まもって守護月天!オリジナル小説
「万難地天の恋愛事情」
第二話 伝える言葉、伝わる想い
ピンポーン。
シャオ「はーい、どなたですかぁ?」
シャオが玄関に出る。
秀一「おはようシャオちゃん。」
シャオ「おはようございます。秀一さん。」
と、後ろから太助が来る。」
太助「シャオ、誰か来たのか?」
シャオ「太助様、秀一さんが来てくれましたよー。」
太助「どうしたんだ?秀一。」
秀一「キリュウちゃんとデートしようと思ってね。」
太助「何っ?」
太助は驚いた。まぁ太助が驚くのも無理はない、秀一はキリュウに告白もまだしてな
いのだ。
太助「お前、順序間違えてるぞ!」
秀一「間違ってないって、今日するんだから、告白。」
那奈「誰か来てんの?」
那奈も玄関にやってくる。
太助「あぁ、那奈姉、秀一が来たんだ。」
那奈「へー、あんたがうちのキリュウを欲しがってるっていう秀一君か。なるほど、
太助より全然いい男じゃん。」
太助「悪かったな。余計なお世話だ!」
秀一「初めまして、噂は出雲さんから聞きました。」
那奈「ふーん、宮内と知り合いか、んで?今日は何の用?」
秀一「キリュウちゃんをデートに誘いに来ました。」
那奈「そりゃいい、ちょっと待ってな、キリュウ呼んでくるから。」
那奈はキリュウを呼んできた。まだ起きたばかりで少し眠そうだ。
キリュウ「秀一殿、私に用とはなんだ?」
秀一「キリュウちゃんと出かけたくて誘いに来たんだ。」
キリュウ「私と?私なんかと出かけてもつまらないだろう。」
秀一「そんなことないよ。」
那奈「行ってこいよキリュウ。」
キリュウ「しかし、主殿に試練を・・・・」
那奈「いいって、太助はこれからシャオとデートだ!」
一瞬で太助の顔が真っ赤になる。
太助「な、なな、那奈姉?」
那奈「シャオも太助とどっか行きたいよな?」
シャオ「で、でも太助様に迷惑が・・・・」
秀一「(あっちはあっちで盛り上がってるな、それじゃ、こっちも行動起こすか。)
さぁ、行こうか。」
キリュウの手を無理矢理引っ張る。
キリュウ「な、秀一殿・・・・」
二人は今、とある水族館に来ている。
秀一「・・・・ごめんな、勝手に連れ出しちゃって・・・・」
キリュウ「・・・・いや、秀一殿といるのは楽しいから嫌いじゃない・・・・」
キリュウの一言に秀一は胸を撫で下ろした。さすがにゴーインだったと、少し反省し
ていたのだった。
二人は水族館を見学して回った。色とりどりの魚達が、その華麗な泳ぎを披露する。
キリュウ「ここは、魚殿達が多くていいな・・・・」
キリュウはすっかりご満悦のようだ。
秀一「(翔子の言うとおりだな・・・・)」
前日、翔子に今日のことを話していたら「キリュウはあまり人がいなくて自然や動物
に囲まれてる場所がいいぜ。」と助言を受けていたのだ。
秀一「(こうやって喜んでいる仕草とかもすごく可愛いんだよな・・・・)」
キリュウの顔を眺めていると、ふと二人の視線が合ってしまった。
キリュウ「私の顔に何かついているか?」
秀一「いや・・・・可愛いなと思って・・・・」
キリュウ「な、秀一殿・・・・」
秀一「そうだ、キリュウちゃん。のど渇いたでしょ?何か飲み物買ってくるよ。」
秀一は飲み物を買いに近くの自動販売機に向かった。秀一がその場を離れてくれたこ
とに、キリュウは少しホッとした。
キリュウ「(・・・・秀一殿と居るのは楽しい・・・・しかし、それと同時にすごく苦しい・・
・・。やはり、私は秀一殿の事が・・・・)」
そこに、秀一が飲み物を買って戻って来た。
秀一「ごめん、少し遅くなっちゃった。」
キリュウ「いや、そんなに遅くなかったぞ・・・・」
秀一「そう?それは良かった。こんな美しい方を待たせるのは失礼だと思いましてね
・・・・」
秀一が茶化すとキリュウはまた恥ずかしがって俯いてしまった。
キリュウ「秀一殿!からかうのもいい加減にしてくれ。」
秀一「ははは、ごめんごめん、それじゃぁおわびにこれをどうぞ。」
秀一がキリュウに買ってきた飲み物を渡す。
キリュウ「何だ?初めて見る飲み物だな・・・・」
秀一「ミルクティーを知らないの?」
キリュウ「みるくてぃー、と言うのか・・・・どんな飲み物なんだ?」
秀一「うーん、簡単に言うとお茶と牛乳が混ざった飲み物かな?」(簡単すぎ
(笑))
キリュウ「・・・・あまり美味しそうじゃないな・・・・」(まぁ、あの説明じゃ無理もない
・・・・)
秀一「大丈夫、美味しいって。」
キリュウは恐る恐る、ミルクティーに口をつけた。
キリュウ「・・・・美味しい・・・・」
すっきりした甘さに渋さの組み合わせはキリュウの口にお気に召したようだ。
秀一「キリュウお嬢様のお口にお気に召された様で光栄です。」
秀一は、さらにキリュウを茶化すかのように面白おかしく、まるで紳士のように話し
かけた。
キリュウ「・・・・だ、だからそんな風に話すのはやめてくれ・・・・」
秀一「何をおっしゃいますか!お嬢様と話すときには当然のことではないですか。」
追い討ちをかけるように秀一は話す。最初は恥ずかしがっていたが、キリュウは可笑
しくて笑みを浮かべた。
キリュウ「フフッ、秀一殿は面白い方だな。」
秀一にとって、そのキリュウの微笑んだ顔は、今まで見てきたどんな女性より可愛
く、そして愛しく思えた。
秀一「(・・・・やっぱり、すごく可愛い・・・・)」
もはや、秀一にとってキリュウは【大切な存在】となっていた。それは、キリュウも
同じであった。
キリュウ「(やはり、この感情は・・・・、だが、私には・・・・)」
キリュウが悩んでいると、秀一がキリュウに話しかけてきた。その瞳は、いつになく
真剣であった。
秀一「キリュウちゃん、大事な話があるから、俺についてきて欲しいんだ・・・・」
何かを決意したようなその表情に、キリュウも頷く。
キリュウ「・・・・あ、あぁ・・・・」
二人は人気のない公園に来ていた。あたりは日が暮れて、薄暗くなっていた。
秀一「・・・・・・・・」
キリュウ「・・・・・・・・」
二人とも無言のまま、ただ時間だけが過ぎていく・・・・先に口を開いたのは秀一だっ
た。
秀一「・・・・キリュウちゃん、今日は俺に付き合ってくれてありがとう・・・・」
キリュウ「い、いや、私も楽しかったし・・・・こちらこそ感謝している。」
秀一「(・・・・よし、・・・・言う・・・・)」
秀一「キリュウちゃん・・・・俺、君が好きなんだ・・・・」
秀一の告白にキリュウは哀しい表情を浮かべる・・・・
キリュウ「・・・・・・・・め・・・・だ。」
キリュウは聞き取れないくらいの小さな声でつぶやく。
キリュウ「・・・・だめなんだ。・・・・私は、私は・・・・」
そう言い残すとキリュウは短天扇に乗って行ってしまった。
秀一「・・・・キリュウ・・・・」
秀一は一人、そうつぶやき立ち尽くした。
七梨家
太助達は食卓を囲んでいた。
太助「キリュウまだ帰ってないのか?」
シャオ「まだみたいですね。あっ、キリュウさんには後からつくりなおしますから遠
慮せずに食べてくださいね。」
ルーアン「そう?それじゃ遠慮なく・・・・」
そう言うとルーアンはただでさえ早い箸さばきをまさに目にも止まらぬ早さで食べは
じめた。「少しは遠慮しろ」と太助は苦笑した。
太助「それにしてもホントに遅いなキリュウ・・・・」
那奈「もしかしていくとこまでいってんじゃないの?」(それはそれでキリュウファ
ンに怒られそうだ・・・・)
那奈はニヤニヤしながら大声でしゃべる。
太助「な、那奈姉、い、いくとこまでって・・・・」
那奈「太助も早くシャオとそうなってくれればお姉さんは安心できるんだけどなぁ・・
・・」
太助「だぁ〜、んなコト言ってないでさっさと食っちまおうぜ。」
シャオ「太助様、いくとこって、どこかに出かけるんですか?」
太助「え?あ、いや、その・・・・」
那奈「ほ〜ら太助、シャオの質問に答えてやれよ。」
太助「いや・・・・(くそ〜、那奈姉の奴・・・・)」
ガチャッ
太助が返答に困っていると玄関のドアが開く音がした。
太助「あ、キリュウが帰ってきたんじゃないか?」
まさに天の助けとばかりに太助はホッとした。那奈は少し残念がっていたが・・・・
シャオ「キリュウさんこれからキリュウさんの分を作りますので少し待っていてくれ
ませんか?」
キリュウが階段を上ろうとしているところをシャオが呼び止めた。キリュウはまるで
今、顔を見られたら困るかのように振り向かずその場で話す。
キリュウ「・・・・すまない、食事はいらない・・・・」
少し声が震えていた。もちろんシャオはキリュウの様子が変なことに気付いていた。
が、あえて気付かないふりをして普段通りに接した。
シャオ「そうですか・・・・それじゃお腹がすいたらいつでも言ってくださいね。」
キリュウ「・・・・すまない・・・・」
そう告げるとキリュウは自室に戻っていった。
シャオ「(キリュウさん・・・・大丈夫かな・・・・)」
シャオが気付かないふりをしたのは、キリュウが今一人になりたいと瞬時に悟ったか
らである。何千、いや、何万年も前からの付き合いで精霊達には精霊達の絆があるの
だ。
キリュウは部屋に戻りベッドに横たわった。そして、今までのことを思い出すかのよ
うに窓の外を見上げた。
キリュウ「(遠い昔の私は、ずっと嫌われていた・・・・
それが当たり前で、嫌われたおかげで使命を果たすことができた・・・・
ずっと一人きりで、つらくて、苦しかった・・・・
だが、ここに来て私は変わった・・・・いや、今まで知らなかったことを知るこ
とができた・・・・
主殿や、那奈殿、みんな、私に優しくしてくれた・・・・
私に、居場所をくれた・・・・
だから私は主殿達が幸せになれるよう、自分のできることをがんばろうと
思った・・・・
本当はもう気付いている・・・・
私は秀一殿が好きなことに・・・・
好きだと言われたとき・・・・本当はすごくうれしかった。「私も好きだ」と答
えたかった・・・・
このままでは、役目が果たせない、そう思ったとき、自然と口が動いた・・・・
「だめだ」・・・・と、)万難地天ではなく、人間として生まれたかった。」
それが、今のキリュウの本心だった。決して人を好きになってはいけない。その苦し
みは守護月天だけではなく万難地天である彼女も同じであった。キリュウは布団をか
ぶりそっと目を閉じた。起きたときには今日のことを忘れたい、そう思いながら・・・・
その瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちた。
その一部始終を静かに見ていた少女がいた。とても幼く、まるで人形のように無表情
で・・・・
フェイ「・・・・ひ・と・・・・と・・・・精・・・・霊・・・・壁・・・・」
翌朝
七梨家は朝の食卓を囲んでいた。太助、シャオ、ルーアン、那奈、そしてフェイ・・・・
キリュウの姿はそこにはなかった。
太助「・・・・キリュウ、どうしたんだ?」
ルーアン「あの娘が、朝遅いのはいつものことでしょ。」
太助「いや、起こしに行ったとき、もう部屋にいなかったんだ。」
シャオ「(・・・・キリュウさん・・・・)」
昨夜のこともあり、シャオは不安に思っていた。
那奈「キリュウはしっかりしてっからだいじょぶだろ。それより早くしないと学校遅
刻するぞ。」
太助「あ、うん。わかった、後のこと頼んだよ那奈姉。」
那奈「任せとけって。」
那奈にキリュウのこととフェイのお守りを頼み、太助たちは学校に向かった。
一方、霧島神社(秀一の家)
秀一「・・・・そろそろ学校に行くか・・・・」
秀一は昨日のことをずっと考えていた。告白したときのキリュウの表情に疑問を抱い
ていたのだ。
秀一「・・・・考えてもきりがない、きちんとキリュウの口から聞こう。そうじゃなきゃ
・・・・あきらめきれない・・・・」
そう思いながらも、秀一は学校へ向かった・・・・
あとがき
ど〜も、ちょ〜さです。いかがでしょうか第二話は、頑張りましたがやはりどことな
くおかしいですね。う〜ん、どうすればもっとうまく書けるんだろ・・・・。三話目
は、もっと文章のレベルを上げることができるよう頑張りたいです。
(ちょ〜さ)
ハルカの勝手コメント
ちょ〜ささんから、「万難地天の恋愛事情」第二話を頂きました。
一話を頂いた翌日の投稿ということで、あまりの速さにある意味自己嫌悪に陥るハルカだったりします(笑
さて、それはともかく、読み終わった瞬間のハルカの気持ちを一言で表すならばコレですね。
『くっ、俺も紀柳さんに告白して…いや、フられてみたいっちゅうねん!』
あっ、あ…そこの人、石を投げないで…(オイ
いや、でもまさにこの一言。こんな羨ましい経験をし、なおかつ紀柳さんを泣かせた秀一君……
ハルカの目の前にいれば、その顔面にハルカのヒョロい拳を叩き込んでいるところです(笑
ともあれ、ハルカの望みどおりそう簡単にはくっつけない二人です。どうぞ皆さんも彼らを応援してあげて下さい。
…え? ハルカはどうするのかって? ハハ、もちろん応援してるに決まってるじゃないですか。ハッハッハ…(渇いた笑い
ともあれ、次回もお待ちしております♪