若手棋士による塔矢アキラ研究会 13 - 14


(13)
それでも、その事の代償がこれ程までの仕打ちを受ける謂れになるとは思えなかった。
「オレの名前は分るよね。」
長髪の男が訊ねて来た。アキラはその名字を答えた。近くに対局し得る相手として
確認したことがあった。両腕を押さえている2人の名前も言えた。だが、
碁盤のそばに居た者達はそうはいかなかった。普段の検討会でもあまり
積極的に発言しない人達だった。だからといってないがしろにしたつもりはないが、
それ以上の存在にもならなかったのは事実だった。
「2人、答えられなかったな。」
長髪の男はアキラのセーターに手をかけると顔付近まで引き剥がした。その先は
2人の男がアキラの腕からセーターを外した。その間に中のシャツのボタンが外され、
同じように脱がされアキラの上半身には白いランニングのみが残された。
露になったアキラの二の腕の裏側の、肘から脇にかけての華奢で白さの輝くラインに
それだけで男達が息を飲み込む音がしていた。あと数cm布が動けばそこに
存在しているであろうアキラの未発達な乳首の色や形状を想像して、それに直に
触れた時の場面の妄想を掻き立てている様子を隠さなかった。
アキラはまるで悪い夢を見せられているかのように無言で視線を天井あたりに漂わせていた。
「じゃあ、今度は全員の下の名前を言ってもらうよ。」
「フッ」と、アキラは笑った。答える気力はとうに放棄していた。そんな名前など
もう思い浮かべたくもなかった。アキラの意志を見越したように長髪の男の指がアキラの
ズボンのボタンを外し、ジッパーを摘んで容赦なく引き下ろした。


(14)
ズボンはブリーフごと腰からゆっくりと下げられていった。
ほとんど脂肪のかけらもないアキラの腹部に形良く窪んだ臍の、その下の部分へと
男達の視線が虫のように這い回っていく。両の腰骨が現れてから、うっすらと浮かんだ
ラインがその中間地点に流れていく様を見届けられた後に、局部の根元が覗いた。
ごくうっすらと茂った若草がふわりと外の空気に身を起こす。
男達は呼吸をあらくしながら互いに顔を見合わせる。ここまで来たら全員共犯なのだ。
「ご本人は随分静かだな…さすが肝がすわっているぜ。」
アキラは目を閉じていた。引き返せない悪夢が今は出来るだけ早く終わる事を
望むだけだった。
その僅かな後、白いランニングと靴下を残すのみの状態にアキラはされた。
どうせならすべて取り去ればいいものを、あえて多少の布片を残す事で
淫猥さが強められていた。裸体でありながら裸体ではない。その際どさが雄の
興奮をより高める。アキラが本来持っている中性的な色香がよけいに
男達の好奇心を煽っていた。少女の様な美しい顔に少年特有のすらりとした骨格、
大人びた物腰や姿勢と性的にまだ未開発なパーツ。声変わりにさしかかった
ハスキーで掠れた甘さが残る声。
男達はそれぞれにこの後に見られるであろうアキラの痴態を想像して
アキラを見つめる。特に集中的な視線を受けてときおり怯えるように
小さく横たわった局部がピクリと震えた。誰が最初にそれに触れるのか、
男達は牽制というより促しあうように互いの目を見た。



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