ストイック 14


(14)
芦原さんの車の中で、僕はずっと黙っていた。
芦原さんも、何も言わなかった。
海沿いの瀟洒なホテルで、車が止まった。
僕は芦原さんに肩を抱かれて、部屋に入った。
広い部屋だった。
吹き抜けになっていて、階段の上にベッドルームがあるようだった。
僕は無言のまま、シャワーを浴びた。
備え付けのバスローブを着てバスルームから出ると、ソファーに座っていた芦原さんが顔をあげた。
僕は濡れた髪のまま、芦原さんの前に立った。
「芦原さん…」
僕が呼びかけると、芦原さんは目線だけで答え、無言のまま僕の言葉を促した。
「ごめんなさい…」
僕の口をついて出た言葉に、芦原さんは笑った。



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