まもって守護月天

〜22Century〜

 

 

〜13話(温泉です。湯煙慕情です。でも期待しちゃぁダメです)〜

 

 

翔「宮内出雲って、ちゃんと車持ってたんだな――(赤兎馬)だけかと思ってたよ」

出「フッ…私に掛かれば車など…」

翔「ところでそのハンドルに付いた7つのスイッチは何だろうね

出「見たいですか?」(にやそ)

翔「平穏なドライブ楽しみたいから♪」(汗)

 引き攣った笑みを浮かべ、翔子は首を振った。

 

シャ「しっぽ〜のあーる〜天使たっち〜♪ 6・3・3で〜12人〜♪

太「俺的に凄く縁起悪いからその歌は止めれ

 車内でカラオケ――というのは定番。無論、この某温泉街の、とある大型旅館へのご

一行様も、同様に盛り上がってたりしてるのである。

 …しかし、その歌は…

ル「そーよ、もっと温泉らしいメラ萌えな歌とか歌いなさいな、せっかく國府田声なん

  だし」

キ(…國府田?)

シャ「そうですかぁ? 守護月天と守護天使を掛けてみたんですけどぉ」

ル「却下」

太「それならこれは?――北へ〜行こうランララン♪ 北へ〜行こうランララ

  ン♪ 春も夏も秋も冬もね〜新しい北へスキップ〜♪

ル「目的地は北海道じゃないしホッケもイクラも無いわよ

 …歌は、好きなんだけどね。笑えて。

 

 

キ「ところで…目的の場所とやらはどこなのだ?」

出「東北の方角だったと思います」(←運転手)

キ「…………今日中にたどり着ける?」

出「大丈夫! この陰陽方位磁石さえあればっ!!」

キ「…単なる方位磁針にしか見えないにゅわっ!?

 突如、後頭部を鈍器のようなモノで殴られた“気がして”、キリュウは思い切り前につんのめる――

振り返るが、その場所には誰もいない。

出「ん? どうしました?」

キ「いっ今なんか後ろからっ」

出「あぁ…なるほど――この車内は瘴気が充満してますからねぇ…私の憑き霊がウヨウ

  ヨと…だからここでは、少しでも私の気を害せば…」(妖笑)

キ「ひぃぃっ!!?」

 

翔「…まぁ瘴気の事は置いといて――よく予約取れたよな。今温泉シーズンだし、どこ

  も予約いっぱいだってのに」

出「ええ――何でも、その街は少し前に怪物による猟奇殺人事件があったら

 しくて

翔「なにそれなにそれなにそれぇっ!?」

 悲鳴を上げるが、出雲はいたって笑顔で、

出「ちなみに、怪物は今だ捕獲されてないようです」

翔「そりゃ予約取れるワケだよ…――もし怪物に襲われたらどーする気だよぉ…」

出「フッ…だからこそこのメンツなのですよ

翔「…! おぉ、なぁる」

 ――…確かに――

 …性格とかは抜きにして、単純な戦闘能力(一人だけ異常に突出してるが)だけで見れば

この地上で適う敵などいない。それが異星人だろうとエルクゥだろうと…

出「そう…たとえ家事は貧乳3姉妹+家事万能の暴力巨乳娘だとしてもぉぉっ!」

キ「…異様に具体的だな」

 …気にしちゃいけない。

 

太「そーいやシャオ――くじ引きで当たったと言ってたが…詳しく教えてくれ」

シャ「あ――言ってませんでしたっけ? とあるスーパーで、千円ごとに1回くじ引けるんです」

太「へぇ」

シャ「流石の私も1回ではリスクが大きいと思いまして、5千円の買い物を千円ずつに分けて、5回引いたのです」

太「お店の人に白い目で見られただろ

 …手口がセコい。

シャ「ちなみに特賞はこの温泉で、1等は電動自転車、2等が宇宙旅行券、3等が温泉の素詰め合わせでしたー」

太「賞品の選考基準を疑うが俺2等が良かったな

 …どうやら、そのスーパーでは宇宙旅行よりも電動自転車の方が価値があるらしい。

ル「どーでもいいけど、2位と3位の品の落差が激しいわね」

シャ「そうですか? でも金粉の湯でしたし」

太「………」

 ――欲しいとか思う前に、一瞬、入りたいと思った太助だった。

 

 ――で、到着――

 

太「何だ、『鶴来屋』じゃなかったのか」

 旅館の入り口には『風林火山』の看板――日本のストリートファイターのホームベースにあるやつと同じものだ。

出「もしくは『日向荘』って展開も考えたのですがね」

キ「どっちも遠慮したい…特に後者――おちおち温泉にも浸かってられそうにない」

 

翔「ところで太助、そういや野村と遠藤は? アイツも呼んだんだろ? 確か」

太「ああ、アイツらなら今頃与那国島でシーサーと遊んでっだろ」

翔「は!? 何故にシーサー!?――…じゃない、何故に与那国島!?」

太「うん、アイツら来てもどーせ影薄いだろうから、この際だし『与那国島で本場のゴーヤチャンプル食おうぜっ! んじゃ、現地集合な!』って言っといた」

翔「悪魔め

ル「確かにね――野村くんはまだキャラモチーフとかあるけど、遠藤君はCVネタ引用しても有り余る程の影の薄さだしねぇ」

出「ツッコミの分にしても、太助君や翔子さん、キリュウさんやルーアンさんには極度に劣りますしね」

シャ「…すると私はボケなんですか!?」

(シャオを除く)全員『自覚無しかぃ

 

 ――部屋割り。

非人間組<シャオ・ルーアン・キリュウ>

人間組<太助・出雲・翔子>

 

太&翔&ル&キ『待て

出「?なんですか? 無難な部屋割りかと」

翔「ったりめーだろ…野獣の檻にあたし一人――」

太「出雲が人間扱いされてるのはどーかと

翔「そっちかい

 てっきり、自分の貞操(?)の心配してくれたかと思ったが――まぁ、このバカはこんなもんです。

出「なっ!? どういう意味ですかーっ!?」

太「レーダー付きの不可思議魔道師が人間だとは俺は思えんっ!」

出「それを言うならアナタだってグレートモードになれば戦闘力10000は軽く越えてるでしょうがっ!」

翔「てめぇらまとめて人間じゃねぇよ

 

 つっこんどいて、翔子は改めて<人間><非人間>で分けてみた。

非人間組<シャオ・太助・出雲・ルーアン>

人間<翔子・キリュウ>

(翔&キ以外)全員『待て

 キリュウは不思議そうにしながらも、まんざらではないらしい――まぁ、代わりにキレそうなのが2人いるが。

太「なんでキリュウが人間側だっ!?」

出「彼女は精霊ですよっ!? しかも我々を抜いてっ」

翔「いや、お前らよりは人間に近いだろ

 

 ――結局、

 

翔「いいかっ、寝る時この屏風の境越えたら殴るぞっ」

 前者の『人間・非人間』案が可決された――だた一人の反対を押し切って。

 翔子は、部屋の隅にあった縦屏風を部屋の衝立にして太助に言う。

太「ああ、わぁってるって――…しかし、ビーストモード時にそんな約束通じるかねぇ?」(にやそ)

翔「ひっ!!?」(マジで動揺)

太「――いや、冗談冗談っ。全年齢版なんだし、ギリギリまでしか行ったら強制中断(外部からの邪魔とも言う)されるのがオヤクソクだって」

翔「結局襲う気なんじゃねーかっ!」

 

キ「ふ、温泉」

 桶、タオル、石鹸――あと、牛乳の為の小銭(90円)――確認、OK!

キ「いざ!」

ル「…銭湯じゃないんだから桶と石鹸はいらないと思うけど」

 こめかみを押さえるルーアンに、キリュウは「うむ、単なる気分作りだ」と親指を立てた。

ル「まぁどっちでもいいけど――混浴だったらどーする?」(悪戯っぽく)

キ「邪魔となるならぶっ殺す」(真顔)

 ――よくいる。好きな事になると性格変わる奴。

ル「…アンタもやっぱ非人間側だわ」

 

<男湯>

出「露天じゃないのですね――まぁ、いいですが」

 檜の大浴場を一瞥し、そのまま掛け湯して、湯船に浸かる。

出「…読者の方も、男湯はどーでもいいから女湯はどーしたとか言ってるのでしょうね――…ええ、私も気になります」

 何やら独り言をブツブツ呟いて、そして頭のタオルからピンバイス(ミニ四駆用)を取り出した。

出「やりましょう! 明日の笑顔の為に!」(意味不明)

 

 ………。

 ……。

 …。

 

 壁を削っている途中、声が聞こえてきた――どうやら、シャオとキリュウらしい。

 

キ「ちっ…露天ではないのか」

シャ「あら? キリュウは露天風呂好き?」

キ「いや…普通誰だってそうだろう」(無茶苦茶)

“ズガゥッ!!”(←炸裂音)

シャ「これでどうです?」(裏拳一発)

キ「ほぅ…向こうの山まで綺麗に見えるな――どうも、宿の倉庫のあたりも一緒に粉々にしてしまったようだが…」

シャ「…キリュウさん、心地よい入浴とただの一つのプレハブ小屋の犠牲――どっちが大切です?」

キ「…フッ…そうだな」

“がらっ”

翔「お前ら……壁がまるまる一面無くなってるじゃねぇか…」

キ「やは、翔子殿――絶景だぞ」

翔「いや…絶景つーか…寒い」

 

 ――壁一枚向こう側。

出「なにやら期待とは違いますねぇ」

太「ああ…つまらんな」

 …増えている。

太「くっ…女風呂といやぁ「きゃぁ、アナタの胸大きいわね」「え?そっちの方が大きいわよぉ」ってな『胸の大きさくらべっこ』とか『互いの身体さわりっこ』とかが定番だろうが――よく考えりゃマトモな女なんかいねぇんじゃねーか!!」(号泣)

出「うぅ――その気持ちわかります、ええわかりますともぉっ!! としては憧れますなぁっ!!」(血の涙)

太「おお同志よ!

出「心の友よ!!

ル「暑っ苦しいわそこのエロガッパ二人

 両手で揺ぎ無い友情の誓いに水を差したのは、何故か男湯にいるバスタオル1枚のルーアン――

出「ふぅ…見た目年齢13歳以下にしか興味は無いのでね」

太「お前…下限は無いのか?」

出「(にやそ)」

ル「年増扱いを突っ込む以前に…危険だわ、コイツ」

 視線をルーアンの方に戻し、ふと太助は思い出したように、「――で、お前はなぜにここにいるか?」

ル「男湯女湯間違えるボケって定番じゃない」(笑顔)

太「ああ、確かに昔そういうのがあったが…――逆だ

 余程の色男が入ってない限り視聴者(読者)サービスになってないし。

 

 男湯でそんな事怒ってる事などいざ知らず――例え板一枚だけでも――女湯では普通な温泉入浴中――「…ちょっと熱ぃ」と翔子が湯船の隅の水道の蛇口を捻ろうとすると、キリュウが「待たれぃ」ぴしゃりと止めた。

翔「…なんで」

キ「確かに、熱い――熱いが、温泉というものは、これが丁度いいのだ」

翔「だってさ…これ見ろよ」

 『現在の温度』と書かれた温度計の表示を見ると、赤い電子表示で『45℃』と――

翔「…身体悪くするって絶対」(もう顔真っ赤)

キ「甘いな。この程度の温泉、くつろいでみせる!」

翔「つまり我慢してるんじゃねぇか――…そんな中、めっちゃ幸せそうな顔してるな…シャオ」

 位置としては、壁を吹っ飛ばした絶景を対面に、翔子・シャオ・キリュウと、横一列――真中のシャオは、至福のひととき、といった表情で、「あははー、めっちゃ気持ちひぃ…」

翔「…精霊ってのは熱に鈍感なのか?」

シャ「そんな事ありませんよぉ〜、私の場合は〜、ほら〜、江戸っ子爺さんのツボ押してますからぁ〜」(ぼややんとした顔)

翔「どんなツボだぁぁぁっ!?」

 ――このツッコミが拙かった。

 

 瞬間、視界がぐらりと歪んで――

 

 暗転。

 

 ………。

 

 ……。

 

 …。

 

『中2にもなってぶっ倒れるたぁ、バカか…』

 ――あ、めっちゃ涼しい。

 どうやら、布団の上らしい――頬に当たる風が、なんとも言えず心地よい。

 しかし、この声は――この、枕になってる感触は――

『まぁキリュウがいたからいいものの(シャオは論外)…溺れ死んだらバカじゃ済まねぇだろ――あー、なんで俺こんな一人ごと言ってんだ』

 ――いや、ちゃんと聞こえてるよ…。

『しかし、そろそろ膝痺れてきたんだ――そろそろ目ぇ覚ましてくれぇ』

 ――…やだ。

 まだ頭がボーっとするが、意識はしっかり戻った――のだが…もーちょっとだけ――こういうのも、悪くない…――…ん? なんか頭に硬いものが当たるな…確か、この辺りは……(思考中)……げっ。

翔「いやぁぁっセクハラぁぁぁぁぁっ!!!!

太「にゃぶぅ!?

 反射的に繰り出した翔子の両拳が、太助の顔面にヤバイくらいの勢いと角度でめり込み、太助は膝枕の態勢から真後ろに吹っ飛び、ゴロゴロと転がりながら悶える。

太「がっ、ふぅっ!?ごふっ!!? はにゃがっ、にゃーの自慢のはにゃがっ!?」(大量出血)

翔「せっかく人がいい気分だってのにっ! シモネタやんないでよっ!!」

太「下半身の事は俺のせいじゃねーだろがぁ!! つか、これって俺が悪いのかぁっ!?」

 面積の半分を紅蓮に染めながら、必死にティッシュを鼻に詰めるが、詰めた途端に朱に染まり、そして交換の繰り返しで、どんどん赤い丸めたティッシュが布団の上に転がる。

 その光景を眺めて、翔子は考えた。――…どちらかってーと、ひょっとして、悪いのって…アタシか?

太「うー…よーやく治まってきやがった…なんか、逆に俺が倒れそうだぜ…」

 今の出血した分集めたら、献血の2、3回分は軽く超えるんじゃなかろうか――そう考えると、凄く勿体無いな。

翔「そん時は、今度はアタシが膝枕してやるさ――変な事したらさっきみたいにやるがな」

 少し悪戯っぽく言うと、太助はさっきの失態を思い出し、

太「いや…さっきは…浴衣だったし…ルーアンが着せたらしくて、着崩れしてたし…」

翔「……!」(赤面)

 

 反論の言葉を言い出す寸時、ガラリと出入り口の障子が開いた。そこには、こちらをキョトンと見下ろすキリュウが、その態勢のまま硬直していた。そして、次の瞬間には頬を朱に染めて、視線を泳がし、「あ…」と言葉を洩らす。

キ「――その…お邪魔だったようだ、な」(もじもじ)

翔「へ?」

太「おい、キリュウ…何を――」

 ――………。

 あ。

 言われて気付いたが――男女二人が布団の上で、しかもお互い妙に浴衣が乱れていて、なおかつ布団の周りには丸めたティッシュが――そして、二人とも緊張気味に息切らしてて――

翔「ちっ違うってば!」

太「誤解だキリュウ!」

キ「いや…二人が…そういう関係だってのは…なんとなく判っていた――髪型だって、おそろいの“お下げ”だし」

 …いや、それは偶然だ、キリュウ。

キ「大丈夫だ。私は気にしていない――うむ、お似合いの…カップルだっ」(涙目)

太「ちょっと待て何故にそこで泣くっ!?」

キ「それでは…頑張ってくれ――あと、妊娠とかは気にした方がいいと思う」

翔「なにを頑張るんだぁーっ!?」

 最後の言葉も聞かず、キリュウは障子を開け放したまま、だっと駆け去っていった――

 

 

 …どーするよ?

 

 

〜つづく〜

(にゅわっ!? 今回は微妙にアレだぞ!? 18禁!?(違う))

 


ハルカの勝手コメント

 三角関係どろどろ地獄にまっさかさま〜で大直行の太助×紀柳×翔子! 三人を巡る運命の歯車は無情にも廻り続けて……

 次回最終回、『月天温泉にようこそ』湯煙慕情編第26話 「ビバノンノン」 をお楽しみにっ!!!

 

 

 

 ……じゃ、無くってえ……

 あ、どもッス。ハルカです、というわけで(どーいうわけだか)

 レイさん作『まもって守護月天〜22Century〜』第13話(!)をお届けしました♪

 いやー早くも13話という感じですが、今回はこれまでと雰囲気が違いますね。

 なんだかどろどろ〜でイヤーンな感じ満載(?)です(笑)

 え? もちろん悪いわけじゃありませんよ、ありませんとも!

 ていうか勘違いして走り去っちゃう紀柳さんがぷりちー(はぁと)

 ……コホン。

 まぁ、あえて的はずれなコメントを述べさせてもらえば、野村っちと乎一郎君がとぉっても気になります。

 今頃与那国島とやらで本場のゴーヤチャンプルでも食べてるんでしょうか……

 なんだか凄く淋しさが漂いますね、でもこういう人達大好きです(笑)

 皆さん、どうぞレイさんに感想、励ましのメールをお送り下さい。

  

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