まもって守護月天

〜22Century〜

 

 

〜12話(味噌汁に天かすを入れると美味しいんですよ)〜

 

 

 

太「ピコピコピッコピコ〜♪

キ「真面目に守護月天はどうなったのだ?

 

太「…何の話だ?」

キ「…はぅ」

太「いや――だってさぁ、所詮真面目にやった所で面白いと思うか?

キ「…そりゃぁそうだが――ともかく、本編を始めないと…」

太「ぴっこり

キ「…馴染んだとか?」

太「いや、練習してるウチに口癖になっちまったみたいだ。ハッハッハ」

キ「そんなモノに練習する必要があるのか…?」

 

 

 ――という訳で、

T「雪が積もったぞ!

乎「見れば判るよ」

T「いや、どれくらい積もってるかを文字のでかさで表現してみたんだが」

乎「でも別にどうって事ないよ」

翔「うん、いつも通りだよな」

 …これだから常時ハイテンション野郎はここぞって時に活躍できん(関係ねぇ)

 

太「ふぅ、ったく何でここまで積もるか? まだ11月も半ばだってのに」

ル「アンタ前回と言ってる事矛盾してるわよ」

太「おっと…すまん。今は大体2月頃だったっけな――それにしても…」

 ちらりと外一面に降り積もった銀世界を見遣り、

太「積もり過ぎとは思わんか、なぁ?

全員『………』

翔「確かに」

乎「とりあえず1階は雪面下だからね」

T「何だ? 雪面下って」

乎「水面下って言葉あるじゃない。あれの雪バージョン」

T「おぉ、なるほど」

 一人で納得してるたかしを横目に、翔子は室内の教壇脇に転がる物体を直視した。

翔「ところで…あのストーブのまん前で転がっている毛糸玉は何なんだ」

 指差した直径2メートルのソレに対し、太助は眉一つ動かさずに、

太「ああ、あれウチのキリュウ」

翔「…何時の間にサナギになったんだよ」

 

キ「防寒具の重ね着より暖かいんだ――ちょっと息苦しいのが難点だが…」

 毛糸の隙間から頭だけ出したその姿は、どこか雪だるまを連想させる。

キ「しかしまだ寒いよぉ……主殿ぉ、学校に火ぃ付けて暖まろうよぉ」

 “どげしっ”

キ「はわっ…わ、わわわっ」

 毛糸玉の中心に太助の蹴りをかまされると、キリュウ雪だるまはバウンドしながら転

倒する。

太「バカな事言うんじゃねぇよボケちん」

キ「うぐー…もうバカな事言わないから、起こしてよぅ…」

翔「出ればいいだろ…毛糸玉から」

キ「寒いからイヤ」

太「…背中に携帯ストーブ背負って何言いやがる」

翔「げっ…」

 毛糸で、外からはまったく判らないが…しかし、それでも寒いキリュウって一体…。

キ「フ、甘いな主殿。更に湯たんぽ装備あぅっ!?

太「…自慢して言うんじゃねぇ」(←キリュウ雪だるまの頭を足蹴)

キ「はぁぅぅ…痛ひぃ」

 その声に、太助は更に蹴り続ける。

太「オラオラオラオラァッ!!」(←目がイッちゃってます)

ル「止めなさい

 ルーアンのチョップが太助の脳天に直撃し、そのまま彼は昏倒する。

キ「うぅ…ありがとールーアン姉ぇ」

ル「アンタも出なさいっての」

 毛糸の繭に手を突っ込み、そのまま力任せに引っぺがすと、ガチャガチャと金属音を

立てながらキリュウの小さな身体と、金属の湯たんぽ、グレーの携帯ヒーターが床に放

り出される。

翔「マジで入ってたのか…」

キ「はぁうぅぅっ!! 寒いよ寒いよぉぅ〜〜〜っ!!――……」

 ばたばたと這いつくばったまま彼女はもがき――…あ、動かなくなった。

 ……爬虫類や、1部の哺乳類は、極度の寒さになると、全身体機能を停止して眠りに

付く――俗に言う『冬眠』という行動を取るのだが…

翔「……つまり…その行動って事?」

太「――…仕方無ぇ。このままにしとく訳にもいかねぇし」

 そう言って、キリュウを抱き上げ、

ル「へぇ…たー様、偶には粋な事するじゃないの」

太「いや…な。寒くて冬眠してんだったら…焼却炉にでもぶっ込むかと

 そのステキな一言を言い終わるが早いか、ルーアンの渾身の右強キックが太助の襟首

を直撃した。

 

 ――で、昼休み。グラウンドに出た一行。 …もっとも、1階が潰れてるお陰で、グ

ラウンドは大幅に広がっており、道路まで雪の敷地が広がっている。

T「せっかく雪が積もったんだっ!! ここはやはり――」

乎「うん。今回のメインもこのイベントだしね」

翔「ああ、雪の積もった日の恒例行事…雪がっ――」

シャ「『雪野球』です!!

太「……はい?」

 その声はグラウンドの中央から聞こえた――彼女の足元には、野球セット一式が並ん

でいる。

 

太「お前…ずっとそこにいたのか」

シャ「まさかっ。…さっきまでは家でお天気ボックスの操作を

太「やっぱお前かいっぺん死ね

シャ「鼻の穴にトイレ洗剤(強酸性)注入しますよ

太「…死ぬ程痛いぞ」

キ「――…シャオ姉だったのか…」

 あ。何時の間にか復活したキリュウが、腰に日本刀(どっから持ってきたんだ)を帯

刀し、そして背中から闘気のオーラを上げながらシャオを睨んでいる――…寒さの恨み

か。

シャ「…もし、そうだとしたら?」(←妖笑)

キ「斬る!」

 一気にシャオの上へ飛翔――刀を縦に構え――

 

キ「磁光真空剣・真向両断!!

シャ「1000年早い

 

“ぺちっ”

キ「はぐっ!?」

 

 縦一閃を振り下ろす瞬間、シャオの触角(!)が伸び(!!)、滞空中のキリュウを

弾き飛ばす。そして飛ばされたキリュウは雪の上に頭から腰の辺りまで突っ込んだ。

 

キ「はぁぅ〜…」

 …呆気無さ過ぎである。

太「…ダムタンクか、キリュウ」

翔「マイナー過ぎ…せめて第七使徒戦のエヴァ2機とかにしときなさいって」

 

 

シャ「話が逸れましたが…」

翔「マジでやるのか?」

シャ「雪合戦よりかは盛り上がりますよ。…どーせ乱闘みたいなモノですし」

太「どーぶっちゃければ野球が乱闘になるんだ

シャ「………ふっ」

太「なんだその如何にも意味ありげな含み笑いはぁぁぁっ!!」

 

 

 

 …んで。

 チーム分けとかもめんどいので(メンバーの数から見ても三角ベースが関の山だろう

し)、バッター以外は全員守備――という、無茶苦茶なルールでやる事になった。

 強いて守備のメンツを言えば、ピッチャーはルーアン、バッターはたかし(TAKA

SI)――後は各々好きな場所で守っている。以上。

 

T「おっしゃーっ、それじゃサイクルヒット狙ってみよーかー!

乎「さては正式ルール知らないねたかし君

 

 既にバッターボックスに自転車持ってきてる時点でバカである。

 

 一方、チームって訳でもないが、マウンドにピッチャー・ルーアンを中心に守備陣が

なにやら作戦を練っている。

 

シャ「良いですね? Tさんが打って、1塁に行こうとしたら――…」

翔子とキリュウを除くメンバー全員『了解(ラジャー)!』

 

 

ル「それじゃ、軽く流しますか」

 

 ひょい、と軽くアンダースロー。ボールはなだらかな弧を描きながらストライクゾー

ンを進み――

 

T「貰ったぁぁっ!!1人送りバントォォッ!!

 

 ――野球をよく知らない方々に説明しておくが、送りバントとは、打った自身はアウ

ト覚悟で、塁にいる者を進ませる、野球戦略の1つなのだ。

 

 普通、キャッチャー(←ちなみにキリュウ)かピッチャーが落ちた球を拾って、1塁

に投げるのが定石だが――

 

T「1塁に送球する前に…イ●ロー顔負けの走塁だぜぇぇぇっ!!」

 

シャ「! 今です!!」

 

 ――(速いのかどうかは疑問だが)たかしの足が1塁まで残り4メートルとなったそ

の時、シャオの掛け声がグラウンドに響く――その瞬間、キャッチャーと2塁(←三角

ベースなのだ)の翔子、外野の乎一郎以外の全員が1塁の上空にジャンプ――そのまま、

イナズマキックばりの構えでたかしに向け――

シャ&ル&太『必殺! 人間ナイアガラッ!!!』

T「なにぃぃぃっ?!」

 

 

“ぺごぽくぐしゃべぐろぎっ!!”

 

 

 

 ↑の様な愉快な音を立て、たかしは真っ赤な血を噴出し、雪の上にバウンドしつつ、

左のバッターボックスの辺りまで吹っ飛んだ。

 …無論、白目を向いて完全に気を失っている。

 ついでにルーアンが重力攻撃(←ジオ・インパクト)を掛けてたので、威力が更に相

乗されてたりする――ここまで来ると、生きてる方が凄いだろ、と思う。

 

ル「はぁ〜い、アウトアウト。――じゃ、次はアタシが打つわね」

キ「………野村殿はあのままか?」

太「大丈夫。隅の方に吹っ飛んだし、試合の邪魔にはならん」

キ「いや、そーいう問題ぢゃぁ…」

シャ「なら、埋めておきましょうねっ」

キ「…」

 

 

 

 左のバッターボックスの辺りの雪面がこんもりしてるのは無視して、ルーアンが右バ

ッターボックスに立つ。

 そして、ある事に気付く。

 …ピッチャーいねぇ。

 

太「しまったっ! 1人脱落したからメンツが足りねーっ! しかも1番重要なピッチ

  ャー!!」

シャ「フフフ…だぁーいじょうぶぃ!!」(←Vサイン)

太「……その古いネタは置いといて、シャオが投げンのか? 外野は1人掛けたトコで

  なんとかなるから問題無いけどよ」

シャ「秘密兵器を使いますっ!」

 と、久々に支天輪からある、直径50センチ程の掃除機の本体みたいなメカを取り

出した。

“ぺかぺかんっ♪”

(久々の効果音&フラッシュバック)

 

シャ「ろ〜ぼ〜ぴっちゃぁ〜☆」(←大山の●代風に)

太「それは秘密道具ちゃうだろ

シャ「ええ、違いますよ。――この子は星神ですから

太「マジで?

シャ「マジで☆

 シャオはその『ロボピッチャ』の後ろを見ると、筆ペンで、

“虎賁”

 

 ………。

 

 

太「…変わり果てた姿になったなぁ…」(涙)

翔「信じてる!?」

太「…いくら出番が無かったとはいえ、まさかロボピッチャに身をやつすとは…」

翔「まぁ…離珠ってよりはマシかもな――………ん?」

 

 とかなんとか言ってる時、ふと翔子の足元の雪がぐもっと盛り上がった――そして次

の瞬間――

 

出「お困りのようですね? ここはひとつ高校で3年間野球部レギュラーで、甲子園

  2回出場の『クールドカベン』と呼ばれたこと私が助太刀しましょう」

翔「制服少女の足元から出て来て何を言うか

 とりあえず、どげしっと踏んでおいて、

出「…荒っぽいですねぇ、スカートの下から出てきて、ちょっとパンティが見えた程度

  で」

翔「十分過ぎるわ

 

出「ともかく! この黄金の右腕を持った私のピッチングフォームには、誰もが三振し、

  我が前にひれ伏すでしょう」

太「…しかし、『ドカベン』ってキャッチャーだったような…」

出「フッ……私の守備は『リベロ』だったのですよ」

太「あんのかっ!? 野球にもそんなポジションあんのか!?」

 ――ちなみに、リベロとはDF&MF&FWという守備に拘らない、自由なポジショ

ンの事である(適当説明)。

 

 

 ――って事で、新たにメンツを1人加えてプレイ再開。

 ピッチャー:ロボピッチャ『虎賁』――

 

出「待ったっ! これでは私の出てきた意味が無い!!」

 キリュウにキャッチャーを代わってもらった出雲が、立ち上がって訴えるが、

シャ「ですが、ピッチャーはしっかり事足りてますし」

出「私はあんなカラクリメカに劣るとでも!?」

シャ「仕方ないじゃないですかー」

出「おぉぅ!? あっさり肯定発言!!?」

太「そもそも『クールドカベン』って時点で怪しいしな」

 すると出雲はロボピッチャにセットされたボールを手に取り、そのまま投球の構えを

取る。

出「ならば…見るが良い! 我が陰陽秘球ビーンボール魔球!

 

 “ズバシィィィッ!!!”

 

 キャッチャーミットに収まる摩擦音を響かせつつ、彼の放った剛球はストライクゾー

ンを大きく逸れてキャッチャーのキリュウに受け止められる。――ただその軌道は、仮

にバッターが立っていればまず間違いなく打者の脳天に直撃してるだろう。

 

キ「…う、くぅ…痛ぁ」

翔「凄……150キロ…いや、180は越えたんじゃないか?」

太「やるじゃねぇか――…よし、この調子でピッチャー頼むぜ」

出「ちなみに命削るんで1日1球が限度なのです

太「やっぱ帰れ

 

 

シャ「ともかく、ボールをセットして…いきますよールーアン姉様ぁ〜」

 再度、ロボピッチャにボールをセットして、シャオはバッターボックスのルーアンに

合図を送る。

ル「フッ…日輪の輝きを恐れぬなら、掛かってきんしゃい!」

 何故に方言が混じってるのかは不明だが、ともかくあちらも準備万端のようだ。

 それと同時、ガチャリと音を立て、ロボピッチャが作動――ギアのかみ合い軋む音で、

本体がギチギチと震えている。

太「……垂直に打ち上げってオチは無しだぞ」

シャ「大丈夫。信号弾とかも射出しませんっ」

 

 チュィィィィン…がっちょん。

スバシュゥッ!!

 

ル「はぐぅぅっ!!?」

 風切る爆音を上げる剛速球は、常識では考えられない螺旋状の軌道を描き、ルーアン

のストライクゾーンを通過――同時、投球の風圧にルーアンの躯は一瞬後ろに浮いた。

 ――しかし、問題はキャッチャーのキリュウだ。その魔球がミットに触れた刹那、火

薬のような爆発音を立て、受け止めたキリュウは大きく吹き飛び、5メートル程飛ばさ

れ、雪上に墜落した。

 受け止めたキャッチャーミットは、ズタボロに引き裂かれ、煤焦げた襤褸切れとなっ

ていた。それはボールも同じだ。

 

シャ「見ましたか!ロボピッチャの必殺投球スクリュー投法!!

ル「この天上天下完全無双の大バカタレェェッ!!

太「おわぁぁっ! 帰って来いキリュゥ〜〜〜っ!!」

 雪面を真っ赤に濡らしほぼ半死状態のキリュウの肩をがくがく揺らすが、反応なし。

時々うわ言のような呻き声を上げて、続けて血を吐くである。

太「吐くなーっ!出すなーっ! 飲み込めーっ!」

翔「…無茶言うなぁ」

キ「うぅ…アキトぉ…」

翔「…?」

太「――ええぃ…こういう時は、電気ショックだぜ!10万ボルトだピカ●ュウ!!

翔「いるかっ!!」

太「ならば…」

 少し間を置いて、太助は妙に嬉しそうに、

太「こういう時は『皆さんお待ちかねぇっ!』のお約束(はぁと)、人工呼吸!

 (ちょっと赤面) やぁってやるぜぇっ!」(気力+30)

翔「……ちょっと…おぃ」

 異様なハイテンションの太助は呼吸を荒ばめてキリュウに覆い被さる。無抵抗のキリ

ュウの上体を起こし、そのまま唇を――

 

 ぼごす。

 

太「にょぐは…」(ぽてっ)←気絶

シャ「止めろって言ってるでしょう

太「い…言ってないだ――」

 

 べごき。

 

太「ふぐ…」

シャ「主人公が故意にヒロイン以外とキスしようなんて言語道断ですわ

翔(何か話ごとに言ってる事違うような……しかもシャオ、お前ヒロインだったのか?)

 

 

キ「うぅ……酷い目にあったぁ…」

翔「あ、復活した――って怖っ!!」

 帰ってきた(?)キリュウの服やら口には、べっとりと血がついていて、その姿はホ

ラー映画顔負けである。

キ「何か、もー少しで貞操の危機だったような…」

 …正解です。

 

 

 ――なんだかんだあって、次の打者、太助。

 

太「俺が何気に復活してるってのには、もー読者は驚かないよな」

 そう言いながら、不死身の主人公は自身のバットになにやらクギやらでヒビを入れて

いる。

翔「なにやってんのアンタ」

 さっきの暴走行為のせいか、その声はどことなく冷たげ。

太「いや、向こうのメカが魔球で攻めて来るんだったら、こっちも超人打法で攻めるし

  かねーと思ってな」

シャ「フッ…無駄なあがきよ。その程度でこの『虎賁』に勝とうなどと…

   無駄!無駄!無駄の一言!!

太「やってみなければ判るまい…――さぁ来い!」

 

 

 チュィィィィン…がっちょん。

スバシュゥッ!!

 

太「行くぜっ!! 必殺・ジャコビニ流星打法!!!

 

 ヒビの入ったバットがボールに触れた瞬間、何の抵抗もなく木製バットは霧散する―

―そして、その粉々になったバットの破片は、太助のバッティングの勢いの慣性に従い

ロボピッチャへ――例え木片といえども、その速さと鋭利さを考えると、十分殺傷力は

ある。――そして、真っ直ぐに飛ぶソレは、投げるしか行動する術の無いロボピッチャ

に全て直撃。プラスチックの装甲に深々と突き刺さり、活動を停止させた。

 

太「見たか聞いたか驚いたか! これぞかの某天才マシーン兵器乗りも学んだ、必殺打

  法だぜ!」

シャ「……くっ……よ、よくも――よくもクリリンを!!

太「違ぇっ!!」

 

ル「…ってか、アウトなのよね」

シャ&太『なにっ!?』

 声がハモりつつ2人は振り返ると、そこにはペシャンコに潰れたボールをミットに収

めたルーアン(キリュウは出血多量で脱落したのだ)が平気な顔でこちらを向いている。

シャ「まさかあの必殺投法を…」

太「まさかあの超人打法を…」

 一応解説しておくが、打者が打った球が地上に落ちる前にキャッチすればアウト

ある(念の為)。

ル「フフン♪ 私にかかればイナーシャルキャンセラーの発動なんてヘのカッパよん♪」

シャ「しまったっ! 重力制御かっ!!」

 

キ「……だったら始めからルーアン姉がキャッチャーやってくれれば…」(涙)

ル「だってキャッチャーって目立たないじゃん

キ「そんな理由で……」

 

出「甘い! げろ甘ですよルーアンさん!! キャッチャーとは、チームの中核となる

  重要な存在! 確かに、花形のピッチャーには引けを取りますが…」

翔「だからいちいち雪の中からアタシの足元から出てくる

  なっての

 再び踏まれる出雲――コイツはもぐらか。

 

太「出雲…もうハナシも終盤だってのに、再登場したところで見せ場は無いぞ」

出「問題ありません、私自身がオチ付ければよいのですから」

太「何様のつもりだテメェ」

出「陰陽師・出雲様ですへぶっ

 そう自慢げに言い放った瞬間、太助・シャオ・ルーアンのそれぞれの右アッパーが出

雲の顎を打ち上げる。

 おもいいきり仰け反りつつ、出雲は口元の吐血を拭う。

出「ま、前振りも無く殴るってのはどぉなのかなぁ…?」

太「いや前振り自分で言ってるだろうが」

 

 

ル「…っと、そろそろ昼休みも終わり――お開きの時間ってトコね」

太「結局2人しか打てなかったなのは何故なんだろうな」

 …バカやってたからである。

シャ「せっかく分裂魔球とか用意してたのに…」

太「分裂魔球? ベタな技だが…どんなもんよ?」

シャ「見ます?」

太「危険じゃなけりゃな」(笑顔)

 

シャ「それじゃ太助様〜いきますよ〜」

 

 とマウンドに立つシャオ。今度は自分で投げるようだ。左腕に握られたグローブ、そ

して右腕の雪玉……ん? 雪玉!?

太「…待て、雪玉打って粉々になるってクソオチじゃねーだろうなっ!?」

 言いながら、それは違うと感じた。シャオの足元には、同じような雪玉が6つ。

太「あ、なるほど。ロシアン・ルーレットみてーなモンか」

シャ「いいですかー太助様〜これから投げる7つの雪玉のウチ、7つハズレから〜」

太「って全部ハズレかいっ!!?」

シャ「必殺、七色レインボーアタック!

 こっちの批判を無視し放たれる7つの雪玉。どーせ打たないと、殴られたり蹴られた

りビーム打たれたり怪光線放たれたりと罰ゲーム浴びせられるんだろう。それならば、

1つだけとは言わないで全て打ってやろうか――太助はそう思い、棒術の如くの棒捌き

で打ち付け――3つを残し、7つの雪玉を粉砕する。…“3つを残して”

太「実は10個かっ!!こンの卑怯者ぉぉーっ!!」

 絶叫の直後、生々しく鈍い音が周囲に響いた。

 

 

翔(…雪2分に対し石8分か…鬼だよね…)

 血のついた雪石を手に取り、まじまじと眺める。ソレはこぶし大程もある、殺傷力抜

群なモノだった。

 

太「ぐ…うぐっ、痛ぇ」

キ「あれ直撃して、痛いだけで済んでるのは異常だと思うぞ…」

太「当たり前だ。不死身の主人公だからな」

キ「……はぁ」

太「なんだっその溜め息…!?」

キ「いや…押し掛けとはいえ、どうしてこんな外道が主と認めてしまったのだろうかな、

  と…疑問に思って」

太「今更言うんじゃねーよ――…ま、俺自身も外道野郎だとは思うがね」

キ「……認めてるのだな」

太「ああ。認めてるだけに更生する気もねぇし、する必要も無い。――こんな俺が俺は

  好きだ」

キ「……ふぅ、ん。一応筋は通しているのだな」

太「おうよ。主人公だからな」

キ「ところで主殿、主殿は私の方を向いてるので見えないだろうが…――みんな、既に

  帰ってしまったぞ?」

太「お…そうか――遅刻だな…」

 と、校舎側を振り返る――確かに、今までいた皆の姿が見えない。

キ「いや、校舎に戻ったのではなく、みんな下校して行ったのだが

太「え!?って…はぁっ!? どーいう事だソレっ!!?」

 待て。こういう時のアレだ。サインコサイン……もとい、冷静に順序良く筋道立てて

思い出すんだ――

 ぽくぽくぽくぽく……(←木魚の音)

 ……………。

 ――…………ちーんっ(←ひらめき(鈴)の音)

 

太「あぁぁぁああぁぁっ!!! そーいや今日学校休業日じゃねぇかぁぁっ!!」

キ「ぶっ…!? …確かに、今日は学校生徒が妙に少な…いや、見かけないと思ったら

  …」

太「授業中も山野辺やTakasiや乎一郎くらいしかいなかったし……ってかルーア

  ン、先生なら最初に気付けよぉぉっ!!」(←責任転換)

 

 

 ――そう叫んで、彼と彼女は駆け出した。

 

 

 

 

 

 …明朝、1番に来た朝練の野球部員が、部の備品のバットやらグラブの幾つかが紛失、

もしくはボロボロになったのを発見。その噂は『幽霊説』『侵入者説』などの尾ひれが

ついて、数日間は学校中のもちきりとなるのだった。

 

 

 …やっぱし休日は確かめよ、ねっ☆

 

 

〜つづく〜

(2巻終了です。って事は、次はアレか? 温泉でむふふかっ!?(絶対無いです))

 


ハルカの勝手コメント

 アレ? 今回からバックが黒くなってますね、模様替えでしょうか(違)

 さて、そんなことより皆さんお待ちかねの12話目をお届けしました♪

 まぁ…確かに原作を踏まえた展開ではありましたが………(オイ

 個人的には今回の笑いどころは「ロボピッチャ-虎賁-」でしょうか。

 ……………

 とっても「黒い」ネタだと思ったのはハルカだけ…じゃあないでしょうね(爆)

 (太助君が変質者化しているのには目を瞑って……)レイさんの次回作に期待しましょう♪

 

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