まもって守護月天

〜22Century〜

 

 

〜22話(きょーったいっが〜飛ぶぞ空飛ぶぞ〜)〜

 

 

 

 『梅の雨』と書いて『梅雨』

太「梅なんか降って無いじゃないのさ

 などと呟いてみたり。

 

 ともかく、下校時刻となれば、帰宅組がやる事は一つ。雨が降ろうとなんだろうと帰るべし、帰るべし。

 下駄箱で靴を変え、太助は傘立ての前に立った。さすがに雨の中を突っ走る気力は、無い。

太「さぁ〜って、今日はどれにしようかなぁ〜♪

キ「それは酷過ぎ

太「何だよキリュウ、俺っちの傘選びに文句あるのかよー」

キ「選ぶどうこうよりここで選択するのは間違ってる

太「…だってよ、キリュウ――今朝の俺的天気予報では降水確率20%だったんやぜ?」

キ「…俺的って――既に早朝から曇天が広がってたと思ったが…」

太「(無視)だったらよー、いきなり降ってきやがって」

キ「……まぁ、それは災難と言うべきところで…」

太「だったら他人のでも傘使うしかないだろう

キ「どうしてその結論に辿り着く?

 ともかく、太助は非難するキリュウを余所に、直感で適当なのを選んで差そうとする。その時、ふと横で雨模様を見守っている女の子の姿を見かけた。

太(…? 1年か)

 すると、今まで寝ていたのだろうか、神奈の声が聞こえ出した。

神(こういう時は、傘を貸してやるのが男だと思うのじゃが。のぅ太助)

太(む。そうなのか?)

神(そうじゃ)

 心中で軽く会話を交わすと、太助はその生徒に近寄る。

太「ふもっふ?」

1年生徒「ふも?ふもふもふもっふ??」

太「ふも、ふもふもふもふも〜っふもふも!」

1年生徒「ふもぉ〜っ♪ ふも?」

太「ふも」

1年生徒「ふもぉ!? ふもふもふも!」

太「ふもっ!ふもっ!」

1年生徒&太「「ふもっ!ふもふも!! ふ〜もぉ〜っ♪」」

 

 ………。

 謎の会話を交わした後、生徒に背を向けて、少し離れる。

キ「……主殿、何て言ってたんだ」

太「判らん

キ「阿呆かっ!!」

太「…とは言え…――俺彼女好きになれそういろんな意味で」(←目が輝いてます)

 小さなガッツポーズを取って、再び彼女に向き返る。

太「よぅ、ふもっふ星人」

1年生徒「あ、日本語」

太「……」

 …マジでアレしか喋れんと思ったんだろうか。まぁ良い。

太「この傘使うか?」

1年生徒「え…」

 少し顔を赤らめ戸惑うその少女を目の当たりにし、

神(そうじゃっ!太助、後は爽やかにその場を立ち去る!)

 と言われ、太助は言われるままにその場から駆け足で走った。しかもむっちゃ笑顔。

 しかし内心では、

太「なんで俺が濡れて帰らなあかんねん。2億4千万歩譲って傘を貸したとしても、キリュウやシャオや山野辺やルーアン、もしくはその他多数の傘パクって使えばいいだろうにーっ!」

 ――…などと考えていたり、いや叫んだりしながらダッシュし、校門近くで翔子とすれ違うが――

翔「あ、七梨――って速ぁっ!?」

 一瞬で二人の距離は数百メートルまで開き、見えなくなった。

翔「…最近独り言多くなったよなー七梨…電波スキルでも覚えたんかな」

 あながち外れでは無いかも。

 

 一方、受け取った1年生徒――愛原花織は、太助の後姿をぼんやりと眺めたまま、ちらりと手元の傘を見下ろす。傘の柄に付いていた名札を一瞥し、そっと彼女は名を呼んだ。

1年生徒「…『仮の名前/野村TAKACI』……『ソウルネーム/風見史郎』…」

 人違いです、お嬢さん。

 

 

 ………。

 ……。

 …。

 

 まるでペンギン村の如く月と太陽が一周して、翌朝。昨晩の雨はすっかり晴れている。

ゆかりん(以下:ゆ)「野村先輩って、あの1ヶ月くらい学校サボってた人でしょー」

 余談だが、TAKASIは修行の旅に出る際、留学届けを出したのだが当然認められる訳無いのだが、届を出した直後に単身流浪の旅へ出た彼は却下された事を知る事無く、心置き無く1ヶ月“サボった”のである。

熱美(以下:熱)「あの、いっつも登場する話で自身の実力知らずに暴走して、ぶっ殺される人?」

 ちなみに、花織の両脇の二人は――…まぁ、(原作の)太助で言うたかし&乎一郎みたいな者だ。

熱「すっげぇ手抜きよね、それ」

ゆ「まぁ人気投票(9巻参照)でも圏外だったしー」(←自棄)

 まぁ花織ちゃん自身7位だったし(禁句)。

花織(以下:花)「大丈夫じょぶ!! なんてったって『壊』なんだから、二人の出番は裏月姫のアルクエイド並にあるわっ!!」

ゆ「ゴメン花織それ全然フォローになってないし

 まぁ別シナリオだとは言え、後姿のみって言うメインヒロインも珍しいと思うのだが。TYPE−M●●Nさん。

 

ゆ「それに魂の名前って何よ、それに本名もローマ字だし」

 的確なゆかりんのツッコミ。確かに、一般人には通じないネタではある。だが、花織には通じたらしく、拳をぐっと握り締めて「げろ甘ぁ〜っ!!」と熱血。

花織「それを言ったらゆかりんなんか本名(予想つくけど)不明じゃないのさ。ボス・ムチャ・ヌケと同等よ、同等!」(ずびしっ)←指差し

ゆ「うわ酷っ!?」

 精神的にクリティカルヒットなゆかりんを余所に、花織は熱血のまま瞳に炎をともした。

花「フフフ…苦節13年とちょりっと、動物占いはコアラ!! 遂に、遂にボーイミーツガールな境遇がっ!! こーなったら、やってやろーじゃないのさっ!」(熱血)

熱「おぉーい、悲喜正反対だが帰ってこ〜い二人ともー」

 

 ………。

 ……。

 …。

 ……場所は変わって、2年1組の教室。

 

“どかどかどかどかっ”(←複数の足音)

シャ「ファーミコーンウォーズ〜が出ったぞぉ〜♪

太「それ古過ぎ――それと後ろの外人兵士はどっから呼びやがった!?

シャ「それじゃぁね、エドガー、ディック、スコット、デニム〜」

 太助のツッコミを受けると――丁度終了だったかもしれんが――シャオはあっさりと後ろで一緒に走っていた外人兵士と別れを告げると、唖然とする生徒達を余所に、ムキムキ(死語)なソルジャー達は礼儀正しく会釈して去っていった。

 全員『…まぁシャオだし』と、疑問にすら抱かずに、再び朝のざわめきが教室に響き出す。

太「へーちよ」

 太助のクシャミに、シャオは少し驚いたような表情を見せた。

シャ「へぇ…馬鹿(太助様)も風邪ひくのですねー」

神(さりげなく酷い事言われてるぞ、太助)

 神奈の言葉を無視して、机に突っ伏した太助はシャオを視線だけで眺めた。

太「うー…風邪じゃねぇよ、多分

キ「となると、子供アレルギーか?」(後ろの席からツッコミ)

太「俺は某天才科学者か!? ンな訳無ぇだろっ!」

 ふと、TAKASIのクシャミ三連発が響いた。

T「えっくしっ!へきちぃよっ!!ぶぇっきし!!!」

 最後のは加トちゃんっぽかったのは敢えて無視するとして――今日のTAKASIはちょっとローテーションのようだ。

太「おー、どーしたTAKASI。今日はやけにMP一桁っぽいな」

 MP0でもローテンションにはならないと思うが。

T「ああ、太助か…――んー、どうもウワサの感冒にかかったかもしれん」

太「っ…!? りゅ――感冒だと!?」

 驚愕の表情のあと、クルリと踵を返し、

太「…どうやら、TAKASIの命もあとわずからしい」

T「待て待て待てっ!!? それってどういう意味だ!?」

太「いや、だって難しそうな病名だったし」

翔「…七梨、感冒は単なる『風邪』の事だぞ」

太「何ィ!? くそっ、俺の知らない所でまた新たな日本語が生まれやがって…!!」

 ――…ちなみに、感冒はれっきとした風邪の正式名称。

太「で? お前は風邪なんだな――どうしたんよ、馬鹿は風邪引かねぇと言うのに」

T「…そう、これで俺は馬鹿じゃ無いって事が照明されたんだが――…実は昨日、俺の傘が無くなっててな」

キ「(………主殿)」(太助を肘で小突く)

太「(えぇい軟弱な男めぇ…!(←人でなし))」

 すると、後ろ側のドアがカラカラと開き、一人の少女――愛原花織が「すみませぇーん」と覗き込んだ。

翔「んー? 1年? どしたの」

花「あの、風見志郎さんいますか?

翔「喫茶アミーゴ行ってくれ

 きっと本郷さんや一文字さんもいると思うからと付け加えると、花織は苦笑した。「あー、違いますよぉ。これは魂の名前なんですから」

 途端、TAKASIは思いっきり机に頭をぶつけた。

T「何だとぅっ!? 風見は俺のソウルネームじゃ――」

花「あっ! 野村先輩〜っ!!」

 “彼”の姿を見付け、彼女は小走りで近付いて来た。そして、「昨日はありがとうございました…!」

T「っ…!? 何を言うんだいまぁーいしすたー! 俺としては覚えは無いが、とりあえずお礼なんか良いさっ!」

 ――とのたまうTAKASIを無視して、彼女は昨日太助の(パクッて)貸した傘を手渡した。

T「………あぁ?」

太「おぉ、昨日の1年か」

花「私、1−3の愛原花織と言います。…昨日はありがとうございました、この傘貸して貰っちゃって――」

 妙に後ろの視線が痛い。特にTAKASIの方からは『どういう事だゴルァ(゚д゚)』って感じだし。

太「…別に返すのはいつでも良かったんだがな…寧ろそっちの方が…(後ろの視線…いや死線が)」

花「早くお礼言いたかったんで…!――それじゃ、失礼しまーす」

太「あ…ああ」

 

 “カラカラカラ…ぴしゃん”

 

神(…な? 喜んでもらえたじゃろ)

太「………俺は別にこんな所でプレイボーイ振りを発揮したくねぇ…」

T「太助…今のは、どういう意味かな?」

 TAKASIの言葉を皮切りに、男子生徒全員が太助に殴りかかった。

男子生徒全員(の魂の叫び)『ふざけんなぁぁぁぁぁーっ!!!』

『太助っ!!あの神主の影響でロリコン趣味とは聞いていたが、まさか半分小学生な1年に手ぇ出すとはなっ!!』

『自己犠牲で傘貸すたぁベタベタなやり方だなコンチクショーめぇっ!!』

『なんだっ!!?所詮はギャルゲー(違)の主人公って事か貴様は!!?』

『キリュウちゃんが可哀想だとは思わんのか貴様ーっ!!もし泣かせたりしたら夜明けの軍歌で奇襲し殺ス!!』

『ええぃっ!こんな軟派でエロな野郎が主人公なんて俺達は認めたくねぇっ!!』

『貴様のような奴がいるから、戦争が終わらないんだっ!!』

『主殿…私は――私は、別に構わないから…な?』

『ひどいわ太助様、私と言うものがありながらっ!(よよよ)』(←とか言いつつ鳳翼天昇)

『な…何!?教室来たらいきなり皆よってたかって――…って、毎度の如くたー様かぃっ!!!』(←便乗暴力)

 

 全員の怒りが収まるには、実に約2時間を有したと言う。当然、毎度の如く授業も潰れたり。

太「うぐ…げふっ…反撃どころか再生する暇すら与えず撲殺かぃ……ちぅかドサクサ紛れに妙なセリフが聞こえた気がするけど――…まぁ良い…あーあ、傘もこんなにグチャグチャになっちまって」

 混乱の最中足元に転がっていたTAKASIの傘は、揉みくちゃに踏み潰されて、骨は勿論メインシャフトすらしっちゃかめっちゃかになっている。

太「ん…? 傘の中に紙切れ…?」

 元は雨を防ぐ為の防水布の隙間にこれまたぐちゃぐちゃになった紙片の一部を見つけた。とりあえず、散らばった紙片をかき集められるだけかき集めて、周囲に気付かれないように机に並べる。

 4時間目の授業中、こっそりパズルの要領で紙片を組み立てる。――しかし、あまりにも数が足らず、せいぜい一部の単語が判読出来る程度。…パズルと言うよりほとんど暗号解読である。

太(…えーっと……これで全部か…かなりムズいな)

神(…読解可能な単語は、『遠くから見〜』『臆病者〜』『心臓の鼓動を止め〜』『楽に〜』『昼休み、屋上で〜』…――……むぅ)

 神奈は心中で――もっとも太助の心だが――少し考え込んだ。そしてすぐに何かに閃き、

神(太助…これはひょっとして――)

太(――っ!! 判った!! 神奈、これは――)

 太助も感付いたようで、「いくら愚鈍なこやつでも、ここまで来れば察するだろうて」と神奈は半ば呆れたように息を洩らした。

太(これは…そう、脅迫状!

 ――………。

神(……こやつ、本気で木の股から産まれてきたのでは無いか…?)

太「ああっ!! 馬鹿にしたなーっ!?」

 直後、英文を黒板に書いていた英語教師から叱咤を受け、立ち上がり声を張り上げた太助はバケツを両手に廊下に立たされる事となった。

 

翔「…今時廊下に立っとれ、か…藤子不二雄の漫画じゃあるまいし…」

T「それにしても、太助、最近独り言多いよな」

キ「そうだな…まさか、本当に電波が?」

シャ「………ふふ」

 一応にも心配する三人を余所に、ただ一人シャオだけはその事実を知っているのだった。

 

 ………。

 ……。

 …。

 ――そして、刻は流れて昼休み。

 屋上の貯水タンクの上で、花織は腕を組み、ただ無言で一人の男を待っていた。

花「遂に…この私にも春が来るのね! 一条寺烈さんから正義の魂を学び、剣流星で優しさを学び、南光太郎で勇気を学んだこの私にも、遂に…っ!!――見ていて下さい師匠。あの方と一緒に私は強くなります。そして、いつかアナタを超えて見せます…!!!

 両腕を天空に翳し叫ぶと、花織は再び腕を組んで全身に風を受ける。

花「来る…風見志郎は必ず来る!!」(←未だ誤解中)

 同時、眼下の屋上と下の階へと繋がる鋼鉄製のドアが爆音と共に四散し、コンクリのタイルの上を爆ぜた。爆煙が吹き荒れる中、花織は口元を腕で押さえ、タンクから飛び降り、目を細めて爆心地である入り口を注視する。

花「――…っ!?」

 致死量の殺気を感じ取って花織は後ろに飛び退いた。風が煙幕を拭い去ると共に、一人の男が姿を現した。

 ――七梨太助…なのだが、目は完璧にスーパーサイヤ人な目つきで、髪の毛は逆立ち(金髪じゃ無いけど)、オマケに背中からは天使のような翼が生えている。

太「クックック…流石にしょっぱなからこの形態で登場するとは思っていなかっただろうっ!! 言わばしょっぱなから超必ゲージMAXみたいなモンだ!! さぁー犯罪者!!来るなら来いっ!!!」

花「くっ…!? 誰!!」(←自分で呼んどいて)

太「貴様らに名乗る名など無い!

 何時の間にか腕組んで、貯水タンクの上で花織を見下ろす太助。ところで『貴様』は複数形なのだが。

花「ち――ちょっとタンマ! なんでいきなり襲撃ですか!? というより奇襲ですこれ!! 地獄のデストロンでもこんな卑怯な事しないですよ!!」

 明らかに動揺――そりゃぁ、この程度の苦境などものともしない無敵野郎か、こういう状況であればこそ燃える熱血バカで無い限り、この状況で平常でいられる奴などそういない。

花「それでも、先輩がそう来るのなら、この花織…手加減はしません!!」

 …熱血バカだった。ドコに隠していたのか、よくグラップラーがしているような指開きのグローブを手に装着し、構える。そして――…無謀にも彼女は太助に攻撃を仕掛け、

太「10光年早い」

 翼の一閃で軽く弾かれ、そのままおよそ10メートル吹っ飛ぶ。この程度なら、常人でも擦り傷程度の軽傷ですむハズだろう。

花「あ――………」

太「……」

 だが、吹っ飛ぶ方向が90度程マズかった。もしそうだったら、彼女も屋上から落ちる事も無かったろうに。

 ぐしゃっ。

 

太「…なんだ、そうだったんか――…ところで、俺は野村じゃなくて七梨だぞ。七梨・タスケード・太助」

花「はいっ、わかりました。タスケード先輩!」

太「あ、いや、それは冗談(汗)」

 …まぁ止血したとは言え未だ花織の頭から血が流れつづけてるのは置いといて、

太「とにかく、誤解が解けてよかったよかった」

神(やはりわらわの意見が合ってたでわないか。――…ともあれ、これが出会いで二人は愛し合い…)

太(…貴様は黙っとれ)

 とまぁ、妄想じみた翼人の戯言は置いといて、

 ――らぶこめもーど、ポチっとな(謎のスイッチ)

 

花「それじゃ、七梨先輩」

太「…ん?」

 グレート・ウイングモードを解除して花織を振り返る。…彼女の後ろに見える階段や貯水タンクが粉々に破壊されているのはあえて見えてないふりをするとして。

花「えっと、今度七梨先輩の家に遊びに行っていいですか」

 

 ………。

 

ル「っ…!? 出口が――」

シャ「私達が上がってくる事を見越して――…敵も然る者です」

 ストーリーに倣って屋上に向かったルーアン、シャオ…キリュウに翔子、TAKASI、出雲だったが――出口は完全に破壊され、鉄骨の瓦礫によって完全に塞がれていた。

ル「って、キリュウ以下三人、そもそも何でついて来る

キ「あー、それはだな…えーっと……(汗)…翔子殿」

翔「まーみんな昼食済んで暇だし。な、野村」

T「おぅ。昼飯の場面無かったが、一応昼休みなんだぞ――…だから、購買にいるハズのお前がここにいるのはおかしいんだぞ、出雲」

出「フッ…無問題。店番は我が式神『氷龍』『炎龍』に任せてありますから」

キ「式神に関しては別に良いがそのネーミングはどうかと思うぞ

 シン●トリカルドッキングとかするのかぃ、その式神達は。

シャ「ともかく、屋上に出ますかね」

翔「お、久し振りの支天輪」

“ぺかぺかん”

シャ「通り抜けフープ――…は見も蓋も無いので止めにして」

ル「こらこら、真面目にやりなさい」

シャ「ふむ…それでは壊月天初登場の車騎で瓦礫を吹っ飛ばすというのは?」

翔「余波でアタシ達の身が危険な気もするけど…」

 とツッ込んでる翔子を無視してシャオは車騎――らしき“ソレ”を召還した。

 本来のスケールの1/30くらいだろうか、数メートルの長身の銃身、何故か底部にはキャタピラがあり、エネルギー供給用のケーブルは4階の多数の教室に繋がっている。恐らくコンセントだろう、1つの物では足らないのか、十数本に先が別れている。

T「うわ、なんかすげぇ大掛かりで仰々しい」

 確かオリジナルのは日本中の電力かき集めてよーやく撃てる代物だったような…――このサイズでも、かなり電気代掛かるだろう。ブレーカー上がらなきゃいいけど。

出「…そもそも車騎ってコレ(陽電子砲)ですか」

シャ「そうです。エネルギーも充填完了、いつでも発射OKです!」

 ――と、腹ばいになって車騎の射撃体勢をとる。

ル「ちょっと待っていきなり――」

 

 

 

 

 ――………。

 

 

 

“ずばっ”

 

 

太「ぶわぁーっ!!!? なんかいきなりビームな光の柱が天空にっ!!?」

 元階段の辺りの瓦礫が一瞬にしてビーム光に包まれ、消滅――光芒が消えるとそこは代わりにぽっかりと大穴が空いている。

太&花「「……」」

 

『何考えてんのっ!?これじゃこっそり盗み聞きとかって次元超えて既にバレバレじゃない!』

『ハッ!?これはこうなる事を予測した太助様の罠!? くぅ…戦いは常に二手三手先を考えるものだって赤い彗星の人も言っていましたが』

『先の手と言うか同ターンのハナシだろ、これは…』

 

 穴の下から聞き覚えのある声。ああ、なんかあの中に手榴弾とか投げ込みてぇ(←危険発想)。

 

 刹那、しゅぱっ、と穴の中から1つの影が飛び出し、金網の柵の上に着地する。ポーズはやっぱりさっきの太助の如くロム=●トール風。

シャ「地球は、狙われている…!」(明後日の方角を向いて、何気に真顔)

太「あーいや同じCV井上さんだけど全然違うし誰に言ってる

シャ「カメラ目線と言ってください」

 でもなんかこの精霊ならV−MAXとか平気でやってのけそう。

花「…っ! 何者ですアナタは!!」

 シャオのペースに巻き込まれなかったか、花織は芝居掛かったオーバーリアクションでシャオを指差す。

シャ「貴様らに名乗る名など――

太「あ、そのネタなら俺言ったにゃべはぃっ!?

花「あぁっ!?七梨先輩!?」

 ビームで貫かれる太助を目の当たりにし、再びシャオを睨む。

花「――アナタ、人間じゃないです!!

シャ「はい(即)」

 

 

 その二人の様子を、ルーアンその他は先程の穴から傍観していた。

翔「その他って…」

ル「マズいわ。いわゆる『一触即って状況ね」

 一応言っとくが、誤字では無い。

ル「もうすぐページ規定超えちゃうし(ンなもん無いが)、さっさとこのシーンの幕下ろさないと…」

T「O・K! そういう時は俺様の出番だ!!」

キ「……。…何か策が?」

T「おぅさ! 古来より、こういう切羽詰った状況で使われていた手段だ!問題無い!」

 言うと、彼は屋上という名の戦場に飛び出した。

 

シャ&花「!?」

 意外な人物の登場に微かに動揺する二人を余所に、TAKASIは両手を構えた。「さぁ皆さん」

 …ばっ!

T「――お手をご拝借ぅっ!!」

 ………〜〜〜…。

 直後、全員が攻撃態勢に入った。ターゲットは、無論この男。

T「パッパンがパン!

 

 直後、シャオの散魂鉄爪、ルーアンのサン・アックなど、各々の必殺技がバカ男を吹き飛ばした。

 

 ………。

 ……。

 …。

太「…あの状況でボケたあの愚鈍野郎も野郎だが、本当に場面が変わるこの演出も最悪だと思うな」

 ――…反省してます。

 で、反省したところで舞台は七梨家。日は落ち、食卓には毎度の如く見た感じ美味そうな様々な料理が。

キ「(もぐもぐ)………げふっ!?(吐血)」

 ≪キリュウは目の前がまっくらになった(ポケモン風)≫

太「やはり来たか…まぁ原作ネタだから、来ると思ったが…」

シャ「はい。確信犯でやれるってもんです」

太「だからってなぁ…」

 視線を料理からキッチンの方へ移す。

太「胸の中がモヤモヤしてるどーこーじゃ無いだろこれは!!!絵の具やら洗剤やら確信犯狙う方角120度間違えとるわぃ!!

シャ「えー、だってぇ…毒殺もベタになってきましたしー」

太「そんな中ルーアンは無言で鍋なんかつついてるし!」

 見ると、携帯コンロにあぶられて、一人用の小型鍋なんぞ持ち出して、美味そうに煮えている。

ル「ふっベリーベリー甘味ねたー様!!」

太「…それ何語だ?」

ル「(無視)――イッツ ア ス・キ・ヤ・キやでぇーっ! しかも肉は国産・松ざ

太「こンのブルジョワめぇぇーっ!!!出てけーっ!!!

 直後、太助のちゃぶ台返しがその高級すき焼きを宙に飛ばし――

 

 

 

 撃沈。

 

 

ル「あああぁぁぁっ!!!!! 今月の給料全額がぁーっ!?

太「っ!?ちょっと待て! いくら高級肉つったって公務員の給料全額って事ぁ無ぇだろ!!(ついでに安くなってるしよ、国産は!)」

ル「全額よ!!」

太「…一体お前の給料はいくらだったんだ」

ル「四捨五入で繰り下げて●万円」

太「…絶対上で不正が行われてるって、ソレ」

 昨今、公務員のお給金が減ってると言う話だが…もし彼女と皆同じだとすれば、全国の教師は首吊らないといけない。

ル「んとね、なんでもアタシの場合出来高制なんだって言われて」

太「……。」

 まぁ、こんな校内の備品破壊、授業サボリが日常茶飯事のボッタクリ教師、並みのお給金払ってたら真面目に働いてる先生達が可哀想ってもんだが…――幾らなんでも●万円はあんまりなような…――プレステ2&Mカードにソフトの2、3本買ったらパーじゃねぇか。

ル「ってンな事言ってる場合じゃないわ!!弁償!!もしくは美味い物食わせろ!!」

太「あー判った…あんまし可哀想だから、今度焼肉(『さ●い』)でも連れてってやるから、今はこれ食え」

 と言って、何故か飛ばなかったシャオの料理を差し出す。

ル「いらない」

太「食え」

ル「いらないって」

太「我慢は良くないぞ」

ル「殺す気?」

太「まっさかぁ♪」

 食べろいらないの言い合いが続いていると、突然シャオが立ち上がった。

シャ「アナタ達そんなに私の料理が食べたくないのですか!!?

太&ル「「うん。(即)」」

 

 ――とその時。

 

“Trrrrrr”

 

シャ「あ、電話ですね」

 とき●も風な電子音を高らかに呼ぶ電話に、俺はシャオの斬撃を回避しつつ、受話器に手をつけた。

 

 ――…ちなみに、とき●ものは掛ける時の音だとかってツッコミは無しだよぉ。

 

太「……。」

“Trrrrrr”

神(恐らく、昼間の女学生だろうな。確か愛原花織と言ったか?)

太「…ああ――…あれ? そういや、なんで俺あの娘だからって戸惑わなきゃなんねーんだ? 恋愛感情どころかやましい気持ちある訳でも無し…」

神(……報われぬな、彼女)

“Trrrr――ガチャ”

太「ヒーホー☆」(左手がアロハな感じ)

那『――よぉ、太助』

太「…ボケが流される時程辛い事って無いの、知ってる?」

那『(無視)――実の姉が国際電話料金が高い中、こうやって電話掛けてるってのにその対応は酷いと思わんか?』

太「……俺30文字でそんな酷い対応したかぃ…?(汗)」

那「それで、な。用件はっちゅーと――」

 

 “ピーンポーン”

 

太「あ。ちょっとタイミング早い」

那『…?なんのハナシだ? で、用件はと“ぷちっ”

 

 …来るのが早いのなら、こっちもさっさと切っておかんとな(謎)。受話器を元に戻すと、そそくさと玄関のドアを開けた。

 

 

〜つづく〜

(たまには、マジで中途半端なところで切ったりとか)


ハルカの勝手コメント

 はい、今回は花織ちゃんの登場話ですね。

 タイトル通り、ますます月天の世界観が壊れていっている感じですが(失礼!)、

 これほど様々な設定を持ち込みながらも一つの作品としてまとまっているのは素直にスゴいと思います。

 また、個人的には『どういう事だゴルァ(゚д゚)』には爆笑しました(笑

 萌えキャラ化した紀柳もすっかり定着しましたし、これからも魅力あるキャラクターの活躍が楽しみです。

 レイさん、どうもありがとうございました。一読者として次回も楽しみにしておりますm(_ _)m

 

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