Dream vision
「マリウス!マリウスったら!起きて!」 身体を揺さぶられて眠りから呼び戻される。 相変わらず乱暴ですね、クラリス。 せっかく晴れ着を着ているのにそんなに強く揺さぶらないで下さい。 藤色に白い牡丹の花が縫い付けてある新しい衣衫はよく似合ってますよ。 髪に飾った花とお揃いですね。 髪・・・どうしてそんなに短いんですか? まるで初めて会った時のようですね。 ぼんやりと眠りから醒めながら、目の前の恋人の姿に見惚れる。 つい身体を休める為に横になったらうっかりと眠ってしまっていたようだ。 「今日はあたしの誕生日だから飲茶をご馳走してくれるって約束したのに〜」 クラリスがぷぅっと膨れっ面をして文句を言っている。 「・・・クラリス、私は昨日遅くまで調べ物をしていたんです。そんなに乱暴にしないで下さい」 自分の髪を掻き上げて、その長さに一瞬驚く。 どうして驚いたのか判らない、寝惚けてしまったのか。 「でも・・・約束したもん!」 恨みがましい目つきでじっと私を睨んでくるクラリスを可愛いと思いながらも笑顔を堪えて目を閉じる。 「私は眠いんですよ」 再び眠りそうになる振りをしながら、私に跨っているクラリスの反応を窺う。 長いスリットから伸びている白い足をそっと撫で上げて、無言で促す。 「・・・目を覚まして欲しいの?」 薄目を開けると真っ赤になったクラリスの顔が見える。 私の言葉を正しく理解したようだ。 今までの教えをちゃんと覚えている様だ。 脚を撫で擦っていた手をその奥に忍ばせて脚の間に指を進めるとヌルリとした感触と共にビクリと震える彼女の身体と絹の布地を通しても勃ってきたのが判る胸の尖端を見て私は頷いた。 クラリスは顔を真っ赤にしたまま、身体の向きを変えて私の顔に腰を向けた。 そして衣衫を捲り、下裾着を下ろしてまだ眠っている私の分身を取り出して手で擦り始める。 それだけでは駄目ですよ、ちゃんと教えたでしょう? クラリスは手だけでは何も反応しない事に気づいて漸く口の中に入れて舌を使い始めた。 そう、そうです。舌使いが上手くなりましたね。 気の流れが下半身に集中していくのがわかる。 それではご褒美に貴女も気持ち良くさせて差し上げましょう。 私は目の前に突き出されているクラリスの腰を一撫でしてから、裾を払って桃色の花弁を露にする。 溢れ出る蜜は今にも零れ落ちそうなくらいになっている。 その蜜の芳香に誘われるかのように顔を近づけ指で広げる。 花弁の中心で赤く膨らむ蕾にフッと息を吹きかけながらその周りに指を滑らせる。 クラリスの身体がピクリと震えて口の動きと共に花弁の奥が収縮する。 「欲しいですか?」 クラリスは真っ赤な顔にずり落ちそうになっている鼻息で曇った眼鏡を乗せながらこくんと頷いた。 彼女の従順さは練丹術の研究に没頭していた私から気を逸らさせた報いです。 私が彼女に夢中になればなるほど、従順になっていただかなくては道士としての鍛錬を疎かにしてしまっている私が報われません。 クラリスは服を脱いで私の腰に跨りました。 自らの手で花弁を押し広げてそれを咥え込む為に。 「ああっ・・・ん、んんっ・・・マリウス・・・」 私の胸に手を付いて、必死で自らの腰を動かすクラリスは普段の少年っぽい仕種とは違ってとても女らしい。 小さな体に不釣合なほどに膨らんだ胸が揺れる様は男を引き付けさせずにおかない。 だから髪は短くしたまま、眼鏡をかけるほど悪くは無い視力でもつけさせる、その大きな瞳を少しでも隠す為に。 彼女は私だけのものだから。 「マリウス・・・もうダメェ・・・」 グラリと身体を大きく揺らめかせたクラリスの腰を掴んで大きく突き上げると彼女は身体をビクリと震わせて私の身体に倒れこんだ。 「汗を流してきなさい、食事にしましょう」 頷いた彼女はよろよろと起き上がって浴室に向かった。 「マリウス!あたしの服はどこ?あれはお姉ちゃんが誕生日だからって作ってくれた・・・うわぁ、スゴイ!どうしたの?これ」 浴室から出てきたクラリスがバスタオル一枚で並べられた点心に驚きの声を上げた。 「貴女の誕生祝ですよ。ご馳走するといったでしょう?」 友人のアッシュに頼んで配達してくれる店を紹介してもらったのだ。 彼が言うにはクラリスはきっと喜ぶと言っていたが、案の定女性は食べるものには弱いらしい。 服が消えている事への怒りは何処へやら、はしゃいでいる。 「ありがと♪マリウス♪」 嬉々として卓に近付いたクラリスは椅子が一つしかない事に気づいて私をチラリと横目で見た。 「あの・・・椅子は?」 一つしかない椅子に私が腰掛けて膝を叩くとクラリスは真っ赤になった。 今更、二人しかいないのに、相変わらず恥ずかしがり屋ですね。 「私が食べさせてあげますよ、いらっしゃい」 手を差し伸べるとクラリスは恥ずかしそうにしながらも身体に巻いたバスタオルを織り込み直して近付いてきた。 そんなものは無粋でしょう? 「やあん」 座る前にバスタオルを外すと嫌がる声を上げたが、そんな物を付けているのならさっきまで着ていた衣衫の方がまだましです。 「私に17歳になった貴女の全てを見せて下さい」 出し惜しみをしないで。 「いっつも見てるじゃない!」 クラリスは赤い顔をフイッと逸らしたので、その顎を捕えて上を向かせる。 可愛らしく拗ねて尖らせている唇にそっと触れると、怒りは解けていく。 「マリウスってばズルイ!」 クラリスは私の首に手を廻して私の長い髪を玩びながら、しな垂れかかって文句を言い出した。 「あたしだけ裸にして自分はちゃんと服を着てるし、いっつも好い様にあたしの事動かして、いくら院の首席で頭がいいからってさ、そりゃああたしは院の落ち零れでバカだけど・・・」 言葉を途切らせたクラリスは私の顔をじっと覗き込んで不安そうな顔で尋ねて来る。 「マリウス・・・あたしの事好き?」 何を今更、これだけ身体を重ねておいて尋ねる事ですか? 怪訝な顔をした私にクラリスはそっと溜息を吐いた。 「ホラね、マリウスは何も言ってくれないじゃない?あたしばっか好きになって好きな事されてバカみたい・・・」 俯いて唇を噛み締めたクラリスに驚かされる。 そんな風に思っていたとは。 確かに今まで私から思いを口にした事はなかった、かもしれない。 この小さな身体を抱きしめると思いが溢れて言葉にするのは難しい。 感情の昂ぶりと情熱は全て行為に摩り替えられて、彼女に届いているものだとばかり思っていた。 私はクラリスの身体を抱きしめて耳元でそっと囁く。 「愛してますよクラリス・・・貴女は私だけのものですから好きにさせて頂くのは当然でしょう?」 私の心は既に貴女だけのものなんですから。 クラリスはその言葉に瞳を輝かせた顔を上げた。 「・・・ホント?」 疑り深い人ですね。 「好きでも無い女性を抱くほど私は女好きじゃありませんよ」 アッシュじゃあるまいし。 私は疑り深いクラリスの身体を少し持ち上げてその白い胸に付いた赤い跡を舌で突付く。 「こんなものを体中の至る所につけるのは所有の証だと知っているでしょう?」 他の男には見せてはいけない場所に跡を残す、首筋に胸に背中にそして・・・ 「ここも・・・」 脚の間に指を潜り込ませる。 私だけが触れる事が出来る場所。 「あん・・・でもさ、マリウスってばモテるし・・・」 モテる?この私が? 「まさか!」 呆れた私の言葉にクラリスはクスっと笑った。 「知らないの?マリウスらし〜」 「私には貴女だけで十分ですよ、クラリス」 そう言ってもクラリスは少し寂しそうに微笑むだけだった。 どうすれば納得してくれるのか。 そうだ! 「これを」 耳につけている飾りを片方外してクラリスにつける。 アッシュから聞いた、最近女性の間で流行っているという恋人同士で耳飾を分け合う事。 何の意味があるのか良く判らないが。 「マリウス・・・嬉しい♪」 普段は男の子っぽいクラリスでもその意味は知っていたらしい。 喜んだクラリスは私にキスして額を合わせてきた。 「あのね、一組の耳飾を分け合うとこうして向かい合った時に同じ物が近付くでしょ?あたし達が一対になってるって証になるんだよ」 クラリスの説明に成る程と頷くが、女性は下らない事に意味を持たせようとするものだ。 彼女が喜んでいるならそれでもいいが。 「目に見える証なら、貴女の身体にたくさん刻み込んで差し上げますよ」 そんな耳飾などだけではなくて。 「やぁん、点心は?」 彼女の身体に手を伸ばして触れ始めた私に、クラリスは食欲に未練がある素振りを見せる。 私の傍にいて他の物に気をとられるなんて。 「消えてなくなりはしませんよ」 私が満足するまで楽しんでからですよ。 貴女も満足させて差し上げますから。 「ああん・・・マリウスのケチ!」 その生意気な口は塞がないと駄目ですか? 私の事だけを考えるようにしてあげます、直ぐにでも。 「いや、いやぁ〜ん・・・ああん、あん・・・マリウスぅ〜」 クラリスの声は腰の動きと共に高くなっていき、二人だけで過ごす記念日は熱く続く・・・。 「て?何だ?」 思わず飛び起きた俺は自分の髪を掻き毟った。 前に切った髪は当然短いままだし、傍らで眠っているクラリスの髪は長い。 ヘンな衣装も着てないし・・・夢か・・・。 ヘンな夢だったな〜俺が優等生でクラリスが落ち零れ?今と逆じゃん! クラリスも17歳だったし・・・今は23の筈なのに。 それに俺、ちょっとイジワルっぽくなかったか? 夢は密かな願望の現われだって聞いた事あるけど、まさかアレが? 素直で従順なクラリスは可愛かったけど、別に今の彼女に不満があるわけじゃないぞ。 だって、彼女はもう・・・ 隣で眠るクラリスの長い髪をそっと掻き上げて、とろんとした瞼を開き始めた彼女の頬にキスを落として囁く。 「おはよ、奥さん!」 |
Postscript
こちらのおまけはMIMIさんのイラストに触発されてず〜〜っと頭の中で妄想していたものです。 2003.11.27 UP |