まもって守護月天
〜22Century〜
〜30話(んとね、今回はネタ思いつかなかったのよ)〜
毎度毎度の2−F教室。たまには真面目に授業風景をば。ちなみに教科は世界史。
教科書の文をルーアン先生が口に出し読んでいるワケ、なのだが…
ルーアン「――…と言う訳で、ローマ帝国は繁栄の時を…あー前回出番無かった〜…」
太助「……。」
ルーアン「――迎えたワケです。…なんか最近出番減ってないアタシ?」
翔子「……。」
ルーアン「――ちなみにこの辺、次のテストの範囲になるからね――比例してキリュウ出張り過ぎじゃない?」
キリュウ「……。」
……。
…聞いてて心苦しいです、先生(by生徒一同)
ルーアン「…そういえば、今日はシャオリンいないわね」
翔子「今気付いたん!?」
きょとんとするルーアンに、更にキリュウが挙手をする。
キリュウ「というか、シャオリン姉ぇはここ数日学校に来てないぞ」
ルーアン「ははぁ。道理で最近爆発が起きないと思ったワケだー」
『ウルズ7』かよ、と太助はツッコミたかったが、シャオと比べられちゃ軍曹も可哀想だと、理性で自粛。
太助「…しかし、誰も知らねーのか? シャオの居所…」
TAKASI「下僕のお前が知らないんじゃ、誰も知らんだろ」
太助「それもそうだな――…って待てチキン野郎」
TAKASI「なんだよ」
太助「一瞬頷いちまったが俺が下僕ってなどーいう事だ」
…まぁ、細かい事は置いといて、
太助「いや、俺にとっては結構ビッグな話題だが」
神奈(女々しいのう太助)
太助「うっせぇ、出雲に頼んで除霊したろか悪霊」
TAKASI「また電波降臨か、太助あぐし」
外見上言われるのは仕方ないのだが、腹立つのでTAKASIの首に回し蹴りをかけてふっ飛ばしておく。
翔子「…しかし、マジでシャオって何やってんだ?」
太助「おし、今日帰ったら問いただしてみるぜ!」
………。
……。
…。
シャオ「あ、太助様〜」
太助「ああ、シャオ…ちょっと聞きたい事が――」
シャオ「ニーハオ、元気アルか?」
太助「……なんでまたカタコトかつ嘘臭ぇ中華語を…」
シャオ「細かい事は気にしないヨロシ」
――とてとてとてとて(足音)
――がちゃ、ばた(ドア開閉)
太助「…判ったぞ! アイツどっかでバイトしてやがる!」
翔子「今の会話で!?」
強引を通り越してマインドスキャナーレベルな洞察力の太助は歯をハイドロキシアパタイトばりに輝かせ、
太助「相手の気を感じるんだよ、気を!スピリットを!大地のエネルギーを!」
翔子「出来んのはお前だけだっつの」
それに大地のエネルギーって何だ。
太助「冗談抜きでそれっぽいぞ。しかも中華料理屋かもしれん」
翔子「そのネタで攻めんのかぃ」
太助「いやだって、作者の地方でも再放送始まったし。……何故か東海テレビ(フジテレビ系列)で無く、CBC(TBS系列)でだがな(余談)」
…しかし、この辺りに中華飯店があるってハナシは聞かないので(あったとしても行かないし)、疑問は平行線を辿った。
……そんなこんなで辿りつつ、時刻は深夜を廻った。
太助「ちゃらっ、ちゃらっ、ちゃらっちゃらっちゃらっちゃらっちゃちゃ〜〜らららら〜」
ピンクパンサーのテーマを口ずさみつつ、闇夜の廊下を忍び足でシャオの部屋の前まで忍び寄る。
ルーアン「…たー様………音程外し過ぎ」
太助「うっせぇよこのぶっとびヘルニア教師が」
ルーアン「な…ヘルニア!?」
太助「で、ルーアンこんな夜中になにしてんだよ」
ルーアン「う゛…っ」
先手を取られ口篭もる彼女だが、はっと反撃の糸口を見つけたかニヤリと妖笑する。
ルーアン「そ、そっちこそなにやってんのよ!――…ははぁ。もしかして夜這いか何かかしらん?」
太助「夜這いだ」
ルーアン「マジで!?」
太助「嘘だ」
ルーアン「くっ…14年しか生きてない分際で、スレガキめが…」
太助「そんなスレガキに負ける4000歳以上のバーさんってどうなんかな?」
ルーアン「……ムキ〜ッ、あー言えばジョウユウ…」
太助「古いぞルーアン――伏せろ!」
ルーアン「え!?」
ドガガガガガガガゥッ!!
ルーアン「……。」
見上げれば、ドアを貫通して対面の壁が蜂の巣なって硝煙を上げていた。
シャオ『……なんでしょうか、今の物音…』
太助「ふぅ…危ねぇ危ねぇ」
ルーアン「…バレてるんじゃないの?」
普通物音がしただけで銃は構えるかもしれないが、ハナから発砲する奴はいないと思う。しかもご丁寧にM60機関銃か。
太助「俺らじゃなかったら木っ端微塵のミジンコだな」
ドガガガガガガッ!!
シャオ『……なんでしょうか、今のセリフ…』
太助(すまん、今のはちょっと自分でもアレだと思った…)
撃ち抜かれた額を押さえ、太助は自室に戻った。
…蜂の巣のルーアンを残して。
でもって普通に朝。
シャオ『それでは、ウォーズォウリ〜』
玄関から聞こえた挨拶の声に、思わず食事中の箸が止まる。
太助「War・草履?」
キリュウ「主殿、英語と日本語が一緒」
ルーアン「ウォーズォウリー……“我走了”…『いってきます』ね」
太助「なんだ、熊本弁か」
ルーアン「中国語」
ともかく、今日こそはシャオの居所を突き止めたい。太助、キリュウ、ルーアンは渋々残ったご飯を片付け、
太助「ルーアン、残り全部食ってくれ」
ルーアン「あたしゃポリバケツかぃ」
…片付け、こっそりシャオの後を追おうとした。が、すぐに阻まれた。
チュイン、と良くチューニングされた関節のギア音が鳴り、ヤツがこちらを睨んだ。
太助「け…軒轅…」
腹部のブースターでこちらの目線あたりを滞空する軒轅は、前足を突き出す。火花を吹き、その前足の爪がこちらに向け発射。
太助「ひぅぃ!?」
キリュウ「にゅわっ!?」
ルーアン「え――痛ぅぁっ!!」
身軽な二人は慌てて身を屈める。その上を爪が――二人で前がよく見えず、ついでに満腹で機敏に動けず立ったままのルーアンの顔面にさくっと直撃、どがんっと爆発。
…いくら無敵のルーアンさんでも、顔面で戦車すらも潰す威力のそれを食らってただではいられない。黒煙を上げ、煤塗れの彼女はその場に倒れた。
軒轅は頭部のカメラアイ部を点滅させ、太助達を睨む。
太助「…次は俺達の番って事か、ああ?」
キリュウ「どうやらシャオ姉ぇの番犬と言ったところか…いや、番竜か」
太助「番玩具だと思うが…あ、怒ってる」
オモチャ呼ばわりされて憤怒したか、カメラアイを赤く発光させ、前回使ったレーザー砲を開く。
太助「生憎、遊んでる暇は無いんでな――ハイドロキャノン!」
キリュウ「って格好良く叫んでるがただの水鉄砲じゃ!? しかもめっちゃ効いてるっぽいし!!」
百円均一で買えそうな水鉄砲の一撃を浴びると、軒轅は落下、関節をショートさせながら苦し悶え、1分もせずに動かなくなった。
キリュウ「……ひょっとして水がタダの水じゃないとか?」
太助「いや、ただの水道水」
キリュウ「…前回あれだけ大暴れして…何と呆気無い…」
太助「なんだかんだ言って結局家電じゃん、コイツ。――だから、水には弱いだろうと思ってなぁ」
天下無敵の機動兵器も、防水加工はしてなかったらしい。
――軒轅、死亡…もとい大破。
太助「おしゃー! 第1関門突破! 早速尾行だキリュウ!」
どういう意向か探偵風の服装に着替えた二人は、意気揚揚と外に飛び出す。
キリュウ「しかし…どうして着替える必然性が…」
太助「甘いな。物事はまずカタチからと言うだろう!」
キリュウ「だが主殿…その体系(見た目14歳)で江戸川コナンはマズいと思うぞ」
トッチャン坊やな服に、半ズボン、そして忘れちゃならないレンズ無し眼鏡に蝶ネクタイ。
太助「そういうお前はどうなんだよっ」
キリュウ「ああ、これは――」
黒のブレザーに少しゆとりのあるGパン、そして柄有りの蝶ネクタイ。
太助「ズボン以外俺と変わんねーじゃん」
神奈(いや、半ズボンの点は痛いと思うが)
それを言うなっつの。
キリュウ「フッ、これは麻生キャプテンだ」
太助「古過ぎだ。 そしてマイナー過ぎだ」
翔子「…何やってんだよお前らプーッ」
太助「出会い頭に笑うなぁっ!」
………。
……。
…。
翔子「なぁる、尾行か」
太助「ああ」
翔子「…で、尾行対象はどこだよ」
キリュウ「どこ…って、あれ?」
慌てて見まわすが、彼女の姿はどこにも無し。
神奈(…そなたらが遊んでいる間に去ってしまったようだな)
太助「――大丈夫、こんな事もあろうかとぉ!!」
キリュウ「あろうかと?」
太助「これを使う!」
翔子「…ルーアンセンセのコンパクト…」
太助「さっき亡骸から拝借した」
死んでねぇ。
太助「…えっと、どう使うんだっけか?」
開いてみるが、鏡には反面世界と自分の顔しか映らない。
なぜだろうか、ルーアンは簡単に使ってたのだが…。
翔子「やっぱ呪文じゃねーの?」
太助「えー…アイツそんな事やってたかなぁ…」
仮に呪文だとしても、どんなコトバか判らない。
太助「シャランラ?」
翔子「ピンクルパンクルパムポップン?」
キリュウ「……いや、そんなのとは違うと思うが…」
太助「あ、そういえば…――山野辺、十円玉あるか?」
翔子「悪ィ、最近はカードなんだ」
太助「外道ブルジョワが。…チッ、良いよ。自分のを使うぜ」
鏡の側面の投入口に10円玉三枚を投入すると、鏡面は揺らいで、間も無くシャオの姿を映し出した。
太助「そーそー、こう使うんだった」
翔子「……。まぁ使えりゃ良いんだけど…」
映った映像から場所を特定し、急いで向かう――幸い彼女は歩きだったため、数分も掛からずに追いつく事が出来た。
翔子「…てか、この辺りってあまり子供が立ち寄らない路地だぜ…?」
太助「ああ、既に何人かのヤーさんに絡まれてたしなぁ…」
その直後、彼らは二度と立ち上がれない姿になっていたが…まぁ相手の力量を見て喧嘩を売れと言うものだ。
キリュウ「キャッチバー、ホストクラブ、ヘルス……うぁ、昼間からやってはいけない店ばかりだな…」
太助「まさかシャオ……このSSを18禁にする気か!?」
翔子「そういう問題じゃないだろ」
そういう問題です。
シャオ『今日も御願いしまーす』
太助&翔子&キリュウ「「「何とぉぉっ!!?」」」
と、慌てて視線を向けるとそこは駄菓子屋。
…その名も『Dagashi GTO』(←ネオン看板)
翔子「……駄菓子屋?…嘘ぉ…?」
太助「だってローマ字で“Dagashi”って」
キリュウ「外装だってお城風だし、入り口にのれん掛かってるし、24時間営業って書いてあるが…」
太助「ハッハッハ、こだわるなぁ」
翔子「お前がこだわら無さ過ぎるんだよっ!! つか深夜も営業してる駄菓子屋って変だろ!」
太助「夜中にお菓子食いたくなる子供だって」
翔子「いねぇ! いたとしても怒るだろ親に!」
シャオ「…なに店先で漫才やってるアルか、三羽カラスどもが」
太助&翔子&キリュウ「「「ギャース!!?」」」
…尾行失敗。
………。
室内に入れられた俺達は、凶悪なメケメケ団のワナにはまり、捕らえられてしまった…ぐっすし(泣)。
キリュウ「ワナでも無いし捕まっても無いしそれにメケメケ団って何?」
翔子「中身は普通の駄菓子屋なんだな。…あ、フィリックスガムにソーダ餅だ」
懐かしい気分に浸る翔子を余所に、シャオは神妙な面持ちでレジの椅子に腰掛けた。
シャオ「仕方有りません。こうなったら洗い浚い全て話しましょうアル」
太助「…俺達なにも言ってねぇ。あと、『アル』の付け所変だし、なんでお前そんな口調」
シャオ「ただの気分」
………。
……。
…。
シャオ「――あれは…そう、こないだ…具体的に言うならちょうど120時間前」
翔子(…つまり五日前か)
シャオ「――ここに勤めるお婆さん(84歳)が、のこのこ大通りを買い物をしていやがったんですが…」
キリュウ(のこのこ…していやがった、って…)
シャオ「――その時、対角線上を歩いていた私が、そのお婆さんをうっかり蹴り飛ばしちゃったんですー」
太助「待てそのハナシには矛盾がある。――道路の反対側でうっかりは説明付かねーぞ」
シャオ「…太助様…見事な推理です」
軽く影のある笑みをこぼすと、
シャオ「――つーワケで吹き飛ばされたお婆さんは…」
太助「俺無視かよ!?」
シャオ「――お婆さんはそのまま吹き飛ばされ、坂の手前に置いてあったスケートボードの上に落ち」
翔子「…ああ、なんか展開が読めたぞ」
シャオ「そのまま坂を滑り落ち、そのまま大型のコンボイに撥ねられ」
太助「運悪いなその婆さん…」
シャオ「更にそのまま用水路に落ちて、三日後に相模湾の海面を漂ってるのを、通り掛かりの漁船に発見、救助されたというワケです」
太助「どこまで流されてんだ…――というか完璧フィクションだろ!?」
シャオ「奥にいますよ? 幸い右手の骨折だけで済んだそうですし」
太助「…俺見てみてぇよそのスーパー婆さん」
シャオ「そういうワケで、不可抗力とはいえ、気負いした私はこうやって手伝ってるワケなんです」
太助「完璧確信犯だと思うけどなぁ…――でもま、そういう理由なら」
キリュウ「私達がどうこう言う事では無いな」
翔子「お婆さんが完治するまで、しっかり店番してやりなよ」
シャオ「……あの、皆さん。困ってる人を助けるってのが人情ってのじゃ無いですか?」
太助「世紀末の破壊魔が何て事言うかなぁ」
…しかし、破壊魔といえど今回ちゃんとした事…無碍には出来無い。
太助「わかったよ。…で、具体的に何すりゃええんよ」
シャオ「――この不況のご時世、駄菓子屋も窮地に陥っています。事実、子供達もあまり来ません」
翔子「…立地条件に問題がある気がするけど…」
シャオ「その打開作として、店の外観の改装、24時間化は完了しました」
太助「アレはお前の仕業かよ…」
シャオ「あとは店のフランチャイズ化です、が…――そこで問題が発生しました」
キリュウ(そもそも駄菓子屋をチェーン店にするのもどうかと思うが…)
シャオ「その問題…それは資金足りない!!」
Σ(´Д`;;)うっわぁリアルな問題っ
シャオ「太助様、株式会社は株主がいないと潰れちゃうんですよ!?」
太助「この駄菓子屋は完璧自営業だろ。…第一、そんな容易く出資が出来る奴なんて――……」
キリュウ「……いる、な。一応…」
翔子「……へ?」
ブルジョワハケーン(゚∀゚)
太助「出資者ぁぁぁ〜っ!!」
翔子「ええええぇぇっ!!?」
〜つづく〜
(今回は何か喋りが多くて読む人としては大変でごめんなさい。てなワケで、次回から6巻編ですよぉ)
ハルカの勝手コメント
レイさん作「まもって守護月天〜22Century〜」第30話目をお届けしました。
遂に五巻分まで終了しました。もうちょっとで(元祖月天の)半分行きますね。凄い!
まぁ、今回はご存じ駄菓子屋の話なわけですが…レイさんの手に掛かればこうなります(オイ
地味なネタですがハイドロキャノンには爆笑。もちろん次回もますます楽しみですね。
レイさん、投稿ありがとうございました(^^