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47.伊勢奥津から名張に向かうバス

説明

なんでも大垣行き夜行が新しくなり、「ムーンライトながら」という列車になったという話を雑誌で読みました。

東京から小田原までは全車指定席で、小田原から一部自由席になるとのことで、おそらく駅で指定席券を買うのはむずかしいと考えたので、小田急で小田原に行って、小田原からムーンライトながらに乗ることにしました。

乗った後でどうするかということが問題ですが、半日名古屋近辺の鉄道に乗って、その日のうちに東京に帰ってくれば宿代もいらないしお得なので、そういう旅行を2年前から続けています。

すでに名鉄には去年の9月に値上げした時に、直前の8月にばりばり乗っているので、この春はもう少し遠くに行っておきたいと思いました。

その一貫として、大垣行き夜行から降りて、その日のうちに東京に帰れるルートの1つとして名松線に乗ることにしました。

ただし、そのまま折り返すのでは芸がありません。なんでも伊勢奥津から名張まで行くバスがあるらしいので、もし時刻が良ければ乗ろうと思いました。

そのあとは、近鉄で伊賀神戸に行き、伊賀上野に行ければ都合がいいです。KATT(関西の時刻表)を見たところ、上野市で乗り換え時間が数10分ありますが、なんとかなりそうであることがわかりました。

ムーンライトながらがどんな列車かわかりませんが、この春の青春18きっぷの4回目を名松線旅行にあてることにしました。

東海道本線その1

小田原駅

小田急の電車は、無事小田原駅に到着した。

2週間前から、東京から大垣まで「ムーンライトながら」という電車が走り出したそうだ。
なんでもこの電車、東京〜小田原間は全車指定席で、小田原から先は一部自由席になるそうだ。
指定席を取るのもめんどうなので、小田原まで来て乗るわけである。

中間改札を抜け、トイレに行っておいて、小田原までの小田急のきっぷを持ったままJRのホームに行く。 さてどこに並んだらいいだろう。自分の並んだところに列車が来ないとまずいなあ。

とりあえず適当なところにいると、妙な列車がやってきた。あの列車はおととし乗った急行津軽の車両のようだ。列車の中は満杯で、家族連れが多いようだ。こんな列車は時刻表にない。
ぼくはたぶん、あれはセンバツで甲子園に行く臨時列車なのだろうと思った。どこか東北の北の方から高校野球の応援に行くのに臨時の夜行列車で行くのだろう。なかなかたいへんそうだ。

野球場

それから小田原着の電車がとなりのホームに来た。この電車は横浜着が12時を過ぎてからなので、指定席を取ってない人はこの電車で小田原まで来てムーンライトながらに乗り換えてください、というわけだ。

小田原〜豊橋

そしてムーンライトながらがやってきた。けっこう新しい電車だった。乗ってみたがどうにもすわるところがない。通路もいっぱいだ。いられる場所はトイレの前くらいだ。
この電車は男子小便用トイレが一般用トイレとは別にある。一般用トイレの前に立ち、入る人がいるとどいて、立ち去るとまたトイレの前に立つ。そんなことを繰り返して時が過ぎる。

去年の8月に雛形あきこちゃんと握手するため大垣行きに乗って名古屋まで行ったときはもっと混雑していたし、おととしの9月も去年ほどではないが今日よりは混んでいた。それに比べればましだなあと思った。
こんなに混雑しているので車掌はやってこない。たぶん小田原以前に来たからもう来ないのだろう。

浜松に着いた。3週間前までは、ここで臨時の大垣行きが定期列車の大垣行きを追い抜いていったものだったが、ムーンライトながらができてからは、いったん臨時が浜松で追いつくが、浜松では先にムーンライトながらが発車して、豊橋で臨時が追い抜くようになった。

だから先に大垣に着くのは臨時なので、だれかが臨時の方に乗り換えてくれればいいなと思ったが、臨時が浜松に着いてみるとこちらも満杯だったので乗り換えたくない。そのままムーンライトながらにいることにする。ながらは浜松を発車する。
そして豊橋。時刻表通り臨時大垣行きが追い抜いていく。

豊橋〜名古屋

このムーンライトながらはドアが開くと寒い空気が直接客室に流れ込んでくる。
浜松や豊橋は停車時間が長いため、ドアのところの押しボタンで開閉するようになっている。

ぼくがこの押しボタンを初めて見たのは相模線だが、最近はこういう電車が東北を皮切りにあちこちに増えているようである。まあいろいろありそうである。

豊橋を発車する。今日もいつもどおり岡崎で降りてローソンに行ってとろろそばを買って食べようと思った。今日はこれから亀山行きの関西本線に乗るわけだが、時刻表を見るとムーンライトながらで名古屋まで行っても名古屋で40分ほど待つダイヤで、岡崎で降りても間に合うのだ。

岡崎到着。小田急のきっぷを改札に見せて青春18きっぷの4日目のところにスタンプを押してもらって通り、ローソンに行ってとろろそばを買って駅に戻る。

そば

改札を通って米原行きを待ち、入線してきた電車に乗る。そしてとろろそばを食べているうちに発車である。

やっとすわれて休めるのでついつい眠りそうになるが、今日は名古屋で降りなければならない。なんとか名古屋まで起きていられた。まだ多少暗い中を名古屋着。
ぼくは電車を降り、関西本線ホームへ急いだ。

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関西本線その1

名古屋〜四日市

岡崎から乗ってきた電車を名古屋で降り、階段をおりてのぼって関西本線ホームにやってきた。

なんとこんな早朝にもかかわらず、電車は満席であった。ムーンライトながらで来た客がたくさん乗っているのである。しかたない。立っていこう。電車は発車する。

2ヶ月前は午後に亀山から名古屋まで乗ったが、それほど大都市を通るわけではない路線だった。
場所は同じだが今度は朝の景色を見ながら進む。鉄橋を何本も渡っていく。

お客はほとんどずっと乗ったままである。青春18きっぷを使いムーンライトながらで名古屋に来て関西本線に乗り換える客はけっこう多いようだ。

四日市〜亀山

四日市に着くと、降りる人も多少いるがそれ以上に乗る人、それも高校生が多い。亀山までの各駅で高校生がどんどん乗ってきて、ぎゅうぎゅう詰めになってしまった。うわあ、高校生がたくさん乗ってくる電車って、あるんだなあ。

学生たち

そう言えば学生時代にも、9月に実家から大学に帰る途中に乗る電車が高校生で満員で、高校生を押しのけ押しのけギャーギャー言われながら電車に乗ったっけなあと思い出した。

そのまま電車は亀山に着いた。
名松線に乗るには1本あとの紀勢本線の列車に乗ればいいので、乗り換えていく高校生たちを見ながら、ホームのベンチにすわって休むことにした。

今度この関西本線の電車に乗るときは、ムーンライトながらは岡崎で降りずに、名古屋まで来て急いで関西本線ホームに来て待つことにしよう。

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名松線

亀山〜松阪

ムーンライトながらで小田原から岡崎まで、関西本線で名古屋から亀山までずっと立ちづめだったぼくは、亀山で電車を降りると亀山駅のホームの椅子にすわってぐったりとして休んだ。多少疲れもとれたころ、ようやく松阪行きのディーゼル車に乗り換えるため階段を渡り始めた。

紀勢本線のディーゼル車も、どこにでもよくある新型ディーゼル車だ。

しばらくはすわって過ごせるな、と安心してディーゼル車に乗り、数十分を過ごす。

名古屋から亀山の間は低い土地で、新宮から多気に向かう路線は山の中であるが、亀山〜松阪間は畑が広がっている土地であった。

津で後方から伊勢鉄道が合流してくる。それとともに架線の走っている太い線路がやってくる。近鉄らしい。

津を過ぎても景色は変わらず、松阪に到着。ディーゼル車を降りた。

乗り換えようと階段を上がったが、なんのことはない、名松線は紀勢本線と同じホームから発車することがわかったのでまた同じホームに戻る。こういうことはよくある。

松阪〜伊勢奥津

ホームにやってきた全く同じ新型ディーゼル車に乗って、発車を待つ。そして発車だ。

しばらくは平野を進む。一部区間は近鉄と並行しているので、そちらにお客を取られているのかもしれない。
あまりお客の乗り降りもない。

伊勢奥津の数駅前になって、景色が森に変わり、多少標高を上げているようだった。

そして伊勢奥津に到着した。あまり大きな駅ではないが、普通の古い駅舎だった。

駅を出て名張(なばり)行きのバス乗り場をさがす。見つかった。発車時刻は…ありゃ、すぐだ。

時刻が合わなかったらそのまま名松線で引き返そうかとも思ったが、こうも都合が良ければ乗らないわけにはいかない。

そのままバスに乗る。お客は5人ほどだ。さあ、名張へ向けて出発だ。

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バス・伊勢奥津〜名張

細い道

お客を5人ほど乗せて伊勢奥津(いせおきつ)から名張(なばり)へ向けて出発したバスは、標高を上げながら細い道を進んでいった。

それにしても細い道である。バスというものは人口が多い場所を通る必要があるので、道路の幅が広くても人口の少ないバイパスよりも、沿線の住民にとって便利な細い道を通ることが往々にして多いものである。
しかし今回はただ単に細い道しか存在しないからしかたなく通っている、といった感じである。こういうことも往々にして多い。

山の中

だいぶ標高が上がった。暗い森の中の道である。
たまに対向車とすれちがうが、お互いにゆっくり進みながら、なんとかすれ違う幅を見つけてすれ違う。これもたいへんよく経験する。

そうこうするうちに、伊勢奥津駅から乗っていた人はほとんど降りてしまった。そしてまた細い道を進む。

地図帳によれば、伊勢奥津と名張はどちらも三重県だが、間を結ぶ道路は一部奈良県を通るようだ。

実際「奈良県」という案内が見えてきたので納得する。往々にして県境の道路は幹線でもない限り不便であることが多いものである。
もしくは、片方の県の道路は整備されているが、もう片方の県に入った瞬間にガタガタ道になったりとか。
ままならぬものである。

ダム工事中

と、突然道が広くなった。

どうやら建設中のダムのそばを通る路線らしい。しばらくは標高を下げながらすいすい進む。

そのうちに広い道をはずれて狭い道に入り、なにやら集落のような場所を進んでいく。

どうやらここは、もしダムが完成したら水没する場所らしい。

あくまでも沿線の住民の利便を図るのが路線バスのつとめであり、水没するまではここも住民のいる沿線であるので、広いバイパス道路ではなく、細い道を通る必要があるのだ。
なるほど、と関心してみたりする。

水没予定地帯が終わるとまたバイパス道路に戻り、すいすい進む。
なおも標高を下げていく。

市街地

そしてバスは市街地に入っていった。名張である。

市街地に入ると、どんどんお客が乗ってくる。
どこのバスも、実は発車してしばらくと、終点手前が一番混雑するのだろう。悲しい宿命かもしれない。

さて、名張に着いたら近鉄で伊賀神戸に行き、上野市で乗り換えて伊賀上野に行き、関西本線で名古屋に行って東京に帰る予定である。

KATT(関西の時刻表)によれば接続の良い近鉄は1時間に1本だが、まさにその1本が間に合う時刻だ。
それでもちょっと運賃を払うのに時間がかかるので、最後に降りることにした。順番がまわってきた。

運賃は990円だったが、なぜか細かい金がたくさんあったので、「100円、200円…」と数えながら、990円分運賃箱に入れてバスを降りた。

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近鉄伊賀線

名張〜伊賀神戸

伊勢奥津(いせおきつ)から乗ってきたバスを名張(なばり)で降りる。ここから伊賀神戸(いがかんべ)に向かい、乗り換えて伊賀上野に行く計画である。

自動券売機に行き、伊賀上野まできっぷを買う。伊賀上野に向かう列車はあと数分で来る。
自動改札を通り、ホームに向かう。宇治山田行きの列車だ。なんとか乗る。あまり混雑していない。わずか数駅を過ごし、伊賀神戸に向かう。山の中を通り、伊賀神戸に着いた。

けっこうな人が乗り換えのようだ。跨線橋も地下道もなく、レールの上を通っての乗り換えである。なんだか宇治山田行きが遅れていたらしく、女性の駅員が、

「おはやめにおのりかえください。」

などと言っている。おいおい、客をせかすと走ってころぶ人がいるからせかすのは禁物なんじゃないのかよ!

伊賀神戸〜伊賀上野

乗り換えの人が全員乗ると発車である。この電車は途中の上野市行きである。大阪線よりさらに山に囲まれた中を電車は走る。それでもけっこうな人数が乗っている。そして上野市に着いた。

お客はみんな改札を抜けて降りていってしまう。ぼくはいすにすわって待った。
次の伊賀上野行きは数十分待ちである。

ようやく伊賀上野行きがやってきた。でも上野市から乗る客も伊賀神戸から来た客もまるでいない。がらがらの列車が発車する。盆地をちょっとだけ通って終点伊賀上野に着いた。

亀山行きまではまだ時間があるので、今年の1月に寄った駅前のみやげもの屋で木づちでたたいて割るかたいせんべいでも買おうかと思って寄ってみたが、閉まっていた。まあしかたないかと駅に戻った。

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関西本線その2

旅行記本文

上野市から乗ってきた電車を伊賀上野で降りて、2ヶ月前に来た駅前のみやげもの屋に来たが、土曜日なので閉まっていた。駅に戻る。

青春18きっぷを見せてホームに入る。亀山行きのディーゼル車がやってきた。
このあたりのディーゼル車は名松線のディーゼル車とはちょっと違う感じである。なにしろオールロングシートなのである。

同じ三重県でもJR東海とJR西日本で分かれてしまったのですっかり列車も違うのである。でもオールロングシートの方がボックス席より好きなので楽にすわる。
また立ちづめになるかもしれないのですわれるうちにすわっておこう。

ディーゼル車は森の中を進んでいく。柘植(つげ)を過ぎ、森が深くなってきた。
2ヶ月前にも通った景色を進んで亀山に着いた。

今度も電車は高校生でいっぱいかなあと思いながら、名古屋に行く電車に乗り換えることにした。

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関西本線その3

旅行記本文

伊賀上野から乗ってきたディーゼル車を亀山で降り、階段をのぼっておりて名古屋行きホームに来た。そのうち電車がやってきた。
高校生は見あたらない。土曜日なのでもっと早い時間に乗ったのだろう。ありがたいことである。無事すわれた。電車が発車する。

なにしろムーンライトながらで立ちづめだったので、ここで眠っておくことにする。また名古屋からはすわれないことが予想されるからである。

気がつくと三重と愛知の県境付近の川の見える風景だった。2ヶ月前より若干早い時間の電車のようである。
なんとか東京まで普通列車だけで帰れそうだなと思っているうちに電車は名古屋駅に着いた。

さあ、あとは東海道本線で帰るだけだ。乗り換えよう。

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東海道本線その2

名古屋〜静岡

亀山から乗ってきた電車を名古屋で降り、階段をおりてのぼって豊橋行き新快速に乗った。名古屋ではすわれなかったが、何駅か進むと席が空いてすわれた。そのまま豊橋に行く。

浜松行きは別のホームだった。階段を上がり、曲がりくねった通路をぐにゃぐにゃ進んでようやくホームに着いた。工事中のようだ。

おおぜいの人が並んでいて、しかも豊橋始発でなく、ロングシート座席が埋まるくらいのお客を乗せて名古屋の方からやってきた。
どうやら今月のダイヤ改正で、名古屋から浜松に直通する電車が増えたようである。

もし気づいていたら、どこか豊橋より西の駅で浜松行きに乗り換えた方が良かったかもしれないな、時刻表をよく読んでおこうと思った。

なにはともあれ電車に乗って進む。すわれないまま浜松に着いた。
浜松から静岡までも混雑している。かなり長いことかかって静岡に着いた、もう午後6時である。

夕食

3週間前にも名古屋の方から東京まで普通列車で帰ったが、その時は静岡で今より1時間ほど遅く着き、静岡から東京行きの、臨時大垣行きと同様のボックス席の電車に乗って帰ったものだった。
どうやら今日もほぼ同じダイヤの東京行き電車があるようなので、静岡駅で食事でも食べて待つことにした。

駅の改札の西の方に飲食店街があるのでスパゲッティでも食べることにする。

食事

けっこううまかった。ホームに行こう。

帰宅

今度乗る東京行きは長い編成なのでホームのずっと東京寄りに行く。そして待つ。
電車が入線してきた。来た電車は、けさ乗ったムーンライトながらと同じ車両だった。快適に乗り込む。しばらくすると電車が発車した。

リクライニングがある車両で、けさすわれなかった分をここで補うことにした。
このまま帰るとアパートに着くのは午後11時過ぎになる。あしたは1日眠っていようと思いながら、アパートに帰っていった。

来週は臨時大垣行きに乗って樽見鉄道に乗ろうと思った。

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