断点-3 12 - 13
(12)
ピンク色のひらひらした飾りのついた妙に可愛らしい、無意味に広いベッドの上に一人で転がって、
ヒカルは天井を見詰める。
ラブホテルって、ヘンな所だよな。鏡張りの天井とか、ぐるぐる動くベッドとか、聞いた事はあるけど、
ここはそーゆーんじゃないっぽいな。やっぱ女の子狙いでこんなに可愛くしてんのかな。でも女の子
はこーゆーのもロマンチックで好きなのかもしんないけど、こーんなピンクのフリフリなんか、男として
は萎えそうだよな。それともヤれるんならそんなのどうでもイイのかな。
……まさかこんな形でこんなとこに来るとは思わなかったな。
信じらんねーよ。
まさかさ、塔矢と、こーんなブリブリのラブホテルなんかに来るなんてさ。
しかもオレがヤられる側だなんてさ。
ハハ、笑っちゃうよな。
オレ、何やってるんだろう。こんな所で。
――― キミさえいなけりゃ
声、震えてたような気がする。
どういうことなんだ?塔矢。
なんで…なんでおまえがそんな泣きそうな目をするんだよ、塔矢。
泣きたいのはこっちのはずなのに。
ずるいよ、塔矢。
そんな顔されたら、おまえの事、嫌いになれないじゃないか。憎めないじゃないか。
オレ、バカじゃないか。
どうかしてる。
こんなとこで、何してるんだ。
(13)
どう考えたってオレのほうが酷い目にあってるのに、なんでアイツが傷ついてるような気がするんだろう。
必死で強がってるように見えてしまうのはなんでなんだろう。
オレなんかに関わんなきゃよかった、なんて。
オレ、おまえにそんなに酷いこと、したか?
佐為のこと?
それともおまえを好きだって言った事?
おまえにキスしたいとか、触りたいとか思った事?
オレがおまえを好きだっていうのが、そんなに嫌なのか?
どうして――オレを、憎んでるなんて言うんだ?
どうして「オレさえいなきゃ」なんて、そんな事言うんだ?
そんなに、おまえにとってオレは―――いないほうがいい存在なのか?
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