Atelier Marius

1年目9月1日〜12月28日

 1年目9月1日

 今日から新学期である。
 アカデミー史上最低の成績を記録した俺にとっては5年間に渡る卒業試験が始まる日でもある。

「マリウス、見て見て、成績順位表が張り出してあるわよ」
 幼馴染のシアが、アカデミーの掲示板に注意を促す。
 たった今イングリド先生から小言を貰ったばかりの俺は落ち込みを加速させるものに興味が無かった。

「そんなもの見なくたって俺が最下位だって事くらい判っているよ」
「そう言わないで、・・・トップの子はクラリス・キュールですって、女の子なのね。すごいわ」

 錬金術に男女の区別は関係ない。
 現にイングリド先生のように女性で素晴らしい錬金術師もいるくらいなのだから。
 と、判っちゃいるけど。

「クラリス・・・聞いた事ないなぁ・・・下級生かなぁ・・・どっちにしろトップを取るなんて、きっと眼鏡をかけたガリ勉タイプの子だぜ。きっと」

 成績表を前に八つ当たりをする。
 あーあ、やっぱり俺は最下位だ、とほほ・・・。
 落ち込んでがっくり肩を落とした俺は、俯いた拍子に隣にいたチビッコに気づいた。
 俺より頭二つ分は小さくて眼鏡をかけている男の子のようだった。
 こんな小さい子もいたっけ?
 記憶を探っているとその子は俺を睨んでいるではないか。
 何かしたか?俺。

「ボーヤ、何か用かい?」
「マ、マリウス!」
 シアが慌てて何か言おうとしたが、少し遅かった。

「私はボーヤではありません。あなたがマリウスさんですね、史上最低の成績の。私はクラリス・キュールです」
 げっ、こいつが・・・女の子だったのか。
 俺が男の子に間違えたのは無理も無いんだぜ、だってこいつときたら髪は短いし服装は青系でローブとスボンだし、女の子らしいところが見えなかったんだぜ、シアには判っていたみたいだったけど。

「やはり、史上最低の成績の人の目は節穴なんですね、勉強になりました」
 ムカッ!なんかこいつの言い方、すっげームカつく。
「ケンカ売ってんのか?オマエ」
 あからさまに年下のチビでメガネの女の子にバカにされた俺は切れそうになっていた。
「短気な方ですね、あなたは」
 ふぅーっと嫌みったらしい溜息を吐いたソイツに俺は拳を上げそうになった。

「マリウス、ダメよ女の子に」
 シアが止めに入らなければ、俺はきっとコイツに拳骨の一つも食らわせていたかもしれない。
 怒りが収まらない俺をシアが引きずるようにして掲示板から引き離していった。
 卒業を掛けた追試の始まりが第一印章最悪なアイツとの出会いの日でもあった訳である。



 1年目9月15日

 アカデミーから支給された銀貨は参考書と機材費に消えて行き残りは僅か、飛翔亭からの依頼はレベルが高すぎて引き受けられるものが少ない。
 採取に行きたいが、冒険者を雇う金はないし・・・一人では心もとない。

 何せ、先日近くの森に一人で行ったとき狼に遭って散々な目にあったばかりだ。
 男のくせにと言うなかれ、俺はまだまだ大した魔法が使えないんだよ。

 シアに付いて来て貰おうかなぁ・・・体の調子が良ければいいんだけど・・・。
 俺は情けない希望を抱いてアカデミーを探してみたが見当たらない。
 がっくし・・・仕方ない、ヘーベル湖までは一人で行くか。

 ふらりと引き返そうとした俺の視界に青銀の髪のチビッコが入った。
 げげっ、クラリス!やな奴に逢っちまったなぁ・・・しかし、待て、物は試しだ。

「よ、よう、クラリス!この間は悪かったなぁ」
 あの後、俺も少しは反省したのだ、大人気ないとシアに散々叱られたので。

「主席のクラリスちゃんはご多忙かな?ちょっとお兄さんの採取に付き合って欲しいんだけど」
 表面上はにこやかにお伺いを立ててみる。
 年下の女の子に頼らなくてはならないなんて情けなさ過ぎるぞ俺。

 クラリスはちらりと俺を見上げて,もったいぶった様に眼鏡をずり上げて。
「私も暇ではありませんが、問題児のあなたを手助けするのも私の役目かもしれませんね」

 くー!コイツの言葉には一々刺がある。可愛くない。
 しかし、まあ、何にせよ。無料で護衛をゲット出来たのだ。
 コイツの嫌味くらいは我慢しよう。
 
 ヘーベル湖までは片道2日の道程である。
 もちろん歩いて。
 チビで女の子のアイツには野宿とか歩きっぱなしは辛いかな?と心配していたけれど、中々どうして泣き言一つ言わずに附いて来た。大したもんだ。

 素直に褒めると。
「採取に来るのは初めてではありません。私は一人でストルデルの滝まで行った事があります」

 げっ、あそこって確か片道6日はかかる所じゃないか、まだ小さいのにすげー。
 感心しているとクラリスは呆れたように。

「錬金術を学ぶのならば採取はとても大切な作業です。早く一人で出来るようにならなければ一人前にはなれません」
 すみませんね、半人前で。

 俺は1日コイツと一緒にいただけだったが、コイツはただ嫌味なだけではない、結構な努力家だという事がわかって来た。
 クラリスは何もしないで主席になったわけではない、努力の結果がそうだったのだ。
 今まで4年間、努力らしい努力をしてこなかった俺はとても恥ずかしかった。

「マリウスさんは、どうして錬金術を学ぼうと思ったのですか?どうして追試まで受けて卒業しようと思うのです?」
 ヘーベル湖までの道すがら、俺とクラリスはお互いの動機について語りだしていた。

 そりゃぁ、主席のクラリスにしてみたら不思議でしょうがないだろうな、史上最低の成績なんて取った日には普通は錬金術師への道なんて、きれいさっぱり諦めるべきものなんだろうな、今までそうした人も少なくなかったし。

「んー、錬金術師になろうと思ったのはシアからアカデミーの話を聞いたのがきっかけだったけど、俺、シアの体を何とか丈夫にしてやりたいんだよなぁ。シアは小さい時から体が弱かったし、ずっと一緒にいたから何とかしてやりたくて。それで勉強を始めたはずなのに、難しくってさぁ。授業を敬遠しているうちに4年経っちゃったんだけど、このまんま終わるのは悔しいからさぁ、イングリド先生も最後に救いの手を差し伸べてくれたから、何とかやってみようかな、と」

 俺は話していて少し恥ずかしかった。
 志は立派かもしれないけれど、結果が丸で伴っていないじゃないか。

「そう言うオマエはどうしてアカデミーに入ったんだ?」
 俺は照れ隠しにクラリスに切り返してみる。

「私は、姉がアカデミーの一期生だったので、錬金術とは小さい頃から馴染みがありましたし、周りも反対しませんでしたので」
 クラリスは淡々と答える。

「へぇー、いいなあ、お姉さんがねぇ・・・俺の生まれたグランビル村じゃあ医者もいなくてさ、シアも同じ村の生まれなんだけど親父さんの仕事の都合でザールブルグに引っ越してきてさ、それでアカデミーのこと教えてもらったんだけど、調合って楽しいよな。ただの草や水が薬になっていくんだぜ!」

「そうですね、調合は錬金術の醍醐味だと私も思います」

 俺は賛同者にすっかり気を良くしてしまった。
 やっぱり、こういう話は同じ錬金術を目指している者でしか出来ないなあ。

「そうだよなぁ、中和剤のあのキレイな色ときたら・・・」
 俺の発言にクラリスの視線が呆れたものに変わっていく。
「中和剤程度で感激するなんて、所詮あなたはその程度なんですね」

 ぐさっ!どうせ俺は中和剤程度で喜ぶ男ですよー、やっぱ、コイツは嫌な奴だ。
 その日、それ以降会話は弾まず、翌日、湖に着いて採取を始めてもぎこちなさは消えなかった。
 あーあ、やっぱりコイツを誘ったのは失敗だったかな。

「きゃあ!」
 悲鳴とともに水音がして、俺は慌ててクラリスの元へ駆けつけた。
 ぎこちないまま離れてしまったのは不味かっただろうか。
 アイツはあれでも女の子なのに。

 果たしてクラリスは腰まで水に浸かって湖に落ちていた。
「だ、大丈夫か?」
 俺の声は笑いをこらえようと震えていた。
 実際、ずぶぬれのクラリスは滑稽だったのだ。

「遠慮しないで笑ってください。足を滑らせたのは私のミスですから」
 クラリスは気丈に立ち上がって湖から出てくる。
 マントやローブを絞っているがそんなことでは服は乾くまい。

「全部脱いでこれを着てろよ。そのままじゃ風邪を引くぞ」
 俺はマントを脱いでクラリスに渡すと火を起こし始めた。

「平気です、まだ9月ですし」
「もう9月だ、水辺の夜は冷え込むぞ」
 俺は焚き火を確認するとクラリスに火の番を頼んで採取に戻った。


 私は一人になってマリウスさんのマントで身を包みながら情けなさで泣きたくなってしまった。
 せっかく役に立つところを見せてやれると思ったのに。

 マリウスさんが私のことを知ったのは2週間ほど前だけれど、私はずいぶん前から彼を知っていた。
 彼はアカデミーの有名人だったから、良くも悪くも。
 彼が長い金髪をなびかせてアカデミーを歩くと女の子たちは熱い視線を送っていたのを知っていた。
 そして史上最低の成績の問題児だということも。

 せっかくアカデミーに入学しておきながらろくに授業にも出ないで落第寸前だなんて、いくらハンサムな人だって最低だって思っていた。
 今回、採取に同行して、そのいい加減さをバカにしてやろうと思っていたのに。
 これじゃあどっちが問題児だかわからない。

 膝を抱えてマントに顔を埋めると、トーンの香りがした。
 昨夜、中和剤について熱く語っていた彼の顔。
 思わずバカにしてしまったけれど、彼は私が思っていたよりもずっと真剣に錬金術に取り組んでいるみたい。
 レベルが低いのは否めないけれど。
 女の子たちが騒ぐのが少しだけ判ったような気がする。
 でも恋人がいる人に熱を上げるなんて、馬鹿げた事はしないけど。


 ヘーベル湖の水とトーンを少し採取してクラリスの所に戻ったのはもう陽が暮れようとしている時だった。
 焚き火には鍋がかけられていて、そこから何だか旨そうな匂いがしている。

「へぇ、料理なんて出来るんだ」
 昨日は持ってきた携帯食料で簡単に済ませてしまったから、今夜は湖畔でキャンプだし、
何か暖かいものを作らなくてはと思っていたけど、クラリスが作ってくれるとは思わなかったので、正直驚いた。

「料理というほどの物ではありません。ただのスープですから」
 まだ半乾きであろうシャツとズボンとローブを着ているクラリスは淡々と鍋をかき回している。
 うーん、錬金術師として様になってるなぁ。

「服、ちゃんと乾いたのか?」
 マントを返してきたクラリスに聞きながらローブの端にそっと触れる。
「まだ濡れてるぞ」
「大丈夫ですよ、ずっと火の傍にいますから」
 俺の抗議をさらりとかわす。むー、意地っ張りめ。
 そんなに湖にはまった所を見られたのが悔しかったのだろうか。
 えーい、もうほっとくぞ!

 と、思ったのだが、その夜、クラリスは案の定、くしゃみを連発して鼻をすする音が聞こえてくる。
「クラリス!服を脱いでこっちに来い!」
「えっ?」
 くしゃみと鼻をすする音が驚きのあまり一瞬止むが、彼女が動く気配がない。

「来ないならこっちから行くぞ」
 俺はマントを脱いで焚き火の反対側で横になっているクラリスに近づく。
「ち、ちょっと!マリウスさん、何を・・・」
 思わず起き上がって後図去るクラリスにマントを着せて、そのまま抱きしめる。

「こんなに冷えてるじゃないか!風邪引くぞ」
 俺はクラリスの背中と腕を猛烈な勢いで擦り出す。
「せめてローブだけでも脱いどけよ」

 クラリスは躊躇っていたようだが、素直に従った。
 ローブを脱いで木にかけると俺のマントを羽織って横になろうとしたが。
「マリウスさんは大丈夫なんですか?そのままで」
 俺はマントを脱いでしまうと皮のベスト一枚なのである。
「大丈夫、俺の生まれたグランヴィル村は北のほうだったから・・・ハクション!」
 クラリスはため息をついてマントを俺にかけて擦り寄ってくる。

「面目ない」
「いいえ、元はといえば私のせいですから」
 俺のマントは大きめで厚い生地で出来ているとはいえ、二人の人間が包まっているには密接しなければならなくて
、クラリスのシャツとズボンだけの体が俺の体にぴったりと寄り添ってくる。
 うはっ・・・コイツ胸おっきい・・・ちびのくせに。

「マリウスさん・・・髪が・・・」
 俺の長い髪がクラリスの顔に当たって苦しいらしい。
「あ、悪い」
 俺は手馴れた仕種で髪を纏めると背中に流した。
 いつもは一つに結わいて背中に流しているんだけど、寝るときまで結ぶなんてゴメンだ。

「・・・どうして伸ばしているんですか?髪の毛」
 このご時世に男でここまで髪を伸ばしているのはさすがに珍しいから多いんだよねこの手の問い。
「んー、願掛けてんのさ」
「卒業祈願ですか?それともシアさんの病気回復?」

「言っちゃったら半減するから内緒、それよりクラリスは何で短くしてるのさ髪の毛」
 襟足で短く刈られた青銀の髪にそっと触れる。柔らかくて真っ直ぐでキレイな髪なのに。
「伸ばすとうっとうしいからです」
「あっそう・・・もったいない」
 さすがに主席は勉強一直線な訳ですか。俺も勉強しないとなぁ。
 採取が終わったら調合だ。



 1年目9月16日〜17日

 俺はクラリスと一つのマントに包まって体を密着させて夜を明かそうとしていた。
 が、眠りは中々訪れてはくれない。
 逆に体の一部が目覚めてしまっていた。

 やばいー!だって、こいつってば胸がでかすぎるんだよー!
「・・・あの・・・マリウスさん・・・その・・・」
 クラリスも眠れないらしい。無理もない。

「悪い、男の生理って奴だ。気にしないでくれ」
 彼女の体に俺のが当たって気持ち悪いんだろうけど、我慢してくれ、俺だってつらいんだよ。
 あっ、動くなよ、擦れて益々・・・。

「クラリス、好奇心は旺盛な方?」
「え?」
 俺の唐突な質問にクラリスは戸惑っている。
 俺だってどう切り出せば良いのか戸惑ってるんだよー。

「興味ないか、その・・・」
「私で欲望を処理するつもりですか?シアさんという恋人がいるのに」
 鋭いストレートを返してくる奴だな・・・いや、そうじゃなくて。

「ちょっとまて、誰が恋人だって?」
「シア・ドナスタークさんですよ。いつも一緒にいるじゃありませんか」
「それは幼馴染だからって言っただろう?第一シアには婚約者がいるぞ貴族の」

 まぁ、そういう噂があるのは知っていたけど、面倒くさいからほっといたのに。
 ガリ勉のコイツまで知っていたとは、恐るべし、女子の口コミ。

「・・・一時の激情に任せて、後で後悔しませんか?」
「それって普通は男のセリフじゃないか?」
 何だか立場が逆なのでは?いやいや、

「で?興味ある?」
 クラリスは俯いたまま小さい声で答える。
「・・・あります」

 俺は彼女の背中と肩に回していた手を強めると、顔を引っ張り上げてじっと見つめた。
 メガネを外した彼女は意外どころか、かなり整った顔立ちをしていて、つまりキレイだった。
 これで、あの憎まれ口さえなければ問答無用で押し倒していただろう。
 でも、今の彼女もちょっぴり素直で可愛い。

 俺は顔をゆっくりと近づけて唇にそっと触れる。
 お互いに少し震えているのが判る。
 俺も初めてだし、多分彼女も・・・。
 そっと唇を離すと瞳を閉じたままのクラリスの震える睫に涙が溜まっていた。

「クラリス、可愛いよ」
 愛しさが溢れてきて、そっと呟く。
 そして顎を強く抑えて口を開けさせる。
 舌を差し入れて唇を貪るようにキスをする。
 手は首筋から肩を滑って柔らかい胸へとたどり着く。

 クラリスはおずおずと腕を俺の背中に回してきた。
 二人の体が益々密着して、彼女の胸を弄っていた俺の手は二人の胸に押し潰されるようになる。
 彼女の豊かな胸は掌では包み込みきれなくて、シャツを捲って直に触れようとする。
 その間も深いキスは角度を変えて続いていて、溢れる唾液がお互いの口の端から零れてきていた。

「はぁっ・・・」
 唇を離すとどちらともなく漏れた吐息は熱くて、俺の限界が近くなっていた。
「クラリス、悪いけど、触って」
 彼女にあまり乱暴なことをしたくないから、一度挿かせて欲しかった。

 背中に回っていた彼女の右手がゆっくりと腰に回ってくる。
 ズボンのボタンを外して彼女の手を導く、躊躇いがちに触れてくる指。
「あはぁっ・・・ゆっくり擦って・・・そう・・・」
 自分よりも小さくて柔らかい指の感触に爆発してしまいそうだ。

「ゴメン、出る!」
 クラリスの体を引き離そうとしたが、彼女は逆に腰にしがみ付いてきたので、
彼女の露になった胸やお腹に思いっきりかかってしまった。

「ゴメン、かかっちゃったね」
 俺が拭い去ろうとするより前にクラリスはその白い液体を自分の指にとって口にした。
 好奇心からなのだろうけれど、その仕種が妙に色っぽい。

「どんな味がする?」
「ミルクとは違いますね、やっぱり」
 一度放って少し落ち着いたきた俺は、彼女に最後の確認をした。
「この先に進んでもイイ?後悔しない?」

 抱き寄せて耳元で囁くと、彼女は言葉ではなく、行動で答えた。
 ズボンとシャツを素早く脱いで、俺の服に(と言ってもスボンだけだが)手を掛けた。
 そして、まだ硬い俺のモノに口をつけていく。
「おい!」
 オマエ初めてじゃないのか?そんな、大胆なうわはぁっ。

 さっきの手つきはぎこちなかったのに、今度の口は大胆に舌を絡めてくる。
 情けないけど、またイッちゃいそうだ。
 俺の股間に顔を寄せている彼女は膝をついて腰を突き出している。
 無防備な彼女のお尻に背中からそっと触れてみる。

「ん・・・」
 ピクンと彼女の体が跳ねる。そうそう、コイツにリードされてちゃ叶わない。
 ねっとりと俺の指に絡んでくる蜜のような物は彼女が感じてきている証拠だ。

 経験は無いけど、知識は人並みのつもりだ、飛翔亭でおっちゃん達のすけべえ話を散々聞かされてきてるからな。
 俺のを咥えている彼女を抱き上げて、くるりと180度回転させる。
 彼女の頭を俺の腰の上に、彼女の腰を俺の顔の上に移動させた。
 それにしてもコイツ軽いな。

「イヤッ!」
 初めて抵抗らしきものをする彼女のお尻を摩ってなだめる。
「大丈夫、気持ちよくしてあげるから」
 そういって、襞の上に舌を滑らせる。

「あっん・・・」
 クラリスの挙げる声はすっごく色っぽかった。
 思わず触られていないのに反応してしまうくらい。
 ピンク色の襞の中で紅い蕾のようなものを見つけて舌でつついて見ると、
クラリスは全身で反応して一際大きな声を挙げる。

「やああっ・・・」
 成る程、これがアレか・・・俺は舌と指を使ってソコを中心に責め立てた。
 クラリスはもう俺のを口にする事も出来なくなって、俺の体の上でひたすら悶えている。
 時折、俺のにかかる荒い息遣いだけが刺激になっている。

 クラリスの蜜を啜り上げつつ、紅い蕾に柔らかく歯を立てると。
「ひゃあああ・・・」
 クラリスは大きな悲鳴をあげてぐったりしてしまった。

 よし、これで一勝一敗・・・いつから勝負になったのかな。
 あんまり大人しいんで、気を失ったかな?と思ったらイッてぼんやりしていただけみたいだった。

 また、抱きかかえて今度は俺の下に仰向けにさせると、青灰色の大きな瞳がぼんやりと開いていた。
 顔は汗と涎で汚れていて、口はだらしなく開いていたけれど、何てキレイなんだ。
 飛翔亭のクレアさんなんかよりもずっと色っぽい。
 男心をそそるってヤツだよなぁ。

 俺は俄然はりきって、クラリスにあまり体重を掛けないように覆い被さって、彼女の両足を大きく開いた。
「あっ」
 俺のが腰に当たって、クラリスもこれから何が起こるかやっと気づいたようだ。

「力を抜いてろよ」
 俺は一気に差し込んだ、初めての娘にはその方がいいと聞いていたのだが、しかし、キツイ。
「はあっ・・・つっっ・・・」
 さっきのフェラチオがあまりにも大胆だったので、もしかしたら初めてじゃないのかもと思っていたけれど、
やっぱり初めてだったみたいだ。
 何だかちょっとほっとする。

 イタイイタイと大声で泣かれたらどうしようと思っていたが、結構我慢強いみたいだ、
唇を噛み締めてぐっと堪えてる。
 何だか可哀想になって、動かずにじっとしていた。

 噛み締めている唇にそっと舌を這わせて口を開けさせる。
 舌を絡めるキスをして、おっきな胸をゆっくりと優しく揉んでいく。
「・・・マリウス・・・」
「クラリス・・・」
 可愛いよ、最高だ。

 俺のは彼女の中でムクムクと大きくなってきていて、腰がムズムズしてきた。
「動いても平気?」
 彼女がそっと頷いてくれたので、俺はゆっくりと腰を動かし始めた。
 気持ちいい・・・快楽を求めて腰の動きが速くなる。

「ああっ、クラリス・・・イイよ」
「んん・・・」
 クラリスは目を綴じて眉間に皺を寄せながら、右手を口元に充てて声を押さえようとしているようだ。

「声、聞かせて。可愛いよ」
 もう一度そっと口付ける。
「まだイタイ?」
 そう聞くと首を横に振る。

 うっ、もうイキそうだ。やっぱりココは外に出すべきだろうなぁ。
 彼女のクリトリスを摘み上げてイカせてあげてから、そっと抜いて、放つ。
「はぁはぁ・・・」
 お互いの息があがっているが、そっとクラリスを抱き寄せる。
 クラリスもあまり力の入らない腕を俺の背中に廻してくる。

 うーん、瓢箪から駒・・・ってヤツだろうか。
 後悔しているわけではないけれど、昨日まであんなに嫌っていた娘とこんな風になっちゃうとは・・・人生って
わからない。

 抱いているときのクラリスは何て言うか、その、綺麗で可愛いかった・・・つまり、イイなぁと、思ったわけで。
「もう一回イイ?」
 抵抗が無いのを良い事にクラリスに覆い被さる。俺ってば若いなぁ、だってまだ19だし。
 そう言えば。

「クラリスっていくつ?」
「17ですけど?」
 何だ、2つしか違わないのか、良かった、俺はロリコンじゃなかった。

 俺たちは東の空が白み始めるまで何度も抱き合っていた。
 翌日、俺はまたしても一人で採取することになったのは言うまでも無い。



 1年目12月28日

 ザールブルグの鐘が鳴り響く。
 俺はぼんやりと目を覚ます。
 んー、この騒音に近い鐘の音も久しぶりだ。
 帰って来たって感じだよな。
 ベッドも久しぶりだし・・・傍らに目をやると、クラリスがうつ伏せになって眠っている。

 昨日、エルフィン洞窟から3週間ぶりに帰ってきて、工房に来ていたクラリスと・・・まあそう言う事。
 採取には一緒に行かなかった。
 最近は何とか冒険者を雇う事が出来るようになってきたし。
 それに、エルフィン洞窟だぜ?女の子を連れてなんて行けないよ。
 ヴィラント山ほどじゃないにしろ、ガーゴイルやエルフなんか出てくるんだから。
 彼女を連れて行くのは近くの森かヘーベル湖だけ。

 あの後、採取に2回ほど付き合ってもらって、工房にも何回か訪ねて来てくれた。
 調合や参考書についてアドバイスをしてもらって・・・そうだよ、教えてもらってんだよ俺は、年下の女の子に!

 でも、教える時は
「こんな事も判らないなんて!」とか
「ああ、そうじゃありません。参考書をよく見てください、そんなことをしたら失敗しますよ・・・ほら」とか
 とにかく、うるさい。
 でも、ベッドの中では可愛いんだよなぁ。
 だから何となく続いている。

『マリウス!帰ってるの?』
 シアの声が下から聞こえる。
『まだ寝てるの?』
 げっ、上がって来る。そういえば鍵かけてなかったっけ?
 俺は慌てて服を着た。

『マリウス?』
 ノックがしてシアが二階の寝室の前にいる。
「起きてる!今、着替えてるんだ。下で待ってて」
『判ったわ』

 慌てて下に行くと、シアはにっこり笑って、クラリスのマントを持っていた。
「隅に置けないわねマリウス。誰を連れ込んだの?」
 うっ、笑顔が怖い。

「・・・アカデミーの・・・後輩」
「どうして紹介してくれないの?恋人が出来たら紹介してくれるって約束したでしょ?」
 はい。確かに、約束させられました。
 でも、クラリスは恋人・・・になるのかな?

 考え込む俺にシアは質問を連打してくる。
「だって、好きなんでしょ?告白したんでしょ?一緒に朝を迎えるくらいなら」
 うーん、確かに、好き・・・じゃなきゃあんなことしないよなぁ・・・告白は・・・してないけど。

 俺の呟きを聞き逃さなかったシアは猛烈に怒り出した。
「何ですって!告白もしないで女の子を連れ込んだの?やだ、サイテー!マリウスってそんな子だったの」
 シアの非難に俺は重ーい溜め息を吐いた。
「だって、告白ってどうするんだ?」

 自慢じゃないが俺は女の子と付き合った事なんてないぞ、それに。
「俺はまだ卒業試験が4年半以上残ってるし、史上最低の落ちこぼれだし、アイツは俺より頭がいいし、何て言ったらいいのかわかんねぇよ」

 しゃがみこんで頭を抱え込んだ俺に、シアは優しく声をかけてくれた。
「バカね、マリウス。正直な気持ちを伝えればいいのよ。意地を張らずに素直にね。そうすれば彼女もきっといい返事をくれるはずよ」

「そうかなぁ・・・」
「ふふっ、そうよ。だって、ホラ、ここ」
 そう言ってシアは俺の首を指差した。
「付いてるわよ、アト」

 俺は首を押さえて真っ赤になった。
 昨夜は1ヶ月振りだったから、結構激しく・・・じゃなくて。
「その子もきっとあなたが好きよ、自身を持ちなさい」

 シアはそう言うと、くるりと背を向けてドアに手を掛けながら。
「あーあ、私も彼に手紙を書こうっと。いいわよね、二人で新年を迎えられる人は。こっちは遠距離恋愛で大変なんだから」
 ぼやきながら出て行った。
 俺はドアに鍵を掛けてから、二階に上がった。


 朝の日差しが差し込む。
 私は目を覚ます。
 隣では彼が眠っている。
 彼は昨夜、戻ってきたばかりで疲れているらしい。

 いつ帰ってくるのか、ここ一週間、毎日工房を訪ねて来ていた。
 彼は戻るなり調合を始めた。
 それを手伝って、そしてそのまま・・・。

 ヘーベル湖でのあの時、彼が言いにくそうに私を誘った時、私は自分の気持ちに気づいた。
 アカデミーで彼に熱を上げている女の子たちをバカにしながら、私も彼を見つめていた。
 私も彼が欲しかった。
 だから、あの誘いに乗った。

 一度だけで終わると思っていた関係は今でも続いている。
 いつ終わるのか判らない、危うい関係。
 この人はいつか私を見向きもしなくなるだろう。
 それは明日か、今日かも知れない。

 彼の顔をそっと指でなぞる。
 何度も掌で包んだ頬、 何度も重ねた唇・・・
 指だけでは物足りなくなって、唇で触れていく。

 今は確かに私のもの。
 首筋に紅いしるしをつける。
 ザールブルグの鐘が鳴る。
 彼が目を覚ます。
 私は幸せな夢に逃げ込む。
 
 彼女が来て彼は慌てて出て行く。
 下には私のマントがある。
 彼は何と言い訳するだろうか?
 夢は所詮、夢のまま。
 判っていたことなのだから。
 泣いたりしない。
 さぁ、服を着て。
 ベッドを整える。
 彼が戻ってきた。

「あ、起きてた?」
「はい」
 大丈夫、ちゃんと声が出せる。

「シアさんはお帰りになったのですか?」
「ああ、・・・って知ってたのか?もしかして話が聞こえた?」
 彼は顔を赤くして聞いてくる。
「いいえ」

 幸か不幸か下での会話は聞こえなかった。
 彼は少しほっとしている。
 最後通告を聞く前に帰ってしまおうか。

「あ、あのさ・・・うーん、何て言ったらイイのかな・・・」
 残念、逃げそびれた。
「えーと・・・そうだ!」
 彼は急いで下に行くと直に戻ってきた。

「これ」
 と言って一つの石を差し出した。
 手にとって見ると所々輝いている。
「これは・・・コメートの原石ですね」
「そう、今回最大の収穫かな」
「そうですね、エルフィン洞窟で取れるとは珍しい」
「やるよ、それ」

 原石からコメートを作り出せば高価で売れる。
 手切れ金の代わりだろうか。

「俺にはまだそれを加工できる技術も知識も無いけど、いつかそれで指輪を作ってやるからさ」
 コメートの指輪・・・それって。

「い、いらないなんて言うなよ。絶対、受け取ってもらうからな」
 彼はまたもや顔を赤くしている。
 コメートの指輪は婚約か結婚の証。

「俺はまだ試験が何年も残ってるし、卒業出来るか判んないけど、ちゃんと責任取るからさ」
 何だ、そうか。
 シアさんに何か言われたのか。

「あなたに責任を取って頂く必要はありません。私は自分の行動の責任くらい一人で取れます。心配される必要はありませんよ。ちゃんと避妊はしてますから」
 この石はどうしよう。
 返すべきだろうか。
 欲しいけれど。

「ち、違う!そういう意味じゃなくて・・・あーっ、だから俺は告白なんてしたこと無いって言ったのに」
 彼は頭を掻き毟りだした。
 告白?

「だから、私の事は別に気にしなくても構いませんよ。お互い子供ではないんですから」
 納得ずみの大人の関係。
 体だけの。
 いつ終わってもいい。

「あのなぁ、俺はオマエにちゃんと言ってなかったから、言おうとしているんだ」
 頭を抱えながらじっとこちらを見つめる。

「お、俺はその、す、好きでもない子を何度も誘ったりしないぞ。体だけなんて思ってないからな」
 言っていて恥ずかしくなったのか、俯いて耳まで赤くなっている。

「その、最初があんなだったし、今まではっきり言わなかったのも悪かったけど、俺があんなことをするのも、したいと思っているのもオマエだけなんだぞ」
 赤い顔を上げて、言い切る。

「だ、だから、その、オマエはどうかなって・・・思って・・・」
 語尾が段々小さくなる。

 私はまだ眠っているのだろうか。
 彼がこんな事を言い出すなんて。
 何て答えたら良いのだろう。

「・・・そうだよな。やっぱ、嫌だよな、史上最低の成績の俺が恋人なんて・・・」
 私の沈黙を彼は拒絶と思ったらしい。
「誰もそんなことは言ってません」
 あわてて否定する。

「そんなことを聞かされるとは思っていなかったので、驚いただけです」
 つい正直に言ってしまう。
「そうなのか?じゃあ・・・いいのか?」
「し、仕方ありませんね」
 そう言うと、彼に強く抱きしめられた。
 もっと素直に言えれば良いのに。

「捨てるなよ」
 彼の呟きに、手の中のコメート原石を思い出す。
「捨てませんよ、貴重な資材なんですから」
「いや、石もだけど、俺のこと」
 この人は・・・好きと言うのにあれだけ恥ずかしがっていたくせに、こう言う事は恥ずかしくないのだろうか。

「ちゃんと卒業できるように頑張れば見捨てません」
 彼の背中に腕を廻す。
 手に入れた。
 私のもの。

 彼は私を抱き上げるとベッドに降ろした。
 彼の意図に気づいて、慌てる。
「昨夜あんなにしたじゃありませんか、まだ朝ですよ」
「えー、だって1ヶ月振りなのに、あれだけじゃ足りないー」

 体だけじゃないと言っておきながら、この人は・・・。
 私のメガネを外して髪を梳きながら頭を抱える。
「髪、伸びたね」
 耳元に唇を寄せて囁く。

 それまで襟足より上に切り揃えられていた髪は、彼に言われてから切っていない。
 今は肩まで伸びている。
「切る暇が無いだけです」
 まったく私は素直じゃない。

 彼はくすりと笑って、服の上から胸に触れてくる。
 私は彼の髪をかき上げる様に指を滑らせる。
 見詰め合って、唇を合わせる。
 彼が私の服を脱がせる。

 シャツを脱いだ時、腕の痣に彼が気づく。
「どうしたんだ、コレ」
「ああ、ぶつけたんです」
 昨夜は暗くて気づかなかったものに気づく。
 私の胸を中心に散る紅い痣。
 彼は首筋にまた一つ増やしていく。

「あんまり目立つところに付けないで下さい」
 抗議すると、ニヤリと笑って。
「お返しだよ、シアに冷やかされたぞ」
 今朝、私が付けたアトを指差す。
 思わずフィと視線を逸らす。
 後はいつものように。
 呼吸が速くなって。
 私が工房を出た時、年が明けていた。


「マリウスのアトリエ2」へ続く


 

 

 

 

 

 

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル