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65.最後の往復割引航空券・2日目

御堂筋線

起床

朝が来て、目が覚めた。

時計を見た。まだ朝の5時じゃないか。

ここは大阪の地下鉄御堂筋線の江坂の駅から北にちょっと歩いたところにある「マジィ・イン江坂」というホテルの一室である。

もうちょっと寝ようかとも思ったが、きのう能勢電鉄のケーブルカーからリフトを乗り継いで行った妙見山でかなり歩いたにもかかわらず、なぜか今日は元気がいい。

5時なら地下鉄はもう動いているし、早起きは三文の得、ということでもう出かけることにした。

荷物をまとめてフロントに行く。こんな朝早くでもちゃんとフロントには人がいた。そしてチェックアウトし、江坂駅に向かった。

途中ローソンがあったが、まだ朝食を買う気にはなれず、とりあえず何も買わずに行くことにした。

計画

さて今日どこに出かけるかということだが、今日は青春18きっぷ旅行ではないため、私鉄中心に動きたい。

さらに、地下鉄の1日乗車券はあとで使いたいと思っているので今日はあまり地下鉄には乗りたくない。

地下鉄以外の私鉄になるべく環状になるように乗りたいと思った。そして立てた計画が以下の通りである。

江坂(御堂筋線)本町(大阪市営地下鉄中央線・近鉄東大阪線)生駒(近鉄生駒線)王寺(歩)新王寺(近鉄田原本線)西田原本(歩)田原本(近鉄橿原線)大和西大寺(近鉄奈良線)布施(近鉄大阪線)堅下(歩)柏原(近鉄道明寺線)道明寺(近鉄南大阪線)古市(近鉄長野線)河内長野(南海高野線)三国ヶ丘(阪和線)鳳(阪和支線)東羽衣(歩)羽衣(南海高師浜線)高師浜(南海高師浜線)羽衣(南海本線)浜寺公園(歩)浜寺駅前(阪堺電軌)恵美須町

恵美須町まで行った後は今日乗る航空機までどのくらい時間が残っているかによってどうするか決めることにした。朝が早いのでこれだけ乗ってももう少し乗れそうな気がした。よし、今日もがんばろう。

江坂駅

ホテルから歩いてぼくは江坂駅に着いた。

計画通りだとまずは中央線の終点、長田まできっぷを買わなければならない。なぜなら、このままラガールカードで改札を入ってしまうと、近鉄ではスルッとKANSAIが使えないため近鉄を降りる時に困ってしまうからである。

駅の案内板で近鉄まで直通できっぷが買えるか見てみたが、どうやら長田より東の駅までは買えないようなので、自動券売機にラガールカードを入れて長田まできっぷを買った。

そして自動改札を通り、エスカレーターを昇ってホームに着いた。

まだ朝5時なので電車の間隔は長く、しばらく待った。

江坂〜本町

やっとなかもず行き電車がやってきた。朝5時なのですいている。電車に乗った。

しばらくは地上を走る。

両側に高速道路が併走している。おもしろいなあと思いながら進んでいく。

新大阪を過ぎる。御堂筋線は新大阪も地上を走るのだ。

しかし、まだ新幹線は走っていない時刻なので乗り換える人も少なく、電車は南に進んでいく。

そのうち淀川を渡る。そしてようやく地下にもぐっていった。

やがて5年ぶりに御堂筋線の梅田駅に着いた。これでめでたく御堂筋線完全乗車である。

相変わらずお客が少ないまま電車は進み、本町駅に着いた。ここで降りる。

朝のお客の少ないうちに市内を通り過ぎてしまうと楽だなあと思いながら、ぼくは階段を使って中央線ホームへと向かった。

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近鉄東大阪線

旅行記本文

御堂筋線を本町で降りたぼくは、案内に従い長い通路を通って中央線の生駒方面のホームにやってきた。
電車がやってきたので乗った。まだ朝6時を過ぎたばかりなのでお客は少ない。

じきに長田を過ぎ、地上に出た。けっこう住宅は少なく、緑の多い風景だ。それから、なんだか線路の両側のかこいがとても頑丈なつくりをしている。ぼくはこれを見て、そういえばこの路線って第三軌条だったっけと思い出した。

第三軌条の路線は一部の例外(上野駅近くの銀座線の引き込み線とか)を除いて踏切を作るわけにはいかないのだ。なにしろ第三軌条というのはレールのそばにあり、高圧電流が流れているわけだから歩行者がそばを通るわけにはいかないのだ。

だから地上区間はがっちり囲って人を寄せ付けないのだろう。そういえば西武山口線も新交通システムだけど囲いはしっかりしていたなあと思い出す。
そのうち長いトンネルを通り、ようやく生駒に着いた。さあ乗り換えだ。

階段をのぼると中間改札があった。ぼくは江坂で買った長田までのきっぷを持っているので、窓口にきっぷを出して「王寺まで」と言った。

そしてお金を払って王寺までのきっぷを受け取り、中間改札を通った。なんだかよくわからないけどむずかしいシステムだな、と思った。

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近鉄生駒線

旅行記本文

大阪市営地下鉄中央線・近鉄東大阪線を本町から生駒まで乗り、生駒の中間改札を通った。王寺まで行く列車が出るホームに行く階段を見つけておりた。そして電車に乗る。日曜の朝早くなのでお客は少ない。そして発車。

なぜか電車からは小高い丘が見えるようになってきた。長いこと丘のそばを電車は走る。お客もほとんど乗り降りしない。

丘

そしてようやく電車は市街地に入っていき、終点王寺に到着した。今年1月に関西本線から和歌山線に乗り換えた駅なので、なじみがある。これから向かうのは新王寺だからいったん出口から出る必要があるだろう。

ぼくはなんとか改札を見つけて生駒の中間改札で買った王寺までのきっぷで外に出た。

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近鉄田原本線

旅行記本文

近鉄生駒線を王寺で降りて、新王寺駅を探す。

案内どおりに進むと、なんだか細い道だ。曲がりくねった道を進み、どうやら改札らしいところにやってきた。改札の前にはコンビニがある。朝食がまだなので買っていきたいが、まずきっぷを買おう。

西田原本まできっぷを買うと、「もう発車ですよ。」と駅員が言ったので、「コンビニに行くので次の列車でいいです。」と言った。電車が発車していく。

コンビニに行って、おにぎりとパンと飲み物を買った。不便そうな場所の駅だが、コンビニが改札の前にあるのは便利だ。

改札を通ってホームのいすにすわっておにぎりを食べた。この路線もお客は少なそうだ。電車が来たので乗って、発車時刻が来た。やっぱりお客は少ない。発車。

この路線は生駒線ほど山がちな場所ではなかったが、やはり家の少ない場所を通る路線であった。そして終点西田原本に到着。

自動改札にきっぷを入れると、なぜか出口のところにきっぷが出てきて、数秒するときっぷが引っ込んだ。よくわからないが、もし田原本から近鉄橿原線に乗る場合、このきっぷで乗れるのかもしれないな、と思った。まあ今回は田原本から新しいきっぷを買っていこう。

案内に沿って進むと踏切があった。渡って右に曲がると田原本駅が見えてきた。

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近鉄橿原線

旅行記本文

近鉄西田原本駅から踏切を渡って田原本駅に着いた。まずはこれから堅下(かたしも)駅に行くことにする。きっぷを買う。大和西大寺・布施経由で行こう。

改札を通って大和西大寺行きホームに来た。さすがに生駒線・田原本線と違ってお客が多い。かなり長い編成の列車がやってきた。けっこうお客が多かったがすわれた。
もう9時近く、お客も多くなってきているのだろう。

奈良の平野は広そうで、京都まで通じているのでかなり使われていそうな路線である。家並みもけっこう多い。

そして大和西大寺に到着である。右側のドアが開き、つづいて左側のドアが開いた。どうやら近鉄奈良に行くにもなんばに行くにも階段を使わないで乗り換えられるようにするのだろう。

左におりるとなんば行きのようなので左のドアを出て、なんば行きを待った。

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近鉄奈良線

旅行記本文

大和西大寺で電車を待つとなんば行きがやってきた。多少混雑していた。これに乗って布施で降りればいいんだよな、と思った。乗ると発車だ。

けっこう住宅の多い場所を進んでいく。そして数時間前に通った生駒に停まる。けっこう乗り降りがある。そして発車。じきにトンネルに入る。けっこう長い。

トンネルを抜けると見晴らしのいい場所に来た。大阪の市街地が遠くに見える。しばらく進むと住宅が多くなり、スーパーも見えてきて、もうすぐ布施というところになった。左から5年前に通った大阪線が合流してきて、布施に着いた。

ここから堅下(かたしも)に行くわけだが、案内によるとどうやら大阪線のホームは階段をおりるとすぐらしい。けっこう便利な駅だなあと思いながら、ぼくは階段をおりていった。

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近鉄大阪線

旅行記本文

布施で奈良線から大阪線に乗り換えるため階段を下りた。

これからめざす堅下(かたしも)はどうやら普通列車しか停まらないそうなので、急行列車を見送り、普通列車を待つ。「国分」と書かれた列車がやってきた。国分って河内国分のことだよな、堅下って河内国分より手前だったっけと思いながら乗る。

見慣れない緑っぽい服を着た小学生くらいの男の子たちが10人ほどいた。どうやらあれがボーイスカウトというものらしい。ボーイスカウトというのも得体の知れないものである。はたして何を目的としているのか、どういう人たちが参加するのかよくわからない。まあ、ボーイスカウトの支部が近所にある子供が参加するのだろう。

ぼくは田舎出身だからボーイスカウトとか大学付属の小学校とか知らないけれど、世の中にはもっと知らないことがたくさんあるのだろう。

列車はあまり家の多くない場所を進み、ボーイスカウトの男の子たちも降りてしまい、ようやく堅下に着いた。ここで降りる。ちょっとトイレに寄っていく。

トイレから出て改札に行くと誰もいなかった。うーん、これでは誰でもトイレに行くだけでキセルできてしまうではないかと思った。田原本で買ったきっぷを改札に置いていった。

さて、柏原(かしわら)が近くらしいが、どっちだろう。とりあえず南に進む。右手にローソンがあった。今は新王寺駅前のコンビニで買ったお菓子があるので用はない。右に進む道しかないので右に進む。

すると駅が見えてきた。なんだか古びた駅だ。でも「柏原」と書いてある。ここらしい。でも「JR」と書いてある。はたして近鉄の入り口はどこなのだろうと思いながら、ぼくは駅に近づいていった。

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近鉄道明寺線

柏原駅

近鉄大阪線の堅下(かたしも)駅から歩き、柏原(かしわら)駅に到着した。

駅をながめてみたが、看板は「JR」だ。どう見てもJRの駅っぽい雰囲気である。それも裏口っぽい。

おそらく堅下に近い出口は裏口で、そうでない出口はここより大きい出口なのだろう。御殿場線の松田駅みたいなものかもしれない。

近鉄のきっぷの自動券売機がないか探すと、JRの販売機のとなりにあった。ぼくがめざす河内長野駅までのきっぷを買って改札に入る。どう見てもJRっぽい雰囲気だけど、本当に近鉄のホームがあるのかな。

柏原〜道明寺

階段を上がって案内を探すと、案ずることはなく近鉄道明寺線の案内があった。
ホームにおりると電車はあった。短い編成である。電車に乗り込んだがお客は少ない。

特に道明寺から近鉄南大阪線に乗り入れるということはなく、どの電車も道明寺止まりのようだ。
きのう乗った阪急の西宮北口〜阪急今津の電車と同じく、短い区間を往復して結ぶ役割を持った電車なのであろう。

すわって待つと電車は発車した。電車は進む。そしてたちまち道明寺に到着した。

さあ、近鉄長野線に行かなければならない。まずはとなりの古市(ふるいち)まで行く必要がある。

ぼくは通路を進んでなんとか近鉄南大阪線のホームまでやってきた。

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近鉄長野線

道明寺〜古市

柏原(かしわら)から乗ってきた電車を道明寺(どうみょうじ)で降り、近鉄南大阪線のホームに向かった。

アナウンスを聞くと、どうやら都合の良いことに次の電車はぼくの目的地の近鉄長野行きらしい。これは都合がいいなあと思いながら電車を待った。

電車がやってきた。それほど混雑していない。

ドアが閉まり、電車が発車する。電車は市街地の中を進んでいく。

そして電車は古市(ふるいち)に着いた。ここで南大阪線と分岐である。

あとから吉野方面の電車が追いついてきて接続するらしい。なかなかダイヤを作るのも大変そうである。

古市〜河内長野

電車がホームの反対側に到着した。こちらに乗り換えてくる人がいる。そしてドアが閉まった。向こうの電車も発車である。となり合わせで同時に電車が発車し、そして分岐していった。

このあたりはずっと住宅街である。新王寺(しんおうじ)の駅前のコンビニで買った飲み物を飲みながら過ごす。

何駅もなかったので、あまり時間もかからず電車は終点、河内長野に到着した。
さて、どう行けば南海の駅に行けるだろう。

歩いていると改札を見つけた。どうやら連絡改札ではないようだ。やっぱり一度改札を出る必要がありそうだ。

次は南海で三国ヶ丘に出て、阪和線に乗り換えだなと思いながら、ぼくは南海の自動券売機を探すことにした。

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南海電鉄高野線

河内長野駅

河内長野駅で近鉄の改札を出たぼくは、南海の自動券売機に向かった。

そこの自動券売機では、どうやら三国ヶ丘経由のJRのきっぷも買えるらしい。

今たてた予定では、JRの東羽衣駅まで進み、そこから南海の羽衣駅まで歩くつもりでいたので、ここの券売機で東羽衣駅まで買ってしまうことにした。

三国ヶ丘には1月に来たが、あの時は青春18きっぷで降り、JRの改札はどこかとさまよううちになぜか南海のホームに来てしまい、和泉中央駅で青春18きっぷを見せて三国ヶ丘までの運賃を精算することになってしまった。

だから、こうやって東羽衣まで買っておけばあの時みたいに精算する必要がなくて楽だ、と思った。

河内長野〜三国ヶ丘

なんば行きの電車がやってきた。ちゃんと三国ヶ丘にも停車する電車である。

乗って発車する。大阪の中心部から多少距離があるが、河内長野のあたりもけっこう家並みが続く風景である。電車は進む。

先月眠って通過した区間を、景色を見ながら進んでいく。今日はきのうちゃんと眠っていたおかげで起きたまま乗ることができる。

まわりには、大きな建物がそこここに見える。大型スーパーらしい建物である。

そんな建物を見ながら、1月に来た中百舌鳥(なかもず)を過ぎ、三国ヶ丘にやってきた。
ここで乗り換えである。

電車を降りて進む。

三国ヶ丘には阪和線の快速が停車しないから、普通列車に乗る必要があるんだよな、と思いながら、ぼくは無人の中間改札を通過した。

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阪和線

旅行記本文

三国ヶ丘で南海高野線の各駅停車の電車を降りて、JR阪和線のホームに向かった。まずは鳳(おおとり)駅に行く予定だ。

JRのホームに出た。そのうち電車がやってきたが通過するようだ。電車が通過していく。

そして昔のタイプの京浜東北線と同じ青い電車がやってきた。1月以来4ヶ月ぶりの阪和線だ。

多少混雑していたが、なんとかすわれた。そして電車は発車し、切り欠きの線路を進んでいく。

さすがに関西空港行き、新宮行きの特急が通るだけのことはあり、振動も少なくいいレールだなあと思った。

そして電車は鳳に着いた。

4ヶ月前と同じホームに向かい、東羽衣行きの電車に乗った。今日もあまりお客は多くない。

なんとなく一世代古そうな東羽衣行きの電車は動きだし、住宅街の中の東羽衣駅に着いた。河内長野駅で買った三国ヶ丘経由東羽衣行きのきっぷを改札に渡して改札を出た。

さて、ここから南海の羽衣駅に行かなくてはならない。さてどこにあるのだろうとうろうろしたら、たちまち見つかった。こんなことなら4ヶ月前に羽衣から電車に乗っておくんだったかなあと思った。

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南海電鉄・羽衣〜高師浜

羽衣〜高師浜

JRの東羽衣駅を出てあたりを見回すと南海電鉄の高架が見え、そばに羽衣駅もあった。

こんなに簡単に行けるのなら1月に東羽衣まで来た時に乗っておけばよかったかなあと後悔した。

さて、今回はここ羽衣から南海の支線である高師浜駅までの路線を往復しておこうと考えた。

まずは自動券売機で高師浜まできっぷを買う。

自動改札を通り、案内に従って高師浜行きらしいホームに昇った。電車はそれほど待たずに来るようだ。電車が到着したので乗り込む。あまりお客がいないまま発車だ。

海方向に進む電車だが、それほど海に近いわけでもなく、海の見えないまま電車は高師浜駅に到着した。電車を降りて階段をおり、自動改札にきっぷを入れて通った。

もうそろそろお昼である。めしが食いたい。高師浜の駅を出てちょっと歩いてみた。

昼食

近くに弁当屋があった。食堂はなさそうだ。よし、ここで弁当を買って昼食にしようと思った。

弁当屋は大混雑であった。まずは注文して並ぶ。

カウンターの中では店員さんが忙しく働き、弁当を順々に出している。ちゃんと順番通りに出しているようだ。

大学1年2年のころは、コンビニなんてものはなかったが弁当屋は誕生していたので、日曜のお昼などよく弁当屋に行って長い行列になって並んだものだったなあと回想する。

まあ、順番通り出しているようだし、待っていればそのうちできあがるだろうと思った。

弁当屋

長いこと待ってようやく弁当を買えた。さあ、高師浜駅に戻ろう。

駅に戻り、さてきっぷを買おうと弁当を持ったまま千円札を出して自動券売機に近づいた。

なんと近くにいた駅員が、ぼくの手から千円札をひったくって、ぼくの手に五百円玉2枚を握らせた。こんな経験は初めてである。

自動券売機を見ると千円札非対応であった。とりあえず持っている五百円玉を入れて浜寺公園まできっぷを買った。

自動改札を通ってホームに昇った。

まずはさっき買った弁当を食べる。やっぱり旅行中はこういう場所で弁当を食べるのが一番ふさわしいなあと思った。さすがにお客がたくさん集まる弁当屋の弁当だけあってとてもうまかった。

高師浜〜羽衣

弁当を食べ終わってしばらくすると電車がやってきた。折り返し羽衣行きになるようだ。

まずは乗る。じきに発車した。

同じ風景を見て、電車は羽衣駅まで戻ってきた。ラッキーなことに、この駅では高師浜から来た電車が停車した同じホームの向かい側になんば行きが来るようだ。

まずは急行だ。お客がどんどん乗っていく。ぼくは浜寺公園で降りる必要があるので乗らずに待った。待つ人は少ないようだ。さらに待った。

羽衣〜浜寺公園

ようやく普通列車がやってきた。お客は急行より少ない。まあ、1駅だけだからすわれなくても関係ないのだが、まずはすわって1駅進む。ながめのいい電車のまま、浜寺公園に着いた。

自動改札に高師浜で買ったきっぷを通して改札を出た。

浜寺公園駅を出て、阪堺電軌(はんかいでんき)の浜寺駅前まで進むことにした。まずは大阪湾方向に延びている幅がやや広い道路を進んでいく。

そのうち喪服を着ている人がたくさん見えてきた。

葬式

葬式をやっているらしい家が見えてきて、そのそばに浜寺駅前の駅も見えた。

なかなかたいへんそうな雰囲気の中を、ぼくは阪堺電軌の駅へと進んでいった。

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阪堺電軌その1

旅行記本文

南海の浜寺から歩いてきて、葬式の家のそばの阪堺電軌の浜寺駅前までやってきた。
自動券売機はどこか見てみたが見あたらない。運賃は車内で払うのだろう。

電車がやってきたので乗る。そんなにお客はいない。しばらく待って発車だ。

専用の軌道を少し走ったあとで、広い道の中央に出た。
ちゃんと軌道の両側に、車が軌道に乗り入れないようガードのコンクリートがあり、交差点でもない限り車が市電の通行をじゃますることはない。

さすがにその交差点では信号で市電が車の通行をじっと待つ。そんなふうに広い道に沿って長いこと進む。

お客は10人くらいになることはあるが、20人になることはない。

そのうち道路をはずれて家と家の間のせまい専用軌道に入っていき、住吉で天王寺駅前に行く路線とクロスする。
単純クロスではなくて、天王寺駅前方向に進むことができるポイントがある。

あとはずっと専用軌道を進んでいく。お客も乗ったり降りたりして、それほど増えない。
いつのまにか大阪環状線の下を通ったらしく、終点恵美須町に到着した。浜寺駅前からの運賃を払って降りた。

ここは家と家の間の駅で、駅前広場はなく、なんともせまくて小さな駅であった。
ここからどうしようか。ぼくはJRの新今宮駅まで歩いていこうかと思った。

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大阪環状線その1

恵美須町駅〜新今宮駅

阪堺電軌(はんかいでんき)の恵美須町(えびすちょう)で市電を降りた。

さて、とにかく道に出なければならない。東寄りに進むと歩道のある南北の大通りに出た。そこを南に歩いていく。
ずっと歩いていくうちに、新今宮には南海が走っているから、南海の見える所まで西に進む必要があると思い、適当なところで右に曲がって西に進み始めた。

南に進んだり西に進んだりして、細い道を進んでいく。
それにしても大阪市内のはずなのに、あまりひとけがない場所だなあ。

ようやく南海も大阪環状線も見える場所にやってきた。交差する場所が新今宮のはずなのに、なぜかひとけのない、のぼり階段がある。

そう言えば先月高野山から新今宮に来て大阪環状線に乗り換えたとき、南海の改札を出て、JRの改札を通ってから階段をおりてホームに来たっけなあと思い出した。とすると改札はのぼり階段をのぼったところにあるのかな?

新今宮〜天王寺

ともかくのぼってみた。本当に駅かと思うくらいひとけのない場所だった。

東京駅にも京葉線に近いところにひとけのない階段があって、カップルが抱き合ったりしていたので、新今宮にもそういう入り口があるのだろう。かなりのぼるなあ。
ようやく改札っぽい場所にやってきた。

あれ、先月来た、南海とJRの改札が向き合っている場所だ。やっぱり一度来た場所に二度三度来るのはいいなあ、と思いながら、JRの券売機で天王寺まできっぷを買い、改札を通って先月と同様にホームまでおりた。

先月は大阪まで乗ったが、今日は天王寺まで行くから反対側の電車に乗る必要がある。
電車がやってきた。乗ってみたが山手線と違いそんなに混雑していない。

1駅だけだがけっこう時間がかかって天王寺に着いた。市電乗り場は先月の旅で降りて進んだ近鉄の阿部野橋の近くだろうと思い、先月進んだ道を思い出しながら改札を出た。

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阪堺電軌その2

旅行記本文

新今宮から乗ってきた電車を天王寺で降り、改札を出て大阪阿部野橋に通じる横断歩道の前に出た。さて阪堺電軌の乗り場はどこだろう。

なんとなく右側(西の方)にあるんじゃないかと思い、右に進んでいった。すると市電の駅っぽい場所があった。

しかし、あそこに行くにはいったん階段を上がって歩道橋に出て、そこから階段をおりる必要があるようだ。なんとか階段を探してのぼり、駅っぽいところでおりる。そこが阪堺電軌の天王寺駅前だった。

天王寺駅前でもきっぷは売っていないようだったので買わずに乗ることにする。天王寺駅前からは我孫子道行きと住吉公園行きがあり、住吉公園に行かないと阪堺電軌にすべて乗ったことにならないので住吉公園行きであることを確かめて乗る。

お客は10人を超えていて、まずまずである。さっき乗った路線は恵美須町の位置が悪いが、ここ天王寺駅前ならかなり交通の便がいいのでこっちの方がお客が多いのだろう。電車は発車する。

道路の中央を進んでいく。数時間前に通った浜寺駅前近くの大きな通りとは違い、やや細い道である。でも線路の両側に1車線ずつあり、車が市電のじゃまになることは少ないようだ。
お客はさっきの路線よりもひんぱんに乗り降りするようだ。

そのうち線路は道路をはずれていく。そして住吉で数時間前に通った路線とクロスする。
ここでお客は少なくなり、数人ほどを残して電車は進む。そして終点、住吉公園に着いた。運賃を払って降りる。

すぐそばに南海の高架があり、どうやらここでは浜寺ほど乗り換えに時間はかからないようだ。

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南海電鉄・岸里玉出〜汐見橋

住吉大社〜岸里玉出

阪堺電軌(はんかいでんき)の住吉公園駅で市電を降り、歩くと南海の住吉大社駅はすぐに見つかった。

南海の汐見橋(しおみばし)駅まできっぷを買い、自動改札を通ってなんば方面のホームに昇った。

各駅停車を待つとなんば行きがやってきた。急行の通っている路線の各駅停車はどこの私鉄もすいている。

電車に乗って進むとすぐに岸里玉出(きしのさとたまで)に着いた。住宅街の中の駅である。
なんとなく汐見橋駅行きは急いだ方がいいと思い、案内に従って階段をおりて昇り、汐見橋方面のホームに着くとなんば行き電車より短めの編成の電車が停車していた。

「ラッキー!超ラッキー!」

と叫んで電車に乗るとすぐにドアが閉まり、電車は進み出した。

幸運

岸里玉出〜汐見橋

学生らしい男たちがこっちを見ている。

そう言えば大阪で標準語を話したらなぐられたという話を聞いたことがあるなあと思い出した。「超ラッキー」なんて言葉、大阪じゃ使わないんだろうなあ。

まあいいかと思い、すわった。

お客は少なく、沿線の住民しか使わないようだ。途中駅で停まり、徐々にお客が降りていく。

そのまま住宅街を進む。

いつのまにか電車は大阪環状線の内側に入ったらしく、終点汐見橋への到着を告げるアナウンスが聞こえてきた。

そして終点、汐見橋駅に到着である。

汐見橋駅

降りるお客の数は全部合わせて10人程度である。

ぼくも電車を降り、ホームに沿って北に向かって歩き出す。

改札にやってきた。なんと駅員が立っている。

1996年現在の汐見橋駅は、有人改札駅だったのである。

きっぷを渡して改札を出る。

振り返って上を見ると、なんとも古そうな路線図があった。どうやら今の路線図ではなさそうだが、年季物として記念に置いてあるようである。

汐見橋駅〜大正駅

とりあえず歩いてみた。

いちおう車通りがそこそこにある道路があったが、大阪環状線の内側にしてはさびれた感じの場所である。

商店街でも、住宅街でもない。どちらかと言うと倉庫とかがあちこちにありそうな感じの場所であった。

さてここからどう進むか考えたが、なんとなくここから大阪環状線の駅まで歩いて行けるような気がした。

とりあえず道路に沿って西に進み、道のカーブに沿って左に曲がることにする。

てくてく、てくてく歩いた。車通りはそれほど多くない。

そのうち運河が見えてきた。

大阪は運河の街なのであろう。なんとも雰囲気のいい午後である。運河を渡る橋をいくつも越え、進んでいく。

大正駅

そのうち高架が見えてきた。

どうやらなんとか大阪環状線まで来たようだ。しかも駅らしい建物まである。

建物に近づいてみた。道を渡った。そこには大正駅と書いてあった。やったあ。

とりあえずもう午後3時であり、帰りの伊丹空港発の航空機は午後6時発なので、もうそろそろ伊丹空港に向かうことにした。

そのためには、まだ乗っていない阪急の塚口〜伊丹の路線に乗り、伊丹からバスに乗るのがよさそうである。阪急なのだから梅田から乗るのがいいだろう。それならばここ大正駅から大阪駅まで大阪環状線に乗って、梅田駅まで歩けばよい。よし決めた。

ぼくは大阪駅まできっぷを買おうと、大正駅の自動券売機に近づいていった。

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大阪環状線その2

旅行記本文

大正駅で大阪駅まできっぷを買い、改札を通って大阪駅方面のホームに行く。ホームが2つある駅である。

お客は新今宮から乗った時と同じくホームで待っている客は少ない。
電車が来たが電車の中もお客は少ないようだ。

東京の山手線が池袋・新宿・渋谷などの繁華街を通るのに対して、大阪の繁華街は御堂筋線沿いなので、大阪環状線はそれなりの客しかいないのだろう。

どことなく家並みの少ない弁天町・西九条を進んでいき、高速道路の高架が目立つ大阪駅が近づき、大阪駅に到着である。

ここからは、きのう行った阪急の梅田駅にふたたび向かわなければならない。

ぼくは階段をおり、阪急はJRの東だったっけなあと思いながら改札を出て、とにかく東を目指した。
きのう阪神梅田駅を出たときに見た道路があり、渡るとすぐに阪急の梅田駅に着いた。ぼくは中に入っていった。

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阪急電鉄・塚口〜伊丹

梅田〜塚口

大正駅から乗ってきた大阪環状線を大阪駅で降り、約24時間前と同じ道筋を通って阪急梅田駅にやってきた。朝、江坂から長田まできっぷを買うのに使ったラガールカードを約10時間ぶりに取り出し、自動改札に通して階段を昇り、整然と並んだ梅田駅ホームにやってきた。

きのうは河原町(京都)方面のホームに行けば良かったが、今度は三宮方面のホームだ。

たぶん塚口には普通列車しか停車しないだろうなあと思いながら、三宮方面の各駅停車に乗った。
電車は発車する。淀川を渡っていく。

淀川を渡って十三(じゅうそう)を出ると住宅の間をぬって電車は進んでいき、なんとか塚口駅に着いた。

さあ、乗り換えだ。もちろんここで降りる人は乗り換えの人が多いのだろう。階段を進む。

走ってなんとか伊丹行きの電車の出るホームに着くと、ああ、なんと電車が発車していく。

ままならないものだ。しかしよくよく考えたら数時間前に南海の岸里玉出(きしのさとたまで)駅で住吉大社から乗ってきた電車から汐見橋(しおみばし)行きの電車に乗り換える時にぎりぎりで乗り換えられているので、運が良いこともあれば運が悪いこともあるということなのだろうと考えた。

塚口〜伊丹

とりあえず次の電車がやってきるまでぼ〜っと待った。

電車がやってきたので乗った。時間が中途半端なのであまりお客はいなかった。すわって待つとドアが閉まった。

なんということだろう、ドアの外には今まさに乗ろうとして乗れなかった人がたくさん来ている。

すなわち梅田から来た電車と伊丹線とは、ぎりぎりで乗り換えられないタイミングでいつも電車が接続しているのだ。なんともつらい接続だなあと思った。

電車はやや住宅の少ない場所を進んでいくが、やがて市街地らしい場所が近づくと終点の阪急伊丹駅にやってきた。今日乗る大阪側の電車はこれで終わりだ。

なんだか仮設ホームのような場所だった。

あとで知ったことだが、阪神大震災で伊丹のホームは崩れてしまい、仮ホームで営業していて新しくホームを建設中ということだった。

とりあえず仮の自動改札にラガールカードを通し、次にこれを使うのはいつのことになるだろうかと思いながらカードをしまった。

伊丹駅〜伊丹空港

自転車が放置されている小道を通り抜け、なんとかバスターミナルにやってきた。
ここが伊丹市の中心部のようである。とりあえず伊丹空港行きのバスが出る乗り場を探した。

見つかった。次のバスは20分後のようだ。
しばらく待った。バスがやってきた。
さすがにあまりお客はいない。きのう空港から蛍池まで乗った千里中央行きのバスと比べるとえらい違いである。まあ、伊丹市の人しか使わないバスなのだろう。

バス

そのままバスは発車し、市街地を離れていく。

しばらくすると福知山線の伊丹駅前に停車する。多少乗り降りがあるようだ。
バスは発車する。家並みも少なくなり、畑がまわりに見えるようになった。

バスは長いこと時間をかけて進んでいく。やがて地下に入った。おそらく空港の下をくぐっていくのだろう。羽田空港でもバスは地下を通る箇所があったので、どこでもそうなのだろうと考えた。

そのうちバスは地上に出て左に曲がり、空港近くの道を北にゆっくりと進み、ようやくきのうの朝千里中央行きのバスに乗ったバス乗り場までやってきた。それにしても時間がかかった。

同じ伊丹市内間なのに、違う府県の間である空港〜蛍池間の方がずっと距離が短いのだ。
同じ市内にあるよりも、むしろとなりの市からの距離が短いことがあるということになんとなく納得しながらバスを降りた。まだ羽田行きが離陸する時刻までは時間があるので、空港でも見てみようと思い、伊丹空港に入っていった。

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全日空・伊丹〜羽田

旅行記本文

阪急伊丹駅から乗ってきたバスを降りて空港の中に入った。羽田行きは午後6時だが、まだちょっと時間がある。空港をひとまわりしてみることにした。

食堂がたくさんある。しかしまだ夕食には早いだろうし、空港というところは高速道路のサービスエリアと同じで、どうせたいした食事もできないだろう・・・とこの時は思っていた。

羽田に着いてからアパートに帰る途中で食事をしようと考えた。もうそろそろ搭乗手続きをしよう。

きのう羽田でもらっていた航空券で手続きし、X線検査を通る。もう便利だった往復割引はなくなってしまうんだなあと改めて思った。待合室でしばらく待って機内に案内される。今度も窓ぎわの席だ。そして離陸する。

もう暗く、あまり景色は見えない。音楽もあまりおもしろくないのでイヤホンはしまい、コーヒーを飲んだり機内誌を見ながらすごす。

そのうち羽田が近づくと照明が消えた。窓の外を見てもどこを通っているかわからなかったが、房総半島の上あたりを通っていたのかもしれない。そのうち着陸だ。

通路を通ってモノレール乗り場に行く。きのうきょうと、航空運賃値上げ前のかけこみ旅行をしてしまった。

去年もJRのダイヤが変わる前のかけこみ旅行とかしているので、今後もかけこみ旅行をするかもしれないなあと思いながら、ぼくはモノレールのきっぷを買った。夕食はラーメンでも食べようと思った。

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