『傍迷惑な女達』番外編

第一印象・回想





case1 披露宴にて・和晴と杜也



オレは新郎新婦の入場を見て、頭を抱えたくなった。

悪夢のような光景だ。

恥ずかしそうに頬を染めた妹を抱きかかえている男は、ちょっと前まで異母弟だと信じていた男なんだぜ?

まさか本当に義弟になるとは未だに信じられない。


今年の新年早々に妹から掛かってきた電話が悪夢の始まりだったような気がする。

『お兄様、私、結婚することになりました』

妹はまだ研修医で一人前にはなっていないが、もう29だし、結婚する相手が居ても不思議ではない。

付き合っている相手がいるとは聞いていなかったが、反対する理由はあまりないと思っていた。

「そっか、それで相手は?」

普通、これくらい聞くのは当り前だよな?

いい年をしていても、静香はオレの妹なんだし、親が居ない今となっては長兄のオレが親代わりとして相手の事を気にする事ぐらいしてもおかしくはない筈だ。

ところが、妹は暫く黙ったまま

『2つ下の研修医で、同じ病院で・・・』

相手の名前をなかなか言わない。

「んで、名前は?」

催促するように問い質すと、渋々と言った形で漸く告げた名前が

『峯下杜也』

だった。


峯下杜也?

それって・・・まさか・・・

絶句したオレに妹は

『式は3月に予定しているの、都合が付けば出席してね。招待状はその内届くと思うから』

それだけを捲し立てて電話を切った。


峯下杜也、旧姓・岳居杜也と初めて会ったのはオレが小学6年になったばかりの時。

親父がオレ達兄弟以外にも認知をした子供がいるとは聞いていた。

だが、ソイツがオレ達と同じ学校に通っていると知ったのはソイツが入学して1年程経ってからだった。

オレは複雑な心境だったが、ガキである子供のソイツに罪がある訳じゃないし、どんなヤツなのか顔を見たくなって、杜也のクラスを訪ねた。

もしかして、弟の様に『私生児』とか『愛人の子』だとか言われて虐められているなら兄貴として何かしてやれないかと思って。

「オマエが岳居杜也?」

ヤツのクラスを訪ねて、出て来たのは綺麗な顔をしてるけど生意気そうなガキだった。

「そうですが、なにか?」

小学校で6年が2年のクラスを訪れるなんて事は滅多にない。

オレは言うべきかどうか悩んだが、思い切ってヤツに告げた。

「オレは波生和晴、オマエの腹違いの兄貴だよ」

名乗ったオレにヤツは驚く事もせずに平然としていた。

オレ達の事を知ってんのか?

「オマエ、虐められてねェか?もし、そうならオレは6年1組に居るし、オレの弟も4年に・・・」

そう言ったオレの言葉をヤツは遮った。

「お言葉ですが、僕は虐められてはいませんし、あなた方の助けも要りません」

それだけを言ってオレに背を向けた。

クソ生意気なガキだ!

それがオレの第一印象だった。

思えば、それは余計な事だったのかも知れない。

ヤツにしてみれば、親父と一緒に暮らしているオレ達は邪魔な存在でしかなかっただろうし、そんな相手に助けられるなんて嫌だったんだろう事は後から考えれば容易に推測出来た事だ。

でも、オレもガキだったし、アイツがオレ達をどう思っているか?なんて考えにはあまり思い至らなかった。

その後は直接、アイツと会う事は殆ど無かったが、アイツが俺よりレベルの高い学校に入った事を岳居のババアが嫌味ったらしく自慢するのを散々聞かされた。

アホらしくて相手にしなかったが、相手がコッチを敵視しているなら、コッチも当然、いい印象を抱かない。

おまけに、あの葵との見合いの時のヤツの態度。

ムカついたね。

てっきり岳居のババアが親父の跡をヤツに継がそうとしてるんだとばかり思っていたから、ヤツが医学部に進学したと聞いて驚いたし。

親父が亡くなった後に、ヤツが親父の子供じゃないと聞いて吃驚したが、実の父親が医者だと聞いて納得した。

でも、まさか静香と結婚するとは・・・夢にも思ってなかったぜ。





新郎に抱えられた新婦は、おそらく同僚であろう人々の冷やかしの声に包まれて席に着いた。

会場内はかなり盛り上がっていたが、新婦の親族のテーブルであるオレ達の席と、その反対側に位置している新郎側の親族のテーブルは静かなもんだった。

「恥ずかしいヤツ等だ」

ボソッとオレが呟くと

「で、でも、仲がよさそうで良かったよね」

弟が苦し紛れにそう言った。

「ノブ、オマエは知ってたか?アイツ等が去年から一緒に住んでたって?」

オレもつい最近知った事だが。

「え?そうなの?」

弟も知らなかったか・・・そうだよな、最近はオレも弟も妹の家(オレ達が結婚するまで住んでいた家だが)には全然行ってなかったから。

オレは相変わらず地方を転々としているし、弟の所は2人目が生まれて大変だし、疎遠になりがちであったのが拙かったのか?

妹からの電話を聞いて、慌てて家に電話をすると、家政婦の小鳥遊さんが出て、色々と教えてくれるまで判らなかったとはな。

「そうなの?だから去年の秋に私の所に来た時に一緒だったのね」

姉貴の言葉にオレ達は唖然とした。

去年の秋?

「去年の秋に私が静香にあの人のお墓参りに来ないかって誘ったら、何故か彼もついて来たから吃驚したんだけど、その時から何となくおかしいなとは思っていたんだけど、帰り際に『僕達の結婚式に・・・』なんて言い出すから凄く驚いてしまったわ。まさか本当に実現するとはねぇ」

オレ達の問い掛ける様な視線に応えた姉貴の言葉に、更に驚かされた。

去年の秋から?

そんなに前から・・・なのに

「どうしてアイツはオレ達に挨拶の一言も無いんだ?」

オレはそれが一番不満だ!

妹の電話に驚いたオレは何度も妹に連絡を取ろうとした。

その時、オレは厄介な事件を抱えていて、とても東京に出向く事など出来はしなかったから。

けれど、妹は『もう決めた事だから』と詳しく話そうとしなかった。

弟に尋ねても『俺も初耳で驚いたよ』と言うだけで頼りにならないし。

焦れているオレに届いたのが今日の式への招待状だった。

既に入籍は済ませましたとの一文にオレはキレた。

オレは妹の所に乗り込んでやろうと覚悟を決めていたのだが、葵に止められた。

「静香さんも子供ではないのですから、私達が反対する事は出来ませんよ」

そりゃそうかもしれね―けど!

オレは静香の兄貴なんだぜ?

あんな男と結婚なんかしたら、静香がどんな思いをするのか判ったモノじゃねーだろ?

あの岳居のクソババアが姑になるんだぞ?

それにオレ達に挨拶をしようとしないヤツの態度も気に入らねぇ。

不満を山の様に抱えて出席した訳だが、式の前の控室での出来事にオレは少しだけ考えを改める事になった。

静香は岳居のババア・・・今は峯下か、を上手くあしらえる様だ。

まあ、アイツは嫌味くらいではへこたれないだろうが。

それにヤツも・・・杜也も母親から静香を守る気が無い訳じゃなさそうなのも解かった。

でもな、でも・・・やっぱりオレはこの結婚に不満があるぞ!!











case2 披露宴にて・靖治と杜也



兄貴は杜也くんから俺達に挨拶が無いと憤慨して怒っている。

その理屈は判らないでもないけれど、俺は仕方ないんじゃないかな?と思う。

兄貴は知っているのかどうか判らないけれど、彼だって今まで色々と嫌な思いをして来たんだし。

小学生の時に、兄貴から俺達以外に親父が認知した子供が同じ学校に通っていると聞いて、やはり気になって俺もこっそり見に行った事がある。

その子は『虐められてないか?』と聞いた兄貴に『虐められてない』と答えたそうだが、そんな事は嘘だと思った。

だって、あの学校の子供達ときたら、家柄とか血筋とかを鼻に掛けている奴等が本当に多かったから。

俺がその子を見かけた時も、その子は4人に囲まれて、小突き回されていた。

でも、俺は助けに出て行く勇気も無くて、兄貴を呼びに行こうとしていたら、その子は何と4人を相手に反撃を始めた。

持っていたランドセルを振り回し、蹴りや拳であっという間に4人を沈めてしまった。

俺は感心すると共に、自分の情けなさを感じてしまった。

剣道を習い始めたのはそのすぐ後だった。

兄貴に頼るだけじゃなく、自分で何とかしなくてはと感じたから。

剣道を習い始めた事は役に立った。

何よりも精神力を鍛えられていったから。

そして、高校3年の時、インターハイの予選で強い奴がいると聞いた。

1年で既に2段を持っていると言う。

その時の俺だって、やっと初段を取ったばかりだったのに。

話題の相手を見れば、それは杜也くんだった。

俺よりも小柄で細いけれど、足捌きは素早く、技が切れて、あっという間に勝ち上がって代表になった。

俺は彼と対戦することなく、予選を敗退してしまったが、彼はそのまま全国大会で優勝までした。

兄貴は不満がある様だけど、俺は彼が嫌いじゃない。

確かにあの静香と結婚すると聞いた時は凄く驚いたけれど、さっき控室で見たところ、彼はあの静香と対等に渡り合える程の人物の様だし、なによりスポーツマンなんだから。

ほら、よく言うだろう?

健全な精神は健全な肉体に宿るって。

だから彼も悪い人じゃないと思うんだよな。

俺達に挨拶をしないのも、今までの経緯を考えたら、挨拶し辛いのも当然じゃないかと思うんだけど。

兄貴に判って貰うのは難しいかな?











case3 披露宴にて・沙枝と杜也



披露宴が始まって、来賓の挨拶が続いているけれど、その来賓の人の肩書に吃驚しちゃう。

医学博士に大学教授って・・・お医者さんの偉い人達ばかり。

まあ、静香ちゃんもお相手の人もお医者さんだし、相手の人の実家は大きな病院だそうだから当然なのかもしれないけれど。

それにしても・・・あたしは雛壇の二人を見て感嘆の溜息を吐いた。

お人形の様に絵になる新郎新婦だと思う。

美男美女よねぇ・・・

静香ちゃんは小柄で可愛くて童顔だからお相手より年上には見えないし、相手の人も背が高くてハンサムさんだ。

スピーチの合間合間に二人で顔を寄せ合って笑っているのも微笑ましい。

さっきの控室での会話は少し薄ら寒いものもあったけど、やっぱり仲がいいのよ。

そうよね、何と言っても複雑な経緯があったにも拘らず結婚しようとまでするんだもの。

ずっとノブちゃん達の異母弟だと思っていた人が、実はそうじゃなくて他の人の子供だと判って、今までの養育費や遺産を返すと言ってきた時には驚いたけれど。

今更そんなものを貰っても、と言うのがノブちゃん達兄弟の一致した意見で、あたしもそれに賛同した。

あたしは、その異母弟という人に会った事は無かったけど、もう二度と会う事もないだろうと思っていたのに、静香ちゃんと結婚する相手がその人だと聞いて、不思議な縁だなぁとは思ったわ。

ノブちゃんのお兄さんはさっきから機嫌が悪い。

相手の人がちゃんとお兄さんに挨拶をしてこなかった、と言うのが理由らしいけど、あたしは静香ちゃんが幸せなら別に挨拶なんてどうだって構わないんじゃないかしら、と思うんだけど。

ノブちゃんは『兄貴は怒らせると怖いから』と言っていた様に、確かにお兄さんは人を近付かせない雰囲気を醸し出している。

そこで、あたしはこっそりとノブちゃんに囁いた。

「静香ちゃん、幸せそうで良かったね」

ノブちゃんはあたしの言葉に嬉しそうに頷いた。

「うん」

そうよ、本人達が幸せなら、嫌味なお姑さんが居ようが、お兄さんが反対していようが関係ないわよね。

あたし達だけでも祝福してあげなくちゃ。

小児科医の静香ちゃんには子供達の事とかでお世話になっているんだし。

おめでと、静香ちゃん。

幸せになってね。










case4 披露宴にて・葵と杜也



披露宴は来賓の挨拶が終わり、ご友人のスピーチも終わって歓談の時間となったが、私達のテーブルは重い沈黙が流れたままだ。

それは一重に彼がムスッとした顔をしている所為。

困った人だわ。

靖治さんと沙枝さんは彼に気を遣って話す声は小さく囁く様だし、わざわざアメリカからいらっしゃったお姉様ご一家も気まずそうに二人のお子さんの世話で紛らわせていらっしゃる。

「あなた」

私は彼の手をそっと握って注意を促した。

「いい加減になさったら?お祝いの席でそんな顔をするなんて、よくありませんわ」

確かに、彼の気持ちも判らない訳ではないけれど、静香さんがご自分で決心なさった事なのだし、私達が反対する権利などないと思う。

お相手の方に不満や不安があるのは、正直私も感じる所だけれど、先ほどの控室での会話で、私があの方に抱いていた印象が少しだけ変わった。

10年以上も前に一度だけお会いしたあの時、私はあの人が冷たくて怖い人だと思った。

けれど、先ほど静香さんと話していたあの人には以前の様な冷たさがあまり感じられなかった。

とても、幸せそうに見えた様な気がしたんですもの。

それは、静香さんの事を大切に思っていらっしゃるからではないかしら?

「でもよ」

私の言葉に不貞腐れる彼はまるで子供の様。

時に彼は子供より手が掛かる人だから。

「ご覧になって、お二人ともお幸せそうじゃありませんか?私達は数少ない静香さんの身内なのですから、祝福して差し上げなくては、静香さんがお気の毒というものですわ」

そう、彼と靖治さんと静香さんは既にご両親を亡くされてしまっているのだから、彼と靖治さんだけが血縁と言う事になる。

もちろん、アメリカからいらしたお姉様もだけれど。

ずっと一緒に育った肉親はこの3人だけなのだから。

「機嫌を直して、祝って差し上げて?ね?」

私が微笑みかけると彼は気まずそうに視線を逸らせた。

あら、困ったわ。

お祝いの席で、あまりこう言った事はしたくないのだけれど。

「あなた、いつまでも意地を張るなら私にも考えがありましてよ?」

少し声のトーンを落とした私の言葉に彼がギクリと驚く。

「わ、わかった・・・よ」

宜しいわ、それでこそ私の旦那様です。










case5 披露宴にて・ライラと杜也



私はさっき洩らしてしまった言葉が和晴の機嫌を更に悪くしたのかと、気にしていたんだけれど、和晴も葵さんの執成しで少しだけでも機嫌を直した様で良かったわ。

相変わらず彼女には弱いのね。

思わず皐と顔を見合わせて微笑み合う。

でも、本当に、去年の秋にあの二人が一緒に私達の所に来た時は驚いたわ。

あの時には彼があの人の子供ではないと知っていたし、どうして静香と一緒に来たのか理由が判らなくて。

静香と私が話していてもニコニコと笑って聞いているだけだし、得体の知れない子だと思ってた。

でも、あの人のお墓の前で静香が泣き出した時に、彼は黙って静香の傍を離れなかった。

ちょっと辛そうな顔をしていたのは私の気のせい?

私がその場を離れた後、暫くしてから車に戻って来た二人は肩を寄せ合っていたし、あら?と思っていたら、案の定、私の家には泊まらずに予約してあるホテルに泊まると言う。

まあ、あの二人は血が繋がっている訳ではないんだし、もしかして、もしかするのかしら?と思っていたら、帰る時の彼の言葉。

本当に驚いたわ。

皐に話したら、彼も驚いていたけど「もしかしたら彼の冗談かもしれませんよ」何て言うし。

確かに、俄かには信じられない事よね。

でも、今年に入って本当に招待状が届いて、和晴も靖治も吃驚したと聞いて、あの二人にどんなロマンスがあったのか、実は興味津々なのだけど、皐に「根掘り葉掘り聞くのは駄目ですよ」と釘を刺されているから聞けない!

そう言った皐が意図したのかどうか判らないけれど、式の直前に到着する程遅れてしまったから聞く時間も無かったし。

長身の彼と小柄な静香は身長差のギャップが萌えそうなカップルだし、以前は腹違いの姉弟だったという禁断的な要素を持ったシチュエーションなのに!

もっとネタがないと妄想するにも・・・っといけない!

実の妹で妄想するのはいけないわ。

我慢、我慢よ!

「ママ、しーちゃん、綺麗だね。僕のお嫁さんにしたいくらい」

今年、9歳になるジュニアは小さい頃に遊んでくれた静香の事を覚えているらしい。

でも、残念ね。

「ジュニア、静香はもう他の人のお嫁さんになっちゃったのよ。ジュニアは他の可愛い人を見つけなきゃ」

本当に今日の静香は飛び切り綺麗。

白無垢も似合っていたし、今のドレスも素敵だわ。

あの子は童顔だし可愛いものが似合うのよね、私と違って。

羨ましいわ。

思わず溜息を吐いたら、皐が私の耳元にそっと囁いた。

「今日の静香さんも綺麗ですけど、今のあなたが私には一番綺麗な女性ですよ」

あ、あら・・・皐ったら。

「・・・妻を褒めても意味が無いんじゃなくて?」

思わず素っ気なく返すと

「美しい妻を称賛出来ない程私は愚かじゃありませんよ」

ニッコリと笑う皐に私はクラクラしそうになった。

こ、この人は・・・結婚してから随分と変わった様な気がするわ。

私が恥ずかしくなるくらい言葉を惜しまなくなって、戸惑わせる。

ま、まあね、結婚しても夫を惹き付けておけるというのは悪い事じゃないけれど。

「静香達も幸せになれるといいわね」

私達の様に。

私の言葉に皐は微笑んで頷いてくれた。










case6 披露宴にて・静香と杜也



「見ろよ、部長のあの歌、笑える」

雛壇の上でめかし込んでいる私達は、粛々と来客の祝いを受ける立場なのに、この男ときたら・・・

仮にも私の上司である小児科部長の歌を笑い者にするなんて・・・確かに音程が外れまくって笑えるけれど。

私は思わず出そうになった溜息を押し殺した。

それは確かに、私もこの男が本性を隠して丁寧な言葉で接して来るのが気に入らないと思っていたし、今でもそう思う。

でも、私達の結婚披露宴なんだから少しくらい猫を被ったままでもいいんじゃないかしら?

最近のコイツはお酒を飲まなくても簡単に本性を曝け出し過ぎるわ。

「杜也さん、折角のお祝いを笑ったりしたら失礼ですわよ」

ニッコリと笑って釘を刺せば、ヤツもニッコリと笑って返す。

「すみませんね、静香さん。僕はやっと今日と言う日を迎えられて、嬉しくて笑いが止まらないんですよ」

よく言うわ。

「まあ、そんなに悦んで頂けてるとは知りませんでしたわ。私の兄弟達に挨拶するのをあんなに嫌がってらしたあなたが」

本当に、ノブはともかく、カズ兄ったらしつこかったんですからね。

コイツとの結婚を報告してからと言うもの、何度も何度も私に電話をして来て、忙しいのを理由に無視していたら家に電話をして小鳥遊さんから同居している事まで聞き出す始末だし。

見てよ、今でもテーブルで不貞腐れた顔をしているじゃないの。

カズ兄は一度臍を曲げると直すのが大変なんだから。

振りで構わないんだから、大人しく挨拶だけでもすればよかったのに。

まあ、コイツにだけ責任を押し付けるのもどうかと思ったから、私も自分で話すだけにしようと思ったんだけれど。

何しろ、この結婚は私自信が決めた事だから。

まさか、コイツと結婚するとは1年前まで夢にも思っていなかったけれど。

初めて会った頃は、まだお互いに小学生で、コイツは私よりも背が少しだけだったけれど小さくて、コンクールで生意気に難曲を弾きこなしていた。

名前を聞いて、兄弟達から聞いていた異母弟だと知ったけれど、お父様にも私達にも似ていなかった。

母親が傍にいるコイツに声を掛けるのもバカバカしくて無視していたんだけれど、コンクールの度に顔を合わせる様になって、そうもいかなくなった。

愛想笑いで褒めても素っ気なく返してくるだけ。

腹が立つガキだったわ。

次第にヤツは私の身長を追い越し、大きな手でダイナミックな曲を弾きこなす様になって、小柄な私は小さな手で弾く事に限界を感じてしまった。

元から、そんなに斗出した才能があった訳ではなかったし、高校に入る直前に諦めた。

ヤツに言わせると、バイオリンを習っていたのは私に対する宛て付けだったそうで、ヤツも私がやめた後にやめてしまったとか。

でも、その後に、私が受験した医科大と同じ医学部を受験したと聞いてまた腹を立てた。

本当にあのクソババアのする事は一々厭味ったらしいのよね。

医学部受験は実の父親絡みであったらしいけど。

3年と半年前の事は、未だに思い出せないから、無かった事と忘れても構わないけれど、去年の再会には驚いたわ。

しかも、あんな事をした上に同居までしてしまうとは。

ヤツの罠に填まった感じよね。

だって・・・一緒に暮らすのが嫌じゃなくて、一緒に眠るのも・・・一緒じゃないと眠れなくなる様になるとは思わないじゃない?

ヤツには黙っていたけれど、あっさり感づかれてしまったし。

ヤツが当直の時とか眠れなくて・・・ヤツの体温とか匂いがないと落ち着かなくなっちゃったのよ!

とにかく、ヤツが当直の時に眠れなくて、ヤツのパジャマを抱いて寝ていたら、次の日、ギュウギュウに抱きしめられて眠らされる羽目になった。

苦しい程抱きしめられていたのにしっかり眠れてしまった私にも困ったものだけど。

「パジャマなどではなくて本物を感じて下さいね」

と言われて真っ赤にさせられるし。

どうして分かったのかしらと思っていると

「あなたの匂いが染みついてましたよ」

・・・畳むだけでなく、洗濯して貰えばよかったわ。

『ずっと一緒にいる』と言ってくれたヤツは、本性を出すと乱暴に口調になるけれど、基本的には優しい、と思う。

特に妊娠が発覚してからと言うもの、ヤツの言動は異常だと思えるほど。

産婦人科の研修で感じた事を私に次々と告げて来る。

帝王切開をしろと言われた時には呆れ果てたものだったけど。

困った事に、それを嬉しいと思っていたりするのよね。

いや、帝王切開をするつもりは微塵もないけれど。

籍も入れて、子供も出来て、今現在式を挙げて披露宴の最中。

後悔はしていないけれど、不安は残る。

コイツと結婚して本当に良かったのか?って。

コイツと結婚すると洩れなく付いて来るあの女の事は、正直気鬱だけれどそんなに気にしていない。

だって嫌味を言われたら言い返せばいいだけの話ですもの。

あの女との言い合いにはちょっと燃えるものもあるし。

ふっ、姑いびりをしてやるわ。

ただね、やっぱりカズ兄がね・・・

仕方ない事かしら。

コイツと私達とは最初からお互いにあまりいい印象だった訳ではなかったんだし。

ノブや沙枝ちゃんや葵さんはさっきの控室でも祝福してくれていたし、お姉様達も私達に笑顔を見せてくれている。

家族全員から祝福されるのって無理かしらね?

「そんな顔するな、笑っとけ」

ヤツの言葉にふと我に返る。

いけないわ、主役ですものね。

ニッコリと笑顔をヤツに向ければ、ヤツもニッコリと笑い返してくる。

その笑顔は、決して表面だけを繕ったものではないと思う。

だってね、やっぱり嬉しいのよ。

今日の日を迎えられて、私も。

披露宴の前に抱き上げられた事も、冷やかされて恥ずかしかったけれど、お姫様みたいに扱われて嬉しかったし。

ヤツには、絶対に言わないけれど、その・・・ヤツは王子様みたいに格好良かったから。

紋付き袴も似合っていたけれど、タキシード姿は格別だわ。

お姉様の結婚式の時のお父様よりも格好良かったとは口が裂けても言わないけれどね。










case7 披露宴にて・杜也と雅也



静香は自分の親族席の様子を気にしている様だ。

無理もねェか。

静香の兄貴はかなり怒っていたからな。

でも、俺だって自分の親族席が気に掛かる。

父親は付き合いのある医者やお偉いさん達にお酌をして回っているが、母親は席に座ったまま俯いている。

息子の結婚式で時化たツラしてるんじゃねぇよ。

静香に言われた事を気にしてんのか?

自業自得だろ?

俺は自分で言うのもなんだが、今まで親の言う事をよく聞くいい子でやって来た。

幼い頃から、写真だけで教え込まれた男を父親だと信じて、腹違いの兄弟であるあいつ等に負けない様にと習い事や勉強に精を出して。

それが虚しい事だと感じたのは中学3年の時。

高等部に進学する際、理系か文系かの選択をしなければならない。

同級生達は自分達の進路に悩み、日々話題にしていた。

俺は、自分がどうするべきか悩んだ。

母親は俺に父親の跡を継げと頻りに言う。

けれど、俺は知っていた。

波生兄弟の長兄である和晴は国立の法学部に入ったが、ヤツの異母姉(俺にも異母姉に当たるが)が日本の大学院を出て父親の会社に入った事を。

母親は「女なんて跡継ぎにはなれない」と言うが、俺は「そうかな?」と思った。

それに、やはり年の差は大きい。

異母姉とは9つ、和晴とは4つ、この差は縮まらない。

俺は奴等に負けた事は無いが、所詮後追いだ。

勝てる筈もない。

このまま、一生奴らを追い続ける事に初めて虚しさを感じた時だった。

俺が実の父親に会ったのは。

「岳居杜也くんだね?」

そう声を掛けられたのは下校途中。

声を掛けて来たのは、ニコニコと笑顔を見せている胡散臭い中年の男。

「・・・どちら様ですか?」

あからさまに訝しがる俺に、その男は意外な事を告げた。

「あ、僕は峯下雅也と言います。君の父親ですよ」

なんだ、このオッサンは?

「・・・僕の父親は違う人だと聞かされていますが」

俺の答えにその男は困った様な溜息を吐いた。

「はぁ・・・真理さんはまだそんな事を言っているのか・・・」

その言葉に俺はちょっと驚いた。

まさか母親の名前が出て来るとは思ってもいなかったから。

その・・・自称俺の実の父親の言う事には、俺は間違いなく彼の子供で、彼は昔母親と付き合っていたが、親の決めた許婚が居て、それを知った母親が身を引いたのだと。

後から俺の存在を知ったが、母親は俺の父親は別の人間だと言い張っていると言う。

「でも、間違いなく君は僕と真理さんとの子供なんだよ」

俺はあの母親がそんな殊勝な真似をするとはとても信じられなかったが、その男の言葉は信じてもいい様な気がした。

何故なら、俺は父親だと聞かされて育ったウェルナー・クリフォードというアメリカ人よりもその男に似ていたからだ。

小さい頃は母親に似ていると言われていたし、俺もそう思っていたからアメリカ人の血を微塵も感じさせない容姿に疑問を持った事は無かった。

でも、第二次性徴が始まって、顔つきが変わって来ると、祖父とも違う顔になって行くのに気付いた。

これは父親の血ではないかと思ったが、当然ながらあのアメリカ人には似ていない。

俺は嬉しい様な腹が立つような複雑な心境だった。

碌に顔を合わせた事が無いアメリカ人が父親で無いのは嬉しい。

そしてこうして実の父親が名乗り出て来てくれた事も。

でも、それじゃ、今までの俺の人生は何だったんだ?

血が繋がらない男の子供として認知だけされて、蔑まれて、関係ない奴等と張り合わされて。

俺の気持ちを察したのかどうかは知らないが、俺の実の父親だと名乗った男はこう言った。

「君のお母さんを恨まないでくれないか?悪いのは僕の方なんだよ。気付くのが遅かった僕が悪いんだ」

その男は俺に深く頭を下げた。

「本当にすまなかったね。でも、君のお母さんは気が強くても弱い人だからね、責めないでやってくれ。お願いだよ」

俺は釈然としないながらも実の父親の謝罪と願いを受け入れた。

確かに、俺の母親はプライドの固まりで、気が強くて我儘だが、弱い所がある。

だから、実家の名前に頼ったり、あのアメリカ人の妻の座を執拗に狙ったり、後ろ盾を欲しがるのだ。

あまり人には見せないが、不安がって泣く時があった。

俺は、実はそんな母親が哀れだと思う事がある。

そんな母親をこの実の父親だと言う男は理解しているのだと判った。

そうして俺は実の父親だと名乗る峯下雅也と言う男の言う事を受け入れたが、母親はそう簡単に行かなかった。

問い質す俺に、俺は厭くまでもウェルナー・クリフォードの子供だと言い、認知をして貰っている事実を突き付け、峯下の父親の言い分を全て否定した。

そしてそれは、あの男が事故で亡くなるまで翻さなかった。

峯下の父は根気良く母親を説得し続けた。

どうしてそんな事をするのか?と俺が尋ねた時、父はこう言った。

「真理さんがあの人を好きな事はずっと前から知っていたんだよ。それでも僕は彼女を諦められなかったんだ。ずっと僕の片思いだったんだけど、ちょっと強引に事を運び過ぎちゃったら大嫌いだと言われてね、それで諦めかけてしまったんだ。他の人と結婚までしてしまったんだ、結局続かなくて別れてしまったけれどね。そうしたら、その後で君の事が判って・・・僕は諦めた事を酷く後悔したんだ。僕はもう二度と、そんな過ちを犯さないと決めたんだよ。何より、僕は今でも真理さんの事が好きだし、彼女は可愛いところが昔と変わらないよね」

次第に惚気る父親に俺は呆れたが、その根性にも呆れた。

そして、俺も好きな女が出来たら、父親の様に諦めないと決めたんだ。

だから、母親がどう思っていようと、俺は静香を諦めない。










case8 花束贈呈・静香と真理&杜也と和晴



花束贈呈というヤツ程くだらないモノはない。

でも、お約束事だ。

誰も花を貰いたいとも渡したいとも思っちゃいないだろうが、形だけのシロモノだと割り切ればいい。

静香の前には俺の父親と母親が、俺の前には静香の兄貴が連れ合いと並んでいる。

静香はまず、俺の父親に花束を渡して

「これからも宜しくお願いいたします。杜也さんのお父様」

と言い、父親は「はい、こちらこそ宜しく」と軽く笑顔で答えて受け取った。

そして

「はい、杜也さんのお母様にも」

お座成りだが、静香にしては大人しく花束を渡した。

俺の母親は、手を出さずに暫く俯いた後、顔を上げてこう言った。

「・・・杜也は偏食が激しいので、身体には気を遣ってあげて頂きたいわ」

静香は驚いて大きな目を丸くしていた。

俺も実はちょっと驚いた。

まさか、あの母親が静香を認める様な言葉を口にするとは。

父親が何か言ったのか?

俺は思わず父親に視線を向けたが、父は違う違うと首を振った。

すると、静香はニッコリと笑って

「大丈夫ですわ。杜也さんも父親になるのですから、子供の見本になる為にも偏食は減らして下さいますわよ」

オイオイ、俺にそう振ってくんのかよ?

やれやれ、俺も覚悟を決めるか。

そう思って、静香の兄貴に向き直った時、ヤツが俺をじっと見てこう言った。

「杜也くん、静香を・・・妹を宜しくお願いします。幸せにしてやって下さい」

花束を渡す前にそう言われて頭を下げられてしまった。

俺は流石に絶句した。

コイツ・・・俺の先を越すとは・・・やっぱり気にくわねぇ!

「はい、必ず。お任せ下さい」

チクショウ!

俺はコイツがド肝を貫くようなセリフを言ってやるつもりだったのに!それを!

花束をヤツに叩き付けたいのをじっと堪えて渡すしかなかった。

しかし、まあ、静香がそれを聞いて

「ありがとう、お兄様」

と言って涙ぐんでいるのを見たら、我慢した甲斐があるってもんだが。

俺達は一列に並んで来客達に頭を下げた。

これからが始まりだ。

俺の後期研修がまだ残っている2年間は、静香の家で暮らす予定だが、その後はどうなるのか判らない。

仙台の父親の病院に行くのか、それともこっちで仕事を見つけるのか?

一見、折れたかの様に見えた母親も、静香と嫌味の言い合いを始めるし、この二人が一緒に暮らせる可能性は限りなく低い。

ただ、子供が生まれて、静香が小児科医として働き出すなら、仙台に戻る方が楽な事は確かだ。

どうなるのかねぇ・・・俺にはまだ判んねぇや。

でも、静香と子供と、俺には家族が出来たんだ。

俺達が知らない、幸せな家族ってヤツを作ってみようぜ。






 






























 

Postscript


case1

静香に兄弟に知らせる事を丸投げした杜也は和晴達に挨拶する気が更々なかった様で(苦笑)
最低な男ですが、彼としても両親(特に母親)という難敵を抱えているので勘弁してあげて欲しいと(それにしても結婚する気なら覚悟をすれば良かったのにね)

実は和晴達と杜也は同じ小学校に通っていました(杜也の母親が意図したわけではなく、偶然ですが)
これは杜也が「Squall」でも語っていましたが、その時、和晴との対面があった訳です。
これを「Squall」に入れようとして・・・長くなりそうなのでカットしました。
和晴としては善意でも、杜也にしてみれば余計なお世話です(苦笑)
ちなみに、杜也も当然虐められていましたが、彼は静香と同様に自分で対処できる子供でした(笑)

静香の兄として当然な和晴のお言葉でした(大笑)
杜也は和晴と親戚付き合いをするつもりは毛頭ないので(苦笑)無視してますが、果たして今後もそのままでいいのか?
疑問が残りますねぇ。



case2

相変わらず人の良い靖治クンです(苦笑)
剣道の昇段試験の受験資格は中学二年から、初段を取って2年後に2段の、2段を取ってから3年後に3段の昇段試験の受験資格が与えられます。
ですから高校生で取得出来る段は2段まで。
8段が最高ですが、そこまで行くには40を軽く過ぎてしまうと言う、果てしない競技だ。

ちなみに靖治は中学で英語教師の傍ら、剣道部の顧問もしている。
頑張って続けている様ですね(苦笑)



case3

沙枝ちゃんも靖治のお人好しが移ったか?(苦笑)
いえいえ、彼女はあくまでも第三者に近い立場で見ているだけですので、ある意味真実に近いのかも。
でも、檀上で二人が笑い合っている話の内容は決して沙枝ちゃんが思っているような微笑ましいものとは程遠いものではないかと、賭けてもイイかも(笑)



case4

相変わらず尻に敷かれている和晴でしたぁ!
葵の考えってナンでしょう?
離婚かな?お仕置きかな?(爆笑)
無難な所では「暫く口をきいてあげません」とか?「実家に帰らせて頂きます」とか?
実家に帰られたら義父にボコボコにされること必定だな(大笑)
今回はまだ小さいので連れて来ていない長男が居るから「離婚してしまいなさい」と言われてしまうかも。
婿養子は辛いねぇ(苦笑)



case5

お姉様・・・まだ萌えてたりするんですか(爆)
そしてご主人にしっかりバレてる?
ちょっと方向性は変わって来ているようですが、オタクなのは変わらないのか・・・

そしてラブラブなお二人。
二人目の男の子はまだ幼いので皐の膝の上です。
主夫は育児も出来るのだった(大笑)



case6

うは、素直じゃない静香ちゃん(苦笑)
そして何気に乙女モード炸裂(爆笑)
「最愛」で静香視点が無かったので、ここで少し惚気て頂きました(だからちょっと長い)

本当はお色直しも何回かして、その度に抱きかかえてとか、キャンドルサービスも抱きかかえてとか、ウエディングケーキ入刀の時にキスするとか、色々とベタないちゃつきぶりを書こうかと思ったのですが、静香は妊婦だし、長くなり過ぎるなと思ってカットしました(残念)
書いていませんが、それらの事をやっていると思って下さい(無精過ぎ)



case7

これも、最初「Squall」に入れる予定のエピソードでした(父親との出会いのシーンだけですが)
マニアックな女の趣味をしている杜也の父親(苦笑)



case8

あらら?明るいホームドラマのような落ちになってしまったわ・・・どうしましょう?(正直困惑)

杜也の和晴嫌いは治らなかったようです(苦笑)
ま、カズ兄の方がお兄さんですし、大人だと言う事で(妻に言われて渋々ですが)彼に花を持たせました(笑)

杜也の母親もほんのちょびっとだけ譲歩(苦笑)
でも、本質は変わらない(笑)


以上が拍手掲載時のコメント。

実は今まで触れた事がありませんが、杜也はウェルナー・クリフォードと正式に対面した事が無いのです。
杜也の母親は何度か和晴達の家に出向いて嫌味を言ったり、ウェルナーに接触を試みていますが、一人で行っているだけで、杜也を連れては行きませんでした(と言う事にしておこう)
親父は自分の子供に会わなくても気にする人ではありませんし、杜也も実の父親の事を知ってからは積極的にならなかったので。
真理が杜也をクリフォードに会わせなかったのは、彼の子供ではないから、ではなく、杜也に嫌な思いをさせたくないと言う彼女なりの考えからです。

葵との見合い話は、仲介人(皐のお父さん辺り?)を通して話が来ただけですので、親父は真理とも杜也とも直接話をしていません(失礼な男だ。文句を言われても当たり前)

拍手でクリフォードが杜也を自分の子供ではないのではないかと疑っているのでは?と言うご意見を頂きましたが、親父はそこまで考えていなかった、ぐらいにしか管理人は考えていないのでした。
静香の言う様に、最期まで杜也を自分の息子だと信じていた、と思います。
だから「密会」でも自慢してるし。

この拍手小話で初めて考えた設定が、靖治の剣道を始めた理由です(苦笑)
虐めが原因、とは別の後書きでも言いましたが、それが杜也の虐め対処を見たから、と言うのは此処で初めて考えた(笑)
でも、結構気に入ってます。

靖治と沙枝ちゃんの子供は、この話の時点で二人。
一姫二太郎です。
2019年4月現在の人物紹介で「二人目を懐妊中」と書く積りでしたが、いつも忘れてしまう・・・書き足しておきます(忘れなければ)
和晴と靖治の子供達はそれぞれの嫁さんの実家で預かって貰っているので結婚式と披露宴には出席していません。
お姉様の子供と違ってまだ小さいのでね。

最後に、杜也の実の父親ですが、彼のセリフはある意味母親の救済策(苦笑)
真理はクリフォードの事を(地位を含めてですが)本当に好きでしたし、雅也は年下で相手が居ると思っていたので(真理は絶対に認めないでしょうが)身を引いたのも事実。
杜也がクリフォードの子供だと言い張って、彼が亡くなるまで雅也の求婚を拒み続けたのも、ある意味認知させたことへの筋を通そうとしたのだと思います(それにしても頑固だ。10年以上も)
杜也が自分の母親をどうしようもない駄目な女だと思いながらも、母親と言い続けているのも、ある意味、母親の立場や気持ちを少しだけ理解しているからだと思います。



拍手掲載期間 2009.9.2-9.9.



 

 

 

 

 

 

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