99年 11月 12月 00年 1月 2月 HOME 000331 雪解け、線路沿いの小道からフキノトウが顔を出している。 良く晴れた午後、僕はカバンに本を詰め込んで散歩と洒落込みます。 買ったばかりの靴を履いて足取りも軽く、犬の純ちゃんに「YAH!」と挨拶、ムギュムギュ歩きます。 目的地に着いたらカバンの中のドッサリエロ本を防風林の闇の中にシュルシュルシュルシュル投げ込みます。 10冊の思い入れがたっぷり入ったエロ本と訣別し身も心も軽く、再出発。 新たな決意を胸に抱いていたのだけれど、帰り道、気まぐれ子猫を追いかけて何処かへ行ったきり、2度と帰って来ませんでした。 000330 もうすぐ4月だ。いつまでも学生気分ではいけないな。会社員になる友人達は。 かといって僕は無職という自由を満喫していて良いかというと そんなことは無く、4月からは試験勉強に本腰を入れなくてはいけない。いつまでもこんな所に逃避してブヨブヨした自我を肥大させていて良いわけが無いのです。 というわけでして、3月いっぱいでサイト運営を休止します。 次に会う時、僕は立派な社会人になっている予定ですが、同じくらいの確率で殺人犯になってます。北海道で通り魔殺人とかあったら僕を疑って下さい。 この場合は『ひきこもりがちな無職、山田容疑者(22歳)』という形で再会できます。 ワイドショーで。 000329 隣に住む友達の雄二くん(6歳)が遊びに着たので、バイトまでの間一緒に遊びました。 6歳ぐらいの男児の間で今流行っているのは替え歌、ハゲ、浣腸、うんこ、鼻糞、ポケモンで、女児の場合はこれにミッフィーが加わるようです。ミッフィー知識を蓄えて女児に声をかけ一緒に遊びたい。うちに来たらミッフィー沢山あるよと嘘をついて家に連れて帰り、そのまま一緒に暮らしたい。 そんな妄想をしつつ遊んでいたら、雄二くんの姉が来て彼を連れて帰ってしまった。警戒しているのか。 それにしても替え歌って今も昔も変わらないなあ。 「明かりをつけましょ爆弾に。お花をあげましょハゲ頭」だって。 歌を教えてもらったお礼に、僕も一つ教えてあげました。 「インドの山奥でっ歯のハゲアタマンコに毛が生えた」 雄二くん大ウケ。家に帰って歌って「お姉ちゃん、マンコって何?」てな会話になるのが望ましい。 000324 親におつかいを頼まれて、8冊の通帳と3枚のカードと払込用紙とメモ帳を持ってテクテクと銀行やら郵便局やらへ行きました。そしたら今日は給料日なんですね。疲れた主婦、長蛇の列。なんか皆、一様にヨレヨレの服着て変な色の長靴履いて汚い子供を連れ回してました。 奥さん、人生が2度あればって思いますか? 000322 卒業しちゃいました。 皆さん春から社会人。スーツの着こなしや身振りにも余裕を感じます。でも僕のまわりの人は、「4月から暇だから、とりあえず自動車学校に行く」とか「留年しちゃった」とか「バイト探さないと家賃が」って感じなので、僕も鉄拳2を極めたり中古の原付を探すのに力を注ぎます。 000316 僕の視力は現在0.1を下回り、低下はとどまることを知らない。視界がボンヤリするので3年前にメガネを買った。コンタクトは怖いから。 そのメガネ、物凄く評判が悪い。 「変だよ」「一緒にいる俺が恥ずかしいから外せ」「似合ってない」など、数多くのダメ出しを受けた。そんなにカッコ悪いですか。そうですか。 そんなわけで授業中や運転中以外はメガネを外すようにしていた。 しかし最近では自分の外見にひどく無頓着になったし、何より疲れるので、周囲の声を無視してダサメガネを愛用している。 そんな僕がメガネを買い替えようと思いたったのは、兄の「トンボみたい」という発言のためだ。“ファッション”なんてニックネームがついてもおかしくない僕が、トンボ? というわけで今日、メガネ屋に行ってきた。メガネ屋のCMに出る女の人って、メガネ全然似合ってないんだよな、なんて思いつつ。 メガネ屋に行くと、あるわあるわオシャレメガネ。ゲスとかレノマとか、セルフレームとか。 「レンズ部分が小さめが今の流行です」 ンだとコラ。それは俺のトンボ型メガネを遠回しにバカにしてるのか。しかし、言われてみれば確かに小さいメガネばかり。ははあ。試しに装着してみる。 うわ、ダメだ。顔が大きい僕にとって、小さいメガネは冗談にしか見えない。ションボリしてしまう。 そういう心理状態になると店中のメガネが僕をナジっているように感じられ、益々ションボリして店を出て、西友へ行ってタマネギを買って帰りましたとさ。 000315 スパイシーシフォンケーキを作ろうか。そう思ってシナモンを用意した。腐っていた。ナツメグも腐っていた。オールスパイスは10年も前から腐っていた。今まで見て見ぬ振りをしてきたが、もう限界だろう。とりあえずそれらを用いてケーキを作ってみた。 食べるのが怖くて1週間放っておいたらケーキ自体が腐ってしまった。ホイップクリームを作ろうと思ったら生クリームがチーズ状になっていた。 腐ったケーキを食べていたらノドが詰まったので牛乳を飲もうと思ったが、それも腐っていた。 「期限の切れた牛乳は捨てないで、ココアを入れて沸かせば大丈夫」 お母さん。みのもんたの口車に乗せられて購入したココアは、もうとっくに腐っているのです。 腐ったケーキと腐ったミルクココアを口にしている僕は、朝の連ドラを昼に見る生活を続けている内に腐ってきた。父は最近、面白いように休みが増えて給料が減って、昼間から酒を飲んでは腐ってフテ寝している。母はブクブクと太って腐乱した水死体のよう。台所に干してある姉のブラジャーは、蝿がビッシリたかって黒いセクシーランジェリーのよう。 死んだ祖父は、死体を保管するためのドライアイスが全て氷砂糖にすり替えられるというイタズラにあったため、出棺の時には既に腐敗臭が漂っていた。1ヵ月振りにオガクズを掘り返したらカブトムシの幼虫が溶けていた。ピアスの穴がジュクジュクしている。羊と交尾したら1週間後に陰茎がもげた。天井が腐って落ちてきそうだ。加湿器を掃除していたら、中からヌルヌルした黒い塊が出てきて僕に挨拶をした。 000307 昔『アッコにおまかせ』に出てた吉村っていう人、いまだに「ハァ・ヒィ・フゥ・ヘェ・ホーッ」ってやってるんですね。僕、この人は和田アキ子のマネージャーだから面白くないのにテレビ出てるんだと思ってたんだけど、違ったみたいです。では何者なんでしょう。こんな人にも家庭があり、愛する妻がいて、かわいい子供もいて、輝く未来のために痛々しい姿を曝して働いているのです。生きる意味、働く意味って何なんだろう。目が眩みます。 000306 卒業旅行に行きました。 本当は3泊4日くらいで韓国あたりに行きたかったのですが、貧乏人ばかりのため近場の温泉へ。 『三大ガニ食べ放題』というのがここの目玉なんですが、残念ながら僕はカニが嫌いなんです。いや、カニが嫌いというより、カニに目が眩んだ人間の醜さが嫌いなんです。普段はナイスな人が本性剥き出し目を血走らせて爪の先やら胴体やらをバラバラに分解して意地汚く吸い付く浅ましい姿を見るのが嫌なのです。殻を散乱させて気が違ったようにカニを食らう人々。見ていて虫唾が走るのです。 腹一杯ご飯を食べた後でモリモリとシュークリームやアイスを食べる僕を回りがどう見ているのかは知りません。 冬の北海道の露天風呂というのは実に素晴らしいものです。星空を見上げ、冷気が火照った肌に心地よくて、壁1枚隔てた女風呂から若い娘さんのハシャギ声なんか聞こえてきて、寒さで髪の毛が凍ってしまって、娘さん達のハシャギ声がガンガン頭に響いて、僕ら理性を失って、のぞき。 壁の隙間に木っ端を射し込みテコの原理でグイと押せば、そこは桃源郷。若い娘さん達の尻尻胸。 僕のガッツポーズを見て壁に群がる友人達。その後ろ姿の情けないこと。尻間から伸びた玉袋がはみ出ているよ。 そんな卒業旅行。 000301 庭に生えている、雪に埋もれた何だか分からない木の枝にリンゴをさしてみました。何だか分からない鳥が数羽やって来てリンゴをついばんでいます。初恋の子が自殺しました。 おととしの夏休み、彼女は本当に久しぶりに昔住んでいた岩見沢の祖父母の家に遊びにきました。僕が玄関先で自転車のブレーキがキーキーいうのを直していると、彼女が子供を抱いて歩いてきました。僕に気付くと彼女は「やっ、久しぶり」と言って笑いました。 彼女は既に結婚していて、おまけに1歳の子供もいて、なのにキャミソールなんか着ていました。記憶の中の彼女よりかアゴが伸びている気はしたけど綺麗で、それに引換え僕はジョークTシャツにボサボサ頭という格好で、頭の中を『ダメになった僕を見て〜♪』なんていう歌がグルグルグルグル回っていました。 彼女は思い出話を始めたけれど、僕はあまりうまく話すことが出来ず、その上何故だか敬語を使っていました。盆踊りの太鼓の音が遠くで雷のようになっていました。キリギリスの鳴き声がヤケにうるさく感じました。何だか夢の中の出来事みたいでした。 正月、また彼女は帰ってきました。だけど今度は一人だけで、前とは様子が違っているようでした。母に聞くと「離婚しちゃったらしいよー。子供は旦那の方が養うんだって。大変ねー」なんて全然大変じゃないような口振りだったけど、やっぱりそれは大変なことだと思いました。両親が既に離婚している彼女は、祖父母の家に住むことになりました。 何度か彼女の家に呼ばれました。行くと、お茶とかではなく、必ず銀の器一杯の麦チョコが出されました。僕がフローリングに座布団も無しで座って麦チョコをモサモサ食べている間、彼女はベッドに寝っころがって別れた男の悪口や昨日見たテレビのことを喋るのでした。僕が違う話題をふっても適当な相槌を打ってまた自分の話を続けるので、いい加減ウンザリして、そのうち呼ばれても行かないようになりました。 先日、珍しく彼女がうちに来ました。彼女は、久しぶりに見せる明るい笑顔で「どうでもいい話ばっかり聞かせてごめんね。山田君、困った顔してたもんね。でもありがとね。バイバイ」と言って、すぐに帰ってしまいました。麦チョコに関しては謝ってもらえませんでした。 その翌日、彼女は西友の駐車場から飛降りました。目撃した人によると、即死ではなく一度フラッと立ち上がって、「大丈夫ですか?」と聞いたサラリーマンに「向かいの服屋にボーダーシャツを買いに行くのです」とハッキリした口調で言った後また倒れて、それきり二度と動かなくなったそうです。 大槻ケンヂのパクリです。友人に話したら本気にされました。 |