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6.日光駅から東照宮へ

説明

2000年は仕事がうまくいかなくて、職場を逃げ出してしまいました。その結果ぼくは毎日心療内科で出された薬を飲むことになりました。糖尿病の薬といっしょに飲むわけです。

2001年も春が来て、青春18きっぷのシーズンになりましたが、もうそんなに長い旅行をする気力もありませんので、近場に行こうと思いました。どこがいいでしょう。

なんとなく日光にでも行こうかなと思いつきました。JRの日光線には7年前に乗ったことがありますが、乗るだけですぐに宇都宮に引き返し、烏山線に向かってしまいました。

また、中学時代に日光の東照宮に日帰り修学旅行に行ったことがありますが、その時は往復バスでした。だから日光駅から東照宮までどう進んだらいいかわからないのです。

そんなわけで青春18きっぷで日光東照宮に行くことにしました。もちろんもとは取れるでしょう。

この春の青春18きっぷは、最初の2回分で実家まで往復し、いよいよ東照宮に行く日がやってきました。そしてぼくは宇都宮に向かう東北本線の電車に乗ったのです。

東北本線その1

旅行記本文

大宮駅を発車して、宇都宮に向かう。

きょうは日光に行って東照宮に行く予定だ。東照宮は中学時代に修学旅行で行ったことがあるが、あの時はずっとバスで、JRの日光駅や東武の東武日光駅とは無縁の旅行だった。だから駅からどう行けば東照宮に行けるのか確認したい。そういう旅行なのである。

高校の修学旅行で行った奈良の春日大社に、4年前の9月に奈良駅から歩いて行った。それと似たようなものだ。
やっぱりバスだけで行った場所に鉄道の駅から行くと思い出が再構成されておもしろいような気がする。高校の修学旅行で行かなかった京都の名所におととしまわったりしているし、今後そういう旅行をちょこちょこしていこう。

電車はどことなく高崎線の埼玉県区間より市街地の少ない東北本線区間を過ぎ、栗橋を過ぎて川を渡っていく。古河を出るとまた川を渡る。

小山が近づくと市街地に入っていき、そこを出ると小金井で車両基地っぽい場所を通る。そのまま平野を進み、大きな市街地に入っていくと乗換駅、宇都宮に到着である。電車を降りる。

さあ、乗り換えだ。日光線に乗るのも7年ぶりだ。4月と12月、2回もJRの日光に来たけど、どっちの時も日光ですぐに引き返したので、きょうは日光で観光しよう。ぼくは階段を上がり、日光線ホームに向かった。

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日光線

宇都宮〜日光

東北本線の電車を宇都宮で降りて、日光線の電車に乗り換える。宇都宮からこの電車に乗るのははじめてだ。じきに電車は発車する。

7年ぶりなのであまり景色を覚えていない。電車はすぐに宇都宮の市街地を離れていく。

日光線に乗るときは4月とか12月とか、稲作が行われていない時期ばかりだった。きょうも3月なので、たとえ沿線に田んぼがあっても稲が植えられていない時期である。

でもこのあたりは山に近いのでそんなに田んぼはなさそうに見える。山も近い。

山

そんな景色を進む。鹿沼(かぬま)とか今市(いまいち)とか通るので多少は市街地かと思ったがそれほどでもなく、今市を過ぎるとまた人家の少ない景色を進んでいく。そして右手から別の線路が寄り添うようになる。東武日光線だろう。そんな景色をしばらく見ると電車はスピードを落とし、終点日光に到着である。

東照宮

さあ、はじめて日光駅から遠くに歩いて進むことになる。まずは少し西に行くと東武日光駅だ。ここまではいい。さらに街道っぽい場所を進もう。

街道を進んでいくとお店がなくなり、橋に出た。橋を渡ると分かれ道だ。そこはのぼり坂が分岐している。

坂の前の案内板には、この道を進むと東照宮に行けるようなことが書いてある。おもしろそうだし、この道を進んでみよう。のぼり坂を進む。のぼったりくだったりで時間が過ぎる。

山の中の道をぐにゃぐにゃと進むと、ようやく神社かお寺っぽい場所に来た。そして入り口には入場券売り場がある。

よく見るとどうやらそこで売っているのは「共通入場券」らしい。

つまりいくつかの施設の入場券がまとめて売られているというもののようだ。とりあえず買ってみよう。

入場券の料金を払って受け取った券には切り取る場所が2ヶ所あり、それぞれ多少離れた場所の入場券のようだ。まずはすぐそばの場所に入ってみる。共通入場券の1ヶ所が切り取られる。

それはまあ、東照宮なのだからおごそかな場所だ。よくわからないが宗教的な施設なのだろう。

お墓

ひととおり見たら出て次の場所に進む。

三猿

そして次の入り口で共通入場券の残りの券が切り取られる。そして進む。

するとおごそかな建物の前に来た。おお、これは有名な、「三猿」の場所ではないか。

いわゆる「見ざる聞かざる言わざる」の猿の彫刻がある場所だ。

中学の時に来た場所がはたしてここなのかよくわからないが、猿の彫刻があるくらいだからおそらくここなのだろう。

実感はないが、鉄道の駅からバスだけで来た中学の思い出の場所まで歩いて来ることができたことを新しい思い出にしておこう。あまりよく覚えていないがそんなふうにしていろいろ見学した。

帰りは行きと違う道を進む。階段をおりていくと大通りがある。東照宮のバス停のある通りだ。ここを進むのだ。東に進むと行きに来た登りの道の入り口に合流する。橋もある。

橋を渡って進めばそれほど進まないうちに東武日光駅が見えてくる。さらに進むとJRの日光駅に戻ってくる。

昼食

さて、もうお昼も過ぎたのでどこかで昼食を食べてもいいころだ。

もちろん日光線に乗って、どこか帰り道で食べてもいいのだが、このあたりに食堂はないだろうか?

JRの日光駅のそばにも、いかにも観光地っぽい食堂があったがなんとなく入りたくないような気がする。東武日光の方まで戻ってみよう。

東武日光を通り越し、東照宮に向かう街道のそばに来た。なんとなく古めかしい食堂があった。ここにしようか。どんな店だろう?

そこには「ゆば」と書いてあった。ゆばって、豆腐を作る材料の豆乳の、固まった表面を持ち上げて、たばねてまるめたやつだよなあ。

一度も食べたことはないし、食べてみようか。ぼくは食堂に入り、ゆばの定食を注文した。

定食がやってきた。本とかテレビで見たとおりのロールキャベツっぽいものが出てきた。ゆばだろう。

食事

食べてみた。うん、豆腐っぽい味だ。でも豆腐とはどことなく違うような気もする。でも残念ながら、ぼくが今まで経験したどんな食べ物とも違うような気がする。

「食の達人」ならこの食べ物がどんなにすばらしいか説明できるような気がするが、ぼくには説明できない。残念である。

日光〜宇都宮

ともかく空腹はまぎれた。これでアパートに帰るまで腹が減ることはないだろう。ぼくは食堂をあとにして日光駅に向かった。

改札に数時間ぶりに青春18きっぷを見せて通る。電車はさきほど乗った電車とそれほど変わるわけではない。お客もそんなに多くない。なにしろ東照宮にそれほどお客がいないわけだし、日光線にも観光客はいないのだ。日光は青春18きっぷで来る場所ではないのだろう。

そして発車。電車はしばらく東武日光線らしいレールのそばを進むが、じきにそちらは離れていく。そしてしばらく畑っぽい場所を進む。

今市に近づくと多少市街地っぽい場所になるが、今市を出るとまた畑っぽい場所だ。そのまま宇都宮の近くまで畑は続き、大きな市街地に入り、左にカーブして宇都宮駅に到着した。電車を降りる。さあ、まっすぐアパートへ帰ろう。

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東北本線その2

旅行記本文

日光から乗ってきた電車を宇都宮で降り、上野行きの電車の出るホームに向かう。

きょうは観光地で観光する旅行をした。数年前はひたすら電車に乗り続ける旅行ばかりしていたのがうそのようだ。

去年11月に職場を逃げ出す逃亡旅行をして以来、体力が落ちてしまった。これからも青春18きっぷは使っていくが、これからはきょうの日光みたいに近場の観光に力を入れていこうかと思う。

今月の終わりもそれほど遠くには行かないつもりだ。身延(みのぶ)線で降りたことのない山梨県の身延駅にでも降りてみようかと思っている。それからなんでも営団地下鉄の赤羽岩淵駅から新しい鉄道が武蔵野線の方に延びるそうなのでついでに乗りたい。

そんなことを考えながらアパートに帰る電車に乗る。小山を過ぎると川を何本か渡る。そしてだんだんと人家が増えていく。

逃亡旅行以降、1ヶ月に1回実家に帰っている。今使っている青春18きっぷも3回分は実家に行くために使う予定なので旅行は2回だけにするつもりだ。夏の18きっぷも泊まりがけ旅行を1回だけすることにして、残りは実家との行き帰りに使おう、ちょうど海の日近辺で3連休になるからそのうち2日を使って泊まり旅行をしよう、そう考えながら、アパートへと帰っていった。

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