腕をほどき、ようやく濡れた瞳を俺に向ける。
 涙の跡が残る目元が、少しだけだが紅くはれていた。
 その赤に、そっと指を添える。

「もう、大丈夫か?」

 あやすように聞くと、シオンはただうなずいて答えた。 そして、それ以上は何も言わずに瞼を閉じる。
 その躰に、そっと布団を掛けてやった。そして、また髪を撫でる。
 やがて、シオンは規則的な寝息を立て始めた。 その無防備な寝顔が可愛くて、ずいぶん長い間見とれていた。
 起こさないように、慎重に目元に残る涙を拭う。
 柔らかい唇の端に、快楽に耐えきれず己を失った証のように、唾液の筋が見える。
 その唾液を唇で拭おうとして、ゆっくりと顔を近づけた。
 シオンの、無防備な唇が、俺の拍動を激しくする。
 途端に、俺を、強烈な罪悪感が襲った。

(馬鹿野郎! もう一回同じことやろうってのかよ!?)

自分の汚れた欲望を罵倒すると、思い切ってシオンから離れた。

 これ以上のことは、出来ない。たったこれだけで、涙がかれるほど泣かせてしまった。
 それなのに、なおシオンを求めれば、シオンを確実に傷つけることになる。
 肉体的にも、精神的にも。

 もう、今日は終わりなんだ。そう、自分に言い聞かせて、俺はシオンの部屋を出た。



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