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77.岩泉線・仙台の深夜散歩

説明

1995年になりました。

この冬も青春18きっぷは買いましたが、ぼくの割り当ての3枚は去年の12月中に全部使ってしまっていました。残り2枚は実家の家族に送っています。

1月には成人の日がらみで3連休がありますが、そのうち2日を使って、去年10月に寝坊して行けなかった岩泉線に乗ってみたいと思いました。

もう4回目(ただしきっぷの使用枚数としては5枚目)となるハートランドフリーきっぷの旅行をするわけです。

なにしろ、効率よく釜石線・岩泉線・山田線に乗るためには始発のやまびこに乗ることが必要不可欠なのです。

岩泉線に乗った後ですが、その日のうちは盛岡まで行っても最終の仙台行きしか乗れません。

そう言えば仙台の地下鉄は八乙女(やおとめ)から泉中央まで延長したはずだから、仙台に来たら泉中央まで地下鉄に乗ろうと思いました。

そこからが難しいですが、始発の仙石線に乗って石巻まで行き、石巻線で女川(おながわ)まで行き、小牛田まで行った後で北上線にでも乗り、そこから羽越本線に出て、由利高原鉄道(ゆりこうげんでてつどう)にでも乗って新潟経由で帰ろうかと考えていました。

ハートランドフリーきっぷを買い、連休を待ちました。前の日は寝過ごしたらまずいのでずっと起きていました。

こうして眠らぬまま1月なかばの土曜の朝になり、ぼくは山手線に乗って東京駅へと向かったのです。

東北新幹線その1

東京駅

土曜の朝、ぼくは無事東京駅に到着した。まだ5時半にもなっておらず、今から新幹線ホームに行けば自由席でもすわれるだろう。中間改札にハートランドフリーきっぷを見せ、始発の盛岡行きやまびこのホームに行き、有楽町方向に歩く。

多少客がいる。ぼくは列に並んだ。

しばらくするとどんどん列が長くなる。そしてようやくドアが開く。どやどやと客が乗り込む。なんとか空席を見つけてすわる。東側の3列席にしよう。あとからあとから客がやってきて、とうとう立ち客が出た。

そう言えば朝一番のやまびこに乗るのはきょうが初めてだ。もしかしたら、ハートランドフリーきっぷの使える土曜日の始発やまびこはいつもこんなものなのだろうか?

東京〜北上

そしてようやく発車だ。まだほんの数回しか通っていない東京〜上野間の新幹線である。

地下に進み、上野に着く。すわれないことが確実なのに、上野で乗ってくる客はいる。乗ってさらに混雑し、発車して地上に出る。

記憶はここまでで、きのうの夜寝ていないぼくはぐっすりと眠ってしまった。

目が覚めた。どうやらもう仙台を過ぎているようだ。でも立ち客は相変わらずいる。

おそらく仙台で降りた人がいたことはいたが、乗った人も多かったのだろう。

そしてぼくの目的地、北上が近づいたので、通路側にすわっている人に立ってもらってドアに向かう。

これから乗ろうとしているのは釜石線なので新花巻で降りた方が便利なのだが、それだと花巻〜新花巻間を乗り残してしまうので北上で降りて東北本線で花巻に向かうのだ。

北上〜花巻

やまびこはスピードを落としていき、無事北上に着いた。中間改札に向かう。ハートランドフリーきっぷを見せて通り、東北本線ホームに向かう。長いことかかって着いた。

盛岡行きの電車がやってきた。前の人がボタンを押して乗った後に続いて乗る。さすがに客が多い。花巻までは2駅だし、立っていこう。ドアが閉じて発車。

雪の平野を電車は進み、無事花巻に着いた。ぼくは電車を降りた。釜石行きのホームは階段をのぼっておりた先のようだ。さあ、階段をのぼろう。

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釜石線

旅行記本文

北上から乗ってきた電車を花巻で降りた。

花巻駅は、駅の入口に面したホームが釜石線で、階段を上がっておりたところのホームが東北本線という駅のようだ。階段を上がっておりてディーゼル車を待つ。

入線してきた。列車の数が少なく、しかも3連休の初日なのでお客は多少いるようだ。けっこう新しそうなディーゼル車に乗る。そして出発。

しばらくして新幹線の新花巻駅に停車する。うわっ、お客がたくさん乗ってくるなあ。

立ち客も出たところでさらにディーゼル車は進んでいく。でもぼくはきのう眠っていないのでものすごく眠く、そのうちぐっすり眠ってしまった。

目が覚めた。お客はすっかりいなくなっている。腕時計を見ると、どうやらかなり時間がたっている。お客はたぶん途中の遠野(とおの)という駅で降りたのだろう。

きょうは素通りしてしまったが、こんなに客が降りるくらいだから観光地なのだろう。いつか遠野で降りてみようと思った。

そんなことを考えているうちに時間が過ぎ、客の少ないディーゼル車は定刻通りに終点釜石駅に到着した。

どうやら予定通りの山田線のディーゼル車に乗り換えられそうだと思いながら花巻から乗ってきたディーゼル車を降りた。ここから宮古(みやこ)までは去年の2月にも乗った区間である。

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山田線その1

旅行記本文

花巻から乗ってきたディーゼル車を釜石で降りて階段をおりる。

なんだか暗い通路である。通路を進むと今まで乗ってきたのと似たようなディーゼル車が待っていたので乗る。そして発車。

釜石から宮古までは去年2月に乗った区間だ。あの時は建国記念日で3連休の初日だったのでけっこうにぎやかだった。今日も3連休の初日だがお客の数はそれほどのこともない。釜石線よりは客が少ないようである。

この区間は海沿いを走るが、ごぞんじの通りリアス式海岸なのでそれほど海のそばを走るわけではない。

でも海が多少見えておもしろい。そんな冬の1月の景色を見ながらディーゼル車は進んでいく。

そして終点、宮古に着いた。ここでも階段をおりて乗り換えである。ここの通路は釜石ほど暗い通路ではないようだ。

なにしろ去年は三陸鉄道の久慈(くじ)発盛(さかり)行きに乗ったので宮古でも釜石でも降りていない。いつか降りて観光してみたいものだなあと思った。

階段を上がると岩泉行きのディーゼル車が待っていた。さあ、先を急ごう。

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岩泉線

宮古〜茂市

釜石から乗ってきたディーゼル車を宮古で降り、岩泉行きのディーゼル車に乗り換えた。

今まで乗ってきたディーゼル車はけっこう新しそうな列車だったが、岩泉行きはかなり古い列車だった。こういう列車の方がふぜいがあるが、今は冬である。すきま風なんか入ってきたら寒そうだ。

じきに発車する。お客は釜石線、山田線の釜石〜宮古と比べるとずっと少ない。でも大きな道路とかないからこれでもやっていけるのだろう。今日は土曜だが、学生とかもあまり乗っていない。学生は次の列車に乗るのかもしれない。

暖房もそれほど効いていないようだ。座席のそばが多少暖かいくらいである。列車の暖房は効き過ぎている路線がけっこうあるが、こういう古いディーゼル車の暖房はそれなりに効けばいいのだろう。

森の中を走っていく。景色はそれほど釜石線と変わらないようだが、お客が釜石線よりずっと少ない分、すごく人里離れた場所に来たような感じである。雪が降り出してきた。ちらちらとではあるが、このあたりは海岸沿いより雪が多そうである。

茂市〜岩泉

茂市(もいち)を過ぎて岩泉線に入ると、人家がとても少なくなった。森を抜けてディーゼル車は走る。お客は1車両に何人もいない。

川のそばの左右に山の迫る場所をずっと進んでいく。雪は強くなり、空に雪がゴウゴウと横に舞っているような感じである。そんな景色のまま1時間以上過ぎた。

雪

岩泉駅

そしてようやく終点岩泉に到着である。雪はそれほど強くは降らなくなったようだ。ハートランドフリーきっぷを見せて駅舎に入る。

岩泉はけっこう大きな駅舎だった。本当にここが1日に3往復しか列車が来ない場所なのかと思うと信じられない感じである。

茂市行きまで時間があるので駅の外をのぞいてみた。でも店とかなく、歩いてもそれほど近くに店はないようだったのですぐに駅舎に戻ってきた。

駅舎にはストーブがあり、わずか数人の列車を待つ人たちといっしょにすわって待った。

岩泉〜茂市

そしてようやく発車時刻となり、またハートランドフリーきっぷを見せてディーゼル車に乗る。そして発車。

もうすっかり暗くなってしまい、ほとんど景色も見えないようだが、雪は岩泉周辺より強く降っているようだ。客も少なく、古いディーゼル車は進んでいく。

そして終点茂市に着いた。ここで盛岡行きのディーゼル車に乗り換えである。まずはディーゼル車を降りる。

この駅は無人駅で、ホームに屋根こそついているが、ホームと屋根以外に建物はなく、ここのいすですわって約20分を待つのである。雪は弱いけど降っている。ぼくはすわって盛岡行きを待った。

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山田線その2

茂市駅

岩泉(いわいずみ)から乗ってきたディーゼル車を茂市(もいち)で降りて、いすにすわって待った。

考えてみれば、去年の10月に早起きできていたら10月に岩泉線に乗れたから、こんなに寒い思いをすることもなかったんだよなあ。

でもこれからも雪の中の旅行はたくさんありそうだから、これもまた思い出になっていいんじゃないか、などと思った。

盛岡行きがやってきた。さあ乗ろう。

茂市〜盛岡

盛岡行きは最終列車だけあって、岩泉線よりは客が多かった。岩泉線のディーゼル車ほど古くはなかったが、やはりどことなく古いディーゼル車であった。

もう暗く景色も見えないが、やっぱり森の中を進んでいるのであろう。

盛岡に近づいたところで、運転手から「すれちがう列車が遅れておりますのでしばらく停車いたします」というアナウンスがあった。そしてしばらく停車。

幸いというか、ぼくが盛岡から乗る列車は仙台行きの東北新幹線で、この山田線のディーゼル車が定刻についても1時間ちょっと待つ予定なのである。だから多少待ってもいいだろうと思った。

なんでもすれちがう駅を変えたとかなんとかで、無事宮古行きディーゼル車とすれ違い、進んでいく。

盛岡駅周辺

そして約20分遅れで盛岡駅に到着した。さて、まずは夕食でも食べよう。時間があるときは駅の外に行くことにしている。ハートランドフリーきっぷを見せて盛岡駅の外に初めて出る。

とは言っても、ぼくは冷麺はきらいなので、どこの都市でも食べられる普通の定食はないかなと思って、駅前通りを渡って地下に入ってみた。

食堂

食堂があり、定食を出しているようなので注文してみた。なにしろ今日はろくに食事していないので、食べられる場所ではきっちり食べておかなければならない。腹が減っていたのでおいしく定食を食べた。ごちそうさま。

ぼくは店を出て盛岡駅の新幹線ホームへと向かった。

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東北新幹線その2

旅行記本文

盛岡駅を出て、道を渡った先の地下にある食堂で食事して、駅に戻った。

ハートランドフリーきっぷを見せて改札を通る。今度の列車は仙台行きだ。前の最終東京行きから1時間以上間隔が空いている。

自由席にすわる。こんな遅い時刻の列車なので客は少ない。しばらく待ったが客はあまり乗って来なかった。こんな遅くまで盛岡に用事のある人も少ないのだろう。

やまびこは仙台に向けて発車する。もちろん暗いので景色はわからない。

そして途中駅でもまったく客は乗ってこない。まあいつもこの盛岡発仙台行きやまびこはこんなものなのだろう。

接続待ちなんてこともなく、定刻通りにやまびこは仙台駅に到着した。さあ、ここから地下鉄で泉中央まで行く予定である。ぼくはハートランドフリーきっぷで改札を通り、きっぷをしまった。さあ、地下鉄だ。

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仙台市営地下鉄

JR〜地下鉄

盛岡から乗ってきた最終の仙台行き新幹線を仙台駅で降りた。
これから泉中央まで延びた地下鉄に乗ろうと思う。

行き方は楽な方法がある。バスプール経由で行くのだ。
まず新幹線改札を出たら、エスカレーターでステンドグラスのある階までおりる。
そしてドアを通ってペデストリアンデッキに行く。

バス

左に曲がって進むと右手に下り階段があり、おりると仙台市営バスの青葉城趾(あおばじょうし)循環や宮城交通の秋保(あきう)温泉行きの出るバス乗り場がある。バスプールと呼ばれている。
夜遅く、もうバスが終わっていてバスプールは閑散としているのだが、地下鉄ができる時にここから地下鉄に向かうくだり階段ができたのだ。

この階段を使うと仙台駅で地下におりて地下鉄駅に向かうより、ずいぶんと楽に地下鉄の駅に向かうことができるのだ。

仙台駅

階段をおりると地下通路になり、歩いてすぐ地下鉄の駅に来た。自動券売機で泉中央まできっぷを買った。

こんな夜遅くだからお客もほとんどおらず、自動改札を通って泉中央方面のホームで待つ。
やってきた。お客はほとんどいない。地下鉄に乗って進む。

回想

台原(だいのはら)を過ぎ、6年前の8月にいろいろなアイドルを見た台原森林公園のある旭ヶ丘を過ぎる。

テレビ

あの日見たアイドルの中では深津絵里が一番の出世頭で、島崎和歌子、細川直美も活躍している。中山忍もサスペンスドラマによく出ている。

仙台〜泉中央

そんなことを考えているうちに地下鉄は地上に出る。そして暗い中を進んでいく。八乙女を過ぎて延伸区間に入る。と言っても真夜中なので景色はわからない。
そしていよいよ終点、泉中央に来た。地下鉄の電車を降りる。そして自動改札にきっぷを通して外に出る。

さて、もう仙台駅に戻る電車はない。すなわちここから歩いて仙台駅に行くのである。
歩くことで一夜を明かし、宿無し旅行にするのが今回のハートランドフリーきっぷ旅行なのである。

泉中央駅前はバス乗り場がたくさんあり、道ばたにある八乙女とはまた違った雰囲気であった。さあ、歩こう。

泉中央〜吉野家

とぼとぼ歩く。確かここって国道4号の旧道が近くにあったはずだよなあと思いながら歩く。泉中央駅のそばの道は国道じゃなさそうだ。
それでも歩いているうちに国道に出たようだ。このあたりは自転車で運転免許センターに行ったり、運転免許センター近くのスーパーであった握手会で坂上香織ちゃんと握手した時に通ったことがある。

車

台原まで歩けば吉野家があるはずだから、そこで牛丼でも食べてしばらく休み、そこから仙台駅まで歩こうと思いながら進む。
そしてようやく吉野家に着いた。ここで牛丼を食べたらしばらく食事できなさそうなのでしっかり食べておこう。

牛丼を注文する。2分もかかった。深夜だと時間がかかるようだ。最高記録は西船橋駅前の吉野家の5分だったと思う。
ゆっくり食べて少し休んでひといきついた。さあ、また仙台駅前に向けて歩き出そう。

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