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65.最後の往復割引航空券

説明

1996年春はたくさん旅行した年でした。いつもなら5月に旅行はしないのですが、ある日「早割」というシステムが航空機に導入され、その代償として往復割引が廃止されるというニュースがとびこんできました。

なんでも往復割引が廃止されるのは6/1だとのことです。

既に時刻表には新しい航空運賃が載っていました。ためしに羽田から伊丹までの古い(5/31までの)運賃と新しい運賃を比較してみました。

げっ!ものすごい値上げだ!と思いました。

値上げ幅は路線によってまちまちでしたが、伊丹、福岡、千歳などの「幹線」はかなり上がっているようです。

5/31までの伊丹までの往復割引運賃を2で割った運賃は、新幹線のひかりの自由席より高く、指定席より安い運賃なのです。それが6/1からは、のぞみより高くなってしまうのです。

また、6/1からの目玉である「早割」は、都合が悪くなってキャンセルするとキャンセル料がものすごくかかるので不便な上に、なんでも航空機の座席の中に「早割枠」というのがあって、それがとても少ないらしいです。

ですので、値上げする前の5月に航空機で往復してやろうと考え、実行に移すことにしました。

とあるクレジットカードの大阪の項目を見ると、クレジットカードを使うと2割引になるホテルが載っていた(江坂の「マジィ・イン江坂」)ので、そこに泊まることにしましたが、その他、どこをまわるかは全く未定でした。

航空機は別のクレジットカードを使うと羽田で軽い食事が無料で食べられるらしいのでチケットレスサービスで買いました。

こうして最後の「のぞみより安い」航空機の旅が始まったのです。

全日空・羽田〜伊丹

ラウンジ

モノレールは無事羽田空港駅に到着した。改札を通って出発便ロビーに行く。
伊丹行きが出る時刻よりかなり早い時刻にやってきた。

今日はとあるゴールドのクレジットカードで航空券をチケットレス予約している。まずは窓口でカードを渡すと係員が操作し、航空券が渡された。それを持ってクレジットカードの案内に示されたラウンジに行く。カードと航空券のチェックがあり、中に入った。
パンやコーヒーが無料で飲食できるようだ。お酒もあるけど別料金のようだ。

あまりうるさくなく、いいところだったが、ちょっと狭くて居ずらいところだ。このゴールドカードも1年以内に解約しようと思っているし、たぶんもうここには来ないだろう。ラウンジを出た。

搭乗

まだ時間があるので最上階に行って離着陸でもながめることにした。エレベータで最上階に上がり、外に出た。航空機がひっきりなしに出発していく。朝早いせいか着陸はまだないようだ。しばらくぼーっとしてすごした。もうそろそろX線検査に行こう。

階段をおりてX線検査を通り、伊丹行きの待合所に行く。さすがに混雑しているようだ。
今までは出張費用で航空機に乗っていたが、きょう初めて自分の金で乗るわけである。しばらく待つ。

搭乗時刻になった。3年前に乗ったときと同様に、自動改札みたいな投入口に航空券を入れ、短くなった搭乗券を取り、通路を通って機内に入る。なぜかぼくが乗務員に搭乗券を見せると、

「こちらです。」

と言って乗務員はぼくについていって席まで案内してくれた。ぼくが航空機に乗るのがひさしぶり(と言っても3年ぶりだけど)だということがわかったのかな?

羽田〜伊丹

左の窓ぎわの席である。3年前と同様にディスプレイに救命胴衣のつけ方の説明が映る。イヤホンがあるので音楽でも聴こう。ちょっと古いイヤホンだなあ。高速バスのイヤホンと比べると曲目も少ないようだ。機体は離陸位置へと進んでいく。そして離陸。

航空機は街を見ながら西へ進んでいく。家々が豆粒のように見える。そのうち高度が上がっていく。そして水平飛行になるとコーヒーサービスである。窓の風景はどうやら伊勢湾のようだ。

音楽を聴きながらすごすとどうやら着陸のようだ。高度を落としていく最中も景色を見ていると、おーすごい!大阪城がまぢかに見える!大阪城を見ながら進み、滑走路が見えてきた。そして着陸。

機体から出て空港の建物に進む。伊丹空港はかなり大きい空港であるがゆっくりながめるわけにはいかない。すぐにバス乗り場を探した。

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阪急電鉄宝塚線

伊丹空港〜蛍池駅

3年ぶりに乗った全日空の航空機を降りて、ぼくは伊丹空港の外に出た。ここからはバスに乗る必要がある。

大阪駅や新大阪までバスに乗ってもいいが、時刻表で見た千里中央行きのバスに乗って蛍池で降りるとどうやら阪急電鉄の電車にすぐ乗り換えられそうなのでそれに乗ることにした。

まずはバス乗り場をさがす。大阪行き、新大阪行き、神戸行きが当然とは言え目立つ場所にあった。
そんな中、ひっそりと千里中央行きのバスは出ていた。しかも混雑している。

なんとかバスに乗って、立って出発だ。
途中いくつか停留所に停まり、それほど時間もかからずにバスは蛍池に到着した。
ぼくばかりでなく、けっこう降りる客がいる。かなり使われている空港アクセス手段なのだろう。

カード

さて、とある場所で得た情報によれば、なんでも阪急・阪神・大阪市営地下鉄などで使える「スルッとKANSAI」と呼ばれるカードがあって、JR東日本のイオカードと同じように自動改札に通して使えるらしい。蛍池でも売っているかもしれないので探してみることにした。

バス停から蛍池駅の改札前までやってきた。改札前で「ラガールカード」と呼ばれるカードを売っていた。ラガールカードか。さて、「スルッとKANSAI」はどこにあるんだろうかと探したが、見あたらない。

いろいろ考えて、「スルッとKANSAI」とは「システム」の名前であり、カードの名前はラガールカードなんだろうという結論に達した。

1000円、3000円、5000円とあったカードのうち、ひとまず3000円のカードを買った。自動改札に通してみたらちゃんと通った。なるほどイオカードと同じようなものらしい。

蛍池〜川西能勢口

まずはどこに行くか考えたが、能勢電鉄に乗って、いきどまりにあるケーブルカーに乗ってみようと思い立った。なにしろ関西の私鉄にはほとんど乗っていないのだ。計画的に乗る必要があり、蛍池に降り立った今は能勢電鉄に乗るチャンスなのだ。宝塚方面のホームに行き、電車を待った。

電車が来た。やってきた電車はこげ茶色の、どことなく古めかしい電車であった。

電車に乗ってすわって、能勢電鉄の乗り換え駅である川西能勢口まで進んだ。けっこう緑の多いいい景色である。

電車を降りて能勢電鉄のホームに進む。どうやら能勢電鉄もスルッとKANSAIに参加していて、ラガールカードが使えるようだ。

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能勢電鉄その1

計画

阪急電車を川西能勢口(かわにしのせぐち)駅で降り、階段をおりて昇って能勢電鉄ホームにやってきた。

今日のこの旅行は行き先未定であった。にもかかわらず能勢電鉄に足を向けた理由であるが、それは「一般周遊券の周遊指定地になっていない」というのが理由であった。

すなわち、今回は航空機メインで、JRも私鉄も別払いの旅行なので、あとで一般周遊券の旅行をする時に行ける場所はあとにとっておいて、先に一般周遊券でまわれない場所をまわってしまおうという計画なのである。

また、空港もより駅(今回は阪急電鉄の蛍池(ほたるがいけ)駅)から私鉄だけで行ける場所、というのも重要である。あとで青春18きっぷで旅行する時のことも考えているのである。

その際に、JRを使った方がまわるのに便利な私鉄は青春18きっぷの旅行の時にとっておこう、というわけなのである。

川西能勢口〜妙見口

能勢電鉄はふたまたにわかれていて、一方の終点は日生中央(にっせいちゅうおう)駅、もう一方は妙見口(みょうけんぐち)駅である。まずはケーブル線の始発駅に向かう妙見口駅をめざすことにする。
さいわい今川西能勢口駅の能勢電鉄ホームにある電車は妙見口駅行きである。

お客はあまり乗らないまま電車は川西能勢口駅を発車した。

阪急の住宅街のそばを通る路線と違い、能勢電鉄は多少木々の多い田舎っぽい場所を通っていく。大阪は空港から電車でそんなに時間がかからない場所でもこのくらい山に近い場所も通るんだなあと考えているうちに能勢電鉄は進んでいく。

そして終点、妙見口駅に着いた。もちろんここから歩いて、時刻表にある能勢電鉄のケーブル線、黒川〜ケーブル山上に乗る予定である。はたして歩いてどのくらいかかるのだろうか、そう考えながらラガールカードを妙見口駅の自動改札に通した。ビシッと阪急と能勢電鉄の運賃がラガールカードから引かれて戻ってきた。

自動改札のある駅にしては、妙見口駅のまわりは畑っぽい風景が広がっていた。ぼくはケーブルの黒川駅をめざして歩き出した。

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能勢電鉄・黒川〜ケーブル山上

ケーブルのぼり

川西能勢口から乗ってきた電車を妙見口で降りた。どうやら黒川に向かうらしいバスもあったが、そんなに離れてはいないだろうと思って黒川へ向けて歩き始めた。
ゆるやかにのぼる上り坂が続いていく。けっこう距離がある。右も左も正面も山である。

それでもなんとかケーブルカーの登り口が右手に見えてきた。人里離れたところで、もちろんみやげもの屋なんかない。
まずは駅で往復のきっぷを買う。そしてケーブルカーに乗る。お客はぼくのほかは数人しかいない。そのまま発車する。

一番後ろの席で後ろの景色をながめてみる。正面も右も左も山である。大阪って、空港からそんなに離れていないのにこんなに山の多い場所があるんだな、と思った。ケーブルカーの魅力はながめなのだから、山を見るだけでもいいだろう。
そうこうするうちにケーブルカーは山上駅に到着した。ここで降りる。

リフトのぼり

ここにはたいしたものはなかった。何かの施設があるくらいで、ちょっとのぼったところにリフトがあるらしい。ともかくのぼってみる。

リフトの券売機に着いた。よく見るとカードを入れるらしい口がある。ためしに蛍池で買ったラガールカードを入れて、ボタンを押してみた。
なんと往復券が出てきた。ケーブルはラガールカードは使えないのに、リフトは使えるのだ。よくわからないけどそういうものらしい。

とりあえずリフトに乗る。リフトに乗るのは緊張するが、スキーをつけているわけではないのでなんとか乗れる。そのままのぼっていく。

かわいい犬を抱いた老年の男性がおりてきてすれちがう。
かわいい犬なので「かわいいこだなあ」と言ったら男性はにっこりほほえんだ。
左右に森を見ながら、ようやく頂上に来て、リフトを降りた。

昼食

なぜかそこには駐車場があって、バスもある。バスに乗ればどこかに行けそうだ。
しかしぼくは往復のチケットを買っているので帰りもリフトとケーブルで帰らなければならない。しかたがないのでバスに乗るのはあきらめることにした。

さて、駐車場からはさらにのぼる歩行者用の道がある。そして道の両側にはどうやらみやげもの屋があるようだ。とりあえずのぼることにした。
のぼると何があるのかわからずにのぼっていく。でも行けども行けども道が続いていて、もう限界だ。疲れた。ぼくは手近の食堂に飛び込んだ。

「親子丼ください。」
「わかりました。どちらからいらっしゃったんですか?」
「東京です。飛行機の運賃が6月から上がっちゃうんで、上がる前にあわてて来ました。」
「まあ、あたしらは飛行機は6月から下がるって聞いていたんだけどねえ。」
「上がるんですよ!」

食堂

店の人とこんな会話をして、出てきた親子丼を食べてひといきついた。足の疲れも少しだけ回復した。ごちそうさま。また歩こう。

さらにのぼると、今度はくだりになり、ようやくお寺らしき建物が見えてきた。よかった。ここが目的地のようだ。お客もちらほらといる。
こんなケーブルとリフトを乗り継いでいく山の中にお寺があるのである。

まあなんにしろ、苦労してたどりついた場所というのはありがたいものである。
とりあえずお寺なのでさいせんをあげていく。水も飲んでいこう。

くだり

あとは引き返すだけである。くだりなので疲れは少ないだろう。

くだってくだって駐車場に着き、リフトをくだる。さらにくだってケーブルの駅だ。そしてケーブルをくだる。相変わらずいい景色である。登り口の黒川駅に着いた。

黒川からはまた歩いて妙見口駅に進む。くだりなのでそれほど疲れないが、それでもかなり時間がかかって妙見口駅に着いた。

もう午後3時近い。今日泊まる宿には7時に着くと言ってあるので、もうそんなにまわれそうにない。まずは先を急ごうと思い、ラガールカードを取り出した。

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能勢電鉄その2

妙見口〜日生中央

すっかりくたびれ果ててなんとか妙見口(みょうけんぐち)駅に戻ってきた。

さあ、夕方まではもう少し時間がある、ホテルに着くまでにもう少し私鉄に乗ろうと考えていた。まずは能勢電鉄の残りの区間、山下〜日生中央(にっせいちゅうおう)に乗らなければならない。

今日蛍池で買ったラガールカードをまた取り出して自動改札機に入れて電車に向かった。
あまり混雑していない電車で山下駅に向かう。

電車を山下駅で降りて、日生中央行きの電車の出るホームに向かった。

電車に乗ると発車し、たちまち日生中央駅に着いた。ラガールカードで改札を出た。「中央」と名前につくことからして妙見口ほど田舎というわけでもなく、団地が近くにある駅であった。しかし土曜昼過ぎの今の時間帯でも全く駅前は混雑していない。あまり電車は使われていないのかもしれない。

日生中央〜川西能勢口

自動販売機で、当時青木裕子ちゃんがCMで宣伝していた「ミルパワー」を買って飲んだ。
あまりおいしい飲み物ではないが、なんとなく元気が出るような気にさせる飲み物であった。

でもすぐにお店からなくなってしまった。このころからぼくは、清涼飲料水はすぐに店からなくなってしまうものが多いなあと思い、なくなる前に飲むようにしていた。

さてこれで能勢電鉄にも乗れたし、阪急に戻ろうと思い、ラガールカードで改札に入り、山下行きの電車に戻った。
山下で川西能勢口行きに乗り換えた。同じ線路を戻っていく。

そして電車は川西能勢口駅に戻ってきた。田舎の風景は消え、また阪急沿線の家並みに帰ってきた。

さて、乗り放題のきっぷを持たない旅行のこつとして、環状に進むことが肝心である。ちょうど宝塚のあたりは阪急が環状に路線を延ばしていて便利なので、まずは宝塚に進もうと、階段をおりて昇ってぼくは阪急の電車に向かった。

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阪急電鉄・宝塚〜今津

川西能勢口〜宝塚

川西能勢口(かわにしのせぐち)駅で能勢電鉄を降りたぼくは、阪急電鉄の宝塚方面のホームにやってきた。今日は伊丹空港を降りてからどこをまわるかは全く決めていなかったが、青春18きっぷを使わない旅行では私鉄を環状にまわると効率が良いので、ちょうど近くで環状になっている宝塚→今津のルートをたどることにした。ついでに阪神武庫川線にも乗ろう。

電車は途中駅止まりのものもあるようだが、幸いやってきた電車は宝塚行きだった。
さすがに蛍池から乗ってきた電車と一緒で、けっこう混雑している。乗ると電車は発車する。

電車は右側に森が広がる風景の中を進んでいく。

やがて風景は森から市街地の風景になり、電車は宝塚駅に着いた。ここで西宮北口行きの電車に乗り換えだ。

西宮北口行き電車に乗るにはどうやら階段をおりて昇る必要があるようだ。この駅を発車した電車はVの字に梅田方面と西宮北口方面に分散していく構造になっているようだ。

宝塚〜西宮北口

急いで階段を駆け上がり、なんとか電車に乗り込んだ。この電車は混雑していてすわれない。
すぐに電車は発車した。

電車は市街地の風景を過ぎて、畑がまばらに住宅と混じって広がる風景になった。
川西能勢口から乗ってきた風景とは違い、森が広がっているわけではない。電車は進む。

ふと近くの席を見ると、幼稚園くらいの女の子と、さらに小さな男の子のきょうだいがいる。
男の子は靴を脱いで席にひざまづいて、窓の外を見だした。けっこういい景色である。

すると女の子は弟が脱いだ靴を左右をちゃんと見てそろえたのだ。

靴

不意にぼくは、そう言えばぼくが幼稚園のころとか、小学校1年のころは、まだ靴の左右がわからず、よく逆にはいたものだったなあと思い出した。靴は右も左も同じもので、別に逆にはいてもかまわないと考えていたのだ。

それを考えると、こんな小さな頃から靴の左右がわかるなんて、この女の子かしこいなあ、などと思ってみた。

あまり景色も変わらないまま、電車は南へ進んでいく。

西宮北口〜今津

そして電車は終点の西宮北口駅に着いた。さて、ここから今津駅行きの電車に乗り換えなければならない。
案内に従い通路を歩いた。

それにしても長い通路である。かなり東に歩いているような気がする。宝塚方面のホームが駅の西の方にあるのに、今津方面のホームは西宮北口駅の東のホームにあるのである。

やってきた今津行きのホームは宝塚から乗ってきた電車のホームより若干短めで、乗っているお客も少な目であった。
そのまま電車に乗って待つと発車した。短い区間を単純往復するだけなので、意外と運用しやすい路線なのかもしれない。

電車はすいすい進む。

あまりお客も増えないまま短い電車は阪急の今津駅に着いた。阪神への乗り換えは能勢電鉄と同じで改札を出なくてもいいかと思ったが、どうやら出る必要があるようだ。

ぼくはラガールカードを自動改札に通して阪急電鉄の今津駅を出た。日生中央から今津までの運賃がラガールカードから引かれたことになる。

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阪神電鉄

今津〜武庫川

阪急今津でラガールカードをいったん通して改札を出て、阪神の入口を探した。

なんとか見つかり、ラガールカードを通して阪神今津駅に入った。

梅田方面のホームに出て、発車時刻案内板を見た。ここ今津駅は阪急との接続駅であるにもかかわらず、どうやら電車は各駅停車しか停まらないようである。これから行く武庫川(むこがわ)駅までは何駅もあるわけでもないので、まあいいかと思った。お客はあまり多くない。

特急列車を見送ると普通列車がやってきた。

電車に乗って武庫川駅まで進んだ。去年通った時は夜だったので、昼間の景色を楽しんでみた。

今年はじめに乗った阪急の三宮から十三(じゅうそう)までの区間と違い、山は遠くに見える。
でも海が見えるわけではない。たんたんと進んでいく。

そのまま武庫川駅に着いた。なんとここは川をまたいだ位置に駅ホームがあり、両岸に出口があって川のどちら側にも降りられるのである。さて武庫川団地前行きの案内をさがした。

武庫川〜武庫川団地前

武庫川団地前行きはホームから神戸寄りに歩くと行けるらしい。

神戸寄りに進むと出口があった。そしてそのわきに中間改札らしき自動改札があり、そちらの方向に武庫川団地行きらしいホームがあった。

中間改札にラガールカードを通して武庫川団地前行きらしいホームに向かう。

しばらく待つと電車がやってきた。乗り込む。

お客は女子の学生が多い。満席にはならないが、けっこうな客の数となった。そして発車である。

今まで乗ってきた電車と違い、住宅のわきの、ながめが悪い場所を進んでいく。
住宅街という感じである。各駅に停車し、客が少しだけ降りる。そして武庫川団地前に到着だ。
自動改札にラガールカードを通した。

武庫川団地前〜梅田

改札を出てあたりをながめてみたものの、「団地前」と言うだけあって、特にお店などもない駅である。それならば長居をすることもないだろうと思い、改札に戻ってラガールカードを通してまだ停車しているさきほど降りたばかりの電車に戻った。

さきほどより少ないお客を乗せて電車は発車する。同じ風景の中を戻っていく。

武庫川駅に戻ってきた。また中間改札にラガールカードを通し、通路を進んで梅田方面のホームにやってきた。

今度は今津と違い、急行が停車するから来た電車に乗ればいいなと思い、電車を待った。
ほどなく梅田行きがやってきた。お客は多少多いが、土曜夕方の梅田行きなのでそれほど混雑しているわけでもない。電車は平野を進んでいく。

去年降りた尼崎駅を通り過ぎ、電車は梅田に近づいていく。淀川を渡り、電車は地下へ進んでいった。

夕食

地下をそのまま進み、阪神の三宮と同じようなつくりの阪神梅田駅に到着した。
なかなか都会っぽくて、どこにでもあるような駅である。

ラガールカードを改札に通して案内をさがす。

階段を上がるとJR大阪駅が北に見えた。どうやらこれから乗る予定である阪急の梅田駅も近くにあるようである。まずは大阪駅に向かって歩いていく。

さて、なんとなくここで食事がしたくなった。JR大阪駅に入り、適当な喫茶店を探して食事をとった。これでもう今日泊まるホテルでは食事を探す必要はないな、と考えた。

喫茶店

喫茶店を出て阪急の梅田駅に向かった。もうすぐ6時だから、今日はもうそんなに電車に乗れないようである。

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阪急電鉄京都本線

梅田駅

JR大阪駅の喫茶店で夕食をとり、阪急の梅田駅にやってきた。

階段を上がると、ど〜んとホームと自動改札が並ぶフロアにやってきた。

自動改札はもちろんラガールカードで通ることができた。

さてどこの電車に乗ればいいんだ?

どうやら三宮方面のホーム、宝塚方面のホーム、京都方面のホームがかたまっているらしい。

ぼくは京都方面のホームを探した。しかし、特急に乗るわけにはいかない。

ぼくが行く予定の場所はモノレールとの接続駅、南茨木であり、特急は梅田の近くの十三(じゅうそう)に停車するとはるか京都市内の大宮駅まで停車しないからだ。

ひょっとしたら急行に相当する列車もあるかもしれないが、ここはおとなしく各駅停車の電車に乗ることにした。

梅田〜南茨木

各駅停車を探して乗った。

しばらく待ったがあまりお客は乗ってこない。そのまま発車である。

発車するとすぐに川を渡る。淀川だ。
川を渡り、しばらくすると電車は中津に停車した。その次は今年1月にも来た十三(じゅうそう)である。

そこを過ぎて淡路までは1月に通った路線を通る。あまり都会でもないが、山が近いわけでもない景色である。淡路を過ぎてもそんなに変わらない風景のまま進んでいく。

何駅か停車し、南茨木に着いた。ここで降りる。改札に行き、ラガールカードを通して改札を出る。

今日は能勢電鉄とケーブルカーで時間をかけすぎて、思ったほど私鉄に乗れなかった1日だった。梅田からまっすぐ江坂に向かわず南茨木、千里中央経由で江坂に行こうと思ったのはささやかな抵抗である。

もう午後6時を過ぎて暗くなり始めているが、なんとかモノレールにも乗ろうとモノレールの駅に向けて歩いていった。

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大阪高速鉄道

南茨木〜万博記念公園

阪急の電車を南茨木(みなみいばらき)駅で降りて、案内に従い大阪モノレールの方向に歩き始めると、100メートルほどの歩道橋のような通路の先にめざす高架の駅が見つかった。

駅に入り、いつものように自動券売機に向かう。きっぷを買って自動改札を通り、エスカレーターを上がってホームに来た。モノレールには良くあるながめのいい駅である。

停車していた車両に乗る。何人かお客が乗ってきたが、それほど混雑もしない。まだ伊丹空港まで乗り入れておらず中途半端なモノレールなのでお客も少ないのだろう。

やがて発車した。

モノレールによくあるように、右へ左へ曲がり、大きくアップダウンする。

そのうち高速道路が見えてきて、となりに並んだ。

万博記念公園〜千里中央

道路が見えた状態でしばらく進むとそのうちに万博記念公園が近づいた。

右手にテレビなどで見たことのある「太陽の塔」が見えてきた。あの岡本太郎さんがデザインしたという塔である。

なるほど、太陽の塔はモノレールから見えるのか、と驚いた。

万博記念公園を過ぎると太陽の塔は見えなくなったが、道路はそのまま隣にあるし、けっこう緑の多い風景である。

千里中央駅

そんな風景のまま山田が過ぎ、千里中央が来た。

そして降り、改札を出た。

千里中央の駅前には広場が続いていて、なんだか雰囲気のいい場所であった。

さて時刻はもう午後6時半である。

ホテルには午後7時に着くと予約の時に言ってある。だから早く行かなくてはいけない。

そう思い、さっそく御堂筋線直通の北大阪急行の駅を見つけることにした。

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北大阪急行

千里中央駅

大阪のモノレールの千里中央の駅を降りると広場だった。

どこにも北大阪急行の案内が見えなかったが、下に向かう階段があったのでずんずんおりてみることにした。

すると自動券売機が見えてきた。

もちろん今回はきっぷを買う必要はない。北大阪急行もラガールカードで乗れるからである。ラガールカードを取り出す。

自動改札を通るとなかもず行きの電車が待っていた。

千里中央〜江坂

乗ってしばらく待つ。多少お客が乗ったころ、電車は発車した。

地下にあった電車は、南に進むと地上に出た。

右にも左にも道路がある。どうやら北大阪急行の電車は高速道路の北行き車線と南行き車線の間にはさまれる場所にレールが位置するようだ。なかなか効率が良くていいかもしれない。

まわりは太陽の塔があったあたりと同じように、ゆるやかな斜面の続く丘陵地帯で、ところどころに団地が見える。大阪のベッドタウンになっているようだ。もっとももう7時近く、かなり暗くなっているのでそれほど景色は見えない。

そんな中をいくつか駅に停まっていく。

そんな景色が続き、やや地形が平坦になったころ、電車は北大阪急行の終点、江坂に到着した。今日の宿はここの近くらしいのでここで降りる。

またラガールカードを取り出し、自動改札を出た。

徒歩1

さて、今日泊まるホテル、マジイ・イン江坂はどこにあるのだろう。どこにもホテルの案内はなさそうだし、電話してきいてみよう。

公衆電話はどこだ?

地上に出ているとは言え、江坂は地下鉄の駅なのである。普通駅の近くには公衆電話くらいたくさんあってもいいだろうと言いたくなるものだが、どうやら地下鉄の駅の近くにはあまり公衆電話がないらしい。

それでもなんとか公衆電話を見つけてマジィ・イン江坂に電話した。

公衆電話

「すいません、予約した者です。今江坂駅にいます。ホテルはどこですか?」
「北にまっすぐ歩いて、『長崎ちゃんめん』という看板のある所で左に曲がってください。」

電話を切って歩き始めたが、しばらく歩いても長崎ちゃんめんという看板は見えてこない。

ひょっとして小さな看板なのかな?見落としたのかな?

見落としているとするとこのあたりで左に曲がるとあるはずだと思い、曲がり角を左に曲がってみた。

徒歩2

進んでみたが、やはりホテルは見つからない。もう1回どこかで公衆電話を見つけて電話してみよう。

なんとか公園らしい場所の中に公衆電話が見つかった。電話する。

「すいません、どうしても長崎ちゃんめんの看板が見つかりません。」
「今どこにいますか?」
「公園にいます。近くにはXXXXという名前の建物があります。」
「それではまっすぐ北に向かって、つきあたったら右に曲がってください。」

電話を切って進んでみると、まだまだつきあたるまではずいぶん距離がある。

ぼくは11年前に釧路で泊まった時に、ホテルに向かって電話で教えてもらった方向に歩こうとしたら、ずいぶん行き過ぎてしまったことを思い出している。そんなこともあって行き過ぎないように注意して歩こうと思っていたのだが、今回は逆に行き足りなかったようだ。

つきあたって右を見ると長崎ちゃんめんがあり、向かいにマジィ・イン江坂があった。

チェックイン

長崎ちゃんめんの看板もでっかく掲げられている。最初からもう少しホテルの人の言うことを信用してずんずん進んでみればよかったと思う。

とりあえず今日は大阪駅の中の喫茶店で食事してきたので長崎ちゃんめんには用がないが、次にここに泊まる時は寄ってみたいと思った。

ホテルにチェックインする。鍵を受け取りエレベーターで上がる。

部屋に入った。机とテレビがある。あれ、ベッドは?

上を見上げるとベッドが上に上がった状態になっている。あたりの壁を見るとなにやらスイッチがある。

スイッチを押すとガーッという音がして、ベッドが下に下がってきた。

どうやら、狭い部屋を効率的に使うため、ベッドを上げて上げた空間にいすを置いて机に向かったりすることができるように普段はベッドを上げているらしい。

ぼくは当時はめったにホテルに泊まることがなかったため、けっこうこういうホテルって全国にあるのかなあと思っていたが、2001年になった現在に至るまでこういうホテルはマジィ・イン江坂だけである。

就寝

とりあえず、「欽ちゃんの仮装大賞」でも見ることにした。たしか日本テレビ系は大阪では10チャンネルだったよな、と思いながら10チャンネルをまわしてテレビを見た。

仮装大賞が終わると風呂に入ることにした。このホテルは部屋にはシャワーしかなく、風呂は最上階の大風呂に入ることになっている。パジャマを着てタオルを持ってでかけた。

今日は能勢のケーブルカーに昇る前と昇った後でかなり歩いたため疲れてしまった。
早く寝てしまおう、と風呂に入りながら考えた。

風呂から出るととくにすることもないので、そのまま眠ることにした。おやすみなさい。

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