「万難地天の恋愛事情」

 

 

それは、一通の手紙から始まった。

翔子「どうでもいいようなのばっかだな・・・・」

その日届いた郵便を見ていて翔子はそうつぶやいた。デパートのチラシだとか、地域
行事のお知らせだとか本当にどうでもいいものばかりである。その中にまざっていた
一通の手紙が床に落ちた。

翔子「ん?エアメール?珍しいな、誰からだろう・・・・」

翔子宛に書かれた手紙の差出人を見ると、翔子は驚き、急いで中身を調べた。そし
て、一通の便箋に書かれた丁寧な文字に目を通すと、一言囁いた

翔子「アイツ、帰ってくるんだ・・・・」

 

 

 

 

 

第一話 転校生がやってきた

 

???「やっと着いたか、からこれ5年も経つもんな・・・・」

飛行機から一人の男が降り立った。年齢は14〜16ぐらいでやせていてもし髪が長
ければ女と間違えられる容姿だ。

???「翔子に会うのも久しぶりだな・・・・。とりあえず学校に挨拶でもしに行く
か。」

 

 

 

 

キリュウ「万象大乱!」

太助「う、うわ〜。」

小石が直径5mぐらいに巨大化して太助を襲う。今、太助とキリュウは試練をしてい
るのだ。

太助「く、くそ、これくらい避けてみせる。」

太助が避けると同時に今度はまわりの雑草が巨大化し、ここぞとばかりに太助に覆い
かぶさった。

太助「うぇ〜、口の中に草が入った・・・・、ってうわ〜・・・・」

キリュウ「油断大敵だ、主殿。万象大乱!」

太助がペッと口の中に入った草を吐き出している隙をついて「待ってました。」と言
うばかりに頭上から巨大ペットボトルが降ってきて見事に太助の脳天に直撃した。

キリュウ「主殿、今日の試練はここまでだ。」

太助「えっ、でもまだ終わるには早くないか?」

今の時刻は4時を少し過ぎた程度、普段は6時過ぎごろまでしているのだ。

キリュウ「主殿も疲れているだろ、今日の体育のまらそんとやらであれほど走ったの
だからな・・・・」

今日の6時間目の体育はマラソンで太助達は10kmも走ったのだ。たかしも乎一郎
もヘトヘトになって帰って行った。普段、試練で鍛えている太助もさすがに疲れてい
る。現に今、足が悲鳴を上げるほどガクガク震えている。

太助「そっか、ありがとなキリュウ。」

キリュウ「べ、別に礼を言われることはしてない・・・・、休むことも必要だから・・・・」

キリュウは頬を赤く染めて俯きながらそうしゃべった。照れているキリュウを茶化す
ように太助は言葉を続けた。

太助「キリュウは優しいんだな。いつも俺のために試練を与えてくれてるし・・・・、ホ
ント感謝してるよ・・・・」

キリュウ「し、失礼する・・・・」

太助の言葉で恥ずかしくてその場に居られなくなったキリュウは短天扇に乗って飛ん
でいってしまった。

太助「(キリュウってすぐ恥ずかしがって可愛いな・・・・)」

普段、クールで無愛想だから笑顔や恥ずかしがる仕草はいっそう可愛らしくなるの
だ。

太助「もっと学校の連中にも心を開いたらいいのにな・・・・」

キリュウは太助達以外とはあまり接することがないのだ。それゆえ「話しづらい」と
か「近寄りがたい」とかのレッテルを貼られてしまう。(まぁ、たかし達は別なのだ
が・・・・)

太助「そしたら、キリュウのこと男共は放っておかないだろうな・・・・」

キリュウが誰かと付き合うようになったら俺に対する接しかたも代わるのかなぁ、な
どと考えながら太助は家路を急いだ。

 

 

 

 

〜次の日〜

 

 

 

 

キーン、コーン、カーン、コーン(ありきたりの効果音だな・・・・)

チャイムがその日の始まりを告げ、ルーアンが教室に入ってくる。

ルーアン「今日は新しく転校生がくるわよ。」

教室が騒がしくなる。

たかし「もしかして女の子?可愛い子ならいいな・・・・」

ルーアン「残念ね野村君、男よ、男。」

たかし「なんだ、男かよ。」

乎一郎「たかし君失礼だよ。」

ルーアン「そんじゃ、入ってきて。」

ガラガラとドアが開いて男子生徒が入ってくる。

???「今日から一緒に勉強する霧島秀一です。よろしく。」

秀一が自己紹介を終えるとまた、あたりが騒がしくなる。女子生徒である。「かっこ
いい」だとか「綺麗」だとか騒いでいる。

たかし「なんだよ、キャーキャー騒いで。」

乎一郎「しょうがないよ。本当にかっこいいもん。」

そんな中、秀一は翔子を見つけ近寄る。

秀一「久しぶり、翔子。」

視線がいっせいに翔子に向けられる。翔子は、照れながら返事を返す。

翔子「あ、あぁ、久しぶり。」

 

 

 

 

キーン、コーン、カーン、コーン

チャイムが鳴り放課後が訪れた。

たかし「秀一ってなんかスゲー奴だな、頭いいし、体育のときなんか高跳び2m30
cmだぜ、人間離れしてるよな・・・・」

乎一郎「そうだよね、そんなにすごいのにひとつも自慢しないし・・・・」

たかし「そうそう、スゲーいい奴だよな・・・・」

太助「そういえば、山野辺、お前仲良さそうにしてたけど霧島さんのこと知ってるの
か?」

太助が翔子に尋ねる。

翔子「あぁ、一応、幼なじみだ。つっても、会うのは5年ぶりだけどな。」

秀一「そうそう、翔子もずいぶん変わったな、可愛くなったし・・・・」

いつの間にか秀一も話に加わっていた。

翔子「な、何言ってんだよ、バカ。」

翔子はたじたじとなった。

秀一「君達は、翔子の友達かい?」

今度は太助達に話しかけた。

太助「え、ええまぁ・・・・」

秀一「さっきも自己紹介したけど。俺は霧島秀一、よろしく。」

太助「俺は七梨太助。こちらこそよろしく。」

たかし「俺は【夏が最も似合う男】野村たかしだ。よろしくな!」

乎一郎「遠藤乎一郎です。よろしく。」

シャオ「私は守護月天シャオリンです。よろしくお願いします。」

秀一「へー、シャオちゃんって可愛いね。今度デートでもしようか。」

秀一はさらりと爆弾発言を言った。

たかし「おい、てめー、転校初日から何言ってんだ!」

秀一「冗談、冗談、それにシャオちゃんってもう彼氏いるみたいだし・・・・」

そう言って秀一は太助にウインクをした。

太助は、真っ赤になって俯いてしまう。

秀一「ところで・・・・ちょっと聞きたいんだけど・・・・」

秀一が真剣な顔をして尋ねた。

秀一「シャオちゃんとルーアン先生って、人間じゃないでしょ。」

太助「そうだけど・・・・何でわかったんだ。誰もしゃべってないのに・・・・」

すると翔子が話し始めた。

翔子「秀一の家系は霊能力者なんだよ。」

たかし「霊能力者ってあの妖怪とか幽霊とか、ぶっ倒す奴だろ。」

乎一郎「たかし君、成仏だよ。」

たかし「どっちだって同じだろ、・・・・ってまさかシャオちゃんを成仏させるつもり
じゃ・・・・」

乎一郎「ええっ?じゃあルーアン先生も・・・・」

シャオ「ふぇ、私消されちゃうんですか?」

たかしの後頭部に山野辺のコークスクリューパンチが入る。(そのままノックダウ
ン)

山野辺「バカ!縁起でもねーこと言ってんじゃねえよ。」

秀一「そうそう、こんな可愛い子にそんなことしないよ。」

秀一「とりあえず何者なのか説明してほしいんだ。霊能力者として興味があるん
だ。」

 

 

 

 

太助による、説明(べ、別に面倒だから書いてないわけじゃ・・・・)

 

 

 

 

秀一「へー、幸せ者だな太助って、シャオちゃんに守ってもらって、ルーアン先生に
幸せにしてもらって・・・・」

すかさずルーアンがつっ込む。(いつから居たんだ?)

ルーアン「そうでもないのよねー、試練を与える真面目すぎる頑固者がいるから・・・
・」

キリュウ「ルーアンど〜の〜。」

キリュウがルーアンの目の前に現れた。

ルーアン「きゃー、びっくりするじゃない、紀柳。」

キリュウ「ルーアン殿が好き勝手言うからだ。」

あながちはずれではないが・・・・(笑)

太助「キリュウ、ちょうどよかった。この人が今日転校して来た霧島さんだ。」

秀一「呼び捨てでいいって、俺も太助って呼んでんだから・・・・」

キリュウ「万難地天キリュウだ。よろしく頼む。」

秀一「(この娘、すごく可愛いな・・・・)」

キリュウ「どうかしたのか、秀一殿?」

そのときすでに、秀一はある決意をしていた。

秀一「可愛いな・・・・キリュウちゃん。君を必ず俺に振り向かせ見せる。」

秀一はキリュウの頬に軽くキスをすると「これから用があるから」といって翔子と
帰ってしまった。

キリュウ「なななな、何なのだ一体、い、いきなり・・・・」

キリュウはキスされた頬に手をあて、今までにないくらい顔を真っ赤にさせて俯いて
しまった。キリュウだけではない。その瞬間を見ていた太助たちもとても驚いてい
た。(シャオを除く)

 

 

 

 

〜それぞれの思考〜

 

 

たかし(秀一の奴いきなりキリュウちゃんにキスするなんて・・・・それにあのセリフ、
あの去り際・・・・く〜、なんて男らしいんだ・・・・)(バカ?)

乎一郎(うわ〜、秀一君ってなんて大胆なんだろう・・・・)

ルーアン(フフッ、霧島君ったら、いきなり面白いことするじゃないの・・・・上手くい
けばあの邪魔者を追い出せるかも・・・・)

太助(な、秀一の奴、どうしてあんなことできるんだ。ある意味、出雲より手が早い
んじゃないか・・・・)

シャオ(ああっ、今日はスーパームサシの特売日だからお夕飯のお買い物しなく
ちゃ。う〜ん、今日は何をつくろうかな・・・・)(君は一体なにを考えているんだ)
(笑)

キリュウ(まだ胸がドキドキしてる・・・・一体私はどうなってしまったんだ・・・
・)

 

 

 

 

場面は変わって、秀一達・・・・

翔子「さっきキリュウに言ったことって本気か?」

秀一「あぁ、本気だけど・・・・どうかしたか?」

翔子「ふ〜ん、それじゃこれからもっと面白くなるな。」

翔子がニヤリと微笑む。

秀一「どういう意味だよ。」

翔子「な〜に、こっちの話だよ。」

翔子「(今までこっち【観客】だったキリュウもとうとうあっち【甘く切ない恋愛奮
闘(笑)】の世界に入ったか、ますます面白くなるな・・・・後で那奈姉にも教えて
やろう。)」

流石は【面白い事大好き人間】こと山野辺翔子である。いままで太助やシャオ、その
他大勢(酷)の恋愛を那奈と共に楽しんでいただけのことはある。(そんなことばか
りしてると、婚期逃すぞ!:著者のコメント)

翔子「そういえばこれからどこに行くんだ?家とは反対方向だぜ。」

秀一「これから親戚のところに挨拶に行くんだ。・・・・って言っているうちに着いたぞ
・・・・。」

翔子「着いた・・・・ってここは宮内神社じゃん。」

秀一「なんだ、翔子ここ知ってたんだ。」

翔子「え?あ、あぁ、ま、いろいろとね・・・・(秀一っておにーさんと親戚同士だった
んだな、どうりで女ったらしなわけだ・・・・)」

秀一「出雲さんには昔から面倒見てもらってたから・・・・結構仲いいんだぜ。」

二人で石段を登る。

出雲「おや、秀一君ではないです・・・・ほほう、5年間でずいぶん容姿が良くなりまし
たね。まあ、私の身内だから当然ですかね・・・・」

秀一「ははは、出雲さんこそ相変わらず自信過剰で、二重人格ですね。(サラリと毒
舌)」

出雲「君こそ毒舌は変わってないようですね・・・・」

翔子「あんたらホントに仲いいんか?」

出雲「おお、これは翔子さんまで・・・・どうぞごゆっくり・・・・」

二人は出雲とともに出雲の母特性芋ようかんをいただいた。

出雲「ところで秀一君はどうして今頃になって日本に帰って来たんですか?」

翔子「そういえば・・・・親父さんは一緒に帰ってきてないみたいだな。」

秀一「あぁ、親父の奴、中国で再婚したんで邪魔しないように帰って来たんだ。ちょ
うど修行も終えたことだし。」

出雲「あなたもずいぶん苦労していますね・・・・まぁ、困ったことがあったら何でも
言ってください。力になりますから。」

翔子「おにーさんが女の人以外で優しくしたの初めて見る。」

出雲「失礼な!一応、親戚ですからね。」

秀一「そういえば、シャオちゃんて可愛いよな、出雲さん。」

出雲「!、な、あなたもシャオさんを狙っているんですか?」

翔子「おいおい、あんまりおにーさんを困らせるなよ。」

翔子が面白そうに言う。

秀一「ニッコリ(悪魔の微笑み)可愛いとは言ったけど、好きだなんて一言も言って
ないよ。」

出雲「大人をからかうのは止めてください。(まったく、彼は太助君より手強いです
からね)」

翔子「秀一がホントに狙っているのはキリュウだよ。」

出雲に翔子がボソッと話した。

出雲「キリュウさんとは、ずいぶんレベルが高いですね。」

まぁ、花織やルーアンは太助にぞっこん(死語)だし、シャオは恋愛感情がわからな
い、翔子と那奈は他人のことには興味があるが自分のことには興味がなくてレベルが
高い。さらにキリュウに至っては、試練以外興味なし(温泉にはあるか・・・・)恥ずか
しがりや、他人と接することが少ない、などと特にレベルが高い。

秀一「そんなん関係ないよ。俺はただ純粋にキリュウちゃんが好きなんだよ。」

秀一は真剣な目つきで二人に告げる。

秀一「・・・・なんか熱く語っちまったかな?そろそろ帰るよ。」

もうあたりは少し暗くなっていることに気付き秀一と翔子の二人は家路に着いた。

 

 

 

 

あとがき

どうでしょうか?謎キャラ霧島秀一は翔子の幼馴染みで出雲の親戚で帰国子女となん
とも複雑な設定です。現在二話目を制作中ですが、完成しだい送りたいと思います。
キリュウ様が月天一、いや世界一の美少女キャラになりますよう心から祈っておりま
す。

(ちょ〜さ)

 


ハルカの勝手コメント

 ちょ〜ささんから、初めての投稿作品を頂きました。

 太助達の中学校に現れたのは、なんでもおまかせのスーパーマン及び霊能力者こと霧島秀一。

 そしてこともあろうに紀柳さんに手を出して…もとい、紀柳さんに一目惚れ。

 さてさてこれから先、紀柳さんはどうなるのでしょう?

 そう簡単になびいてくれるなよとはハルカの希望でありますが(オイ

 ともあれまだ第一話ということですので、次回からも楽しみにしております♪

 …しかし、走り高跳び2m30…化け物か?(笑

 

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