『はた迷惑な女達』番外編
魔女のコンサート
私は久し振りにヴァイオリンを引っ張り出して、温室で弾いてみようかと思い立った。 けれど、それにヤツが横槍を入れてきた。 「温室などという湿度の高い場所で弾こうなんて。あなたは馬鹿ですか?」 そ、それは・・・確かに楽器の事を考えれば湿度の高い場所はあまり良くないのは知っているけれど、満開の薔薇の花が咲き乱れる中でのコンサートなんてロマンティクじゃないの。 それをヤツに言っても笑われるだけだから言わないけれど。 「弾くのなら応接間かサンルームにした方が良いと思いますよ。あそこなら音響も悪くありませんし」 良くご存じね。 「なら、あなたが弾いて頂戴」 私はヤツにヴァイオリンを押し付けた。 「調弦が出来ていますか?」 嫌味を忘れないのは相変わらずだわ。 それでも、ヤツはヴァイオリンを手にして音程を確かめると、スーッと息を静かに吸ってから、パガニーニのキャプリスを弾き始めた。 技巧に走るのは昔と変わらないのね。 確かに上手いけれど。 でも、選曲が硬過ぎると思う。 もっとこう・・・柔らかくて優しい曲が聞きたいわ。 そうね、例えば・・・ 「コルンゴルドのコンチェルトは?」 私のリクエストにヤツは眉を顰めた。 「第二楽章が宜しいですか?」 「そうね」 私がニッコリと笑って促すと、ヤツは渋々と言った感じで、それでも弾き始める。 悔しいけれど、やっぱり上手いわ。 「僕にだけ弾かせないで、あなたも弾いて下さい」 そう言って、ヴァイオリンを返されたけれど、あの演奏の後で弾くのは気が引けるわ。 「フォーレのソナタを」 ま、リクエストに応えて貰ったのだから、こちらとしてもリクエストにお応えしなくてはならないのでしょうね。 フォーレか・・・そう言えば、最後のコンクールで弾いたのがフォーレだったかしら? 指遣いと音を追うのに必死になっていると、ヤツがいつの間にか私の後ろに回り込んで腰を抱いて耳元で囁いた。 「あなたは僕の指で啼く方がお上手ですね」 し、失礼なヤツ! どうせ、私は下手糞ですよ! 真っ赤になった私は、ヤツの言葉と行動に憤慨したけれど、結局ベッドに運ばれて啼かされる羽目になってしまった。 「んん・・・やっ」 俺は久し振りにヴァイオリンを弾いた所為か、赤くなったコイツの左の肩と顎に何度も舌を這わせる。 コイツが焦れた声を上げているのは、舌だけではなく、俺の手が服を肌蹴て胸を揉んでやってるからだ。 ホンの少しだが、コイツの胸は揉み甲斐が出て来た。 これも一重に俺の弛まぬ努力の成果だろう。 しかし、10何年振りに聞いたコイツのヴァイオリンはやっぱり良かった。 思わず途中で中断させるのを躊躇う程。 だが、『最後まで演奏を聞きたい』という願望は、あっさりと『抱きたい』欲望に負けた。 まあ、今日は休みだし、昼間で使用人の目が気にならないと言えば嘘になるが、ゆっくり出来るのは久し振りだ。 少女趣味の寝室でコイツを思う存分抱ける。 それにしても、コイツの服装の趣味はどうなってんだ? 三十路近くなってもフリルって・・・下着もフリフリの白とかビンクとか・・・色気が足りない。 肌が白いんだから、黒とか似合うと思うのに。 今度、買ってやるか。 スケて切れ込みが入ってるヤツとか。 いいな。 ガーターとか網タイツなんかも似合うだろうし、いっその事ボンテージファッションでもさせるか? そして、あのキツイ強気な視線で俺を睨んだら・・・ダメだ。 想像しただけでイッちまいそうになる。 俺は下着を引き摺り下ろして、溢れてる蜜を音を立てて啜る。 ガキっぽい身体つきのコイツは体毛も少し薄い。 色も髪よりは濃いが薄目だ。 剃っちまったらロリコンかと思わせるくらい襞はピンク色してるし。 舌で勃ってきたクリを嘗め回せば、身体を大きく跳ねさせるし。 「ああっ・・・はぁっ」 イイ声だ。 もっと出せ。 ホラ、軽く咬んでやるから。 「やあっ」 もうイッたのか? でも、まだ挿れてやんねぇよ。 もっと焦らしてやるから、もっと俺をその気にさせろよ。 あの強気な視線で俺を射抜いてくれ。 俺はコイツの脚を持ち上げて、爪先からじっくりと舌を這わせた。 コイツの表情を窺いながら。 イッて暫く呆然としていたコイツは、俺が弄る足の指の感触に眉を顰め出した。 「なにしてるの?」 なにって、感じさせてやってんだろ? 足の裏を嘗めあげればピクリと反応する癖に。 何が不満なのか、はっきり口に出して言ってみろよ。 挑発するように笑った俺に、コイツは俺が手にしていないもう片方の脚でグリグリと俺の股間を押して来た。 このヤロウ! 「ふっ、余裕がある様でないクセに」 嘲るような言葉と視線に、俺は腹が立つよりもゾクゾクしてきた。 熱り立つ俺のモノをコイツの足の裏に擦り付ける様にしながら、身体を屈めて耳元で囁く。 「余裕がないのはどちらでしょうかね?」 すっかりビショビショにしてるクセに。 俺はヒクついてる場所に指を突っ込んだ。 三本もの指を余裕で銜え込んでるじゃねーかよ。 コイツは俺の言葉に顔を赤くしながらも睨んできた。 そう、その瞳だよ。 「・・・早・・く」 俺はコイツに全てを言わせずに突っ込んだ。 俺だって限界だ。 「あ、あ、あ、あっ・・・ああっ・・・杜也!」 俺の突き上げに連動するように声を上げる。 名前なんて呼ばれたら、イッちまうだろ! 「っく・・・静香!」 まだダメだ! もっと・・・もっと欲しい! 腰を突き動かしながら、コイツの身体に覆い被さってキスをする。 俺の背中に回された細くて小さな腕。 「静香」 もっと俺を欲しがれ! 全部、オマエのモノだから。 「ああっんん」 俺の背中に思いっ切り爪を立てて果てたコイツの中に俺も思いっ切りぶちまけた。 やっぱ、オマエはサイコーだ。 乱れた息が整わないまま、俺はコイツの顔を嘗め回すようなキスをする。 赤い顔や、生理的に出た涙や涎を『不細工だな』と思いながらも愛しく感じて。 ああもう、ホントに俺、終わってるわ。 こんな女に、すぐに勃つとはな。 責任取って貰うからな、静香。 オマエは俺の傍にずっと居て貰う。 絶対、手放しゃしねぇから。 |
Postscript
小説や漫画や映画などで、弦楽器を雨の中とかで平気で弾いているのを 読んだり見たりすると腹が立ちます。 ミュージシャンなら楽器を大切にしろよ! そして所構わず弾き始めるな!音響効果って大切なんだぞ! まあ、弾きたいと言う情熱が勝れば場所はどこでも構わないのかもしれませんが(それにしても) 杜也のヴァイオリンはコンクール向けの技巧に走るものばかりなので、 何も言わずに弾かせるとパガニーニとなります (超絶技巧派のヴァイオリン曲を作曲した事で有名な方) コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲はロマンティクな曲として有名。 第二楽章のタイトルは「ロマンス」(笑) 静香はお姉様に似て、実は乙女チックがお好きなので(大笑) 二人とも、お金に困っていない人達なので、持っている楽器は凄いものなんだろうなと思います。 ストラディバリとか?グァルネリとか? 遠ざかっていても、昔取ったなんとやらで弾ける事は弾けると思います。 なので自宅でのミニ・コンサートとなりました(笑) 奇想曲(キャプリス)に協奏曲(コンチェルト)に独奏曲(ソナタ)。 ヴァイオリンの曲は種類が多くて迷います。 やっと出せたカナ?Mの杜也クン(大笑) ムチとか痛い系まで行かずとも、詰る様な視線が彼を感じさせるようです(立派な変態だ) そして下着フェチ?(爆) いや、ゴスロリの下がボンテージっつーのも中々・・・私も立派な変態だ(自爆) 以上が拍手掲載時のコメントと別館での後書き。 拍手掲載期間 2009.9.9-10.1 |